＜中桐雅夫詩集「会社の人事」1979年より＞すみれの花
踏切りのそばにラーメン屋の屋台がある、
その棚のニンニクのそばに、
コップに生けた紫のすみれの花がある、
どういうものか、人間はいつも連れがほしいらしい。そのくせ、酒の三合も飲めば、
だれでも自分のことしかいわなくなるが、
自分ひとりのために生きるとなると、
これはもう寂しい限りだ。春の昼下がりの薄暗いビヤホールで、
無限とか主体性とかいうことばが聞こえる、
そんなことばのためよりだれかのために生きる方がいい、
目が吊上がった化物みたいな女のためでもだ。銀座尾張町の交叉点を渡りながら、
どうして人間は殺し合うのか、とふと思った。＜私 見＞ ある晩いつもの如く、私は居酒屋の「指定席」でとぐろを巻いていた。私はもともとあまり偉くない人間だが、酒を呑むと余計に偉くなくなる。だからその晩も、私はずっとこんなことを考えていた、・・・・・私に与えられた仕事はくだらない。私は雇い主から正当に評価されてもいない。生計を維持するにカツカツのものは得ているけれど、それ以外に、私に何の存在意義があるか。生まれてからこの方、私は人類史の総体に耳カキひとさじほどの貢献もした覚えはない・・・・・・・。
最近、「ホリエモン」なる実業家が、しきりとマスコミに登場している。伝え聞いた限りでは、それほどウラオモテのある人物とも思えないが、その代わり、幅も奥行きも、深みも味わいも無さそうな男である。
ところがこの小人物、コトが自らのbenefitに及ぶや、目にも鮮やかなほど合理的で合目的的なbusiness machineへと一変するのである。この点で彼の「ホリエモン」氏には、現代の「代表的日本人」の一人と称えられるべき価値は充分あると私は見た。このＩＴ系「わらしべ長者」が倫理的価値判断にはまるきり無頓着なことをもって、外野の人間がとやかくクサすべきではなかろう。なぜならば、「利他主義は、倫理的に見ても社会的に見ても、human beingの行動の動機として全く明白かつ正当なものである」
こう言い切れるだけの根拠を、我々日本人は、もうトウの昔に喪失しているからである。だから、「ホリエモン」氏ひとりを悪者にしてコトを済ますべきでない。その責めは、我々全てが等しく負うべきものだと私は考える。
ここで少々脱線するが、日本製のていねいに作られた良質なドラマが、韓国製の粗製濫造ドラマに「迫力負け」してしまうのも、今や我々が「人の道」を見失いつつあるからではなかろうか。
我々、三無主義世代（または五無主義世代）は、ぶっちゃけ、ナマイキ盛りのガキどもに「なんで人を殺しちゃいけないんですか？」だの「宗教と迷信はどう違うんですか？」だのと質問攻めにされた途端、答えに窮してしまうという、全くフガイないオトナなのである。だから（ここではイチイチ例証しないが）、「人として人と出会い、人として人に迷い、人として人に傷つき、人として人と別れて、それでも人しか愛せない」韓国製ドラマに、日本製ドラマは「迫力負け」してしまうのである。我々の心の中には、「正しいもの／真っ当なもの」に対する憧れが、いつでも「死んだフリ」しながら眠っているに違いないと、私は強く確信している。価値相対主義など、クソ喰らえなのである。「金儲けは万物の尺度である」などという浅墓な考え方に至っては、何をかいわんやである。
韓国製ドラマは、我々の心の中にまだ残っている「正しいもの／真っ当なもの」に対する憧れを呼び醒ますことに成功したのだと思う。だから、（一過性のブームでは終わらず）わが国でそれなりに受容されるに至ったのだと、私はそんな風に見ている。
あの「ヨン様」ことペ・ヨンジュンは、韓国製ドラマが日本でヒットした理由を問われて、「あの方たち（藤村注：日本人を指す）を取り巻く環境が寂しく、索漠としていたためではないだろうか」とおっしゃったそうである。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2004/11/19/20041119000000.html
うーん、既に充分自覚していることでも、こうやって第三者からズケズケと指摘されるのはイヤなものだ。ああ、憤懣と心の憂さは、わが酒の良き友である。という訳で、さらに呑む。居酒屋の天井近くの棚に油まみれのテレビが置いてあり、外人の中年男のロック・コンサートを中継していた。聞いたこともない名前だぞ、へたくそめ、と私は悪態をつき始めた。もう既に、私は人の歌に素直に耳を傾けるような雰囲気ではなかった。酔っ払いとはイヤなものである（注：もちろんこういった自己嫌悪も、酒を呑む楽しみの重要な一部を構成してはいるのだが）。
ところがどうしたことだろう、聴くともなしに聴いているうちに、その男のＲＯＣＫが私の中に入ってきた。男の歌は、どうもアフリカのエイズ問題を扱ったものらしかった。私の語学力では、歌詞の半分も聴き取れはしなかったのだが。
しばらくして気がついた。ははーん判った、このおっさん「本気で」歌ってるな。だから、私みたいなスジの悪い客のハートにも、こうやって火がつけることができたのだろう。ＲＯＣＫとは、そういう音楽なのである。Performerの技術的な巧拙は、ＲＯＣＫの本質な部分を左右しないのだ（もちろん、ヘタよりは上手な方が望ましいことは言うまでもないが）。
「自分の命と引き換えにしてでも訴えたいことがあるならば、アコースティック・ギター一本抱えて人前に立て。そして、大きな声でTWIST AND SHOUT するのだ」
ＲＯＣＫとはそういうシンプルな音楽なのだ。「ＲＯＣＫは心意気でゴスミダ。」（根本敬による韓国ＲＯＣＫ評論より）
「可哀相な人がいたら、出来るだけのことをしてあげなさい。」
いや、全くその通りだ。私はそのことを、一体どれくらいの間、忘れていたのか（いや、忘れたフリをしていたのか）。
「可哀相な人がいたら、出来るだけのことをしてあげなさい」というのは、オランダでは「子供でも分かるリクツ」らしい。その好適な例として、下記文献を挙げておく。さて、もうそろそろ〆めよう。いくら何でも電車のあるうちに帰らないと、老妻が心配するから。
＜書誌事項＞ ディック・ブルーナ ぶん・え、石井桃子 やく「ゆきのひのうさこちゃん」（子どもがはじめてであう絵本４）原著1963年、福音館書店。
＜「ゆきのひのうさこちゃん」梗概＞ 本書は、ウサギの子「うさこちゃん」（英語圏ではMiffy、オランダ語のオリジナル版ではnijntjeと称する）の雪遊びを描いた26ページの絵本である。
ご存じの通り、Miffyは世界市場で最も成功した商業キャラクター（の一つ）で、「ゆきのひのうさこちゃん」は、作者ディック・ブルーナの比較的初期の作品群に属している。さて「ゆきのひのうさこちゃん」後半部は、「うさこちゃん」が雪遊びを中止して、寒さに凍えた小鳥に仮小屋を作ってやる話である。同書後半の文字テキストを以下に採録する。
（引用、始め）
あら あすこに ちいさな とりが！
ことりは ないて いいました。
「なんて さむいんでしょ うさこちゃん。
わたしは ゆきが きらいです」（同書、14P）「おやまあ あなたは おうちが ないの？
なんて かわいそうなんでしょう。
ああ そうだ！ いいことがある！」
うさこちゃんは ことりに いいました。（同書、16P）そして おうちの とうさんに
かなづちや きぎれを かりてきて
「さあ これから あなたのはいる
りっぱな おうちを つくるのよ」（同書、18P）うさこちゃんは いちにち とんかんかん。
ことりの おうちが できました。
ことりは とても よろこんで
かわいい うたを うたいます。（同書、20P）そのとき うちから かあさんが
「まあ うさこちゃんの えらいこと。
なんて りっぱな おうちでしょ。
でももう ねんねの じかんです」（同書、22P）ねまきに きかえた うさこちゃんは
もいちど まとから のぞきます。
「ちいさな とりさん おやすみなさい。
あした またいっしょに あそびましょ」（同書、24P）（引用、終わり）
ディック・ブルーナの絵本は、「教育・指導」や「啓蒙・啓発」といった「オトナの視点・作意」を極力排除しているところに、その最大の特徴がある。「視覚的・文学的に質が高くて、なおかつ子供自身が喜んで読むような絵本を作るにはどうしたら良いか」、作者はこの点を最優先しているように思われる。「俗悪」にも「子供騙し」にも陥らず、作者がこれを成し遂げたのは全く稀有のことである。
「ゆきのひのうさこちゃん」は、作者のMiffyシリーズの中でも比較的メッセージ色が強い方に属する。そのメッセージを要約すれば、
「子供でも、この程度の人助けならできるし、また、やるべきだ。同時に、オトナはそれを承認し、積極的に援助してやるべきだ」
となるだろうか。絵本の描写はさりげないが、伝えようとしているメッセージは重い。これに触れた子供は、おそらくここから何かを、確実につかみ取るだろう（私も、そして私の妹もそうだったから）。それを可能にした作者の、絵本作家としての鮮やかな手並みは、文字データの採録だけで再現できるものではない。もしも興味がおありなら、書店か図書館でぜひ現物を手に取ってみてほしい。（以 上）
英語の「おはよう」はGood morning.
エスペラント語の「おはよう」は
Bonan matenon!
エスペラント語は語尾変化で品詞が分かります。
不定詞 〜i
名詞 〜o
形容詞 〜a
副詞 〜ebona の語尾は a なので形容詞、mateno の語尾は o なので名詞を意味します。
〜n とは何を意味するのでしょうか。これは格変化を意味します。ただしエスペラント語の格は目的格だけです。
目的格があるとは、学校で習った第三文型、主語＋動詞(動語)＋目的語（Ｓ＋Ｖ＋Ｏ）です。例えば、「Bonan matenon!」の原文は「私はあなたに良い朝を持って欲しい＝挨拶文(simple greeting)＝おはよう」
Mi deziras ke vi havas bonan matenon, meaning "I want you to have a good morning,"
http://pw1.netcom.com/~rogermw/ADnD/IPDC7.htmlとする解説があります。
私は、"I want you to have a good morning." という文章が、"I want you." ＋ "You have a good morning."
Ｓ＋Ｖ＋Ｏ
Ｓ’＋Ｖ’＋Ｏ’の２つの第三文型で作られていると思います。
「やり直しの英会話のコツ」から貼り付けます。（貼り付け開始）
●出版されたものは、どこまで信じられるのか？
私の場合、常に「わかりやすい説明」を探して、様々な参考書に目を通していま
すが、時々、今回のようなことが起こります。
もちろん、最終的には自分で確認しなければなりませんが、出版されているもの
はどこまで信用できるのか、という疑問は残ります。最近も、話題になった本で「続・英文法の謎を解く」（副島隆彦著 ちくま書房）
という本を読んでいて、疑問が出てきました。＜Good morning!＞について、著者は
＜You have a good morning.＞が元の文であると主張しています。
それに対して、渡部昇一教授は自著「英文法を撫でる」（PHP新書）で
＜I wish you a good morning.＞ということもあり、一種の祈願文であると述べ
ています。
副島氏は自著で、その渡部氏の言葉を引用して、ちょっとした論争が繰り広げられ
ています。
副島氏は、アメリカ人、イギリス人、カナダ人、オーストラリア人に確認して
「I hope you have a good morning.が一番自然である」という結論を出して
います。しかし、シンガポールやイギリスのテレビなどのアナウンサーは、よく
＜Good morning to you!＞
と言います。
また、ちょっとした会議などでも、この＜to you＞をつけるのをよく耳にします。
この言い方から、推察できる元の文は
＜I wish good morning to you.＞
ではないかと思えてならないのです。
シンガポールの元英語教師の方に意見を聞いたところ、同じ意見でした。http://www.geocities.co.jp/Berkeley/7190/9902.htm
（貼り付け終了）
ＲＣ："I wish good morning to you."は、"I wish you to have a good morning."の変形だと思います。
ついでに言えば、私は文法と慣用に違反していなければ良いので、この文章だけが正しいとするのは不毛だと思います。
あおさん、ありがとうございます。（[4981]）▲『坂の上の雲』について
日露戦争史で『坂の上の雲』の司馬史観を検証した本がまだあったということで、これも2004年の本のようです。近年の本です。――このように、専門家には、どんどん軍事面での検証をやってもらいたいです。
しかし考えてみれば、『坂の上の雲』が出てから、三十年もこういう本が出なかったということだ。
今振り返ってみるに、非常に不思議な感がする。当時は、司馬氏がこんなに無節操な人だったとは、思わなかった。――当時は、みんな、知識人を、また出版物のレベルを、信じていた。
また当時は、我が日本経済はこんなにもしっかりしている、だから、司馬本が売れているといっても、戦後支配層はしっかりした思想を持っているだろう、となんとなく思っていた。思いたがったのかもしれない。すなわち、当時は、司馬史観がこんなに無節操でひどい思想だったとは夢にも思わなかったし、また司馬史観がこんなに支配層やＮＨＫ（大マスコミ）に浸透するとは、誰も思わなかった。
そのように高を括（くく）っていた。しかし経済は大不況に陥り、それに対して有効な対策を打ち出せず、その大不況から脱せない日本が、現実となった。日本の支配層は自国の経済すらをコントロールできないことが、明白になった。しかも、それに対する責任感が皆無であることも、明らかになった。
ここに至ってようやく、副島隆彦先生のような、見識と誠意のある知識人が、「司馬史観」の蔓延、浸透の弊害、害毒に気付き、司馬史観の検討、検証の必要性を痛感するようになった。だからここにきて、「司馬史観」検証本が出るに至った、とそういうことだろうと思う。
私としては日露戦争などの軍事関係においてというよりも、その作品のそこかしこに見られる、司馬遼太郎氏の何気ない言葉におけるいい加減さや不誠実さを指摘することによって、「司馬史観」のもたらす大きな弊害を主張したい。
次の引用は、『坂の上の雲』の最初の章「春や昔」の、ほんの一部である。文庫本で、ちょうど１ページくらいである。
（引用開始：司馬遼太郎『坂の上の雲』文春文庫）
この藩＜伊予松山藩＞は、長州征伐で負けた。負けて悔しがるよりも、謡（うた）がはやった。
長州征伐マの字にケの字
猫に紙袋（かんぶくろ）で、後に這う
士族の子までうたった。
敗（ま）けといえば、鳥羽伏見でも負けた。藩士は海を渡って逃げて帰った。さんざんに負けた上に城も領内も土佐藩に保管された。
「当分土州預地（あずかりち）」
という高札（こうさつ）が、城にも城下の四つ角にも立てられた。
もっとも土佐人がこの松山で乱暴を働いたという事実はなかった。土佐の隊長は小笠原唯八（おがさわらただはち）と言い、淡白で知られた男で、進駐した士卒を厳重に統率し、松山藩士の感情を傷つけぬようにつとめた。
むしろ松山藩は、この小笠原唯八のためにすくわれた。なぜなら官軍の一派である長州人が海を渡って松山の海港である三津浜（みつはま）に上陸した。
「先年の長州征伐の恨みを奉じてやる」
と、長州人は最初から復讐に燃えてやってきたのだが、小笠原唯八がそれをなだめ、かれらを入れず、ふたたび海へ退去させた。そのとき長州人は松山藩が持っていた最大の財産である汽船を奪った。（P10−11）（引用終了）
ここで、次のような点が問題として挙げられる。
１． （そのような）謡（うた）がはやった」は非常に疑わしい。「士族の子までうたった」はもっと疑わしい。何を根拠としているのだろうか。
２．「松山藩は小笠原唯八に救われた」というが、これはおかしい。松山藩をどう処分するかはもっと大きな権力を持った所で決まるのであり、現場の隊長ごとき小笠原唯八が一存で決められることではないだろう。
３．長州人は「復讐に燃えてやってきた」のか。疑わしい。天皇の詔勅を奉じた官軍として来たのではないか。
４．「長州人が松山藩の汽船を奪った」のか。これも疑わしい。官軍として没収したのではないか。このように、当時の社会情勢をかなり無視した記述が続くのだ。
――司馬作品は、本当は滅茶苦茶（めちゃくちゃ）なのだ。司馬遼太郎氏は、歴史家ではないのだ。またさらに、「自分は作家だと思ったことがない」と、司馬氏ご本人がおっしゃっているのだ。（『日本人と日本文化』まえがき）だから、作家でもないのだ。
そういう人の作品がどうして傑作なのか。上に見たように、滅茶苦茶な作品ではないか。
何故、ＮＨＫはこういう作品を今だに称揚するのか。こういう作品を称揚することが、非社会的、非政治的な人間と、それゆえ無責任になるエリート支配層――バカ殿たち――を、大量に生産することにつながり、それが、日本社会に多大なる「弊害」と「不幸」をもたらすのだ。
ＮＨＫは「無責任エリート」言論機関となるために、司馬作品を称揚するのだろうが、――もうすでに、ＮＨＫはバカ殿たち、バカ姫たちが占拠する公共放送事業体（言論機関）であるが――日本のためには、我々はそれを許してはならないのだ。▲その結果について
