[1162] 名詞構文 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/02/06(Fri) 19:44:34
リンカーンの「...government of the people, by the people, for the people...」は「人民の、人民による、人民のための政治」ではないそうだ。薬袋善郎（みないよしろう）は現在の英文法業界（？）では最も優秀だと私は思うが、その最新刊『学校で教えてくれない英文法』（研究社）に出ていた。
「名詞構文とは、「述語動詞をその名詞形に変えることによって文を名詞化したもの」です。つまり、この government は「政府」ではなく「governすること＝支配すること」の意味なのです。（中略）＜動詞派生名詞 of 〜 by ...＞というパターンでは、of 〜が「意味上の目的語」を示し、by 〜が「意味上の主語」を示します。」（108ページ）
だから本当の意味は「人民を、人民が、人民のために統治すること」になる。
同じように英語参考書から、以前この板で紹介された多田正行『思考訓練の場としての英文解釈（１）』からも引用してみる。
「of を主体関係を示すものと解すれば government of the people は「人民が治める政治」の意になり、目的格の of と解すれば「人民を治める政治」の意となる。いずれであるかは速断を許さぬ筈なのに、「人民の、人民による、人民の為の政治」と調子のよい日本語に訳してしまうと、もう全てが解ったような錯覚に陥り易い、というところに英文解釈に於ける最も大きな陥穽が在る。」（56ページ）
この著者は of が主体関係を示すものあるいは目的格か、までは分かっていたが「治める政治」と訳したように名詞構文が分かっていなかった。同書にはもうひとつこの件に触れている箇所がある；
「Democracy is the government of the people, by the people and for the people.
n(a1+a2+a3)型。３つの a を並列する語は and で、３つ以上のものの並列を示す場合、a1, a2 and a3 と and は最後の所に1回現われるだけなのが普通。「民主主義とは、人民の、人民による、人民の為の政治である」なお、ここでの government は「政府」の意でなく、「政治」と抽象名詞。 the government または the Government と the がつくと「政府、内閣」の意に使われるのが普通だが、ここでは of 〜以下の限定句に応じて government に the が付いただけ。government という語が出て来た時は、「政府」のことなのか、それとも「政治」という抽象概念を表わしているのかを常に文脈に応じて選択判断しなければいけない。」（5ページ）
なんとここでは「 of が主体関係を示すもの」なぞどこかへ行ってしまったかのように無視している。さらには「抽象名詞」という珍説まで披露している。
さらに上について言えば、democracy を「民主主義」とやってしまうのは通例だから仕方ないとしても、「〜主義とは、政治である」は変である。「〜という支配体制とは、〜統治することである」なら分かる。そもそもなんだこの例文は？原文は上に示したように for の前には and は無い。日本人が勝手に作文するとこうなってしまうという例か？
多田のこの本はAmazonの書評を見ればなにやらすごい本のようだが上で見たように日本の英語業界の最も悪い部分が出ている本だ。なにやら理屈を小難しくする一方で一体何を言っているのか分からない。当人も分かっていないようなので当然か。私はお薦めしない。
[1162へのレス] 参考までに 投稿者：会員番号１２５９ 投稿日：2004/02/11(Wed) 13:34:24
「共通の説明（E. パラフレーズしてみる。）」から一部転載します。（転載開始）
E. パラフレーズしてみる。
ここでいう「パラフレーズ」とは、文（センテンス）の中の句（フレーズ）を文の形に展開することです。そのテクニックをマスターすることで、 resolution が解釈しやすくなりますし、前述の必要条件を作ることがやりやすくなります。
もっとも、ここで述べることは、ほとんどが『英文翻訳術』（安西徹雄著・筑摩書房）の受け売りです。つまり、『英文翻訳術』で紹介されている、英文を自然な日本語に翻訳するためのテクニックを、resolution を解釈するためのテクニックに私が当てはめてみたものです。
（中略）
リンカーンの有名な言葉である “government of the people, by the people, for the people”についても説明しておきます。この言葉は「人民の、人民による、人民のための政治」という訳を充てることが多いのですが、ここで説明した方法を使うと文にパラフレーズすることができます。 “government of the people”はまさに“A of B”の形。 “by the people”は動作の主体（agent）を表わしていて、要は日本語で言う「〜が」に相当します。だから、以下のように言い換えることができます。（同じ色の語句同士がそれぞれ対応しています。）
government of the people, by the people, for the people （人民の、人民による、人民のための政治）
→The people govern the people for the people. （人民が人民を人民のために統治する。）
http://www002.upp.so-net.ne.jp/ahiroe/debate/common_e.html
（転載終了）
「基礎英語ＢＲＵＳＨ ＵＰ１」から一部転載します。
（転載開始）
等位接続詞 and, or, but, for, so, nor
前後で同じもの（文法、意味上）を結ぶ。そのため、後の方は省略も多い。
of the people と by the people と for the people の３つの前置詞句を結んでいる。それが government にかかるわけですね。３つ以上の場合は、最後に and をつければいい。これは or のときも当てはまる。「民主主義は人民の、人民による、人民のための政治です。」
Democracy is the government of the people, by the people, and for the people.
http://www5a.biglobe.ne.jp/~t-kite/basic-eigo1.htm
（転載終了）
「きまじめ英文法（７）」から一部転載します。
（転載開始）
共通構文
「私はそれをしたし、今それをするし、これからもそれをするだろう」というとき、日本語では「それ」を３回繰り返さないと意味が不明瞭にならないかと心配だし、それを英語では I did, do and will do it といとも簡潔にすんでしまう。
展開と因数分解の式 ab + ac = a ( b+c) を思い浮かべると前者が日本語、後者が英語による表現様式といってもよい。 a を一回ですませてそれを均等に配分する形式を共通構文と呼ぶ。
実際には a ( b+c ) という形式はわかりやすいが ( b+c ), a という形はなかなか見分けにくい。なお、後者の a とかっこ内との間のコンマは共通構文の目印となることがある。それでは実例をいくつか見て慣れておこう。
例３
• government of the people, by the people, for the people（人民の人民による人民のための政府）
• We have to take care of and take over, our family business.（我々は家業を維持し跡を継がなければならない）
動詞の代わりに前置詞とそれに対する目的語の関係である。動詞よりも見分けやすい。有名なリンカーンの言葉は前置詞と目的語によって government に対する共通の句を作り出している。うしろの例では前置詞は動詞句の一部で、その目的語は共通である
http://www.people.or.jp/~nishida/gra_7.htm
（転載終了）
「Rejyume Hiroe」から転載します。
（転載開始）
３名詞句は、動詞を含む文や句に
（例）
o Organ transplants from braindead donors
→ (to) transplant organs from braindead donors 「脳死のドナーから臓器を移植すること」
o Practices of medical euthanasia
→ (to) practice medical euthanasia 「安楽死を行なうこと」
o Construction of dams in Japan
→ (to) construct dams in Japan 「日本にダムを建設すること」
（おまけ）“by 〜”は「〜が」、“of 〜”は「〜を」と訳すと意味がとり やすい。“government of the people, by the people, for the people” なら、「人民が、人民を、人民のために統治すること」。
http://www.t3.rim.or.jp/~nafa/seminar/r-hiroe.htm
（転載終了）
「英語語法大事典（第１集）の目次データ」から一部転載します。
（転載開始）
41. 主格関係を表わす of か目的格を表わす of か(government of the people)◆201
http://forum.nifty.com/feng/goho1.htm
（転載終了）
「★★スレ立てるまでもない質問 Part11★★」から一部転載します。
（転載開始）
282 名前：名無し象は鼻がウナギだ！ ：03/01/26 00:20
「人民の、人民による、人民のための政治」
の、「人民の」、と、「人民による」は同じ意味ですから。
この文章は、おかしくはないですか？
283 名前：名無し象は鼻がウナギだ！ ：03/01/26 00:46
>>282
government of the people, by the people, for the people
284 名前：名無し象は鼻がウナギだ！ ：03/01/26 01:11
>>282
283を直訳すると、「人民による、人民のための、人民の“統治”」
となる。"of the people"が"government"の目的語であることに注意。
http://gengo-2ch.hp.infoseek.co.jp/q11.html
（転載終了）
http://www.google.co.jp/search?q=%E6%96%87%E6%B3%95+%22government+of+the+people%22&num=100&hl=ja&lr=lang_ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&as_qdr=all&filter=0
[1162へのレス] 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/02/11(Wed) 19:59:00
さすが１２５９さん。いろいろ出てきますね。「Democracy is the government of the people, by the people and for the people.」はちゃんとした例文でしたね。英語のサイトでもいくつか見つけましたのでこれはOKでした。あやしい例文としたのは訂正します。
このリンカーンの文の和訳は「名詞構文」と「主格/目的格の of 」の２つのポイントが理解できているかどうかのよいテストになりますね。
[1162へのレス] ひどい誤解を信じてはいけません 投稿者：山中 勇人 投稿日：2004/02/15(Sun) 00:02:22
「名詞構文とは、「述語動詞をその名詞形に変えることによって文を名詞化したもの」です。つまり、この government は「政府」ではなく「governすること＝支配すること」の意味なのです。（中略）＜動詞派生名詞 of 〜 by ...＞というパターンでは、of 〜が「意味上の目的語」を示し、by 〜が「意味上の主語」を示します。」（108ページ）こんな、リンカーンの演説を曲解したひどい説明を信じてしまってはいけません。
日本国憲法前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである」という一節があります。
これは明らかに民主主義の理念を謳ったものです。
とくに、「（A）その（＝国政の）権威は国民に由来し、（B）その権力は国民の代表者がこれを行使し、（C）その福利は国民がこれを享受する」という部分が重要です。
これはまさしく、リンカーンの演説「（A）人民の、（B）人民による、（C）人民のための政治」に対応する文言です。
端的に言えば Democracy means (or is) ‘the government of the people’. なのです。
そして、government の同意語は rule ですから、‘the rule of the people’ と言い換えることができます。対極的な例をあげれば ‘the rule of the dictator（独裁者の支配＝独裁者が支配すること）’ではないのです。
民主主義とは、ずばり、‘the government (or rule) of the people（人民＝国民が支配すること＝国民主権）’です。これだけでも十分意味が通じます。
つまり「人民を支配すること」ではなく、「人民が支配すること（システム）」が民主主義なのです。by the people は具体的には選挙制度のことですし、for the people は当然受益者を示す表現です。
リンカーンは、たった２分間程度だったスピーチを、『人民の、人民による、人民のための政治を滅びさせてはなりません』 という、レトリック豊かなしかも実に具体的なイメージのわく言葉で締めくくったのです。
リンカーンの「政治 人民の…」という言葉を聴いて「人民を支配すること」なんて解釈した聴衆がひとりでもいたとはとても考えられませんね。
「人民の、人民による、人民のための政治！」 いい表現ですよ！
Thank you.
[1162へのレス] そんなことないですよ 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/02/16(Mon) 21:27:09
このサイトを見ている人はまさか上の説明を間に受けることもないでしょうが、いちおう反論しておきます。「人民が支配すること（システム）が民主主義」と言われるが、その場合支配される人はいないということか？支配するひとだけいて支配されるひとがいない社会は想像できない。
人民が支配しなおかつ支配されるのを矛盾だと考えられているようだが、もちろんそんなことはない。人民によって選ばれた人が人民を支配していると考えればよい。代議制民主政体という。
日本国憲法を「民主主義の理念を謳ったもの」とするのはいかにもおめでたい。アメリカ合衆国憲法の理念は君主や貴族ではなく一般ピープルが支配することだが、これをアメリカが日本に与えた憲法という文脈にそくした理解をするならば、野蛮で暴力的な君主（天皇）から権力を剥奪したということです。
＞「人民を支配すること」なんて解釈した聴衆がひとりでもいたとはとても考えられませんね
君主や貴族、教会が絶対的な権力を持っていた時代に「人民が自ら人民を支配する」という理念を表明したのだから十分感動的だったはずです。
ちなみに山形浩生訳がありました。
http://www.genpaku.org/lincoln/lincoln01.html
[1162へのレス] 私も「人民の、人民による、人民のための政治」を支持します 投稿者：勝眞 投稿日：2004/02/16(Mon) 23:50:36
横から失礼いたします。
このofは目的格を表すofではなく、所有、所属、属性を表す（最も一般的な用法の）ofではないでしょうか。
government of the peopleは「（ある限られた人のものではなく）国民のもちものである政府」
ぐらいの意味だと思います。山中さんの意見にだいたい賛成です。 これはたとえば次のような表現を考えればわかると思います。
the government of the corporation by the corporation for the corporation
（国民の利益を無視して企業の利益を優先する政府を揶揄して）
the government of the rich by the rich for the rich
（金持ち層が支配の政府）
the government of Bush by Bush for Bush
（マイケルムーアが言いそう）
最後の例を見て、「Bushを統治する」とは考えないと思いますがいかがでしょう。
ちょっとだけずれますがこういう例もありますよ。同じofです。
the government of Saddam Hussein by force and violence
なつかしい感じがしてしまいますが。
[1162へのレス] 吉田さん、参考にどうぞ 投稿者：山中 勇人 投稿日：2004/02/17(Tue) 00:36:55
私がやり取りしたメールです。意味が分かりますか？ The American Plan, Hayato (though we're losing it at present due to poor leadership and public legal ignorance) was that the government be a government of the people in the sense that it would be the people who would run all branches of government (and not some elite family like monarchies or some military clique like dictatorships), that it would be by the people in the sense that we would create our government by constitutions enacted by the people themselves (and not foisted on us by others) and that the government would be for the people in that it would serve the people rather than the vested interests of a few.
Unfortunately, my people have such a blind view of what our government is supposed to be (and such powerful self-interest so that they can only see what's good for themselves individually and so have become pawns in the hands of leadership who curry the favor of the people by promising what cannot be delivered) that the vision of men like Lincoln has all but faded.
It is Jurisdictionary's hope to educate the people themselves so they may reclaim their heritage and spread the hope of Liberty and Justice to all nations.
Thank you for writing from Japan.
... Attorney Frederick Graves
... 516 Camden Avenue
... Stuart, Florida 34994
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-----Original Message-----
From: thinker [メールアドレス削除]
Sent: Sunday, February 15, 2004 2:17 AM
To: define@jurisdictionary.com; tips@jurisdictionary.com; discuss@jurisdictionary.com
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Would you please give me the specific definition or concept of each of the 3 phrases in the Lincoln's speech ―the government of the people, by the people, and for the people―?
(1) the government of the people
(2) the government by the people
(3) the government for the people
Thank you
Hayato Yamanaka from Japan
意味が分からなければ言ってください。
Thank you.
[1162へのレス] 念のため 投稿者：山中 勇人 投稿日：2004/02/17(Tue) 16:57:24
結局、Jurisdictionary の法律家の見解も私の見解も同じだった、というより「常識」を確認したに過ぎなかったことになります。念のため、薬袋善郎さんや山形浩生さんが「赤面すべき幼稚な誤解」をしてしまった箇所の Jurisdictionary の法律家の説明（＝常識）を訳出しておきます。以下の部分です。
「government be a government of the people in the sense that it would be the people who would run all branches of government (and not some elite family like monarchies or some military clique like dictatorships)」
→ 「政治は 人民の政治 であるべきで、その趣旨は（一部のエリート...ではなく）人民が政治のあらゆる分野を掌握することである」
まことに明快です！
リンカーンが演説していたとき、government of the people と聞こえてきた「瞬間に」聴衆は「人民（我ら）の（掌握する）政治」と即解したのです。さらに、後に続く文句も聞こえてくる順番に即解していったのです。
ところが、『＜動詞派生名詞 of 〜 by ...＞というパターンでは、of 〜が「意味上の目的語」を示し、by 〜が「意味上の主語」を示します』という説明は、government of the people というネイティヴならまったく疑念を持たない常識を知らなかったことに加えて、上記の常識に基づく即解性をまったく無視して 「government of... by... for...」をひとつの文法的枠の中に固定してしまい、我流の理論を構築して、演説の臨場感を無残に消し去った結果、見事にコケタわけです。
山形浩生さんも同じです。氏は（注）まで付して、念を入れたコケ方を披露しています。
吉田さんの近くにいる教育を受けたネイティヴに リンカーンの government of the people の意味を尋ねてごらんなさい。「常識」が確認されるはずです。
Thank you.