かくして、バカ殿、バカ姫−−バカ娘か？−−たちの日本政府・行政サイド及びマスコミが出来上がった。
そういうバカ殿、バカ娘たちは何をやっているのか？（転載貼り付け開始）
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/200506162005-06-16 日本政治の冷酷な現実・・・制限されつつある「生存権」
■ [暴政]日本政治の冷酷な現実・・・制限されつつある「生存権」
●多くの日本国民は殆ど自覚しておりませんが、日本国憲法が保証しているはずの「生存権」の制限、又は廃止ということが小泉政権によって実行されています。下記URL（Blog記事★）で纏めた内容が、その具体的な姿です。なお、近年の自殺者数の増加傾向（下記URL◎、参照）がこの動向を象徴しているように思われます（未だ科学的な相関分析は行われていないようですが・・・）。
●このグラフ（下記URL◎）を見ると、1995年以降に自殺者数が増え始め1998年以降は年間で３万人のラインまで急上昇しており、その実績が現在も持続しています。更に、今の「改憲ムード」づくりが功を奏して「包括的な改憲」が実現すると、そのダメ押しとなる冷酷な政策がこれから更に展開されるはずです。
●更に、これは自分が老親のケアで今まさに経験中のことですが・・・・、介護老人保健施設、特別擁護老人ホームの実費（部屋代、食事代）が現行（平均６〜９万/月額）から約５万円ほど値上げ（今秋より実施予定で国会審議中）され、部屋代名目の加算で月額で１１〜１４万円となります。これは４人相部屋の場合であり、２人部屋や個室の場合は恐らく20万円〜25万円（月額）となるはずです。
●いくら高齢者といっても、基礎的な食事と部屋代だけでは生きられません。国民年金（平均７万円程度）だけの高齢者の家計は完全に大赤字となりピンチです。厚生年金受給者本人でも平均20万円位の人がどうやって、この支出に耐えられるのでしょうか？老寡婦（夫に先立たれた老未亡人）の場合も悲惨です。国民年金プラス厚生遺族年金の総額は、せいぜい12〜13万程度（月額平均）なので、この場合も大赤字となります。
●しかも年金制度が現行のままであることを前提とした推計によると、15〜20年後には厚生年金受給者本人の水準が現行の20万円から半減して10万円程度まで下がる見込みです。まさに、これからの高齢者世帯又は高齢者を抱える世帯は“生き地獄の生活”となるはずです。“完全な勝ち組”の国民でない限り、高齢で長生きすると「生活保護」以外に生きる術がなくなるというレールが既に敷かれているのです。しかも、その「生活保護」そのものが縮小されようとしています。これが、小泉構造改革が進める施策の「冷酷な実例」です。
●しかし、善良な多くの国民は、それが自分を直撃する現実問題であることに殆ど気がついていません。（無論、筆者自身もその一人であり、この現実が身にふりかかるまでは自分の問題として捉えていませんでした。）一方、呆けたように芸能娯楽化したマスコミは、このような厳しい社会の現実には目もくれず呑気にくだらないスキャンダル・ショーやゴシップ記事を垂れ流しているだけです。なお、ML仲間からの伝聞ですが、特に深刻な状況の大阪市では、年率１０％というスピードで生活保護世帯数が増加しているそうです。
＜注＞大阪市における悲惨な実態の例示
・・・ML仲間からの投稿・連絡で大阪市の悲惨な実態の一部が分かりました。
[大阪市の生活保護受給世帯数の推移]
平成 11年 48,168
平成 12年 52,791 9.6％増加
平成 13年 58,898 11.6％増加
平成 14年 65,447 11.1％増加
平成 15年 73,160 11.8％増加（平成11年比で実に51.9%増加！）
[H13年度、大阪市の事業所数、従業員数減少の実態]
＜事業所数＞は232,804（５年前比で30,353人の減少、11.5％ダウン）
＜従業者数＞は2,427、045人（５年前比で301,494人の減少、11.0％ダウン）
・・・男12.6％減少、女は8.5％減少で男性従業者が直撃されています。
★http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20050610
◎自殺者数の推移（統計、グラフ）
http://www.niph.go.jp/wadai/boushi/statistics/frame_no0_1.html
◎生活保護世帯増加の動向（分析記事）
http://plaza.rakuten.co.jp/wellness21jp/10020（転載貼り付け終了）
こんな現実がまるで無いかのように、バカ殿、バカ娘たちは振舞い、カメラの前で、歯を見せて笑ってばかりである。
しかし情報が抑えられ隠されているので、一般国民には分かりにくくなっているけれど、こうした現実を国民は感じつつある。郵貯２３０兆円、簡易保険１２０兆円の、計３５０兆円の、日本国民の最後の”虎の子”の金融資産はどうなるのか、どう使うのか。もう使い切ったのか。政府が持っている米国債はどうなっているのか。政府は国民に借金をしているのに、どうして外国に金を貸したままなのか。アメリカに流れている４００兆円はどうしたのか。そのうちの少しばかりを持ってきて、国民の働き場所を創れば景気は上向き、税収は自然に増加するではないか、どうしてそれをしないのか。
こうしたことについて、バカ殿、バカ姫たちの日本政府・行政サイド及びマスコミは、語ろうとしない。
もう数ヶ月前だったか、国谷裕子（くにやひろこ）とかいうＮＨＫのキャスターは、「現在自殺が増えたままですが、自殺しないように、みんあで心の支えになってあげましょう」とか言っていた。その時、本当にバカだなと思った。一国の経済は政治によってコントロールされなければならないのだが、バカ殿、バカ娘たちは、気象のごとき自然現象であるかのように、振舞うだけだ。コントロールしようという意思も意欲も頭脳も持ち合わせていないのである。
小泉・竹中政権が多くの銀行、多くの大企業を潰し、国民の仕事場を政府の力で（市場の原理ではない）強制的に奪った。国民の仕事場が失われるということは、不況がいっそう深刻になるということである。
政治によって仕事場を増やさなければ、好況に向かわない。好況は好況を呼ぶのに、しかし小泉・竹中政権はそれを行わない。バカ殿、バカ娘たちの日本政府・行政サイド及びマスコミによって、日本はこういう国になっているのだ。
（了）
『聖書に隠された日本・ユダヤ封印の古代史』(マーヴィン・トケイヤー著、徳間書店、1999)の２６４頁から貼り付けます。（貼り付け開始）
秦氏の寺であった京都の広隆寺には、有名な「弥勒菩薩(ルビ：みろくぼさつ)像」が置かれている。なぜ、仏教の弥勒菩薩が秦氏の寺にあるのか。
じつは「ミロク」(弥勒)思想というのは、Ｅ．Ａ．ゴードン女史も明らかにしているように、キリスト教やユダヤ教の「メシヤ」思想がインドに入って生まれたものである。ゴードン女史は、「メシヤ」思想がインドに入って「マイトレーヤ」となり、それが中国に入って「ミレフ」となり、日本で「ミロク」となったと述べている。（貼り付け終了）
ＲＣ：ゴードン女史の説によると、Messiah → Maitreya → Mile Fo → Miroku になったらしい。
「国会図書館」から貼り付けます。
（貼り付け開始）
請求記号 186-25
タイトル Messiah, the ancestral hope of the ages, "the desire of all nations," as proved from the records on the sun-
dried bricks of Babylonia, the papyri and pyramids of Egypt, the frescoes of the Roman catacombs, and on the Chinese incised
memorial stone at Choang, by E. A. Gordon ...
出版地 Tokyo
出版者 Keiseisha
出版年 [c1909]
形態 6 p.l., 212 p., 1 l. front., illus., plates (partly col.) maps. 29 cm.
内容細目 King-kiao-pei, or The speaking stone.-The gazelle of Eridu, or The Turanian Christ.-Four great khans, or The
divine lawgiver.-The lotus of the pyramids, or The funeral of Jacob.-The king's highway.
USMARC番号 12014500
個人著者標目 * Gordon, E. A. (Elizabeth Anna)
普通件名 Messiah.
LCC BL475
DDC 291.61
本文の言語コード eng: 英語
書誌ID 000006468094http://opac.ndl.go.jp/index.html
（貼り付け終了）
ＲＣ：学問的には、キリスト教より前に、ミトラ教がローマ帝国公認宗教であった。ミトラ教のミロク思想が仏教に影響を与え、更にミトラ教の分派であるゾロアスター教からユダヤ・キリスト・イスラム教に影響を与えたとする説が本筋のようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%A5%E5%8B%92%E8%8F%A9%E8%96%A9
http://www.newadvent.org/cathen/10402a.htm
誰が仕組んでいるのか分かりませんが、こんなのも有るみたいですね。九人ユニット「中国猫」http://www.musicat.jp/
一時期「女子十二楽坊」ってのが流行りましたが、二番煎じを狙っているのは明らかです。
恐らく中国側のスタッフの意図するところは金儲けしながら中国の近代化をPRする事なのでしょうが、どうも日本に属国化されるのを推進するだけかと思われます。個人的に日本アニメのファンなので「宮崎駿」を特別視してしまいますが、彼の作品なら他国の国民に隠されたメッセージを伝える事が出来ていると思うのです。具体例としてはアメリカで上演された「ハウルの動く城」でしょうか。
しかし、この手の中国版「モーニング娘。」にそんな高尚な事を期待するのは無理です。おまけに頻繁に行き来させれば日本側の関係者に外部の人間には理解し難い中国の「商習慣」や「人間関係の弱点」を暴露する事にもなりかねません。
そもそも中国が昔から「コネ社会」であるのは自明の理であり、来日する中国側の関係者が中国共産党の幹部に何らかのコネを持っているのは明らかです。でなければ、こんな儲かる商売をさせて貰える筈が無いですからね。バブルの頃、日本のマスコミは皆「二十一世紀は日本の世紀」等と馬鹿な事を主張していましたが、結局は「虎の子」である金融資産を唯々諾々とアメリカに乗っ取られただけでした。
どうも同じ事を日本はこれから中国に対して実行しようとしている様な気がします。
庄司 誠さんへ
スミマセン。小室直樹・著『韓国の悲劇』（光文社・カッパビジネス 1985年）は未だ読んでないです。確かに意図して「ブームが」簡単に仕組めるなら誰も苦労はしませんよね。
しかし日本国自体が毎年のファッションの動向を業界に決めさせて、かなり恣意的に「今年の流行ファッション」をはやらせているらしですから、何かと強権発動的な韓国の場合もっと情報操作し易い筈です。
つまり過去日本がアメリカにされたのと同じ事を韓国にしている可能性が高いと思われます。早い話が一時期のアメリカで「日本食ブーム」ってのが在ったでしょう。あれと同じ事なんです。あの後しばらくしてバブルが崩壊し、日本は経済をアメリカに乗っ取られました。
みなさんこんばんは。続けて庄司誠です。源尚浩さんへ。あの“韓流”といわれるものについてですけどね、日下公人氏などは、ＴＶドラマ「冬のソナタ」ブームなんてのは、ＮＨＫと電通が意図的に創り上げたものだなんて言っていますよ（日下公人／呉善花・共著『日本の文化力が世界を幸せにする』ＰＨＰ研究所・2004年より）。
まあ、もっとも私は、そんな簡単にブームがつくりだされるなら誰も苦労なんかしねえよと思うので、この日下氏の意見にはあまり賛成しないのですがね。実際ペ・ヨンジュンさんにはそれなりの魅力があったのだろうし。
そんなことよりも、みなさんにはやはり小室直樹・著『韓国の悲劇』（光文社・カッパビジネス 1985年）を読んで欲しいですね。
ああ、でもこの本も入手しづらくなってるのかな。
何とも凄まじい写真ですね。
因みに日本のアニメの大半は韓国や台湾の下請け会社にセル画を描かせているそうですから「セーラームーン」を自国産のアニメと勘違いする輩が居るもの止むを得ない事なのかも知れません。しかし、行った事は無いけれど行きたくない国の一つですね。
取り敢えず「韓流ブーム」は大歓迎ですが、此れを勘違いしている韓国人も大勢居るのでしょうね。個人的に「韓流ブーム」は朝鮮半島全体を日本の植民地にしてしまう為、日本側で仕組んだ政治工作だと考えています。
みなさん、こんばんは。庄司誠です。韓国の反日教育？どうでもいいよ、そんなの。そんなことやってる馬鹿はほっときゃいいんだよ。それよりも自分自身がしっかりと勉強することだね。
そうすりゃ支那や韓国の人間だって馬鹿ばっかりじゃないんだからさ、おれらのことを「ああこいつらは賢いな」って一目置くようになるさ。
まあ、一部の支那や韓国の連中でどうしようもない愚かなのがいて、日本人としては腹が立ってしかたがないってのはわかるんだけどね。だからアルルさんのおっしゃるとおりだね。馬鹿のやることにいちいち怒ったりしないでね、ああそうですかってその間に、こっちが少しでも賢くなったらいいんだよ。
4981の投稿で間違ったコピペをしてしまいました。申し訳ありません。隣人は普通の国ではありませんので、日韓普通のつきあいでいいです。
株式日記（６月１０日）でも尋常だない様子が書かれていましたね。
→
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu96.htm韓国の異常さは世界の常識 ローレス米国防部次官補
「韓米同盟変えたい時はいつでも言ってくれ」2005年6月10日 金曜日
◆韓国の異常さは世界の常識 ６月６日 マイネ・ザッへ
こんばんは。バードさんの精力的な投稿を楽しく読んでます。
こちらの本も旅順攻防戦について書かれています。日露戦争後に起きた第一次大戦での要塞攻略戦、消耗戦を強いられる塹壕戦など検証しながら書かれています。是非一読を。坂の上の雲」では分からない旅順攻防戦―乃木司令部は無能ではなかった
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ウィッシュリストについて
「坂の上の雲」では分からない旅順攻防戦―乃木司令部は無能ではなかった 別宮 暖朗 (著), 兵頭 二十八
今日のニュースから。この人の出馬の件はあまり同サイトや副島先生も
出されていなかったと思いますが、何者ですか？どのくらいの勝算が
あるのでしょうか。研究員の方で詳しいかた、よろしくお願いします。
（マッドマン）【ワシントン１９日共同】米野党、民主党の重鎮バイデン上院議員（６２）は１９日、ＣＢＳテレビとのインタビューで、２００８年の次回大統領選に出馬する意向を表明した。昨年１１月の前回選挙で共和党現職のブッシュ大統領に敗れ、雪辱を期す民主党内で次回選挙に出馬表明したのは初めて。
民主党の次回大統領候補としては、クリントン前大統領の夫人のヒラリー上院議員、前回選挙で正副大統領候補のコンビを組んだケリー上院議員、エドワーズ氏の名前が挙がっている。
バイデン議員は１９４２年１０月、ペンシルベニア州生まれ。６５年、デラウェア大学を卒業。７２年にデラウェア州から初当選して以降、６期連続当選。
反面教師、という言葉もあります。「ああ、わたしたちは教育も言論も
自由な日本にいる」と安心してよいのかな。
馬鹿は相手にしないと言うのも立派な態度でしょうな。
写真の中に
「Even Sailor Moon is saying "fuck Japan!"」というのがありました。多分、韓国ではセーラー・ムーンというは、「韓国製アニメ」なのでしょう(苦笑)。
http://aog.2y.net/forums/index.php?showtopic=1550これを見てください。
やはり韓国の教育はおかしいと思います。これはナチスと一緒だと思います。
子供にはこの様な教育をさせるのは間違ってると思います。何故抗議しないのでしょうか？
普通左翼だったらこういう偏屈なナショナリズムは抗議するはずなのですが、何故日本の左翼は抗議しないのでしょう？
左翼も抗議しない、右翼も抗議しない。
全く腐った世の中だぜ。
リメイク版ドラマ「赤い疑惑」（ＴＢＳ）について、その後反省。
ていねいに作られた、よくできたドラマだとは思う。だが、所詮は「よくできた模造品」なのである。どこか軽いのだ。もっと言えば「真剣味」が足りない、あのオリジナル版に比べると。