[1162へのレス] いや、そんなことないですって 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/02/17(Tue) 18:18:16
なるほど。「法律家の説明（＝常識）」ですか。法律家がこんなコメントしか出来ないとはしょうがない。私ならオーソドックスに政治学の教科書を調べます。例えば Andrew Heywood 『Politics』(palgrave社刊) を見てみましょう。「Perhaps a more helpful starting point from which to consider the nature of democracy is Abraham Lincoln's Gettysburg Address, delivered in 1864 at the height of the American Civil War. Lincoln extolled the virtues of what he called 'government of the people, by the people, and for the people'. What this makes clear is that democracy links government to the people, but that this link can be forged in a number of ways: government of, by and for the people. The precise nature of democratic rule has been the subject of fierce ideological and political debate. (...) Most conceptions of democracy are based on the principle of 'government by the people'. This implies that, in effect, people govern themselves, that they participate in making the crucial decisions that structure their lives and determine the fate of their society. (...) There are also models of democracy that are built on the principle of 'government for the people', and that allow little scope for public participation of any kind, direct or indirect. (...) Although totalitarian democracies have proved to be a travesty of the conventional notion of democratic rule, they demonstrate the tension that can exist between 'government by the people' (or popular participation), and 'government for the people' (rule in the public interest). 」（上掲書P.66-69より抜粋）
「of the people」については特に言及ありませんでしたが、「government by the people」は「people govern themselves」だとはっきりあります。
統治主体がいるなら統治される対象があって当たり前です。少なくとも政治学ではアリストテレス以来そうなっている。そんなコメントに納得していないで、「peopleが政府をつくって(create)運営する(run)のは分かったが、それでは誰が統治されることになるのか？」と訊いてみればいい。いくらリベラルな法律家氏だって「それはピープル自身だ」と答えると思いますよ。
[1162へのレス] 吉田さんの議論は支離滅裂ですよ 投稿者：山中勇人 投稿日：2004/02/17(Tue) 22:27:47
『「of the people」については特に言及ありませんでしたが、「government by the people」は「people govern themselves」だとはっきりあります』そうですね、of the people についてはまったくコメントがありません。だったら、この政治学のテキストを持ち出した理由は何ですか？
リンカーンは the government of the people で「the people's government = 権力の主体は人民である＝主権在民」であることをまず最初に言及したわけですよ。
つまり、リンカーンの演説（the government of...by...for...）は「統治される対象」についてはまったく言及していないのです。「統治主体がいるなら統治される対象があって当たり前」だからといって、the government of the people が「統治の対象が人民」であることを述べている理由にはまったくなりません。そんなことをわざわざ言わなくても the government of...by...for... だけでその論理的帰結として人民が人民自らを govern することは自明です。
リンカーンが重視したのは、先ず、「the people's government＝我々（人民）の政治＝主権在民」を強調することだったのです。
同じことを繰り返しても無駄ですから、私はこれで終わりにします。
在米の「エイブラハム・リンカーン・センター（だったと思います）」にも問い合わせをしてあります。もし返事があれば参考資料としてその原稿だけを投稿します（同じ趣旨の返事であろうことは確実です）。
繰り返しますが、教育あるネイティヴであれば、リンカーンのthe government of the people が「人民を支配すること」を意味しているなどという「常識はずれ」のことを言う人はだれもいません。そんなことをこの the government of the people というphrase から想像さえできないでしょう。
ぜひ、知人のネイティヴに聞いてごらんなさい。
Thank you.
[1162へのレス] 訂正 投稿者：山中勇人 投稿日：2004/02/17(Tue) 23:52:36
「同じことを繰り返しても」を「同じことを再三説いても」に訂正します。Thank you.
[1162へのレス] おや？ 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/02/18(Wed) 17:01:59
「論理的帰結として人民が人民自らを govern することは自明です」とあっさり認められたので拍子抜けしたが、ひょっとして私が誤解していたか？てっきり山中さんは「国民が主権者なんだから支配される人なんていないんだ」と間抜けなリベラル派のようなことを言っているのかと思って私はこれまで反論してきたが、どうも違うらしい。「人民が人民自らを govern することは自明」ならば、解釈した意味内容において私が述べてきたことと矛盾しない。誤解ついでに言えば、山中さんは私が「government of the people」だけで「人民を支配すること」を意味すると主張していると思われているようだがそんなことはない。一番はじめに引用したように、「＜動詞派生名詞 of 〜 by ...＞というパターンでは」と但し書きがついている。リンカーン演説の文脈もないところでいきなり「government of the people」の意味を訊かれたら私だって「人々の政府」としか答えようがない。
山中さんはリンカーンの演説が「...government of the people...」まで来たところで「権力の主体は人民である」と聴衆が理解すると勝手に想像しているがそんなことはないだろう。極端な例を挙げれば「I am...」を「私は存在している...」と解釈するだろうか。「...for the people」まで来てはじめて「人民を人民が人民のために統治すること」と意味のまとまりができると考えた方が自然ではないか。尤も実際のスピーチでは間を空けたりしたかもしれないがこれは今の時点からでは想像するしかない。
さらに言えば、「人民の、人民による、人民のための政治を滅びさせてはなりません」という訳文から「わざわざ言わなくても人民が人民自らを govern することは自明」と一体誰が考えるだろうか？少なくとも日本にはこのフレーズから上述の勘違いをする人がたくさんいる。また、「人民を支配すること、なんて解釈した聴衆がひとりでもいたとは」と「わざわざ言わなくても自明」は明らかに矛盾する。こちらの方がどちらかと言えば支離滅裂ではないか。
そんな訳でこのリンカーン演説の正しい訳はやはり「人民を、人民が、人民のために統治すること。（決して、貴族や君主が自らのために、人民を統治することでは無く！） このことを地上から絶滅させてはならない」になるだろう。
[1162へのレス] 吉田さんへ 投稿者：1530 投稿日：2004/02/18(Wed) 17:26:13
もう、この問題は終了しただろうと思って見てみると、まだわけのわからない反論をしているではないですか！吉田さん・・・。あなたは、自分の文章を「本当に真面目に」投稿されているのですか。また、貴重な時間を使って投稿されている（プロ翻訳家）山中さんの文章をじっくりと読まれましたか？
「人民の、人民による、人民のための政治」で、問題ありません。
山中さんがもう投稿しないと言っているので、私がお相手をしようと思いましたが、やはり疲れがドット出そうなのでやめておきます。
[1162へのレス] この件についての最終投稿 投稿者：山中 勇人 投稿日：2004/02/19(Thu) 17:44:33
送信者: "Lowell Sneller"
宛先: "Hayato Yamanaka"
件名 : Re: ALO mail: What's the meaning of the phrase 'government of the people' towards the end of the Gettysburg Address?
日時 : 2004年2月19日 3:49It probably means "arising from the people."
↑が私の問い合わせに対する返答です。
http://showcase.netins.net/web/creative/lincoln.html → この団体（ALO）はごく普通の人たちのリンカーン愛好グループのようです。
先に法律家の意見を参考にしましたが、このSneller さんの意見はごく一般的な意見の例になるでしょう。
the government arising from the people は 「人民に由来する政治」という意味になり、日本国憲法前文の「（A）その（＝国政の）権威は国民に由来し、（B）その権力は国民の代表者がこれを行使し、（C）その福利は国民がこれを享受する」という部分の（A）に符合します。
つまり、「常識」的な見解であり、先の法律家の意見とも本質的な相違はまったくありません。平たく言えば、「人民の政治」です。
なお、ネイティヴの常識に反する「明らかに間違った」しかもぎこちない翻訳をわざわざ持ち出すまでもなく、日本には従来http://www.loc.gov/exhibits/gadd/4431.html のサイトにあるような極めて正確で美しい翻訳があります。
以上、参考になさってください。
なお、誤った翻訳を掲げている人たちに対しては、再度米国のしかるべき関係諸団体及び研究者にも問い合わせを行いその回答を添付した文書を添えて、訂正を求めます。
Thank you.