もちろん、リメイク版製作者たちの熱気や熱意はドラマの中からよく伝わってきたのだけれど、なんというか「一生懸命に『山口百恵ごっこ』やってます」という感じがした。「ガチンコ勝負の試合」と「本物のケンカ」とは、どんなに似ていてもやはり別物である。時代環境の違いというものはどうしても乗り越えがたいものなのだろうか。「赤いシリーズ」オリジナル版では、宇津井健という役者はいつでもノベツ幕なし「本気」を出しているように見えた（そして、ウザかった）。「本物の山口百恵」は、そこに立っているだけでも救いようがないほど、強烈な「クラさ」を常時放出しているブラック・ホールみたいなスターだった（だから私は『モモエちゃん』がキライだった）。
リメイク版「赤い疑惑」では、陣内孝則は（どれほど熱く演技していても）常に変わらずスマートでスタイリッシュだし、石原さとみは（これがこの人の資質なのだろうか）演技でクラい顔をして見せても、ハタ目には「天真爛漫な美少女」そのものと映ってしまうのである。
そもそも『モモエちゃんの相手役』の新旧対比が、時代の変化をハッキリと物語っているように思う。即ち、オリジナル版の三浦友和が、リメイク版では藤原竜也へ。どちらも「好青年」を演じてはいるが、役者としての立ち位置がずいぶん違う。陸上自衛隊員と歌舞伎の御曹司くらい違う。オリジナル版「赤い疑惑」は1975年10月から1976年4月にかけて放映された。思えばこの頃のわが国には、「本気で取り組む」ことを肯定的に評価する社会的雰囲気が、まだ残存していたように思う（もちろん「シラケ」、「三無主義」、「五無主義」だのといったマスコミ用語が、既に一人歩きしていたことも事実だが）。
なにしろ1975年と言えば、総評も日共も新左翼もショッカーも死ね死ね団も、まだまだ十分本気で「革命」、「世界征服」または「天下大乱」を目論んでいたのである（と私は見ている）。
（注）1970年代後半のわが国における新左翼諸党派のぶっちゃけ実状については、下記文献が真に迫っていて有益である。
�／甲Ｌ蕁峅礁魅薀ぅ澄次壁�題）ピラザウルスの復讐（シリーズ名）新お伽草紙 第三話」青春と読書、2005年1月号p38-43、集英社
�⊃偲�義也「我が闘争（副題）『成田空港』裏面史」週刊新潮、（前編）2005年5月5-12日号p72-76、（後編）2005年5月19日号p52-56、新潮社神田神保町のウニタ書舗がツブれてから、もう何年になるだろうか。新宿二丁目の模索舎は、まだ細々と続いているようだが。
いきなり場違いな昔話をおっ始めたことを、どうかご容赦頂きたい。私にとって『モモエちゃん』は、1970年代後半のどうにも救いようのない社会的「クラさ」と切り離すことのできない存在なのである。それにしても、リメイク版「赤い疑惑」第一話のラストシーンで、石原さとみにヘタクソな歌をご披露させたのはまずかったと思う。あれで一気に酔いが醒めてしまった。『モモエちゃん』は（芝居はともかく）歌唱力は掛け値なしのホンモノだったのだから。（以 上）
ワーカーズの直です。
ホームページが更新されましたので貼り付けます。
関心のある方はご覧下さい。以上
[4961]において、重要なところの引用が漏れていたので、少し重複部分も出て来るが、再度『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』から引用する。（引用開始：福井雄三『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』主婦の友社：2004年11月）
司馬遼太郎氏の代表作『坂の上の雲』が、平成一八年（二〇〇六年）に、ＮＨＫでテレビドラマ化されることになったと聞く。これはＮＨＫ全社をあげての大プロジェクトで、一回七五分で二十回にわたって放映される、特別企画の連続番組になるらしい。
司馬氏の作品はこれまでいくつかＮＨＫの大河ドラマに採用されたことがあるが、この『坂の上の雲』に関しては、これまでＮＨＫ側の再三の懇願にもかかわらず、作者の遺言による意志ということもあって、テレビドラマ化は頑なに拒まれ続けてきたという経緯があった。（P13−14）・・・この『坂の上の雲』に関しては、これはある特定の人物を主人公にした物語ではなく、明治という時代に生きた人物群像のいわば列伝であり、政治・外交・戦争といったテーマに触れながら、日本という国家のあり方そのものを論じた国家論である。これがＮＨＫでテレビドラマ化されることによって、あたかも日本の歴史の正史であるかのように人々の心に定着してしまえば、どういうことになるのか。この『坂の上の雲』の中に随所に見られる誤りや史実との食い違いが、後世の社会に及ぼす深刻な影響については、無視できないものとなるであろう。（P14−15）
・・・各界の識者に対するアンケートをとってみても、圧倒的多数の人々が（中曽根元首相をはじめとして）この『坂の上の雲』を最高の「歴史書」として賞賛しているのである。そして彼らが、日本という国家の功罪も含めてその近現代史を批判する際の、最も強力な武器となり拠り所となっているのが、この『坂の上の雲』なのである。いやさらに極端な例をあげれば、新進気鋭の学者や大学教師などの書いた文章の中にも、この『坂の上の雲』に強く影響されたのではないか、と思われるような箇所が散見されるのだ。（P15〜16）
アメリカでは現在、ウィリアム・Ｅ・ナフ教授による『坂の上の雲』の英訳が完成間近であり、「司馬史観」を透徹した歴史検証・平衡感覚・説得力に富んだ、日本を代表する最高の歴史観として英語圏の国々に紹介する予定だという。ここまでくれば、もはやこの『坂の上の雲』を単なる娯楽小説や読み物として済ましてしまうことはできず、テレビドラマ化される前に、その真偽を徹底的に検証する必要が出てくると思われるのである。（P16）
（引用終了）
というように、現在における『坂の上の雲』の重要性を、第一章で指摘している。
ということで私としては、この本で『坂の上の雲』を徹底的に検証してくれれば有難かった。
が、それは第二章で行っているだけである。この本の構成は、次のようになっている。
前書きにかえて 目が覚めるような歴史の見方を提示したい
第一章 『坂の上の雲』にいま私たち日本人が問いかけなければならないもの
第二章 『坂の上の雲』に描かれた旅順攻防戦の虚像と実像。果たして事実はどこにあったのか
第三章 ユダヤ人大迫害と『坂の上の雲』。どんなつながりがあるかおわかりだろうか
第四章 ノモンハン事件。司馬氏が果たせなかったライフワーク。この戦いの光と影が今逆転した
第五章 戦後の日本人の精神構造や国家像。「司馬史観」とどう結びついているのか
第六章 「明治はよかったが戦前の昭和は暗黒」という史観がある。しかし、欧米の識者は戦前の日本や極東をどう見ていたのだろうか
後書きにかえて 歴史の探求に終わりはないこのように、第三章以降は、「ナチスによるユダヤ人大迫害」、「ノモンハン事件の真相」、「戦後日本人の精神構造と国家像」、「戦前の日本と極東」、ということを論じているのである。
「前書きにかえて」にあるように、目が覚めるような本当の「歴史の見方」を提示するのが、著者の意図であったあるようだ。
だから、「『坂の上の雲』に隠された歴史の真実−明治と昭和の虚像と実像」というタイトルから創造される枠を大きく踏み越えた記述になっている。
では、この著者はこの本で何を訴えようとしたのか。
この本の帯には、「日露戦争、ノモンハン事件などを通して日本の近代を問い直す大胆な歴史書」と書かれている。しかし実際は、そういうことで纏まっているわけでもない。では、先述した「歴史の見方」かといえば、これまたそれで纏まっているわけでもない。
結局この本は、戦後日本人が喪失している愛国心や国家像の重要性を訴え、その復活を望もうとした本、のようなのだ。
それを多数の事例で検証しようとしているのである。事例がたくさんあり過ぎるので、当然紙数不足もあり、全体的に−−言わんとすることは分かるのだが−−中途半端に終わっている、そういう感じである。もし「冷静な引用だけ」でこの本をくわしく紹介するとすれば、そういうことが浮き彫りになる、と思う。
残念であるが、著者はこの本で、『坂の上の雲』の徹底的な検証を行っている訳ではなかった。
ということで、この本はいささか「看板に偽り有り」の感がある、本である。ただ多くの事例のそれぞれには、見るべき観点と指摘があったように思う。
私にとって、この本の価値は、そういう所（個々の記述）にあった。
だから私としては、この著者には、早急に『坂の上の雲』の徹底的な検証を発表して頂きたいものだと思っている。なお著者は、「後書きにかえて」において、「旅順攻防戦の軍事的考察に対しては、桑原嶽『名将乃木希典』を、ノモンハン事件については、小田洋太郎・田端元『ノモンハン事件の真相と戦果』を」称揚している。また、「平素から学問的指導を賜っている人物として、小堀桂一郎東大名誉教授、および外交評論家岡崎久彦氏」を挙げている。
（転載貼り付け開始：Ａｍａｚｏｎレビューより）
「坂の上の雲」に隠された歴史の真実―明治と昭和の虚像と実像
福井 雄三 (著)「坂の上の雲」に隠された歴史の真実―明治と昭和の虚像と実像
福井 雄三 (著)書籍データ
・単行本: 223 p ; サイズ(cm): 19 x 13
・出版社: 主婦の友インフォス情報社 ; ISBN: 4072440507 ; (2004/10)
・おすすめ度： カスタマーレビュー数： 2
・Amazon.co.jp 売上ランキング： 74,368レビュー
出版社/著者からの内容紹介
司馬遼太郎さんの国民的名著『坂の上の雲』。日本人に勇気を与えれくれた「司馬史観」。でもここに大きな思い違いがありませんか。歴史の虚像と実像を知ることで近代日本を再検証する。＜内容、章立て＞第1章・『坂の上の雲』にいまわたしたち日本人が問いかけなければならないもの……歴史書としての視点からの再検討が必要ではないだろうか。第2章・『坂の上の雲』に描かれた旅順攻防戦の虚像と実像。はたして史実はどこにあったのか……旅順要塞攻撃を世界史的視野から鳥瞰すれば、乃木はそんなに無能な将軍なのだろうか。第3章・ユダヤ人大虐殺と『坂の上の雲』。どんなつながりがあるかおわかりだろうか……一見何のつながりもないように見えるが、歴史の虚構が虐殺の悲劇を生んだのである。第4章・ノモンハン事件。司馬氏が果たせなかったライフワーク。この戦いの光と陰がいま逆転した……ノモンハンは完敗といわれているが、ソ連崩壊後の秘密文書の公開でどうやら勝ちは日本のほうに傾きつつある。第5章・戦後の日本人の精神構造や国家像。「司馬史観」とそれはどう結びついているのか……明治はよかったが〓昭和はダメな時代になったのか。司馬史観の功罪を検証する。著者について
1953年生まれ。東京大学法学部卒業。企業勤務のあと、大阪青山短大講師。現在、助教授。国際政治学専攻。カスタマーレビュー１
司馬遼太郎の「坂の上の雲」はたいへん気持ちの良い小説であるが、その史実の捉え方には問題があるという点から入り、戦後の日本人の歴史観の欠陥をあざやかに指し示した名著。現在の日本人が魂を失った原因と、その対策にも言及されている。日本人すべてが一読すべきだが、特に若い人はこれを読んで日本の近現代史について考えると、とても面白いことが発見できると思います。カスタマーレビュー２
歴史を事実として捉えることのできる本です。
人気のある司馬遼太郎ですが、歴史は事実であり歴史そのものはあくまでも個人の感情を超えたものではなくてはならない。この本は現代のポピュリズム化した日本人の価値観の再認識を促す本であると思う。（転載貼り付け終了）
（了）
『坂の上の雲』を本格的に検証した本のようです。
Ａｍａｚｏｎのレビューを調べていると、見つかったものです。（転載貼り付け開始）
『坂の上の雲』の真実
菊田 慎典 (著)書籍データ
・単行本: 245 p ; サイズ(cm): 19 x 13
・出版社: 光人社 ; ISBN: 4769811810 ; (2004/03)
・おすすめ度： カスタマーレビュー数： 3
・Amazon.co.jp 売上ランキング： 40,749レビュー
内容（「MARC」データベースより）
現存一次史料をもとに明かす秋山真之の実像と東郷艦隊の真実。極秘艦隊戦策の生々流転を辿りつつ、勝ちを制するための秘訣=坂の上の白い雲の心に徹して、日本海海戦を勝利にみちびいた戦法の実際と等身大の人間像を活写する。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
菊田 慎典
昭和17年、北海道生まれ。41年、防衛大学校(第十期)卒業。56年3月、幹部学校指揮幕僚課程修了。58年1月、ちとせ艦長。59年3月、防衛大学校助教授。63年3月、初代あさぎり艦長。同12月、第一術科学校砲術科長。平成3年3月、誘導武器教育訓練隊教育部長。5年7月、防衛研究所戦史部所員。9年5月、防衛研究所戦史部主任研究官。15年3月、防衛研究所定年退官。同4月、防衛研究所調査員、同7月、(財)DRC研究委員を兼務し現在にいたる。目次
第1章 白い雲の誕生
第2章 以心伝心の妙
第3章 勝ちを制する秘訣
第4章 嶋村と秋山真之
第5章 敵艦隊の弱点を衝け
第6章 日清海戦
第7章 雲の変容
第8章 日露海戦
第9章 次の一戦
第10章 太平洋海戦
終章 テロの時代にカスタマーレビュー１
日本海海戦の勝利をもたらした頭脳として参謀、秋山真之は神格化されたまま現在に至るが、頭が切れすぎるあまり、荒唐無稽で実行不可能な作戦ばかり提案してあまりにも邪魔なので、実際の戦闘からは事実上はずされていたということを論証した本。
秋山は愛媛県松山市の英雄だが、松山の書店にはこの本が堂々とディスプレイされていて、松山人の旺盛な批判精神に一驚した。松山は漱石の『坊ちゃん』でもぼろくそに書かれていながら、気にするどころかかえって誇るほどで、なかなか度量の大きいところを見せている。カスタマーレビュー２
歴史上、他に例を見ない圧勝となった日本海海戦、それがこともあろうに日本海軍崩壊の序曲ともなっていた、という歴史の皮肉を書いた本。
同趣旨の本は講談社の新書などで出ているが、それよりも内容的には調査を深めた印象。
この本が真実なら、真の立役者は立役者たる位置（連合艦隊参謀や司令長官）にいなかったため、自分たちの成したことを隠し、東郷と秋山真之を偶像にして自分たちは隠れたことになってくる。そして、真之や東郷の偶像化が、結局は約40年後の海軍の崩壊につながるのだ。
これが事実なら、真之はいいように偶像化された不憫な人物に思える。自分としては「坂の上の雲」の真之の姿を真実にしておきたいが、それとは別に、多角的に歴史を知る上でこのような著作も一読の価値はある。カスタマーレビュー３
「坂の上の雲」が好きで、彼らの故郷、松山にわざわざ旅行したことのある自分としては、内容は衝撃であった。
日露戦争、海軍勝利の立役者が秋山真之でなかったとするなら、その後の日本海軍が秋山真之を「神聖視」した歴史はどのような意味付けになっていくのか？善悪両面で名高い「海戦要務令」だって秋山真之の影響が 大きいし、太平洋戦争前に立案されていた「漸減作戦構想」だって日本海海戦の焼き直しであったはず。
東郷元帥は昭和海軍に対して決して良い影響を与えていないという。秋山真之の「神聖視」がこの本に書いてある歴史を背景にしているなら、つくづく「日本海海戦」は後の歴史に良い影響を与えなかった事件だったということか？（転載貼り付け終了）
こちらの方が、徹底的に検証した本かもしれませんね。海軍の方だけですけど。それでも面白いかもしれません。
（了）
『「神国日本」大綱』政治経済研究会／発行の３７３頁から貼り付けます。（貼り付け開始）
平成の「中野学校」創設を！
世界の解放と日本再生の理想を掲げて
安西正鷹インドネシアの独立碑には、高々と「皇紀」が刻まれている――。
現在の日本において皇紀が悪の象徴とされ、
“軍国主義”の一言のもと戦前のすべてが唾棄(ルビ：だき)されるなかに、
なぜそうした事象が存在しているのだろうか！？
それは、大東亜戦争と陸軍中野学校の先人たちの高貴な業績からだ！
語らぬゆえに「陰惨なスパイ」と見られがちな彼らの精神は実は、
「謀略は誠なり」であり「アジア民族解放の陰に中野あり」なのだ。＜中略＞ ３９２頁から
自衛隊調査学校の教科内容
調査学校の教科内容は、１９７７年時点では次のようになっている。
（１）情報・幹部課程
戦略情報 ２０週(２佐、３佐、それに相当する次官)情報専門部隊や方面総監部以上
で戦略情報業務に従事する幹部対象
情報 ２５週(３佐、陸尉)連隊以上の情報幹部および情報専門部隊の幹部対象
地誌 １５週(陸尉、事務官)
航空写真判読 １２週(陸尉、事務官)
調査 １４週(陸尉以下)
心理戦防護 １５週(３佐以下)
（２）情報・陸曹課程
情報 １０週
地誌 １２週
航空写真判読 １０週
調査 ２４週
（３）語学・幹部過程
普通英語 ２０週
上級英語 ２０週
露・中・朝鮮語 ４５週
（４）語学・陸曹課程
英語 ２４週
露・中・朝鮮語 ４５週授業は朝８時半から始まり、１日８時間。教科書はなく、毎年改訂するレッスンプランで行なう他、部外秘の参考資料も使用するという。卒業生は１９７６年時点で、情報と語学の両課程を合わせて約９５００名である。
＜中略＞
昭和の「中野学校」
わずかな期間のなかで、廃校となる調査学校の中核は対心理情報課程である。当初はＳＦ(スペシャル・フォーシズ＝特殊部隊)と呼ばれ、陸軍中野学校と米グリーンベレーを統合した特殊部隊の養成課程であった。ここでは２つの特殊任務の遂行に必要な知識・技能が教えられた。
第一の特殊任務は、旧ソ連などの仮想敵国に攻め込まれたとき、本土防衛戦に際して残置謀者的な特殊部隊として潜行し、敵後方地域で民衆を巻き込んだゲリラ戦、遊撃戦に携わることである。