[1162へのレス] 山中さんの質問の仕方に問題があります。 投稿者：中村大吾 投稿日：2004/02/20(Fri) 13:26:14
色々なNative speakerの意見をそれぞれが持ち合っても埒があかないでしょうから、
このたびの判定者をLowell Snellerに特定し、彼に次のように聞いてみると良いでしょう
(山中さんの質問の仕方では、いつまで経っても論点がかみ合いませんよ)。”Government of the peopleと言う場合、このgovernmentは、(a)「統治する行為」(act of governing)
そのものを指すのか、それとも(b)「統治するための組織」(organization for governing)を指すのか。
もし(a)だとするならば、governing act OF the peopleとそれに続くgoverning act BY the peopleの
意味上の違いが明確にならないと思うがどうか。”
Lowellからの回答が(a)であれば、山中さんの「人民の政治」で良いでしょう。「統治する行為」は
「政治」に他なりませんから。しかし、おそらく(b)だと応えてくると思います。だとすると私の
和訳の方が原文のニュアンスに近いということになります。
要するに、統治行為(政治)も統治機構(政府とか議会)も英米人の頭の中では同じgovernment
という言葉で認識される。ところが、日本人(日本語)にとっては、政治と政府は別の単語であり、
別の意味内容をもつ。その訳し分けが必要である。人民の(所有する)政府とは言えるが、
人民の(所有する)政治とは言えない。
[1162へのレス] まぜっかえさないでください 投稿者：勝眞 投稿日：2004/02/21(Sat) 00:46:07
吉田さんは、リンカンの演説中の“the government of the people”を「人民を統治すること」と解釈するべきだ、と主張され、それを山中さんは、「いや、そうじゃなくてこれは「人民の政治」のままでいいのだ」、と主張されたわけです。論点ははっきりしています。このofが目的格なのかそうじゃないのか、ということですよね。吉田さんが、自説をどう擁護し、どう山中説に反論するのか楽しみです。
[1165] 婉曲表現 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/02/13(Fri) 21:30:25
最近「...would have to be...」という言い方を何回か聞いたので調べてみた。文法通りに考えると「〜でなければならないだろう」になる。英辞郎on the webで調べてみると以下の用例が出てくる。
・ would have to say 〜と言わざるを得ない
しかし、私が聞いたのは例えば以下のような使い方である。
・ My all-time favorites would have to be Mine to Take by Dara Joy, Prince of Wolves by
Susan Krinard,
www.writerspace.com/pnrboard/messages/840.html
これを「私のお気に入りは Dara Joy の『 Mine to Take 』でなければならないだろう」と訳したのでは変だ。「〜かしらね」くらいか。
語の役割としてはただのBE動詞と同じなのだが、女性がよく使っている婉曲表現のようです。
[1151] 英語が上手な日本人 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/01/13(Tue) 03:21:39
「英語が上手な日本人」についてであれば、斎藤兆史『英語達人列伝』（中公新書）がありますね。今読んでいるのですがなかなか面白い。私の経験上、日本人にとっては「徹底的な文法の理解」の上で「多読」や「反復練習」をするほかないと確信しているが、たまに「徹底的な文法の理解」抜きで「多読」や「反復練習」のみで英語が上達できると唱える本もあって、これが日本の英語教育を混乱させている気がする。山中さんが推されるマーク・ピーターセンの本も反復練習を勧めている点で同様だと思います。尤も私はこの本を読んでいないので、「徹底的な文法の理解」をすでに前段で述べているのかもしれない。
「多読」や「反復練習」のみ本には例えばジャン マケーレブ『ネイティブ感覚の英文法 』（朝日出版社）がある。最後の章で著者の外国語学習法を披瀝するのだが、短い文章を毎日唱えていればすぐに上達できますよ、という内容だ。外国語の学習は「多読」や「反復練習」のみで良い、と見なす考え方は世界では多数派だと思う。大抵の国には日本の受験用英文法のような本は存在しないと以前渡部昇一が書いていたが、私がオランダの書店で探してもそれらしき本は無い。Cambridge出版の「Grammer in Use」のような、日本人的には文法書とは呼べないような本しかない。また、これを日本が導入したのが市橋敬三の「英文法シリーズ」だと思う。あれも品詞や文型などの日本の学校で習う「文法」とは違う。
ヨーロッパの言語（大雑把に言って）を話す人々にとって、英語を学ぶということは短い文章を毎日唱えることに他ならない。なぜなら基本的な文法の構造はほぼ同じなので、あらためて品詞や文型などを習う必要が無いからだ。そこから、「欧米で流行っている英語学習法」とか称して「多読」や「反復練習」のみでOKだとする本が増えていると想像する。しかし、日本語は英語とは根本的に構造が違うのだから、「徹底的な文法の理解」をまずしなければならない。
さてそこで私が悩んでいるのは以下のことだ。もし日本語は英語とは根本的に構造が違うから「多読」や「反復練習」のみではダメだとしたら、上に挙げたマケーレブのような日本語を自由に操る英語話者が「多読」や「反復練習」のみでOKだとしていることを説明できない。これをどうするか。
私見では、英語話者には品詞や文型などの「文法」が意識上で分節されているのに対して、日本語話者にはそれがないからではないかと思う。だから、英語話者が日本語を学ぶ時にはあらためて文法を学ぶ必要がなくフレーズ暗記だけで済むのに対し、その逆は「文法」から学ばなくてはならない、と考えているがどうか。
[1151へのレス] おっと 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/01/13(Tue) 03:24:47
上は山中さんの投稿（No.1150）の返信のつもりだったが間違えて新しいスレッドにしてしまいました．．．
[1151へのレス] 文法の理解は当然の前提でしょう 投稿者：山中勇人 投稿日：2004/01/13(Tue) 12:06:40
『ヨーロッパの言語（大雑把に言って）を話す人々にとって、英語を学ぶということは短い文章を毎日唱えることに他ならない。なぜなら基本的な文法の構造はほぼ同じなので、あらためて品詞や文型などを習う必要が無いからだ。そこから、「欧米で流行っている英語学習法」とか称して「多読」や「反復練習」のみでOKだとする本が増えていると想像する。しかし、日本語は英語とは根本的に構造が違うのだから、「徹底的な文法の理解」をまずしなければならない。』文法の習得を基盤にして、その文法を実用に活かすために、反復練習して習得した文法の知識を肉体化する必要があるということです。
数年間のうちに次々に文法の知識を詰め込むだけで、学校の授業は終わってしまうのです。必須の知識ですが、それを肉体化する時間がない。
学校または独学で得た知識を肉体化するのが「反復練習」です。膨大な時間と集中力と根気とさらに適性が
必要な作業だと実感しています。楽しめる人でないと、または強制されないと（例えば職務上）続かないのが現状です。
欧米人で日本語を習得した人たちも文法をしっかり学んでいます。
欧米の本格的な外国語の勉強は主に大学で行われます。各大学・大学院の日本語科のカリキュラムをインターネットで閲覧することができます。
もうひとつ、語彙力も巨大な壁ですね。基本語彙の運用幅と他の語彙の数が問題です。
[1151へのレス] 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/01/14(Wed) 22:42:43
「文法の理解は当然の前提でしょう」と山中さんは言われるが、専門家はいざしらず一般の英語学習者にとって文法をどれだけ理解しているかは問題がある。私がここで言う「文法」は品詞分解と文型分析（SVOC式の）のことで、「知識」というよりも「考え方」あるいは「解釈の仕方」のことだが、高校を卒業した人でこれらを問題なくこなせるという人はかなり少ないと思う。『英文法の謎を解く』にあるが、「主語と動詞が．．．」式に文型と品詞をごっちゃにしている人が大半だと思う。
なので一般の英語学習者にとって、帯におおきく「文法はいらない。暗記と反復練習のみでOK」を謳っている本は害あって利が無い。この手の本が結構目立つので一言してみた。
[1151へのレス] 英語学習の各論 投稿者：山中勇人 投稿日：2004/01/17(Sat) 14:02:45
以前にも１部を紹介したことがあり、ご存知の方も多いでしょうが、下記のサイトの記事は「何の役にもたたない抽象論」ではなく、すぐにも実践に移せるアイデアだと思います。http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000023454
[1156] 改訳 投稿者：山中勇人 投稿日：2004/01/13(Tue) 22:55:16
他の部分はさておき、最も顕著な誤訳部分のみを改訳します。Liberalism essentially springs from a vision of society as crucially composed of individuals (rather than, e.g., classes) in a voluntary, contractual relationship with government.
自由主義は本質的に、社会は徹底的に（階級とかよりも）個人から自発的に構成されており、政府とは契約上の関係にあるという社会ヴィジョンから生まれた。
「自由主義は.....政府とは契約上の関係にあるという社会ヴィジョンから生まれた」
『政府とは契約上の関係にあるという社会ヴィジョン』とは、どういう意味ですか？
「社会は...個人から自発的に構成されており」
そんなことはどこにも書いてありませんね。
「...から生まれた」
これはあえて過去形にしないほうがいいでしょう。自由主義は今も同じ源から発しているわけですから。
改訳：自由主義の淵源は、政府と自主的な契約関係にある（階級等ではない）個人を主体にして社会が構成されるべきだという理想にある。（淵源＝物事の成立以来、それを支えている本質的なもの）
Thank you.
[1156へのレス] 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2004/01/14(Wed) 22:42:03
誤訳指摘ありがとうございます。私の訳は voluntary と contractual で切ってしまったので訳が分からなくなってしまいました。この文章は以下のように３つに分けて、それぞれ前の行の最後の言葉に掛かる構造を把握しないと駄目ですね。Liberalism springs from a vision of society
- as composed of individuals 個人を主体にして構成される（→社会）
- in a voluntary, contractual relationship with government. 政府と自主的な契約関係にある（→個人）
[1150] 英語の壁」マーク・ピーターセン著からの引用（１１７ページ）と私見 投稿者：山中勇人 投稿日：2004/01/13(Tue) 00:10:10
『...英語を十分に使いこなせる日本人が実際にいっぱいいるわけだから、どうせ“日本人の英語問題”を考えるのなら、「なぜ日本人は英語が下手なのか」などと論じ合うのはやめて、「英語が上手な日本人は、どうやって上手になったのか」を考えたほうがよほど有意義だと思った...学校英語を６年もやって、そして場合によっては、受験勉強でもまた数年、大学の授業でも必修科目として単位もちゃんと取ったのに、依然としてろくに話せないといった不満を感じる日本人は確かに多い。が、そこで、話せない理由は単に「話せるようになるまで毎日自分で反復練習を続けてやったことがないから」という事実を素直に認める人は少ないようだ。なによりも「日本人だから」と思ったほうが、気が楽で、なんとなく自分の責任ではないような気分に浸ることができるのである...』私は、マーク・ピーターセンの意見に１００％賛成です。日本の外国語教育が他国の外国語教育に比べて劣っているとは思いません。むしろ優れていると思います。たとえば、アメリカのスペイン系住民に対する英語教育が効果をあげているとは言えません。
公用語でもない英語を勉強する環境が、こんなに整っている国は稀でしょう。
ただし、膨大な時間と根気が必要であり、さらに言えば、かなりの適性も必要だと考えます。
それに、英語が実際に必要な人は少ないでしょう。膨大な時間を英語の習得に費やすより他のことに精力を傾けたほうが実利も多い人が圧倒的に多いはずです。
[1145] 『入試英語ここまで』はダメ参考書だ。 投稿者：勝眞 投稿日：2004/01/11(Sun) 14:01:24
『入試英語ここまで』は、私は参考書としてほとんどまったく評価できない。
まず、この本の装丁や書き方は完全に『実況中継』のモノマネである。語学春秋社の『実況中継シリーズ』は、1985年初版発行の『山口英文法講義の実況中継』（山口俊治著）を始めとする、シリーズ物の大学受験用参考書である。これは現在も書店で平積みになるほどの人気商品でかつロングセラーである。『実況中継』は、説明文体として口語体を用いたり字体を大きくしたりするなどの工夫によって、受験参考書を「すらすら読める」ものに変えた画期的商品である。それまでの参考書は、多くの受験生にとって最後まで読みきることのできない代物が多かった。さらに『実況中継』は文体や字体だけでなく、版型や紙質などにおいても、それまでの参考書にない、この本独自のものを生み出した。『入試英語ここまで』は、このような『実況中継』が編み出した新しい受験参考書のコンセプトの上に、何から何まで乗っかったモノマネ本である。ただし、内容に関しては『山口英文法講義の実況中継』の足元にも及ばない。 さらに、『入試英語ここまで』は、例文などの多くを、他の書物から取ってきている点が問題である。本文での説明そのものは著者独特のしゃべり口で、目新しい感じもあるが、説明に用いている例文や文法的な分類（たとえば副詞節の機能的分類）に関しては、まったくオリジナリティーがない。というより著者は、代々木ゼミナールのテキストを丸写しにしたり、研究社の辞書の例文をそのまま使ったりするなど、明らかなルール違反を犯している。
またこの本は、受験生のやる気を引き出すものとは言えず、むしろ英語学習の次なるステップに踏み出していこうという気をそぐ可能性すらある。それは、著書が一貫して、自分の英語ができないのは教師や教育システムに問題があると考えているからである。英語劣等生に対して、日本の英語教育あるいは英語教師の質の低さをいくら訴えても、彼らに、英語ができないことへの言い訳を与えることぐらいしかその効果はありえず、ますます英語の勉強をしなくなるように仕向けるだけである。この本の対象読者を英語のできない受験生においているのだとしたら、このことは問題ではないのか。これが日本社会を何らかの形で告発する書であるとするならば、そういうことは一般書で行うべきである。受験参考書の（前書きや後書きではなく）本文の中で教師の悪口を言ってどうするというのだ。天を仰いで唾するようなものである。
「わっはっは。どうだ。俺はすごいだろう」という調子で書かれた受験参考書など、とても受験生に読ませる気にはならない（この本を息子さんに読ませたいという方。本気ですか？）。私はそのあまりの独善性に読んでいて何度も辟易し、途中、本の欄外に「このひと大丈夫？」とメモをとってしまったほどだ（実話）。もちろん今では笑ってやりすごすことができるが。
ただし、この本に関して個人的に評価できる点が２点ほどあるのだが、それはまた気が向いたら書くことにする。
[1145へのレス] Untitled 投稿者：バード（２２６２） 投稿日：2004/01/11(Sun) 22:13:35
バード（２２６２）です。勝眞さんへ。
＞＞（この本を息子さんに読ませたいという方。本気ですか？）
はい、本気ですよ。
＞＞私はそのあまりの独善性に読んでいて何度も辟易し、途中、本の欄外に「このひと大丈夫？」とメモをとってしまったほどだ。
そうですか。あなたも独善的ですね。
たかが、英語ではありませんか。私にはもちろん無理だが、英語を本当にできるひとは、子供たちに「これはこうだ。」と超断定的に教えるほうがいいのではないですか。
どんな方法であれ、本場の英語を教えればいいと思いますが。
教えてもらう子供にしても、はっきり断定して教えてくれた方がよいのではないでしょうか。
たかが、アメリカやイギリスで日夜使われている英語です。
英語そのものは、秘伝のような、誰かの独占物ではありませんから。
（日本英語はそうかもしれませんが。）
（了）
[1145へのレス] バード様 投稿者：勝眞 投稿日：2004/01/12(Mon) 00:23:03
勝眞と申します。「たかが英語」と言われてしまうと、話す気力も失せますが、まあいいでしょう。
子供にものを教える場合に断定的に言い切ることは必要だと思います。というよりも、断定的に言い切らない説明をした受験参考書など、およそ受験参考書とは言えませんし、そのようなものはおそらく存在しません。私は、『入試英語ここまで』に関しては、代ゼミのテキストから例文や説明を引っ張ってくるなど、参考書を作る側の姿勢としてはかなり不真面目だと思うし、売れればいい的な安易な本に感じるのです。このような本は「受験参考書」として市場に出すべきではないと率直に思います（今は絶版だからいいのですが）。こういう安易な英語本を乱発することで市場が荒れてしまい、結果的に受験生のみならず国民にとって慢性的な英語情報の過多という事態を招いていると思います。 このような私の言い方は著者にとってはもちろん面白くないでしょう。しかし、挑発的な物言いをご自身の文体的特徴とするのですから、この程度の批判は受ける覚悟でいることでしょう。言うことは過激だけど、批判は封印する、議論は一切しない、けんかは売りっぱなし。こんな人を、信頼することなんかできませんからね。
[1145へのレス] 勝眞 様 投稿者：バード（２２６２） 投稿日：2004/01/12(Mon) 20:15:58
バード（２２６２）と申します。勝眞さんへ。
勝眞さんの、今回の主張は、
１．代ゼミのテキストから例文や説明を引っ張ってくるなど、参考書を作る側の姿勢としてはかなり不真面目（な本）だと思うし、売れればいい的な安易な本に感じる。
２．こういう安易な英語本を乱発することで市場が荒れてしまい、結果的に受験生のみならず国民にとって慢性的な英語情報の過多という事態を招いていると思う。
３．挑発的な物言いをご自身の文体的特徴とするのですから、この程度の（激しい）批判は受ける覚悟でいるはずだ。
の３点と、理解しました。
３はその通りだと思います。
副島氏独特の作戦でというか、他にやる人がいないから自分でもという気持ちで、そうやっている（その気持ちと作戦内容を、私は分かるような気がしています）のでしょうが、勝眞さんのおっしゃるとおり、副島氏は厳しく激しい批判を覚悟していると思います。
批判があれば、どんどんすればいいと思います。（ただし、代替案を持っておかないと、お互い虚しくなると思いますが。）
２は、１に付随して起こる問題で、副島氏だけの問題ではないので、１の問題に進みます。