第二は、自衛隊の治安出勤に際して、大衆行動や群衆の情報収集を行なうのはもちろん、群衆の行動を特定方向に誘導したり、規制したり、あるいは意識的に挑発行動するなどの特殊工作である。つまり、自衛隊の防衛出勤時にはゲリラ戦に住民とともに戦う「民間防衛工作」をやり、治安出勤時には暴徒に混じって地下工作を行なうのである。
陸上自衛隊調査学校は「昭和の陸軍中野学校」といもいうべきものだった。
しかし、平成１３年３月、わが国の安全保障の将来に禍根を残す不幸な出来事が起こった。前年９月に起きた自衛隊の内部情報漏洩(ルビ：ろうえい)事件の余波を受け、陸上自衛隊調査学校が廃校となったのである。
防衛庁防衛研究所に勤める海上自衛隊の萩崎繁博３等海佐が防衛庁の内部資料や自衛隊の軍事情報の収集・分析ノウハウをロシア側のエージェントに漏らしていた。
彼は海上幕僚部内で情報担当の幹部自衛官として嘱望(ルビ：しょくぼう)され、１９９３年から９８年にかけて調査学校に２回入校していた。９３年４月から約１年間、語学・幹部過程でロシア語を専攻し、９７年９月から半年間、情報担当者にしか受講を許されない軍事情報に関する専門課程に在籍しており、調査学校での教育内容もロシア側に筒抜けになっていた。
調査学校の廃校は、事件関係者が在籍していたことへの批判と責任追及に応えた形だ。
この事件に対する関係者のショックは計りしれないものがあり、ことの重大さを考えればなんらかの抜本的対策をとることは当然である。だが、廃校という解決はあまりにも安易で愚かな選択であり、戦後日本の堕落した世相の縮図を見るようで憤怒に堪えない。（貼り付け終了）
ＲＣ：「ヒューミント(humint) = 人間による諜報活動」の構築には時間がかかるので速やかに復活してもらいたいです。
「讀賣新聞 朝刊 2005年(平成17年)6月17日(金)の第37面」から貼り付けます。（貼り付け開始）
唐で最先端の書体導入
正倉院宝物「国家珍宝帳」正倉院(奈良市)宝物の１つで、聖武天皇の遺愛品を列挙した目録「国家珍宝帳」(７５６年作成)＝写真＝が、当時、唐の最先端の書家だった顔真卿(ルビ：がんしんけい)(７０９〜７８５)の書体で書かれていた可能性が高いことがわかり、川上貴子・九州大大学院助手が１６日発行された「正倉院紀要」で発表した。
唐の文化を積極的に取り入れた奈良時代の様子を示す成果として、注目を集めている。
珍宝帳はこれまで、朝廷内で一般的だった４世紀の中国の書家・王義之(ルビ：おうぎし)の書体とされ、顔真卿の書体は、９世紀に空海が初めて使ったのが通説だった。国家珍宝帳
http://soejima.to/souko/visual_data/img20050617210618.jpg（貼り付け終了）
「国家珍宝帳」の書体に関する考察 川上貴子
http://www.lit.kobe-u.ac.jp/~donohasi/kawakami.html九州大学 人文科学研究院哲学部門 川上貴子 かわかみ たかこ
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search-cgi/faculty2_j.cgi?Key_3=@%BF%CD%CA%B8%B2%CA%B3%D8%B8%A6%B5%E6%B1%A1&ID=K002490
わはははははははは。みなさま、今「赤い疑惑」観てますかぁ？
俳優たちは、オリジナル版をそっくりそのまま真似るのに、もう必死のありさまです。リアリズムなんて、クソくらえだ。「東京ラブストーリー」以来のスカしたトレンディ・ドラマよ、さようなら。それにしても、オリジナル版「赤い疑惑」って、ホントにこんな泥臭いドラマでしたっけ。ドラマの中に、時々、画像の劣化した昔のフィルムが挿入されたりします。小道具も、たとえば主人公の本棚にリチャード・バック「かもめのジョナサン」、五木寛之「変奏曲」の単行本が差してあるといった、徹底した「７０年代」オタクぶりです。
もう、さっきから笑い転げながら、転げながら、転げなぁがら、観てます。
「韓国ドラマに負けてたまるか」という、この心意気は「買い」ですな。（以上）
ワーカーズの直です。
私の出しているネット上の「ワーカーズ」の最新の新聞に、
「新しい歴史教科書をつくる会」批判を二つ掲載しています。その前提となる１９２号として載せた、私が書いた2000年12月15日号の記事を以下に貼り付けます。最新の新聞記事についてはホームページに公開された時点で貼り付けます。
以下の私が書いた文章は、過去に副島先生にたかく評価されて、学問道場のサイト上に貼り付けられたことがありました。
（貼り付け始め）
２０００年１２月１５日号 ワーカーズの直 筆
「新しい歴史教科書を作る会」 西尾幹二会長の不明を糾弾する！
自由主義史観研究会を解散に追い込もう！東北旧石器研究所の藤村新一副所長のあくどき所業が暴かれた。彼の心事の実際の所は未だ明らかではないが、日本考古学会と文化庁は満天下に恥をさらし、この時期に、岡村道雄文化庁文化財保護部記念物課主任文化財調査官の『縄文の生活誌』を出版した講談社は大損をすることになった。
そして、私が十年ほど前から注目し研究していた副島隆彦氏は、こう断言した。すなわち、世界標準の保守主義を導入しようと自主独立・自己統治・自己責任を主張する日本リバータリアニズム(この思想の最左翼はほとんどアナーキズムの親戚である―Ｎ注)の旗手の弁によれば、西尾幹二氏の評論家生命は終わりだとのこと。
実際、あまり言われていないが、『国民の歴史』という約八百頁の日本歴史歪曲派=自由主義史観派の著作を書いた西尾幹二会長は、この事実の前に、彼の断言どおり茫然自失していることであろう。
なぜ終わりなのか。その理由は、彼の「上高森遺跡で十センチ深いところに埋まっていた十三個の石器に対して、約四十八万年までさかのぼることができるのではないかという値が割り出された」「今度の新発見は前期旧石器時代に属し、その年代はジャワ原人や北京原人と同じ『原人』に比定される」「しかも数値のうえでそれよりさらに古い人類の遺跡と考えられる」との記述にある。実際、この本に一貫するのは、日本文明は、長い歴史を持った独自の文明であるとの強調である。まさに、この主張の論拠になったのが、藤村等の東北旧石器研究所の悪業だった。現在、この研究所のホームページは削除されたままである。文部省や文化庁は、もちろんのこと、自由主義史観研究会も大打撃を受けている。
この本の第三章は、世界最古の縄文土器文明という題を持つ。実に、この本の最大の山場であるが故に、西尾会長は、ここに掲載した四つの図表を用いて、日本の縄文時代の世界史における先進性を解き明かして飽きなかった。先に引用したように、彼は、藤村新一等の上高森遺跡の石器発掘で、約七十八万年前に上高森原人がいたこと、そのことが北京原人やジャワ原人より格段に古い時代であることに舞い上がってしまった。そして、ギリシャ文明を人類文明で最高と評価していたニーチェ研究者の冷静さを失って、西尾氏は、全くの邪説を真実と見間違い高い評価を与えてしまう。
すなわち、「エジプト文明と縄文は、完新世の人類文明史と自然史とのかかわり、気候変動と文明の盛衰のかかわりの研究のスタンダードを確立する最適の条件をそなえている」と揚言して恥じない安田喜憲氏の著作を、全く肯定的に引用した後、こう言ったのである。
「私は縄文文明が世界の有力文明のひとつであるか否かということ自体に、自分なりの論点をもちだせる資格をもたない。しかし、われわれが日本の歴史を考えていく際に、有史以来の日本史の時間が、それに先立つ縄文や弥生の一万有余年の長大な時間量を背負っていて、歴史がその過去に動かされて今日に至っているということは、無視できないように思われる。」
本当に自分がその資格を持たないと思うなら、だまっていればよいことである。しかし、彼は、このような文章を書いたのである。まさに、決定的な文句ではある。この点を踏まえてであろうが、西尾氏がニーチェ研究者というのは本当かという副島氏の皮肉がある。
そもそも、西尾会長は、自分の意に添わない『魏志倭人伝』の史料性を、岡田英弘氏説を援用することで批判しておいて、「複数の反対証言にたえないものは史料とはいえない」と大見得を切っていたのだ。本当にそう考えたのなら、これと全く同一の論拠で、発掘物も吟味しなければならないはずなのに、芹沢・鎌田・藤村らの旧石器発掘はおかしいと言い続けていた考古学学会の杉原庄介氏や竹岡俊樹氏の少数の反対意見は、完全に無視し何の検討も批評もしていないばかりか、縄文文明が、エジプト文明とならぶ古代文明であるとの誇大妄想に陥った安田氏の著作を何の疑いもなく引用して、自己の歴史観の立論の根本にして恥じなかった。
こうして西尾氏は、来年春に、本格的な通史『日本文明史』の上巻を出版すると豪語して憚らなかったのだ。もっと自分の原則には、謙虚で忠実でなければならなかったのではないか。それゆえに、まさに、西尾幹二は終わりである。
前々から、副島氏は、自由主義史観研究会の弱点は、古代史にあると言ってきた。直接には、韓半島における任那の滅亡によって、中国の冊封体制からの離脱としての日本の誕生と倭の五王以降の天皇の出現等の「小中華帝国」路線が国家戦略となったことなど、彼等には死んでも口に出来ないこと・何とも説明できない難関があったからである。
だからこそ、この弱点を突破するために、西尾会長は、渡りに船と藤村新一らの悪業を、何の検討もなく受け入れたのであった。歴史で尊重されなくてはならないものは、何よりも、解釈ではなく事実である。しかし、私見によれば、日本国家は、国民に真実が知られることを何よりも恐れているようだ。
たとえば、日本史の核心、天皇とは何者か。なぜ、古代史を明らかにするために不可欠な天皇陵の発掘は制限されているのか。聖徳太子はなぜ天皇にならなかったのか。聖徳太子とは何者であるのか。遣隋使小野妹子は随からどんな返書を持って帰ってきたのか。日本の学校教育ではこれらの疑問には一切答えていない。
これらの疑問に答えているのは、副島氏が推薦する、西尾幹二氏等にいいように摘み食いされている『日本史の誕生』（岡田英弘氏・弓立社）であり、『天皇がわかれば日本がわかる』（斎川真氏・ちくま新書）の二つの本である。
革命的なこれらの本のほんの一部を紹介しておく。日本を建国したのは漢の頃、日本列島を行き来していた華僑である。そして邪馬台国は下関にあった。聖徳太子は蘇我入鹿である。日本は、中華帝国に朝貢して、世界史に登場した。天皇は、「倭の五王」の子孫である。日本は中華帝国のような国家になりたかった。遣隋使・遣唐使は、中華帝国の官職・爵号はいらないと伝えた。日本は、律令を作るために、中国から律令の写本を運んできた。律令国家は、行政指導・官僚統制型の国家である。そして、国家の枠だけが残った。
これらの著書は、いわゆる左翼のせせこましい歴史観や日本民族独自論・優越論を打ち破るに足る真実を語ったもので、まさに研究に値する著書である。とりわけ後者にあっては、私にとって目から鱗の名著であり、この本のあとがきにあるとおり、副島隆彦氏の関与は決定的である。今回は遠慮して置くが、これらの本は、本格的な書評を受けるに値する。実際の所、これらの本の革命性は、自由主義史観研究会の思惑をはるかに越えている。ついでに言えば、この史観そのものは、丸山真男や共産党の歴史観に反発した元共産党員藤岡信勝等が考えた出したものである。
事実、先に紹介した副島隆彦氏は、自由主義研究会で二回講演を行いビデオまで販売しているが、講演内容の核心となる、この研究会の意にそわない五カ所が削除されているという。『属国・日本論』の副島氏の講演内容は、自由主義史観の思惑を大きく乗り越えているのだ。そのため、私はこのビデオを買う気をなくした。実に、日本の戦後右翼は、米日関係の政治の真実を直視できない勢力なのである。
副島氏の講演会での印象によれば、自由主義史観研究会を支えている勢力は、中国人に対する反感と優越感を根底に噴出した老人たちである。そして、この運動は、アメリカとの関係は不問にした上で、中国に対してだけ居丈高になりたいとの意識で始まったものであるとの、実に、辛辣な副島氏の評価がなされている。
青年期に、国家政策に訳も分からずに引き回された老人たちが、再び三度「国策」を過つために必死になっているという、この実に重たい真実を、私たちは彼等に告げなくてはならない。加藤紘一の醜態がはっきりと示したように、日本の戦後保守陣営には、政治的にも思想的にも、実に深い亀裂が生じてきた。今こそ、私たちに反撃のチャンスが巡ってきたのである。
（貼り付け終わり）
ワーカーズの直 記
ＲＣ：一般人にも開放しているそうです。(年会費が千円ぐらいです)「上智大学聖三木図書館」から貼り付けます。
（貼り付け開始）
1. 図書 大友宗麟 / 外山幹夫著 ; 日本歴史学会編.-- 吉川弘文館, 1975.-- (人物叢書 / 日本歴史学会編 ; 172)
2. 図書 国東物語 : ドン・フランシスコ・大友宗麟 / 高山由紀子著.-- 八重岳書房, 1989
3. 図書 王国燃ゆ : 小説大友宗麟 / 赤瀬川隼著.-- 講談社, 1987
4. 図書 大友宗麟資料集 / 大分県教育庁文化課編 ; 第1巻 - 第5巻.-- 大分県教育委員会, 1993.-- (大分県先哲叢書 / 大分県教育庁管理部文化課編)
5. 図書 王国燃ゆ : 小説大友宗麟 / 赤瀬川隼著.-- 学陽書房, 1999.-- (人物文庫)
6. 図書 花の反逆大友宗麟の妻 / 水上あや著.-- 叢文社, 2000
7. 図書 大友宗麟 / 風早恵介著.-- 青樹社, 1989
8. 図書 大友宗麟 : 道を求め続けた男 / 風早恵介著.-- PHP研究所, 1994.-- (PHP文庫)
9. 図書 大友宗麟 / 古賀敏夫編著.-- 九州出版社, 1975.-- (長編歴史物語戦国武将シリーズ ; 3)
10. 図書 豊後の王妃イザベル : キリシタン大名大友宗麟の妻 / 小石房子著.-- 作品社, 1995
11. 図書 大友宗麟 / 御手洗一而著 ; 二階崩れの巻, 戦国求道の巻, 毛利合戦の巻.-- 新人物往来社, 1989
12. 図書 ザビエルの来日と初期の布教活動 / ルイス・フロイス著 ; 松田毅一, 川崎桃太訳.-- 中央公論新社, 2000.-- (中公文庫 ; . 完訳フロイス日本史||カンヤク フロイス ニホンシ ; 6 . 大友宗麟篇||オオトモ ソウリン ヘン ; 1)
13. 図書 宗麟の改宗と島津侵攻 / ルイス・フロイス著 ; 松田毅一, 川崎桃太訳.-- 中央公論新社, 2000.-- (中公文庫 ; S-15-7 . 完訳フロイス日本史||カンヤク フロイス ニホンシ ; 7 . 大友宗麟編||オオトモ ソウリン ヘン ; 2)
14. 図書 宗麟の死と嫡子吉統の背教 / ルイス・フロイス著 ; 松田毅一, 川崎桃太訳.-- 中央公論新社, 2000.-- (中公文庫 ; S-15-8 . 完訳フロイス日本史||カンヤク フロイス ニホンシ ; 8 . 大友宗麟編||オオトモ ソウリン ヘン ; 3)
15. 図書 キリシタン大名大友宗麟 / 渡辺澄夫〔ほか〕執筆.-- 大分合同新聞社, 1978.-- (大分の歴史 ; 第4巻 中世II)
16. 図書 大友宗麟 / 外山幹夫著.-- 新装版.-- 吉川弘文館, 1988.-- (人物叢書 / 日本歴史学会編)
17. 図書 大友宗麟のすべて / 芥川竜男編.-- 新人物往来社, 1986
18. 図書 筑紫將軍大友宗麟建勳史 : 全 / 田島大機[著].-- 九州國史宣傳會, 1929
19. 図書 宗麟 / [高山通男編著].-- 大友宗麟顯彰會, 1921
20. 図書 大友宗麟 / 佐藤緑平著.-- 大分新聞社出版部, 1931
21. 図書 キリシタン大名・大友宗麟の生涯 / 松田毅一著.-- 中央出版社, 1947
22. 図書 大友宗麟 / 大分県地方史研究会編.-- 大分県地方史研究会, 1958
23. 図書 大友宗麟公 / 久多羅木儀一郎著.-- 大分県北海部郡�外蚩�, 1936
24. 図書 大友宗麟 : きりしたん大名 / 白水甲二著.-- 春秋社, 1970http://www.info.sophia.ac.jp/seimiki/
（貼り付け終了）
戦前の資料もありますね。
続編は、『モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする』です。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4314009322/249-4191872-4242706『モラル・ハラスメント』の１１７頁から貼り付けます。
（貼り付け開始）
被害者である経営者や上司が自分は絶対的な力を持っていると思いたいために、意識しているにせよ、していないにせよ、さまざまな方法を用いて、相手を心理的に縛りつけ、反抗できないようにしてしまうからだ。相手に罠をかけるとしか思えないこの方法は、かつては強制収容所で使われていたもので、いまでも全体主義国家や宗教的なカルト集団などで人々の精神を支配するのに利用されている。
（貼り付け終了）
現在でいえば、
イラク人を収容した施設での虐待や日本での女性監禁などでしょう。序章の１７頁に、次の事が書かれています。
（貼り付け開始）
《言葉をうまく使えば、自分の手は汚さずに相手を辱めたり、殺したりすることができる。人生の最大の喜びは、他人を辱めることである》