１では、前回の投稿文と読み合わせますと、
ａ．ルール違反を犯している
ｂ．本文の中で教師の悪口を言っている
が、問題のように理解しました。
ａは法的でしょうか。もしそうだったら、双方言い分があると思いますが、結局のところ被害を受けている当事者が訴えるなどの、法的処置をすればいいと思います。（私のような消費者には分かりませんし、関係ないことだと思います。）法的でないのなら、問題ないのではないでしょうか。消費者からすれば、お互いに良いところを吸収し合って、すばらしい本ができればいいなとすら、常に思っています。（無責任かもしれませんが、これが国民のためになると思っています。）
ｂは、前投稿文に、「英語ができないことへの言い訳を与えることぐらいしかその効果はありえず、ますます英語の勉強をしなくなるように仕向けるだけである。この本の対象読者を英語のできない受験生においているのだとしたら、このことは問題ではないのか。」とあるように、できない子をもっと勉強しないように仕向けるだけだということですね。
これも無責任かもしれませんが、私などは、根拠なく悪口を言っているのであれば、この人は駄目だなと判定し、確かな根拠を持って言っているのであれば、新しいものを期待する、というような判断を行うだけです。
消費者の目と言うか、国民の目といか、直感ですね。
直感としては、「日本人は学校教育で英語の勉強にずいぶんと時間をかけている。しかし、その割には上達していない。ずいぶん時間を無駄にしたのではないか。学校教育での英語教育はこれでいいのか、間違っているのではないか。」というのが、国民の心情だろうと思います。だから、一刻も早い効果的な英語教育をして頂きたいというのが、国民の偽らざるを得ない気持ちだろうと思います。
それに、副島氏はいい本はいいという、姿勢は持っていますし。
投稿文「No.1137」の投稿者「1954」さんは、アメリカに住んで、ネイティブ・スピーカーのなかでお仕事をされているようです。その人が、「「入試英語ここまで」は素晴らしい本ですね。実は私、いまだに手元において常用しております。」と言っています。だから、私の直感でもそうですが、私はいい本だろうと、思っています。
とりとめのない話になってきたようです。
結局、だから勝眞さんは、どうすべきであると、考えておられるのかが、そこのところが、愚昧の私には、いまひとつまだ、はっきりしません。
なお、投稿文「No.1132」にあるように、副島氏は、
この４冊は、受験参考書として他の追随を許さぬ画期的なものである。とりわけ、山口俊治『英文法講義の実況中継』はまったく新しい時代の英語参考書である。この本の特長であるわかりやすい英文法の解説は、従来のすべての英語参考書のレベルをはるかに抜いている。相当に年季の入った英語教育者の筆になるものだと素直に脱帽せざるをえない。
と、（確か、勝眞さんも絶賛していると思われる）山口俊治『英文法講義の実況中継』を絶賛しているということを、最後に、念のため確認させて頂きます。
（了）
[1145へのレス] ようするに「それはダメ参考書なのよ」と言いたいだけです。 投稿者：勝眞 投稿日：2004/01/12(Mon) 21:40:39
バード様
＞ａは法的でしょうか。もしそうだったら、双方言い分があると思いますが、結局のところ被害を受けている当事者が訴えるなどの、法的処置をすればいいと思います。おっしゃるとおりです。万引きをしたって、店が訴えなければ犯罪は成立しません。でも万引きはやっぱりルール違反でしょ？
＞結局、だから勝眞さんは、どうすべきであると、考えておられるのかが、そこのところが、愚昧の私には、いまひとつまだ、はっきりしません。
どうしたい、ということは何もございません。私はバードさんや1954さんたちと違って、この本を認めないと言っているだけです。
いずれにしてもこの本は絶版なので、根拠をあげて議論しようと思っても難しいですから、これ以上は申し上げません。
[1137] 入試英語ここまで 投稿者：1954 投稿日：2004/01/06(Tue) 06:32:28
須藤様「入試英語ここまで」は素晴らしい本ですね。実は私、いまだに手元に
おいて常用しております。
私は、会社での仕事のかたわら、近所のCommunity Collegeで
Windows XP Networkに関しての講義を週に２コマもっております。
本来であれば、Microsoft Active Directoryに関して教えるべき
授業なのですが、何しろCommunity Collegeにやってくるような
アメリカ人大学生はレベルが恐ろしく低い。
英語がまともに書けないんです。
それで、アサインメントを提出させるたびに、彼らの英語を直してやらない
といかんのです。
たとえば、「XXXは、Windwos XP上で動作するアプリケーションであり、、」
というのを、「XXX is runned on Windows XP」などと平気で書いてくる
学生が、クラスに最低でも２人はいます。
この学生達に、受動態とは何か？なぜrunは受動態では使えないのか？
を事細かに教えてあげないといけないのですが、なかなか納得してくれない。
そんなときに、「入試英語ここまで」をひらいては、ヒントを探して
いるんです。
もちろん、他の英語の参考書も参照しますが、それらを使って説明しても
うまくわかってもらえないことが多い。なぜなら、日本で出版されている
参考書の多くが、英語で出版された文法書をもとにしているからです。
アメリカの「落ちこぼれ」君たちは、それらの文法書は、もうすでに
読んでいる。それでもわからなかった子ども達なわけです。
ところが、「入試英語ここまで」には、日本人にしか発想できないで
あろうオリジナルな英語の教えかたのアイディアがいくつかあって
それはアメリカ人にも有効なことが多いんです。
「英文法の謎をとく」も、言うまでもなく名著ですが、「入試英語
ここまで」の素晴らしさももっと知られたらよいと思います。
[1137へのレス] 投稿者：須藤よしなお 投稿日：2004/01/07(Wed) 12:20:40
1954様すみません、私も出来が良くないので考え込んでしまいましたが
「XXX is runned on Windows XP」は間違いで、
「XXX runs on Windows XP」のほうがすっきりする、とは、何となく判ります。
何となくしか判らないから、いつまでたってもそれ以上上に行けないのか私は。
判り易く正しく説明するのは誰にとっても難しそうですが、
とりあえずrunの変化パターンは
run-ran-run
ですから、「runed」は「文法的には」正しくないですよね。「走られる」という単語の使い方も、ありえないですし。
「受動態とは何か？」等、判ってもらえるように説明しようとすると、脂汗が出てきそうな難しい説明だと思います。それを仕事でしなければならない大変さはいかばかりでしょうか。
それにしても英語を喋っているのに英語がおぼつかないアメリカ人（下層階級や学歴のない人たち？）が本当に居る、ことには驚いてしまいます。
[1137へのレス] 投稿者：1954 投稿日：2004/01/08(Thu) 08:50:32
須藤様「受動態とは何か？」ということに関しては、アメリカの学生は感覚的には理解はしてるんです。何かを隠したいときに使う、ちょっとずるい表現方法だってことを、です。
例えば、うちの子供が初めて受動態を使って喋ったのは、小学校の先生に呼びだされて一緒に学校に向かう車の中のことでした。「どうして呼ばれたの？」と聞くと、「John was kicked.(punchedだったかな？）」と答えたのです。誰が蹴ったの？って聞くと、しょうがなさそうに「......I did it....」。
つまり、うちの子は自分が蹴ったってことを隠したくて受動態を使ったわけです。
他の家庭の親御さんも結構同じような経験をしてる。子供がもじもじしてやってきたので、「どうしたの？」って聞くと、「花瓶が壊れたの」って言う。もちろん花瓶はひとりでに壊れたのではなく、子供が壊したんです。これも、「自分」が花瓶を壊したことを隠したくてわざわざ受動態を使って喋ってるわけなんです。
受動態を使う理由はこれ以外にももちろんあって、例えば技術英語の世界では「あるパラグラフをある主語で始めたら、そのパラグラフを終えるまでは主語は変えてはいけない」という鉄則があります。これを守るために、しょうがなく受動態を使用することはあります。でも、基本はやっぱり、何かを隠したいってのがその心根にある気がします。
以上のようなことはアメリカ人は感覚的に理解はしてます。
ただ、残念なことに、あまりちゃんとした教育を受けていない子ども達は、自動詞とは何か？他動詞とは何か？そのどっちで受動態が成立するのか？をきっちりと教えてもらってないんですね。また、動詞の活用に関してもかなりいい加減です。
#このあたり、日本の学生さんとは全く対象的といえますね。日本の留学生さんは
#アメリカ人に比べて受動態を多用する傾向にあるんですが、受動態で書いておき
#ながら、最後にby 〜って動作の主体がちゃんと書いてある。これはずっこけます。
#何も隠したいことがないなら、最初から能動態で書けよ！って心の中で突っ込み
#をいれることしばしば。文法的にはあってるし、活用も正しいんですが、読んでて
#体が前につんのめっちゃうんです。。
XXX is run on Windows XP. という文章のどこがまずいか？と言えば、「誰が（何が）XXXを走らせているんだい？」と考えたときに、その「誰（何）」が存在しないという点にあります。プログラムというのは、今は（つまり、昔は違ってたのですが）それ自体、自走すると考えられていますので、自動詞を使って XXX runs on Windows XP.とするのが正しいとなります。
ただ、ここが英語という言語の持つ柔軟さというか弱点なんですが、じゃ、XXX is run on Windows.が絶対に違うのか？というと、そうでもないんですね。例えば、Windowsを立ち上げると、自動的に起動して、バックグラウンドでずーっと人知れず動作してるようなプログラムがあったとすると、これは is runで表現してもあまり問題ではないわけです。じゃ、どこからrunsで、どこからis runか？はなかなか切り分けにくいんです。
コンピュータのマニュアルなどを書いているテクニカルライターは、この英語語源の単語の持つ「あいまいさ」が気に入らず、なるべく一意で読者の誤解を引き起こさないで済む「外来語」を使用するようにしているようです。英語のコンピュータマニュアルを読むと、いわゆる「英語」はあまり使われていないことがわかります。ライターの中には、英語でうまく書けないときは、フランス語やドイツ語などで書いてから英語に訳す人もいるほど。私はドイツ語もフランス語もさっぱりなので、その効用はわかりませんが。
最後に、英語が読めない・書けないアメリカ人の件ですが。
英語が読めない、書けないというアメリカ人は普通にたくさんいて、それはアメリカの学校のシステムを知ってしまえばあまり不思議なことではないんです。
例えば、アメリカの学校にはプールがありません。このため、アメリカの子ども達の多くは泳げません。日本では、たいていの小学校にプールがあり、泳げないと恥ずかしいと感じてしまうものですが、アメリカの学校はこの点で大きく違います。アメリカでは、泳げなくてもそれはあたりまえだし別に恥ずかしいことではないんです。
自分の子供を泳げるようにさせたいと思った親は、水泳教室に通わせるわけです。そこには、「腰さえいためなければ、オリンピックも夢ではなかった」なんていう講師がいて、徹底的に鍛えてくれます。こうして、アメリカの学校の子ども達は、全く泳げない子供と、恐ろしく上手に泳ぐ子に別れていくわけです。
また、アメリカの学校の多くには、オルガンやピアノがありませんし、一人一人が縦笛を持つということがありません。アメリカの小学校の音楽の時間というのは、（少なくとも私の子供が通っている学校では）先生がアカペラで一回曲を歌い、その後子ども達が真似をして歌うだけなんです。音程もスピードも歌詞もみんなばらばら。他の子が歌い終わっても３０秒くらい一人で歌いつづける子供もいる始末。このため、アメリカ人の多くはひどい音痴です。
じゃ、全員下手か？というと、クラスに何人かは音楽教室に通っている子供がいて、この子らは「American Idleにでればデビューできるんじゃないの？」っていうくらいに上手い。彼らは、音楽教室で「喉さえいためなければ、オペラのステージに立っていた」なんていう講師に徹底的に鍛えてもらってるわけです。
英語も同じですね。一流大学に入る子ども達は、きちんと教育されていて完璧な言葉を喋り、書きます。さすがに、学校内での英語力のばらつきは、音楽や体育のそれと比べればそれほどでもないのですが、それでも歴然とした差があり、日本での「国語ができる子供」と「できない子供」の差など無に等しく感じるほどです。
私が週に２回会っているのは、残念ながら鍛えてもらえなかった子ども達なんです。
実は、夕べも宿題の採点をやったのですが、中に全て大文字で書いたレポートがひとつあって、これは読むのに往生しました。子供の頃からずっとそうらしくて、小文字が書けないんだそうです。その上、字が汚くて、文法がめちゃめちゃ。これ、地獄ですよ！
ちなみに、このCommunity Collegeの講師という職業、こうして徹夜で採点をして授業の準備をして、それで時給は１３ドルです。
月の手取りは日本円で１万円にいくかいかないか。ほんとに、ボランティアのような仕事です。
自分で言うのもなんですが、これで良い講師が集まるわけがない。恵まれない子ども達は、どこまで
いってもとことん恵まれないんだな....ってのを実感する毎日です。
[1137へのレス] Untitled 投稿者：バード（２２６２） 投稿日：2004/01/10(Sat) 11:20:38
バード（２２６２）です。「1954」さんへ。
受動態のこと、よく分かりました。主語（主体）を隠すのがその主たる機能ということ、全く知りませんでしたが、よく分かったし、大切な認識だと思いました。また、アメリカ学校事情などもよく分かり、私にとって非常に有益でした。
どうも、有難う御座いました。
又何かあれば、英語やアメリカのことを教えて下さい。（了）
[1132] 『入試英語ここまで』から引用します 投稿者：須藤よしなお 投稿日：2003/12/31(Wed) 10:52:31
副島隆彦が予備校教師時代に書いた受験参考書『入試英語ここまで』（1988年11月1日刊、JICC出版局）のまえがきから引用します。
この中で『試験に出る英単語』（森一郎・著）と『英文法講義の実況中継』（山口俊治・著）が非常に称揚されています。今の大学受験にも通用するかどうか検証してみるのも面白いでしょう。
（転載はじめ）
■ 受験英語参考書ウオッチング
私は銀行員をやめて、小説のようなものを書きながらしばらくブラブラした後、代々木ゼミナールで英語を教えるようになって、今年で３年になる。
私が受験勉強をした頃から、すでに１０年以上がたっていた。この間に私は、受験英語の一切をキレイさっぱり忘れていた。このことは世の中の大人たち全員に言えることである。
君たちだって、まんまと大学に人ってしまえば、受験英語なんかほとんど忘れてしまうのだ。この国の英語教育というのは、実にミョーなのだ。英語の勉強ということに関しては、この国はとんでもない国だ。と私は本当にそう思う。
私が受験生であった頃は、いわゆる堅くるしい『英文法研究』のようなもの以外では、以下の本が標準的な受験参考書だった。
×１．原仙作『英文標準問題精講』(英標)(１９３３年、旺文社)
×２．西尾孝『実践英文法』（１９６７年、日本英語教育協会）
×３．赤尾好夫『英語基本単語集』（豆単）（１９４２年、旺文社）
今では、これらの本は見る影もないが、私はすでにその頃から、これらの本に疑問を抱いていた。ちょうどその時期に出現したのが
◎４．森一郎『試験にでる英単語』(１９６７年、青春出版社)
◎ 〃 『試験にでる英熟語』(１９６８年、青春出版社)
◎ 〃 『試験にでる英文法』(１９７１年、青春出版社)
◎ 〃 『試験にでる英文解釈』(１９７２年、青春出版社)
の４冊の受験参考書であった。
私はむさぼるようにこの４冊を読んだ。そして、この４冊をおのおの３回ぐらいやった記憶がある。通称『でる単』『でる熟』はかれこれ１０回ぐらいやったかもしれない。したがって、私の場合ははじめから森一郎主義者である。
そしてこの流れは今でも続いている。諸君も多かれ少なかれ『でる単』『でる熟』のお世話になっているはずである。
私は、高校生の頃までに、高校の英語の授業――私の場合は九州の県立の進学枚だったが――そこの教師たちの能力の程度など、こんなものかとバカにしていた(すでに受験制度の「だまし」の部分を見抜いていたと言おう)ので、相手にしなかった。今でもこの考えに変わりはない。
そういうわけで、以来ずっと私は、ひそかに森一郎の熱心な支持者である。プロの現役の予備校の教師として言わせてもらうが、その内容の正確さと問題量の豊富さで、いまだに森一郎の本の右に出るものはない。
１０年ぶりに、受験世界に舞い戻ってみて分かったことだが、森一郎『でる単』のすでに１４４５刷('８８年６月５日現在)、少なく見積っても１千万部突破の大ベスト・セラーのこの実力を見よ。そしてこの波は今でも少しも衰えを知らない。さすがに、福原麟太郎門下の英語学に連なる人だと思う。森一郎『でる単』が３０代以下の日本国民に与えた影響は本当は大変大きいものなのだが、出版業界をはじめとして日本の知識業界は、この本を「受験もの」扱いして日陰ものにしている。なにしろ、この本の存在自体が、大きな意味では、研究社を筆頭とする日本教育英語学に対する一般国民の側からのもの言わぬ批判なのだ。
「森一郎の本はもう古い」というのは本当か？
ウソだと思う。そんなことはない。実質的にその内容から考えて、１０年前も今(’８８年)も、日本の入試英語は少しも変わっていない。
長文問題が毎年少しずつ、ジワジワと長くかつむずかしくなっているという感じがあるだけである。だから森一郎の本で、今でも十分間にあうのである。
それでも、多少は古びていないか？
そうかもしれない。『でる単／でる熟』を除いては他の本たちは、もう今の時代のフンイキに合わなくなっているのかもしれない。