ピエール・デスプロージュ（貼り付け終了）
加害者は被害者に何か「落ち度がある」と思わせて、被害者の精神を支配しようとするそうです。カルト集団に狙われた人の必読本です。また「モラル・ハラスメント(精神的な暴力)」を長期に受けると「抑うつ状態」に陥ると書かれています。気をつけましょう。
備忘録：『イエズス会日本コレジヨの講義要項�掘挌�原悟／編著、教文館／出版
内容：コレシオ(自由七科(リベラルアーツ)を習う短大に相当)で教えていた内容のラテン語で書かれた原本がローマで発見された。また日本語版が英国のオックスフォード大学で発見された。この日本語版を現代語に直して出版した本。
http://www.kyobunkwan.co.jp/Front.html
●フロイス『日本史』が書かなかったこともたいへん重要である。どうも、堺、博多について、書かれていないことが多そうだ。
大友宗麟についてもそのように思う。
このような観点からの読み直しが必要だ。フロイスはほぼ年代順に書いているのだが、翻訳本はそれを地域別に分けている。従って、年代の順序関係が分かりにくくなっているので、読む時はその点に注意しなければならない。
●秀吉は本能寺の変を事前に知っていた。
秀吉は信長と一戦を構えるつもりでいた。（遠藤周作他『たかが信長されど信長』P37−39）
安国寺恵瓊（あんこくじえけい：?〜1600）は、本能寺の変の十年ほど前、すなわち元亀三年（1573）ごろ、「信長の短命と秀吉の立身」を予言した。（林屋辰三郎『日本の歴史天下一統』P211−212）
元亀元年（1571）九月近江永原で信長のために殺された法華宗徒の正三位竹内季治（たけうちすえはる）＜＝石清水八幡宮の僧侶＞も信長がいずれ倒れることを予言している。（前掲書P212）すなわち、皆が信長を怖れ、嫌がっていたのだ。誰がやってもおかしくはなかったのだ。誰かがやらなければ、秀吉がやらねば済まなかったのだ。
秀吉は、天正九年（1581年）春、三月には寸暇をもって京都に来、二十九日、清水寺で宴をはって、松井友閑・村井貞勝とともに能の見物をした。・・・千利休は、これをみて「ことの外なるふるまい」であったといっている。忙中閑ありというべき一日であるが、その前には居城の長浜に立ち戻った。・・・姫路とかけもちで長浜城下町の繁栄につくしたようだが、実は鳥取攻めの下準備でもあったのである。（前掲書P248〜249）
このように、秀吉は中国攻めの開始からの四年の間、姫路から長浜まで、かなり自由に動いていたのだ。その間の重要都市、たとえば堺、大坂、京都、亀岡、坂本、安土などの各都市の動静を窺えたのである。またそれらの地の重要人物に接触することができたのである。ということは当時は最もよく――信長よりも――天下の動向を知りえた人物であったろう。（この地の利は秀吉だけであったろう。）
秀吉の中国攻めは順調に進んでいた。つまり、当時は毛利側から講和を申し入れていた情況だったのだ。（前掲書P264）しかし秀吉は、「包囲した備中高松城へ、毛利氏が輝元・元春・隆景の全力をあげての赴延（援助に行くこと）を開始した。」との報せを、信長に送っている。（前掲書P268）
秀吉がおびき出したのである。
そして再三連歌師や茶人などの人――種々の人脈――を使って、光秀に謀反する気を起こさせる工作をしつこく行なったのであろう。
光秀にとって、中国備中への出陣は、かつて自分が奉じた足利義昭を推戴している毛利氏を攻めることなので、そこを衝かれれば、複雑な気持ちとなったはずだ。そうこうする内に、無防備の瞬間の信長が、京都の本能寺にいたのである。
ここで光秀は行動に出たのである。このとき、もし光秀が決行しなければ、秀吉が一戦を構える覚悟だったのではないか。
また、その安国寺恵瓊が毛利氏の使僧（しそう：外交僧）として講和を議していたのだから、秀吉にとって対毛利の押さえは万全だったろう。
どうも小早川隆景が秀吉擁護に回って、まとめたらしい。（前掲書P284）
「本能寺の変」の首謀者は、秀吉ではなかろうか。
変直後、各方面に使者を出して、光秀よりも先に事を知らせて、光秀を孤立させたようだ。近江の山岡兄弟、蒲生父子、細川藤孝など。（前掲書P278〜）
秀吉の本拠長浜城は何の抵抗もせず逃げたので、なんなく占領されている。秀吉は早く避難の指示を出したのだろう。首謀者ならば、光秀の書状を奪うのも比較的簡単である。光秀の居城（坂本城、亀山城）から出てくる書状を携えた使者の首を刎ねて奪ったかもしれない。
備中高松で使者を見つけ書状を奪ったとされているが、それは実はそうだったかもしれない。
それとも、後で、毛利から、あるいは安国寺から、内緒でもらったのかもしれない。変後の十月、秀吉は足利義昭の帰洛を承諾している。
これは、義昭にしてみれば、足利将軍の復活のつもりであろう。
ということは、光秀は義昭を奉じたつもりであったということだ。秀吉は変前はそのような方向に話を進めていたのではなかろうか。変後の毛利一族の所領はどうなっていたのか。これで毛利氏の役割がよりはっきりするであろう。
安国寺は二万石の大名になったようだ。（エンカルタ百科事典「安国寺恵瓊」）（ポルトガル系の）イエズス会との接触は、秀吉、光秀、信長ともあっただろう。が、それがこの頃どのようであったかは、まだ見当たらない。
フロイスの『日本史』も避けているところがあるのだろう。そこがポイントとなるかもしれない。以上のような考えが浮かぶが、考えすぎであろうか。（笑）
●ヴァリニャーノはポルトガル系イエズス会ではなさそうだ。
「当時、日本に進出していた勢力の間では、世界覇権国であるスペイン系とポルトガル系が対立・抗争していた。イエズス会はいうまでもなくスペイン系だったのに対し、当時の日本で最大の権力者だった織田信長とつながったのがポルトガル系だった。ポルトガル系はその後覇権国として台頭してくるオランダや英国の勢力に近く、スペインとの対抗上「宗教改革運動（プロテスタント運動）」に加担していた。ヨーロッパ史上初の三国同盟（トロワ・アンタント）は、オランダ、英国、ポルトガルによる反スペイン同盟である。」（ぼやき「６６２」新ローマ法王誕生の裏側を読む）
ポルトガル系イエズス会はユダヤ系のようだ。
「ヴァリニャーノは、・・・＜ポルトガルの＞首都リスボンに着き、・・・二十六日にはポルトガル国王ドン・セバスティアンの避寒地であるアルメイリンの城に赴いた。ポルトガルのイエズス会管区の首脳部はここに集まっていた。彼等は決して彼を歓迎しはしなかった。」（ヴァリニャーノ『日本巡察記』P245）
「・・・ポルトガル管区の首脳部にとって、ヴァリニャーノが多数のスペイン人＜スペインの管区からの２４名＞を伴うことは我慢がならないことであり、また多数の人員を運ぶことについては経費の点でも、座席の点でも許しがたく思われた。」（前掲書P245）
「右のスペイン人を多数伴うことは、東インドがポルトガルの布教保護権下にあっただけに、やがて深刻な問題と化してゆくのである。」（前掲書P245）
「ローマで総長のメルクリアンは、統括に際しては、温和と愛情をもって臨むべきであることをヴァリニャーノと語り合ったのである。だがポルトガルの首脳部は、若き修道士たちの罪や誤りに対しては肉体的懲罰を加えるべきである、愛情ではなく、厳格さをもって統括することこそ真にイグナチウスの精神である。上長と部下は親密になってはならぬ、と主張してやまなかった。」（前掲書P246）
「吾人は、後年、日本でヴァリニャーノとポルトガル人布教長＜フランシスコ・カブラルのことだろう＞との間の激しい論争に接するのである。」（前掲書P246）
「ポルトガル領、あるいはポルトガル布教保護権下の地域にイタリア人のヴァリニャーノが総長代理＜＝巡察師＞として最高の地位に就任することは、ポルトガル管区の首脳部には黙視しかねるものがあった。」（前掲書P247）
「しかし、総長が、これを承知の上で、イタリア人の巡察師を任命したことは、ポルトガル人による監督からインド管区を解放することが主たる目的であったものと解される。」（前掲書P247）
「二月八日、ポルトガル管区長とヴァリニャーノは二時間にわたって激論を交えた。管区長は南国人特有の激しい感情を吐露してヴァリニャーノに対する憤懣をぶちまけ、ヴァリニャーノはこれに対し、一つ一つ反駁した。・・・＜ポルトガル＞管区長はその三日後の十一日には、総長に対し、ヴァリニャーノのインド巡察師は、インド布教の破滅となろうと訴えている。」（前掲書P247）
このような内部対立は、実は、今日までも続く深い対立だったのだ。――単に仲が悪かっただけではなかったのだ。分からなかった。
オルガンティーノとカブラルの対立もあった。
でも、これを明確に出来れば、当時の歴史が深く理解できそうだ。ヴァリニャーノは明らかにスペイン系であったのである。多分非常に立派な人だったのだろう。
フランシスコ・カブラルがポルトガル系であった。耳川の戦いの時には、大友宗麟の脇で、九州をキリスト教の地にしようとしていた。
ルイス・フロイスは、ポルトガル出身である。思想的にどちらだったのだろうか。
これも再読しなければ分からない。●愛と人道と平和の思想が、地獄の始まりでもある。
そして、カトリックによる、愛と人道と平和の思想が、同時に、人類の社会体制化の地獄の始まりでもある。 （ぼやき「６５９」新ローマ法王の誕生。カトリックとは何か。）
西洋の文明の基は、やはいカトリックであろう。
そのカトリックは、地獄である。そして違反者にとっては、さらに地獄でもある。
文明の果実も、こういう厳しさの上に実を結ぶのだろう。
（了）
シツコク、転載します。（転載貼り付け開始）
http://mbs.jp/yakusoku/index2.html
■ドラマ３０『ヤ・ク・ソ・ク』 ５月３０日（月）スタート
すべてに満たされた幸せな生活のはずなのに、何かうまくいかない。
そんなある日、偶然出会った人のふとした親切に
忘れていたトキメキの鼓動が聞こえた…
きっかけは雨の日の１本の傘。私の運命が静かに動き始める。
年下の韓国人の彼に向かって…■登坂琢磨プロデューサーより一言
韓流ブームにハマる主婦を見て「主婦の本音をスパイスに、彼女たちの夢をかなえてあげたい」と思ったのは昨年のはじめ･･･。平凡な主婦がふとしたきっかけで年下の韓国人男性と「不純な純愛」に陥るストーリーを作り上げました。韓国でオーデションを行い、新進俳優ヤン・ジヌ君を日本に招いたほか、韓国ロケも決行。昼帯ドラマの枠を越えた意欲作に仕上がっています。是非ご覧ください。主題歌：
「Ｌove,Again」作詞・作曲 井手コウジ
song by sona (SMEレコーズ)製作：ホリプロ・ＭＢＳ（毎日放送）
＜スタッフ＞
脚本：関根俊夫 ほか
企画協力：石川結貴
音楽：栗山和樹
制作：藪内広之
プロデューサー：
登坂琢磨・川島永次
演出：
樹木雅彦・大垣一穂・大久保智己出演：南野陽子/ヤン・ジヌ/升毅/渡辺典子/久本朋子/小林正寛/キム・ジョンフン/清水美那/高畠華澄/ 松岡和暉/田村亮 ほか
ドラマ３０『ヤ・ク・ソ・ク』 ５月３０日（月）スタート 月〜金曜 ひる１：３０〜２：００にて放送（転載貼り付け終了）
プロジューサーさんが言うように、「不純な純愛」で、「夢がかなえられる」だろうかね。
（プロジューサーが二名、演出が三名いる。普通こんなにたくさんいるのだろうか。）夫の職業や、相手の職業や年齢など、そして音楽やメークなどが、味付けになって、そして家出、駆け落ち、事故、入院、損害請求など、何でもありのドラマに、こんなに多数の人間がエネルギーを費やしている。日本文化のために。
司馬遼太郎氏は「不純の純愛」を否定するかもしれないが、他の人が、氏の文化思想を持てば、このようなことは間違いなく起こるのである。−−そしてこの思想は先進国では日本だけの思想である。すなわち、日本だけが世界の思想に逆らっているのである。この番組は、スポンサーはどんな企業だろうか。
韓国男優との出演交渉は大変だったろうと思う。
おそらく、韓国男優が不適切と判断するシーンは撮らないという条件をつけての出演だろう。だから結局「不純」といっても、プラトニック・ラブだけのストーリーに終わるのかもしれない。余計なおせっかいだが、そんな気がする。
もしそうであれば、看板に偽りありということになる。そう言えば、日本人が白人を相手にする「不純な愛」というのは、今までまだ無いのではなかろうか。白人男性か白人女性かどちらでもいいが、そういうのができれば、その時は、そのプロデューサーさんに大きな拍手を贈ります。拍手だけですけれど。
（了）
私のこの本を読んだ事があります。
確か発売された直後だったので何年も前になりますね。最近は「○○ハラスメント」と言う話を頻繁に耳にしますが、個人的に「モラル・ハラスメント」と言う概念が日本社会全般に普及するのを防ぐ為の陰謀ではないかと疑っています。因みに、この本は続編が出版されていた筈なんですが・・・
＜2005年6月1日付、朝日新聞テレビ欄より＞
ヤ・ク・ソ・ク ★ＴＢＳ 後１・３０
韓流の波は、昼ドラにも押し寄せた。結婚１５年目を迎え、倦怠期に悩む日本人の人妻と、一回りも年下の韓国人青年との恋。ブームにはまる中高年女性の願望をかなえるかのような物語の３回目。
外科医の夫に子ども２人と暮らす井手葉子（南野陽子）。ある日、突然の雨に困っていると、見知らぬ青年チョン・ソンジェ（ヤン・ジヌ）に傘を差し出される。何不自由ない主婦に見えるが、家庭を顧みない夫や会話を拒む子どもに満たされない思いを抱えていた。偶然の再会を果たした葉子とソンジェは互いにひかれていく。
夫以外の男性にひかれていくのだが、ヤン・ジヌの笑顔と真っすぐなまなざしで、さわやかなドラマに見えてしまう。日本語のセリフが少なく、寡黙な感じも効果的。女性に優しいのはもちろん、家族愛や正義感も強いハンサムな若者が、ホスト顔負けの気配りを致します。（宮本茂頼）＜私 見＞ 昼のメロドラマ「ヤ・ク・ソ・ク」第３話（製作、ホリプロ・毎日放送）を、わざわざ録画して観た。いやあ、実にひどいシロモノだった。もう二度と観るものか。
「ヤ・ク・ソ・ク」は、日本まで弟さがしにやってきた韓流イケメンが、パッとしない日本人主婦の浮気相手になるというドラマなのだが、これとそっくり同じことが、今現実に我孫子とか柏あたりの建売住宅街で起こっていたとしても全然おかしくないような、ベタベタしたハシタナイ話なのである。
うむ、サラリーマン生活１９年、色々と見たいもの、見たくもないもの、ともにイヤというほど目にしてきたけれど、主婦の浮気と酔っ払いのゲロ吐きだけは、どうにもこうにも美化することができぬ、卑しくてみっともないシロモノであると言わざるを得ない。そういう訳で、「ヤ・ク・ソ・ク」はエキゾチシズムのかけらも感じさせないドラマであった。やはり、韓国人ならではの押しの強さとニンニク臭さで、観る者を圧倒するのが韓国ドラマのキモなのだろうか。朝鮮料理って、決して毎日毎食、口にしたいようなものじゃないけれど、時々無性にアレが欲しくて欲しくて堪らなくなる時ってありますものねえ。
日本製三流ドラマにハメ込まれた韓国人俳優は、なんだか胸まで浸かるズブズブの湿地帯に移植された高山植物みたいで、見ていて可哀相だった。「現在、日本に輸入されている韓国ドラマや韓国映画。あれらが韓国の全てだと思ってはいけない。なぜなら、輸出する側は“いかにも日本人が喜びそうなドラマや映画”を、見繕って売り込んでいるのだから」と聞いたことがある。
そうかも知れないな、と思った。だって現に、「え？なんでこんなキワモノが」と言いたくなるような日本映画が、「中国・香港・台湾でも大ヒット！」だの「カンヌは絶賛の嵐」なんてことになるのは、実に良くある話なのだから。だから、これから私が述べるのは「自分が日本国内で、目にした範囲では」という限定付きなのだが、韓国ドラマや韓国映画の中で、不倫が肯定的に描かれているのを私は目にしたことがない。
韓国ドラマ・韓国映画では、不倫は人殺しよりも悪いことだと、徹底的に否定的な扱いを受ける。たとえば、フランスの心理小説「危険な関係」（ラクロ作、1782年）を、韓国人が映画化（スキャンダル、イ・ジェヨン監督、2003年）したら、「不倫なんぞにウツツを抜かしていると、いずれは身を滅ぼすことになるぞ」という勧善懲悪のおハナシに化けていた。
日本では、浮気が露見した芸能人なんかがよく口にする「（悪いと知りつつも不倫関係に陥ったのは）自分に正直に生きたかったからだ」などという、甘ったれた言い草の通用する余地は、韓国の場合、全くどこにもなさそうである。
もちろん、カイショウ持ちの男が妻以外の女をヨソで囲うのは、韓国でも全然オッケイである。人妻に手を出すのがタブーなのだ。
だから、韓国ドラマ・韓国映画お得意の「三角関係の話」は、まず大抵は未婚の男女同志か、稀にはヤモメ同志の話として描かれることが多い。結局、不倫もまた、今の日本文化の一部を成すものであると認めざるを得ないのだろうか。なるほど、日韓の相互理解がいつまで経っても深まらぬハズである。（以 上）
司馬遼太郎・ドナルド・キーン『日本人と日本文化』（中公新書：1972年5月）という、今日の日本人にとっていい本があった。副島隆彦・中田安彦『ジャパパン・ハンドラーズ』によれば、カウンター・パーツとジャパン・ハンドラーの対談本ということになる。またこの本には、進んだ世界帝国の世界基準知識人と、後れた日本知識人の知的格差の大きさが、よく表れている。そのレベル差は限りなく大きい。まさに、天と地ほどの差というべきである。両者は次元が相違している、という感じである。
司馬氏は大マスコミに人気がある。だから「日本文化」の体現者である。
だから「日本文化」のレベルも司馬氏のレベルを見れば分かるというものだ。だからこの本を見れば、「日本文化」のレベルが世界基準からすれば限りなく低いことが、確認できるであろう。●司馬史観の真髄
先ず、司馬氏の考え方をみてみよう。
二人が、足利義政を論じたところである。（引用開始：司馬遼太郎・ドナルド・キーン『日本人と日本文化』）
私は中世、あるいは室町時代ででもとくに東山文化に相当の関心をもっていました。けれども、その中心にいる足利義政（1436〜1490年）という人には、いつも当惑させられました。私にとって彼はまったく謎の存在です。（略）
義政は、銀閣寺を建てる前、花の御所にいたとき、私にはとうてい想像できないような生活をしていますね。そのころ応仁の乱（1467〜 1477年）のいちばん激しい戦闘がどこにあったかといえば、花の御所の見えるところでした。義政は平気で恋愛をし、深酒の宴を日ごと夜ごと催して遊んでいた。まあ、われわれの知っている例で、ローマ皇帝のネロが、ローマの燃える焔を見ながらバイオリンを弾いていたという伝説がありますけれども、これは嘘でしょう。しかし事実として義政公は、花の御所でいろいろ風流遊びをしつづけていた。そのごく近い所で、多くの人々が死んでいった。応仁の乱で京都の街の十分の九までが焼けたでしょうか。（略）これはちょっと想像できないようなことです。（第四章 金の世界・銀の世界：新書P45〜46）＜司馬＞ キーンさんは、いわば義政はろくでなしの政治家であるとおっしゃった。まったく言われてみればそのとおりですが、しかし、われわれは将軍というものに、それほど政治家であることを期待していない。当時も後世のわれわれも期待していないわけです。政治家として劣等生であるのも、むしろ将軍様ならば当然のことだくらいに思って、その政治的モラルを云々しない。ところが、義政を「政治家としてけしからん」とキーンさんがおっしゃるので、おもしろかった。（略）
その前の鎌倉時代の北条三代というのは、無学でしたけれども、一生懸命政治をしています。（略）それがひじょうに教養人になってしまう足利将軍になると、風流になって、風流のほうに価値を見出して、だいたい世間も彼らを罵らないわけでしょう。＜キーン＞ （同じ足利将軍でも義満ならば、）国を統一させて、自分の力でいろいろやっていました。もちろん風流の面から言っても、義政に劣らないほどで、とくに能については、たいへんな専門家で、世阿弥も言っておりますが、あんなによく能を鑑賞できる人はなかっただろうと思います。政治家としてもよほど頭はよかったし、大陸の中国との文通のときでも、うまくやっていたようです。
＜司馬＞ そういうキーンさんの感覚が、意外というか、ひじょうにおもしろかった。（略）足利将軍家の義政というのは東山文化を生んだたいへん偉大な人物であると、われわれ＜日本の知識人、茶坊主＞不覚にも単純に思っていたら、キーンさんは、それを大統領にして、「あの大統領はよくなかった」とおっしゃるからおもしろかった。
（略）
六朝文化というのは、ご存知のように、漢民族が華北から追い払われて、揚子江の南に移って、中国の歴史ではじめて貴族みたいなものができ上がってしまった時代で、その貴族たちは政治をせずに、政治なんか野暮の骨頂で、軍事も野暮の骨頂で、風流韻事がいちばん価値があるんだというので、遊びに熱中した。（略）
・・・揚子江以南にだけあった風流の気風――風流ということばが独特の価値観を持って定着するのは揚子江以南ですから、義政はその影響を受けたのかと思ったり、そう考えることは突拍子もないことかなと思ったり、義政弁護をなんとかしようと思ったんですけれども・・・。<キーン＞ きっと義政公は司馬さんのお話を聞いて、地獄で――ぼくはきっと地獄だろうと思いますが、喜んでいるでしょう。（笑）しかし、それにしても、このあいだ銀閣寺で聞いた話ですが四畳半をはじめて作った人だから、義政はすばらしいと、そういうことになっていますが、日本人はよっぽど美学を喜ぶ国民なわけですね。
＜司馬＞ つまり、政治的正義よりも、美学の英雄のほうをむしろ好むところがあります。その人のおかげでひじょうに救われたというよりも、その人はたいへん教養があって、いいお茶室を建てたほうが、カッコいいみたいなところがあるでしょう。
＜キーン＞ 逆に言いますと、北条歴代の執権たちはひじょうに正直に政治をやって、日本という国のために努力したのに、ちっとも人気がないです。
＜司馬＞ そうなんです。殺風景ないわば野蛮人の感じが後世のわれわれにもあって、人気がない。なんだか義政のような放蕩息子に愛着をおぼえたりするのは、どういうわけでしょうね。じつはこれはキーンさんに聞いているわけですが。
＜キーン＞ 日本人は今でもそうですけれど、芸術家に対してひじょうに寛大ですね。日々の生活にいろいろの欠点があっても、芸術そのものがすぐれていたならばほかのことを許す。（略）
（第八章 続・日本人のモラル：新書P144〜148）（引用終了）
政治家が政治的に無能であっても、風流で芸術的な能力であれば、その政治家を評価する。政治的正義よりも、美学の英雄かどうかで人物を評価する。結局、美的能力だけが、人物評価の基準である。これが司馬氏の思想である。
ドナルド・キーン氏はこの思想に同意できないようだ。
当然であろう。それが文明的であり、妥当な考えであろう。
ドナルド・キーン氏は、予想していたとは言え、内心密かに驚いただろう。繰り返しになるが、「政治的能力は不問にし、芸術的能力――美意識――を問題にする。これが日本文化だ。そしてこれが日本人のすべてだ。」というのが、司馬氏の思想である。だから、政治家の評価に際してすら、政治的能力は評価の対象ではない、ということだ。
具体的には、「われわれは将軍というものに、それほど政治家であることを期待していない。当時も後世のわれわれも期待していないわけです。」ということだ。
何という暴言か。司馬氏がこんなことを言うとは。言葉を失ってしまう。
司馬氏の頭は大丈夫なのだろうか。ドナルド・キーン氏もそのように感じただろう、思う。司馬氏の思想は、彼ら欧米人の思想の、基本的前提を否定するものであったろう。しかし当然のことながらそれを表には現わさず、これが日本人であり、日本文化なのだ、と自分に言い聞かせただろう。
そしてキーン氏は、「日本文化はこれまでの研究報告の通りであり、人気作家司馬氏の思想もそれに沿ったものである。よって、それから判断すれば、今後も少なくとも当分は日本文化は基本的に変わらないだろう、変わる要因がどこにも見当たらない。むしろ非文化的になるだろう。」というようなまとめを学問的な手法に従って作成し、アメリカ国内に報告をしただろう。そのように思う。
「世界支配の第一原則は、知識学問化した情報（インフォーメーション）の高度集積である。」（副島隆彦『決然たる政治学への道』P237）ということなのだ。キーン氏はアメリカに奉仕することによって生活の糧を得ているのだ。●この文化思想は権力者をラクにさせる思想だ
政治家であれなんであれ、風流でありさえすれば、司馬氏は評価するのだから、権力者はラクなものである。
もし国民がこの司馬氏のような思想を持てば、権力者は大喜びであろう。大マスコミは司馬氏を持ち上げた。司馬氏は大人気ベストセラー作家となった。
司馬氏はベストセラー作家になった、ということはまさに国民は司馬氏の文化思想を受け入れたということだ。
大マスコミは、司馬氏のこの思想の普及に大きな役割を果たしたのだ。権力者としてはこれほど有難い事はない。
大物政治家が、司馬氏を好きになり、司馬氏を持ち上げる大マスコミを好きになるのが、理解できる。●文化とは何か
副島隆彦先生が、何と『決然たる政治学への道』（弓立社：2002年8月、旧名『政治を哲学する本』1994年）という本で、「文化の概念」について述べている。
（引用開始：副島隆彦『決然たる政治学への道』）
日本人で、「文化（cultureカルチュア）」という概念がどういうものなのか分かっている人が非常に少ない。「文化」というのは、「正当なる支配」ということである。政治権力や軍事力によらないところの正しい支配ということである。そして、この「正当なる支配」でないものが、「カウンター・カルチュア（対抗文化）」あるいは「サブ・カルチュア、俗文化」であって、「一般民衆の文化」のことだ。そして、残念ながら、日本には昔からこの「文化」＝「正当なる支配」があったためしはない。初めからずっと「サブ・カルチャ」の国なのである。欧米の日本研究学者たちは全員がそう考えている、と私は断言してもいい。この点では、私は、日本人の繊細な美意識を文化と見て、それを擁護しようとした三島由紀夫と考えをことにする。（第？章 シーボルトとはなに者か：P234〜235）
（引用終了）
「文化」とは、政治権力や軍事力によらない「正当なる支配」ということだ。
日本には昔からこの「文化」＝「正当なる支配」があったためしはないということだ。そして、「サブ・カルチャ」＝「俗文化」しかなかったということだ。「文化」＝「正当なる支配」というのだから、政治を評価する思想がなければ、この「文化」が生まれないということだ。
日本は、政治、すなわち権力者や政治家の政治を評価することが広く普及しなかったために、この「文化」は生まれることなく、「サブ・カルチャ」だけの国になったということだ。司馬氏の文化思想は、政治家の評価をまったく問題にしないというのだから、正統な「文化」を生む力を有しないことは明らかである。
司馬氏は、「サブ・カルチャ＝俗文化」で満足する姿勢である。大マスコミもその姿勢である。それに乗せられた国民もその姿勢となる。かくして戦後民主主義によって「文化」が生まれるかに思われたが、司馬史観の登場とその人気によって、その「文化」の誕生は遠のいた感がある。
これが今振り返ってみると、現在の日本の情況であろう。
ところで、「サブ・カルチャ」の国とはどういうものであろうか。
（引用開始：副島隆彦『決然たる政治学への道』）
この本の英文書名は、’State of Unconsciousness’とした。この「ステイト・オブ・アンコンシャスネス」とは、直訳すれば「無意識の状態」である。この語の意味は、「自分が一体、何ものであり、何を考えているのかを分からない人」という強烈な皮肉が込められている英語である。そして、この英語は、もうひとつ別の「自覚なき国家」という二重の意味を持っている。（あとがき：P277）
（引用終了）
「自分が一体、何ものであり、何を考えているのかを分からない人」の国、「自覚なき国家」、というのが、「サブ・カルチャ」の国だ、と思う。
日本はそういう国だ。繰り返して言う。司馬氏の文化思想は、正統なる「文化」の誕生と育成を阻む思想である。
●ＮＨＫは司馬氏が大好きのようだ
ＮＨＫは『２１世紀スペシャル大河「坂の上の雲」』を、総力を上げて企画しているそうだ。
――最近富に無責任になったＮＨＫらしいことだ。どうも、四国愛媛県の、松山放送局の製作のようである。（転載開始）
http://www.nhk.or.jp/matsuyama/sakanoue/▼平成１９年度（２００７年度）以降の放送に向け、司馬遼太郎の長編小説「坂の上の雲」を原作として、２１世紀スペシャル大河「坂の上の雲」の制作を開始します。
この作品は大河ドラマを超えるスケール感のある スペシャル大河 として、２１世紀を代表する作品のひとつを目指し、ＮＨＫが総力をあげて取り組むものです。▼「坂の上の雲」は昭和４３年（１９６８年）から４７年（１９７２年）にかけ４年３か月に渡って産経新聞に連載され好評を博した作品で、司馬遼太郎が、日露戦争の時代を生きた明治の青春群像を、１０年の歳月をかけ渾身の力で書き上げたものです。
▼「坂の上の雲」の新聞連載が完結して以来、ＮＨＫとしてテレビドラマ化の交渉を続けてきた結果、このほど、著作権継承者である福田みどりさんから映像化の許可をいただきました。
今後、プロジェクト・チームを立ち上げ、２００７年度以降の放送を目指して総力をあげ取り組み、脚本を完成させた上で、キャストやロケ地を選定していきます。
この作品に対する司馬遼太郎の歴史観や思いが放送で十分伝わるように、関係者の意見を聞き、議論を尽くした上で制作にあたりたい、場合によっては放送開始時期がずれることがあってもかまわない、という心構えで準備を進めたいと考えています。▼司馬文学の真髄ともいえる「余談ではあるが・・・」的な時空を超えた縦横無尽な表現方法を生かし、「街道をゆく」「空海の風景」などの番組制作でも試みたような最新のデジタルハイビジョンで画期的な映像表現を駆使して、雄大なスケールで描きます。
▼放送は、平成１９年度（２００７年度）以降に、総合テレビやハイビジョンなどで1回・７５分、２０回程度を予定しています。
（転載終了）
ということで、非常な意気込みで製作しているということだ。
前述したように、司馬氏の文化思想は全国民の社会的責任を問わないものである。したがってその必然として、ＮＨＫもその社会的責任が問われなくて済む。芸術的手腕や芸術的方言能力だけが問題になる。
だから、ＮＨＫは司馬氏が好きでたまらないのだ。われわれ国民は騙されてはいけない。ＮＨＫの意図を見なければならない。国民が納める受信料から、巨額の制作費が国民のためにならないことに使われているのだ。
『坂の上の雲』には、乃木将軍無能説や、旅順攻防戦の是非など、重大な歴史誤認があるそうである。（福井雄三『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』2004年11月）他にも相当に怪しいところが、いっぱいあるだろう。
――先の『日本人と日本文化』は、この新聞連載が終わる年に発刊されたものだ。ところで上記転載で、「新聞連載が完結して以来、ＮＨＫとしてテレビドラマ化の交渉を続けてきた結果、このほど、著作権継承者である福田みどりさんから映像化の許可をいただきました。」とあるが、司馬氏は、この作品をテレビ化しないようにと、遺言したということである。だから、ＮＨＫは三十年以上、その意思に反して製作できなかったようだ。
司馬氏がどういう気持ちでその遺言を残したのか知らないが、本人がそういうのだから、その意思を尊重すればいいのにと、私は思いますが、ＮＨＫおよび権力者はよほど司馬氏が好きなのであろう。彼らにとっては、この『坂の上の雲』が最高傑作であるのだろう。（引用開始：福井雄三『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』2004年11月）
・・・各界の識者に対するアンケートをとってみても、圧倒的多数の人々が（中曽根元首相をはじめとして）この『坂の上の雲』を最高の「歴史書」として賞賛しているのである。そして彼らが、日本という国家の功罪も含めてその近現代史を批判する際の、最も強力な武器となり拠り所となっているのが、この『坂の上の雲』なのである。いやさらに極端な例をあげれば、新進気鋭の学者や大学教師などの書いた文章の中にも、この『坂の上の雲』に強く影響されたのではないか、と思われるような箇所が散見されるのだ。（P15〜16）
（引用終了）
権力者やＮＨＫにとっては、最高の歴史なのだそうだ。
司馬氏自身は、なぜかそれを重荷に感じているのではないのだろうか。●『日本人と日本文化』に対する、一般国民レビュー？
アマゾンのレビューから抜粋してみよう。
内容（「BOOK」データベースより）
「ますらおぶり」と「たおやめぶり」、忠義と裏切り、上方と江戸の違い、日本にきた西洋人―雄大な構想で歴史と人物を描き続ける司馬氏と、日本文学のすぐれた研究者であるキーン氏がともに歴史の香りを味わいながら「双方の体温で感じとった日本文化」を語る、興趣つきない対談。（レビュー１）
つい最近読んだ本の中では最も印象的だった本である。あの司馬遼太郎先生と文学者のＤ･キーン氏の対談集として、なかなか読み応えがあった。
特に、キーン氏をはじめとする多くの西洋人が日本の美意識について、または侍について江戸時代の文化に深く関心を持っており、典型的な日本の姿は江戸時代を背景とした時代劇らしい（やや誇張はあるが･･･）。氏自身も特に近松研究をされていることもあるが、なるほどと思うようなお話の展開である。
日本の宗教についても、実際捉えがたいが、仏教や儒教、西洋哲学の狭間にある神道としての位置付け、あり方を対談の中でさらりと解説しているのも興味深かった。
司馬先生とキーン氏の対談集は他にもあるが、どれも大変面白いものになっている。（レビュー2）
対談本って、安直な読み物のような気がしてあまり好きではないのですが、この本は大丈夫です。読めます。
日本人の美的意識について、本書はその多くの時間をかけています。日本文化の美意識がどこから生まれ、何に影響されたのか。彼らが言う吸収しても排出しない日本文化、そんなものをより深く理解させてくれます。
司馬氏はともかく、ドナルドキーン氏の日本史に対するその知識の深さには驚かされます。
不景気で日本人が自信をなくしている昨今、元気が出る一冊です。（転載終了）
司馬氏は、「雄大な構想で歴史と人物を描き続ける作家」らしい。これが、日本人の常識であろう。
しかし、私は雄大な構想を感じない。キーン氏をはじめとする多くの西洋人は、日本の美意識について深い関心を持っているのだろうか、そうではないだろう。彼らは日本人は何者か、何を考えているのだろうか、ということに関心をもっているのであり、たまたま日本人が美意識に強くこだわるので、それを分析しているに過ぎないのではないか。
司馬氏の思想は、深く浸透しているようだ。
マスコミ効果というところだろう、と思う。●最後に
ちょっとシツコイかもしれないが、最後に、『日本人と日本文化』から引用する。
（引用開始：司馬遼太郎・ドナルド・キーン『日本人と日本文化』）
私は日本の作家の名簿の中に入っているが、それらの名簿は他人が作ったもので、私自身は自分を作家だとおもったことがなく、むしろそう思わないように努力している。
また自分が書いているものが小説であるか何であるかということを自分で規定したことがなく、もしそう規定すれば一字も自分の文章が書けないということも自分でよく知っている。（はしがき――司馬遼太郎）司馬さんと対談をしたらどうかとすすめられたとき、私は名誉だと思った。と同時に、何となく不安を感じた。というのは、数年前からもっぱら古典文学に没頭してきた私は、司馬さんの小説をほとんど読んでいなかったからである。（略）
私が対談に出ようか出まいかと迷っていた頃、司馬さんは対談に出席することを承諾なさった。しかもキーンが前もって自分の小説を読んでこないこと、という条件を付け加えられたことを耳にした。それを聞いて私の迷いはなくなり、喜んで対談に出席することにきめた。（あとがき ――ドナルド・キーン）（引用終了）
ベストセラー作品を出しながら、世間から、作家といわれても、「私は作家ではない。」と言ってのける、司馬氏である。
対談者に、「前もって自分の小説を読んでこないこと」という条件を出す、司馬氏である。
これらは案外、謙遜や冗談ではなく、司馬氏の本心であるのだろうと思った。こういう奇怪な人物を持ち上げるマスコミ、そんな国の日本。日本はそういう国であるのだ。
だから、目の前の大きな事から考えて行こう。いずれにせよ、司馬氏が代表的日本文化人の座を去らなければ、――日本人がそうしないと、――「日本文化」は世界レベルに向かって進むことができない、と思う。
ＮＨＫも、司馬氏をちゃんと批判できないと、プロとして一人前の言論機関とは言えない、と思う。
（了）
「紀伊国屋書店」から貼り付けます。（貼り付け開始）
(モラルハラスメントヒトヲキズツケズニハイラレナイ)
モラル・ハラスメント ― 人を傷つけずにはいられない
[原書名：LE HARCELEMENT MORAL : La violence perverse au quotidien〈Hirigoyen, Marie-France〉 ]ISBN:431400861X
３３２ｐ １９ｃｍ（Ｂ６）
紀伊国屋書店 (1999-12-20出版)・イルゴイエンヌ，マリー＝フランス【著】〈Ｈｉｒｉｇｏｙｅｎ，Ｍａｒｉｅ‐Ｆｒａｎｃｅ〉・高野 優【訳】
[B6 判] NDC分類:361.4 販売価:\2,310(税込) (本体価:\2,200)言葉や態度によって、巧妙に人の心を傷つける精神的な暴力＝モラル・ハラスメント。
家庭や職場で日常的に行なわれる、この「見えない暴力」は、相手の精神状態をしだいに不安定なものにし、ひどい場合は自殺に追いこむという。
いったいどんな人間がこのような暴力をふるうのか？いかなる方法がよく使われるのか？どのような性格の人が標的にされやすいのか？どうしてその関係から抜け出せないのか？経験豊富な精神科医がその実態を徹底解明。
人間関係に悩むことの多い現代人にとって必読の書である。
第１部 モラル・ハラスメントとは何か（家族におけるモラル・ハラスメント；職場におけるモラル・ハラスメント）
第２部 モラル・ハラスメントはどのように行なわれるか（巧妙に支配下におく；不安に陥れる；心を破壊する ほか）
第３部 モラル・ハラスメントにどう対処すればよいか（支配されたことの影響；より長期の影響；被害者へのアドバイス ほか）
テレビ朝日「朝まで生テレビ」話題に！
官僚の間で密かに読まれている <裏バイブル>「いい人」こそが狙われる！
巧妙にも自分の手は汚さずに、言葉や視線、ほのめかしや意味ありげな仕草で相手のこころを傷つけていく行為＝モラル・ハラスメント。家庭で職場で日常的に行なわれるこの「見えない暴力」は、被害者をうつ状態のスパイラルへと陥らせ、ひどい場合は自殺に追い込むという。本書は豊富な臨床体験に基づいて、その実態を徹底分析。有効な対処法も提示する。
解説：町沢静夫（精神科医）
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/hb/honten/wshosea.cgi?W-NIPS=9973141571（貼り付け終了）
『景教のたどった道 東周りのキリスト教』(川口一彦、キリスト新聞社、2005年) という本があります。以下は著者の略歴などです。【著者略歴】
1951年生まれ。現在、名古屋北福音キリスト教会牧師、春日井福音キリスト協力教会、東海聖書神学塾教師、愛知県立城山病院精神科デイケアー書道講師。
【内容紹介】
東海聖書神学塾で比較宗教学を教える著者が中国の景教碑文から、景教の神学と、日本への影響について語る。『キリスト新聞』に2003年から1年間にわたって連載したものを加筆し、まとめたもの。「景教小辞典」「景教史略年表」付き。この本の５１頁に、次の事が書かれています。
（貼り付け開始）
１８ 『一神論』
『一神論』は、宋代初期に敦煌で発見されて、一九一八年に発表されました。これには「喩(たとえ) 第二」三十九行、「一天論 第一」百三十二行、「世尊布施論」百九十七行の小三篇が収められ、一九三一年(昭和六)年に東方文化学院京都研究所から『序聴(イエス)迷詩所(メシア)経』と合本で公刊されました。書名の由来は、その巻頭部分は欠けていますが、『世尊(世にも尊いお方＝神)布施論』の巻末に「一神論 巻第三」とあることから名づけられたと考えられます。
翻訳年代は、『世尊布施論』の巻末に「六四一年」とあり、太宗皇帝の貞観一四年前後に作成されたものと考えられます。作者は、初代宣教師の阿羅本の側近者ではないかと思われます。なぜなら、阿羅本はすでに六三五年に長安に入り、皇帝に接見しているため、彼ではないと考えられます。＜中略＞
第三作目の「世尊布施論」には、山上の説教と、メシアの死と復活の記事が部分的に書かれています。本書には、マタイによる福音書の六章と七章の部分があり、ほかは欠落しています。主の祈りや善行、断食部分も見られません。「世尊布施論」という書名は、冒頭部分が世尊に布施する時の教えについて語り始められているからです。
（貼り付け終了）
『【隠された】十字架の国・日本 逆説の古代史』(ケン・ジョセフ シニア＆ジュニア著、徳間書店、2000年)から貼り付けます。
（貼り付け開始）
１１２頁
親鷲も読んだ景教の教典
京都の西本願寺といえば、親鷲(ルビ：しんらん)(１１７３〜１２６２年)が開いた浄土真宗の本山です。その宝物中には、親鷲も読んで学んだという『世尊布施論(ルビ：せそんふせろん)』があります。
これは、じつは仏教の経典ではありません。
中国で７世紀に、景教徒によって漢語に訳された景教の教典なのです。それが日本にも持ち込まれていたのです。この「世尊」はシャカではなく、イエスです。内容も、イエスの「山上の垂訓(ルビ：すいくん)」(マタイの福音書５〜７章)に始まり、イエスの生涯、教え、基督教の救い等について述べています。＜中略＞
たとえば、冨山昌徳はその著『日本史の中の仏教と景教』の中で、仏教僧・法然(ルビ：ほうねん)(１１３３〜１２１２年)の伝記と、聖書との関係を指摘しています。法然伝の根本資料となった古書(『夢感聖相記』)の中には、聖書のイエスの「山上の変貌」の記事(マタイの福音書１７章)の内容が、同じ順序で転用されているというのです。そして詳しく解説しています。
ちなみに法然の母は、秦氏でした。
親鷲の先生が法然です。そして法然は、中国の僧・善導(ルビ：ぜんどう)(６１３〜６８１年)の著作を通して信仰に入った人です。善導は、中国・唐の時代に浄土教を大成した僧侶でした。善導は「行ない(修行)による救い」ではなく、「阿弥陀仏への信仰による救い」を説いた人です。
ところが、彼がそれを説き始めたのは、ちょうど景教徒たちが中国に来て「行ないによる救い」ではなく、「救い主イエスヘの信仰による救い」を熱心に説き始めたときでした。つまりここに、景教徒→善導→法然→親鷲という、一連のつながりを見ることができます。
浄土教が非常に基督教に似ている、と言われる理由もここにあります。写真(１１３頁)：親鸞も読んだ景教の経典「世尊布施論」
http://soejima.to/souko/visual_data/img20050115200538.jpg（貼り付け終了）
「世尊」で検索
http://snsi-j.jp/boards/past.cgi?room=undefine&mode=find&word=%C0%A4%C2%BA&cond=AND&view=15
「国立国会図書館」から貼り付けます。（貼り付け開始）
請求記号 A38-H2
タイトル 「神国日本」大綱 : 憂国・愛国・救国真正右翼民族主義で国辱的経済破綻から甦る
出版地 東京
出版者 政治経済研究会
出版年 2002.10
形態 700p ; 31cm
入手条件・定価 37143円
全国書誌番号 20341119
普通件名 国粋主義 ‖コクスイシュギ
→: 政治思想 ‖セイジシソウ
NDLC A38
NDC(9) 311.3
本文の言語コード jpn: 日本語
書誌ID 000003591169
column � 嵜盛馥�本」の矜持(ルビ：きょうじ)と使命／157
Essay1 憂国の怒りを今こそ
◎アメリカのグローバリズムの手先になっている”売国奴”保守言論人を撃つ！
鋭利な視点から日本の現状にメスを入れる――初めて提唱された「日本はアメリカの属国である」理論を知ろうhttp://opac.ndl.go.jp/index.html
（貼り付け終了）
私はもう、ＮＨＫに期待を持たないことにしている。
ただ観察のために見るだけだ。
（民法は、スポンサーがいるので、自由な番組ができないから、端（はな）から期待しないことにしている。）６月３日（金）は、「衆議院郵政民営化特別国会質疑」があった。その中継が、午前９時から午後５時まで、正午の休憩時間の約１時間を除いて、ほぼ７時間も、国会中継をしたはずである。当日の番組表を見れば、そうなっている。
その夜の「ニュース10」を見て、私は改めて驚いた。
国会の報道が、自民党から社民党までの質問者の一問と、それに対する首相の答えの場面をビデオを流しただけであったからだ。コメントも解説もなく、次のニュースに移った。多分精々７分程度であった。しかもそれはトップニュースではなかった。
トップニュースは、「全国の国道で見つかったガードレールの不審金属片」であった。これが10分程度だったであろう。これは取材記者を登場させて、詳しく解説、コメントしていた。「国会質疑」の報道は、その次、二番目の報道であった。中継までしてじっくり取材できたはずなのに、コメントも解説もなかった。――もちろん、コメントと解説がありさえすればそれでいいというのでもない。しっかりしたコメントと解説があるかどうかが重要だ。御座形（おざなり）のコメントや解説でも、問題である。
とにかく、これは完全な国会無視と言えるであろう。
三番目と四番目は「大型液晶テレビ時代の到来か」というような――日本経済支援の積もり――報道と、「タイ国で人気の日本人俳優」という報道だった。これらも結構根掘り葉掘りのコメント・解説付きであった。その後は、サッカーアジア予選関係を筆頭としたスポーツ報道が盛り沢山で、17分程度もあった。以前はスポーツは５分程度だったと思う。その後は、1分ニュース5本と天気予報ということだったと思う。
とにかく、異常さを感じた。−−ということで、私は、ＮＨＫの良からぬ作為を十分に感じたのです。
そのほか、前々から感じていたことがある。
悲惨な報道や深刻な報道を伝えた――読み上げた――女性キャスターが、その直後ケロッとしてスポーツを伝える、そのＮＨＫの無神経さである。――これは、今のキャスター編成になったときからのことである。これは民放でも行っていないことだ。民放は普通のニュース報道と、スポーツ報道では、キャスターを別人にしている。
また、自分（自社）の見解を明らかにしないで、言論を発する、そのＮＨＫの無責任さ、非礼さがある。――これは、いつのころからか、そうなっている。昔はそれなりに見解が感じられたと思う。今は、特に政治方面だろうが、真実を報道する姿勢さえ感じられない。国民は、うすうすＮＨＫの作為と、その堕落を感じているはずだと思う。（了）
アルルさんの『ジャパン・ハンドラーズ』を読みました。
すばらしい本だと思いました。
しかし正直言って、「ジャパン・ハンドラーズ」の数が多いので、名前が憶えきれず、混乱してしまい、人脈が頭の中に中々貯蔵されません。――今回読んでて、結局は人脈と機関の繋がりそのものが最も重要なのだろうと、うすうす感じました。
ともかく、残念ながら日本原住民＝日本土人としては、貯蔵されないのは致し方ないと観念している次第です。
ということで今後は、巻末の人名索引からその人脈をチェックするという、そういうハンドブック的な使い方になると思います。――この索引は網羅的で太字表記もあり、非常に有難く思っています。ところで、船井幸雄著『世の中、大激変』（徳間書店：2005年4月）を読んだ。
●宇宙や地球上には、様々な共鳴現象が存する
そこで船井氏は、久しく忘れていた、音叉（おんさ）の共鳴現象を思い出させてくれた。
＜音叉の共鳴・共振現象＞
（引用開始：船井幸雄著『世の中、大激変』）
ＡとＢという二つの音叉（おんさ）があるとします。Ａが発した音の振動がＢに伝わり、それを受けたＢが発した音の振動がＡに伝わり……という具合に、音の振動は反響し合いながら、ＡとＢの間を往復します。つまり、音の振動は常にそれよりも前に発した振動を含むことになるのです。
彼らはこれを「再発するフィードバック」現象と呼び、一連の過程を「輪になった因果性」と呼びました。（P115）（引用終了）
これは、音叉の共鳴現象のことだ。日本人ならば誰でも学校で習っているだろう。
ここでは別の音叉に振動が伝わり合い往復するという点と、それ故それらの音叉は自分たちの振動を「記憶」することになるという点に、着目した言い方となっている。宇宙とその中のすべてのもの――私たち人間の魂も、したがって人間の社会や歴史も含め――の根底にはこの共鳴現象が存在するという理論が提唱され、現在広まりつつあると言う。
説明は難しく、現代人が忘れていることだが、どうもそうなのではないだろうか。
●世の中のすべてのものは波動をもっている。
（引用開始：前掲書）
この二つの間に生ずる共鳴反応は、「すべての物質は振動している」とする波動力学の考え方とも一致します。
物質や人間の間で起こる共鳴反応は、「情報」の交換によって起こり、この「情報」とは一種のエネルギーのことだと考えるのです。そして、自然界のすべてのものは、情報やエネルギーを交換するシステムの一部であり、このシステムの中に記憶が蓄えられているというのです。（P116）（引用終了）
どうやら、すべての物質はこの共鳴反応によって振動しているらしい。
また、この共鳴反応（共鳴現象）による振動は波動と不可分の関係であるらしい。
だから、宇宙のすべてのものは振動をしており、従って波動を持っているらしい。（引用開始：前掲書）
世の中すべてのものは波動をもっています。広大な宇宙に広がる銀河系や、物質の最小単位である素粒子にいたるまで、もちろん私たち人間や植物や動物も、固有の波動をもっています。
世の中のすべては波動の性質に基づいて運営されており、波動の性質は世の中の最も大事なルールといっていいものだと思うのです。（引用終了）
何となく理解できるような気がする、というか、宇宙のすべてのものはそれ単独で、不動不変に存在しているのではなく、互いに影響し合いながら――自分の有様（ありよう）が周囲の有様へ変化を及ぼし、その変化によって周囲の有様が自分の有様に影響を及ぼすに至る、周囲のものもまたそういうことを行っており、しかもそういうことが過去から現在、そして未来へと無限に繰り返されている――存在しているので、考えてみれば当然のことなのだろうと思う。
どうやら、人間もそれらの宇宙の中で、周囲のものの有様（ありよう）の中で活き、活かされている。
波動というのは、説明は難しく、思考するのも難しいが、これは非常に重要で、根源的なことなのだろう。波動については、副島先生が、コンドラチェフ・サイクル、クズネッツ・サイクル、ジュグラー・サイクル、キチン・サイクル、ヘジェモニック・サイクルの五つの波動を、『やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる』（ビジネス社：2004年4月）で大きく言及している。波動が経済にも現われるのだろう。――以上のように考えてみれば、当然のことだ。
●波動の四つの性質
波動には四つの性質があるらしい。
（引用開始：船井幸雄著『世の中、大激変』）
波動には、次のような四つの性質があります。
１．同じものは引き合う。
２．違うものは反発し合う。
３．自分が発信したものは自分に返ってくるフィードバックの性質がある。
４．波動には優位の波動と劣位の波動があり、優位の波動が劣位の波動をコントロールする。１と２は、世の中の人間関係を見れば一目瞭然です。１は、「類は友を呼ぶ」「朱に交われば赤くなる」などという言葉に表れています。（略）
また、人間誰しも、なんとはなしにウマが合わない相手がいます。そういう人同士は自然と離れていくものです。これは、２の性質によるものです。
また、ビジネスがうまくいっている経営者や一流の人は、必ずといっていいほど３の性質を熟知してうまく活動しています。（略）
そして、４の性質は、レベルの低い精神から発した波動は、レベルの高い精神から発した波動に凌駕されていくということです。
たとえば、奪い合うばかりの資本主義＜資本主義とは自由にエゴを追求すること＞的な波動は、一時的には元気がいいように見えても、やがては与え合い、分かち合い、平和的に共生する波動に凌駕されていくと思えます。（P121〜122）（引用終了）
１の「引き合う」とは、共鳴反応しているということだろう。
２の「反発し合う」とは、互いに共鳴反応しないということだ。
３の「フィードバック」するということは、互いに共鳴反応していることである。
４の性質は、共鳴反応は繰り返すのだから、共鳴反応の大きな優位の波動が共鳴反応の小さな劣位の波動を覆い隠すということだろう。このように考えれば、波動が宇宙や自然や経済などの相互依存系の世界に現れるのは当然なのだということが分かる。
しかし現在の世界を支配する思想と行動は、アメリカ発の資本主義です。「資本主義の真髄は自由にエゴを追求することだから、究極的には限られた地球の資源を奪い合うことにな」（前掲書P107）る。これは世界の人々に対して、広く共鳴をもたらす思想と行動ではありません。
だから、現在の世界を支配する知性は、一般にこのような波動を基準にした見方をしません。だから我々も、普段からこのような、共鳴反応に基づいた波動の見方をしない。よって我々は、波動を理解し辛いのだろう。
現在は、波動とは、注意深い観察と、素直な分析によってのみ、理解できるのだろうと思う。●共鳴反応からものごとを分析（アプローチ）するのが重要なのだろう
このように考えてくると、互いに共鳴し合うということは、私たち人間を含め、あらゆるものごとの存在それ自身だということになる。
われわれ人間は、全世界、宇宙から共鳴し合うものを大切にしながら、宇宙から自身に与えられた小さな領域で、それに共鳴し合いながら暮らすのが、真に自分を生かす道であろう。
何か周囲のものから共鳴反応をし、その共鳴反応することで周囲に働きかけ共鳴を起こすことになる、そういう活き方がその道だ。
「波動力学」は究極的にはこれを教えることになるのではないだろうか。ともかく、現代の支配的な思想は「資本主義＝自由にエゴを追求すること」であるので、「共鳴反応」や「波動力学」の考えを素直に受け入れられないのだろう。
ここに資本主義が長続きできない理由があると思う。「真のエリートというのは、特技や才能を社会のために活かす人のことで、私利私欲のために働く人のことではありません。」（前掲書P172）ということである。
なるほど、ということは、「真のエリート」というのは宇宙や人々と共鳴し合う人のことだ。
日本は近年、そういう「真のエリート」を余り選んでいなかったように思う。私たちは共鳴反応すること自体を喪失し、忘れ果ててしまっているのではなかろうかと思う。
大マスコミは「異常事態」や精々「事実関係」を知らせるのみである。共鳴反応を起こすことの重要性が、まったく念頭にない。何かを知らせれば、それで十分だとしか思っていない。
また受け手の国民も共鳴し合うということ――そういう現象――を忘れている。
マスコミと国民の間で、共鳴し合うという、ごく当たり前で自然で、非常に重要なことを忘れていると思う。
マスコミはそういう能力を欠いていると思う。（了）
ＲＣ：『道具としての英語 しくみ編』「Step16 すらすら書ける自動「英作文」マトリクスシステム」で自動翻訳機について述べていた記憶があります。未だに人工知能が完成していないのが残念です。
http://www.interq.or.jp/sun/atsun/soejima/1984-1990/1984002.html「エスペラント語講座」から一部貼り付けます。
（貼り付け開始）
第３章 英文法書にもなかった相関表
昔英語を習った時、「whereとeverywhereに何か関係はないだろうか？」と思ったことはありませんか。実は分類分けが出来、その関係の相関表があるのです。エスペラント語創案者のザメンホフ氏はヨーロッパ言語のほとんどが理解できていたのであろう。このような関係を相関表にしたのが下表です。まだ第３章なのでエスペラント語の理解の進度を考え、英語に置き換えて表示してみました。大学書林「エスペラント語４週間」ｐ．１３６・１３７（相関表）参考・英語はthe British Esperanto Association発刊「ＥＳＰＥＲＡＮＴＯーＥＮＧＬＩＳＨ ＤＩＣＴＩＯＮＡＲＹ」参考
指示 疑問 不定 普遍 否定
────────────────────────────────────────
物・事 that what a certain all nothing
（一般的な） thing thing everything
────────────────────────────────────────
人・物 that who some every nobody
（個別的な） (one) which
────────────────────────────────────────
性質・種類 such of what kind of some kind of every no
what of other kind
────────────────────────────────────────
所有 that whose a certain everyone's nobody's
one's person's
────────────────────────────────────────
場所 there where somewhere everywhere nowhere
────────────────────────────────────────
様子・方法 thus how by some for every for no
so means reason reason
────────────────────────────────────────
理由 therefore why for some for every for no
reason reason reason
────────────────────────────────────────
時 then when at some at each never
time time
────────────────────────────────────────
普遍 that what a certain the whole none
quantity quantity amount quantity
────────────────────────────────────────【今回の学習ポイント】
（１）ヨーロッパ諸言語を研究したザメンホフ氏は、エスペラント語では使う種類による相関関係を明確に表にまとめた。
第4章 相関表を日本語に直すと指示 疑問 不定 普遍 否定
────────────────────────────────────────
物・事 そのもの なに あるもの すべて なに（ごと
（一般的な） そのこと なにごと あること も）ない
────────────────────────────────────────
人・物 その人 そ だれ どの ある人 おのおの だ（ど）れも
（個別的な） の それ どれ ある・・ 皆・全て ・・ない
────────────────────────────────────────
性質・種類 そのような どんな ある あらゆる どんな・・
(性質の) (種類の) もない
────────────────────────────────────────
所有 その人の だれの だれかの すべての だれの・・
そのものの どの 人の もない
────────────────────────────────────────
場所 そこに どこに どこかに どこにも どこにも・・
ない
────────────────────────────────────────
様子・方法 そのように どのように どうにか 色々に どうしても
非常に どうして して ・・ない
────────────────────────────────────────
理由 それゆえ なぜ なぜだか ＊ ＊
────────────────────────────────────────
時 そのとき いつ いつか いつも ・・した事が
(決して)ない
────────────────────────────────────────
普遍 それほど どれほど いくらか のこらず すこしも・・
すこし すっかり ない
────────────────────────────────────────
『注』＊は日本語に該当訳なし。http://www.aikis.or.jp/~s-ryujin/esperanto.htm
（貼り付け終了）
「讀賣新聞 夕刊」2005年(平成17年)5月31日の第４面から貼り付けます。（貼り付け開始）
新法王のお手並み拝見
今年の「第22回庭野平和賞」を受賞したカトリックの神学者、ハンス・キュング氏(77)＝写真＝ http://soejima.to/souko/visual_data/img20050601181950.jpg が、このほど東京で開かれた贈呈式出席のため来日した。
同賞は、庭野日鑛・立正佼成会会長が総裁を務める庭野平和財団が、宗教活動で世界平和に貢献した個人・団体に贈呈しているもの。キュング氏はローマ法王の無謬(ルビ：むびゅう)性を否定するなどカトリックきっての改革派の神学者として知られるが、同時に世界の宗教間対話にも積極的に関与。諸宗教には「殺してはならない」「盗んではならない」といった普遍的な倫理、すなわち「地球倫理」があり、その倫理を踏まえることで対話は司能になる――という持論に基づき、「地球倫理財団」会長などとして長年実践活動を続けてきたことが評価された。
氏は今回の受賞について「勇気づけられた。日本でも『地球倫理』の考え方が広く知られていけばうれしい」と発言。イスラムを危険視するような風潮が広がる「9・11」以降の世界にあっても、「テロを起こしたのはイスラムでなく犯罪組織。そこはきちんと分けて考えるべきだ」として、なお地球倫理の思想が有効であることを訴えた。
ちなみに、先に選出されたカトリックの新法王・ベネディクト16世とは、同じドイツ語圏、同世代の神学者とあって旧知の仲だが、保守派とされる新法王とは緊張関係にあったとされる。そんな新法王をどう見るかを問うと、「彼は他の宗教との対話を進めていくと明言しているが、本当にそうなるのか。じっくり見ていく必要がある」。お手並み拝見、とでもいいたげな口調だった。（貼り付け終了）
関連記事：立正佼成会ニュース
http://www.kosei-kai.or.jp/news/2005-02/0222-02.shtml
コモンモラリティを求める動き:「殺すな、盗むな、嘘を言うな、性的道徳を犯すな」
http://www.rc.moralogy.jp/ronbun/47.html
保守派の批判「カトリック教会の左傾化、沢田昭夫」
http://www.hvri.catholic.ne.jp/sawada.htm
ベネディクト16世
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%8D%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%8816%E4%B8%96_(%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E6%95%99%E7%9A%87)
ベネディクト16世の本(保守派のイデローグとして著名)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index%3Dbooks-us%26field-author%3DRatzinger%2C%20Joseph/250-5038358-0939405
ＲＣ：似たようなインタビュー記事がありました。ハズしたら申し訳ありません。「PRESIDENT Online」から貼り付けます。
（貼り付け開始）
ＰＲＥＳＩＤＥＮＴ【2004年2.2号：目次】
特集：決断の瞬間
不動産融資撤退 宮内義彦・オリックス会長
「リスクの計測」いかにバブル崩壊を感じ取ったかhttp://www.president.co.jp/pre/20040202/
（貼り付け終了）
参照：潮流 ４０周年を迎えたオリックスの今後目指すべき方向性
http://www.orix.co.jp/grp/ir_j/ir_pdf/2004YU3.pdf
特に印象に残った箇所を数点書きます。ｐ．１２７
京セラを創始した稲盛和夫氏の見せた「善意と利他の心」。わたしは、稲盛氏のあまりの人の良さに、悲しくなりました。 本当に、この国は稲盛氏の夢見るような良い国となるのか。ｐ．１３１
経済戦争の勝者について、の箇所Ｐ．９１
“輸入品”だった！？ 司馬史観、の箇所。ｐ．８２
（引用開始）
どの国の国家戦略もこのように、未来を国益に合致するようにつくりかえるという発想を持たない限り、世界覇権は握れないのだ。
（引用終わり）よしかわ邦弘です。
この一節がもっとも記憶に残りました。稲盛和夫氏にも読み聴かせたい。
日本国経済の、バブル発生からバブル崩壊、そして今に至る不景気。 大きな流れはすべて、世界覇権国・アメリカの「未来を国益に合致するようにつくりかえるという発想」によって動かされてきているのです。
これは、副島隆彦氏の唱える「政治と経済とは、貸借しあってバランスする」という視点に連なります。
そして、アメリカは、この考え方を用いて未来を作りかえることができるのです。アメリカは世界覇権国の資格をもちます。 しかし、アメリカの属国・日本はこのやり方を使えません。ここに、大きな「非対称性」のあることをわたしはこの「ジャパン・ハンドラーズ」を通して深く理解しました。この点に関して、やはりこうなのかな、と確信できたことを以下に書きます。
より細かい話です。宮内義彦氏のバブル崩壊前でのオリックスの経営について。いつ、どこで読んだかは定かでないのですが、とても印象に残った話です。おそらく日経ビジネスか何かのインタビュー記事だったと思います。引用箇所が明確でない点を、あらかじめお詫びしておきます。
オリックスの宮内義彦氏の語る内容の中に、「バブル危機を乗りきったオリックス」というのがありました。西暦１９８０年代後半のバブル全盛期、オリックスも他の金融の他社と同じく、資金を貸し付けるべく奔走していたのですが、あるとき、宮内義彦氏はそれらすべてにストップをかけたのです。
そればかりか、すでに資金を貸し付けてあった不動産業界をはじめ多くの融資先と交渉して融資していた資金を引揚げ始めたのです。引揚げた融資は他の金融機関の貸し出しが穴埋めします。
何を血迷ったかのか、なぜこのような機会損失をわざわざ招くのか？
多くの優秀な部下が、宮内氏の方針に反発します。インタビュー記事で一番憶えている箇所を次に書きます。
経営者が会社のためにしないといけないのは、売上を伸ばすとか、規模を大きくすることではなくて、一にも二にも会社をつぶさないことである。わたし（宮内義彦氏）は、当時の貸し出しの多い状況に不安を覚えたから、信念を持って融資を引揚げた、と語っていました。
宮内氏の方針についていけない多くの優秀な部下が辞表を提出し、オリックスを離れていきました。しかしながら、その後西暦１９９０年代のバブル崩壊後、不動産業界に多くの資金を貸し付けていた金融業界が不良債権を抱えて苦労する中、被害を最小限に抑えたオリックスは社業をその後も伸ばしていったのでした。おしまい。
そのインタビュー記事を読んだときにわたしは、信念を持つ経営者というのは偉いものだ、と感心したものでした。しかし、今となってみれば、宮内義彦氏が、バブル絶頂期に融資を引揚げたという決断の裏で、アメリカ人の金融業界から、日本の近未来に関する情報を入手していたのだと思います。
でなければ、日本人が全員バブルに狂奔していた中、宮内氏だけがあれだけ大きな機会損失のリスクを背負って決断（しかもその決断は「後からみれば」１００％正しかった）ができるとは、わたしには思えない。「宮内義彦・天才論」よりこの推定の方が、正しい確率が高いと私は考えます。 この話は、「正確な情報を、誰よりも早く収集することで大儲けをした歴史上のエピソード」の一つです。 ですから、ロンドンのネイサン＝ロスチャイルドが、ワーテルローの戦いで大儲けした話と、種類は同じです。
http://www.nobitown.com/dom010629.html政治と経済は互いに貸借を取り合ってバランスする（副島隆彦氏）、そして、アメリカが「未来を国益に合致するようにつくりかえるという発想」を持ちそれを実行できる（中田安彦氏）、この両方を利用して人生を切り開いたのが宮内義彦氏だろうと思います。
「バブルの影響をあまり受けなかった」オリックスですが、裏側はこんなところだと思います。
なんとか上記のインタビュー記事を見つけたいのですが、なかなか発見できない。引き続き捜します。
以上