そこで書店の受験参考書を見まわしてみると、高梨健吉『総解英文法』(１９７０年、美誠社)というようなやたらと細かいだけの、教師向けとしか思えないクダラナイ本たちの中で、現在の受験参考書のチャンピオンは以下の４冊であることが分かる。
△５．伊藤和夫『英文解釈教室』(１９７７年、研究社)
◎６．山口俊治『英文法講義の実況中継』(１９８５年、語学春秋社)
○７．井川治久『マル秘英語暗記するだけ』(１９８５年、新声社)
△８．徳重久雄『徳重の英語のポイント集part１』(１９８４年、代々木ライブラリー)
この４冊は、受験参考書として他の追随を許さぬ画期的なものである。とりわけ、山口俊治『英文法講義の実況中継』はまったく新しい時代の英語参考書である。この本の特長であるわかりやすい英文法の解説は、従来のすべての英語参考書のレベルをはるかに抜いている。相当に年季の入った英語教育者の筆になるものだと素直に脱帽せざるをえない。
では、私のこの本では何を皆さんに教えるのか。そのことを悩み続けてやがて１年が過ぎた。当面、皆さんは５，６，７，８の本をしっかりと勉強すればよいのではないかと思ったからだ。私の出る幕ではないなと思った。
もし、私の本が受験生にどうしても必要であるとすれば、それは受験英語でもがき苦しんでいる、あんまり英語の点のよくない受験生に英文法の根本を、もっともっと分かりやすく、かつ最低限どういう重要事項を、どれだけの量、どのように勉強することが受験勉強なのかということをザックバランに書いて、入試用の英文法の理屈はこういうふうになっているのだということを、実感で分かってもらおうということだ。
したがって、私の本は、本当に偏差値５０前後の人たち(すなわち皆さん！)を対象にして、皆さんの本当の本音の苦しみをしっかりと受けとめて、それにガップリ四つで答えていきたい。
この本は、まず何よりも「何を、どれだけ、どういうふうに、勉強するか」という本である。
「勉強」というのは、ようするに理解してそして覚える、ということだから、最後は丸カジリに頭から丸暗記しなければならないのである。「どういうことを、どれだけ覚えたらいいのか」という本である。その範囲から先はもう要らない。捨ててしまえ。たった１年間の勉強でどうせ覚えられるわけがないじゃないか。自分で自分をそんなに苦しめてはいけない。なんでもかんでも覚えさせようとする今の受験ものに対して、私は刃向うのだ。この一点では、上記の４冊のレベルを冗談抜きで超えて、本当に受験生に役立つものにしたい。
そこで次に上記４冊のベスト・セラーの欠点も述べておきたい。
５．伊藤『英文解釈教室』は、偏差値６５以下の人は手を出してはいけない。やってもどうせ、わけがわからないでウンウンうなって、１０時間やっても３ぺ一ジしか進まないというような難物である。そもそも、この本は東大受験生以外はやってはいけない。早慶以下、中堅私大の受験生や地方国立大受験生もやってはいけない本だ。
なぜなら、早慶の入試問題の傾向は、『教室』など無視しているし、『教室』自体も早慶を相手にしていない。出題形式がハナから全然違っているのだ。受験生はどうして、こういうあたりまえのことさえ知らないのだろうか。情報に敏感な、センスのよい東京の受験生なら、こんなことはとっくに知っているよ。
この本は長文解釈の英文和訳の高度な技術をつめこんだ本であり、もともと、東大の入試問題作成担当助教授たち自身さえが「駿台」時代に伊藤和夫の教え子だったというような密通関係の上になりたっているのだ。
伊藤和夫的な和訳の訳例は、手堅くビリでなんとか東大に受かるための、最低合格水準を示す和訳技術なのである。もっと本物の秀才たち、どういうわけか和文訳のうまい、生まれながらに頭のいい受験生は、サラサラともっとうまい訳をやってのけるに決まっている。大変な苦労をして、何百時間もかけて君たちが『教室』を読む必要がはたしてあるのか。
６．の『英文法講義の実況中継』。この本は、偏差値５０から６０ぐらいの人たちにぜひ薦める。この本は実に大変な本である。
７．の『マル秘英語暗記するだけ』は、若い著者が、自分の受験勉強の整理ノ一トをまとめたもの、という形をとっている。代々木ゼミナールの教科書と、森一郎の本の影響を色濃く受けているよい本である。
めんどうな理屈抜きで、とにかく暗記式で単語・熟語を覚えていくことによって、なんとなくセンスのよさで、志望大学に受かっていく人に最適である。
８．の『徳重のポイント』は、早慶一本やりに絞り込んだ、英語がかなり好きで、かつできる人たちがすでに持っている本である。'実力で合格していく人々がチェック用に使うのには最適の本である。
しかし、この本に現役の３年生や、偏差値６０以下の人たちがとびついて、（ ）穴埋め問題の答えを次々に暗記していったとしても何の役にも立たない。英語の基礎ができていない人たちにとっては、かえって有害な本である。内容に統一性がなく、ただ難問の落とし穴のような問題が並べてあるだけだ。典型的な「語法」「構文」主義者の本である。
『教室』と同様で、偏差値５０の人が手を出したら、ただヤケドして何か月か貴重な勉強時間を無駄にするだけの本である。
以上の４冊に比べて、私のこの本は本当に英語ができない人、にがてな人、これまで、ろくな教わり方をしてこなかった人向きである。この本は、最低限度の超重要文法事項の説明しかしていない。そして、最低これだけの超重要文法事項だけは分かって下さいよ、という趣旨で書かれている。
この本は９０年代の受験英語の流れを変える水なのである。諸君、心して読むがよい。そして、諸君がサラサラと流れるような早さでよどみなくこの１冊を読み終えたら、必ず読みながら気になった何箇所かを再度調べたくなって、もう一度この本をめくり直すだろう。そうしたら、君は腹の底から湧きあがるような感動を覚えるはずだ。そのとき君は、この国独特の変てこりんな入試英語に勝利するのだ。
蛇足だが、伊藤『教室』の読みすすみ方は、じつは簡単だ。「ファミコン攻略本」的に読むのである。解説すれば次のとおりである。
あの本の中の難解きわまりない英文の例文にまともにぶつかっていこうとしないで、まず日本語訳のほうを先に読んでしまえ。それからその日本文の文意にそって、前に戻って英文のほうを読むといい。“なーるほど”と思ったら、それをもう一度繰り返すとよい。
「英文解釈」の勉強のしかたを教師のほうから暴いてみせると、こういうことなのだ。まず、答えの日本文を読む。それから英文を読んで、その次に解釈を読む。じつは、この指摘は受験英語業界の、教える側の内幕をアカラサマに暴露したことに等しい。これ以上は書けない。
もし、あなたが予備校にも行かない独学者で、しかも英語が超ニガテの人であるならば、最後に、私のこのアドヴアイスに従ってみて下さい。森一郎『でる単』『でる熟』、この２冊だけを数か月かけて２０回まわしてごらんなさい。英語に関しては、自分が受けたい大学の過去の本番の入試問題集(=赤本、教学社)をコツコツと解く以外には一切手を出さずに。
たったそれだけで、偏差値６０まではいくよ。２０回、しつこく毎日毎日３００語ぐらいずつ、繰り返しやりさえすれば、たいていの大学には受かるんだよ。これは本当の話だ。『でる単』『でる熟』の威力に気づかない人は、無知というよりもはや不幸だ。
もっと言えば、長文英語問題を自分の力だけで読解し、かつ文法事項をうまく整理したかったら、『でる単』の巻末の索引を辞書がわりに使って、つまり『でる単』と辞書だと思って、それだけで勉強するとよい。『でる単』は見だし語だけなら１４００語しかない。そして、『でる熟』の熟語・構文も１４００個。しかしこれだけをきちんと覚えきったらたいしたものだ。『でる単』１４００語を覚えることを中心に受験勉強をやるとよい。それだけで十分だよ。単語帳に関してあれこれ言う人がいるが、『でる単』以降は、すべて『でる単』の品性卑しい真似本の域を出ていない単語帳だけなのだということを、はっきりとここで指摘して、その著者たちと出版社たちに対してもクギをさしておく。
それから、『でる熟』の１４００個の熟語を、死ぬ気になって１０回繰り返してやる。そうすると、文法問題の５割は、自然に正解が出るようになるだろう。そしてあと足りないのは、「立法の理屈」だけだ。
だからそれは『でる文法』をやればよい。ということになると思ったらそういうわけにはいかない。『でる文法』の解説は不親切なぐらいに少ない。だから偏差値６０以下の人は、この種の文法問題集に手を出してはいけない。はじめから『文法問題集』を１冊何としてもやりとげるという固い決意のない人はやってはいけない。絶対にやってはいけない。ふつうの能力だったら、１冊しあげるのに２００時間ぐらいかかってしまうからだ。
だから、「文法の理屈」が分かるための最小限度必要なものを、私のこの本で勉強すればよいのである。「文法の理屈」の根本は、この本をじっくり考えながら繰り返し読み直せば、それで十分なのである。
次に、覚えるべきものと覚えてはいけないもの。すなわちサッと読み流して、いちおう分かったことにして、どうせ、君たちはすぐに忘れるから「忘れるなら忘れてしまってよい」という覚悟でやるのだ。そして、この覚える・覚えないの区別の基準をどこに置くかというのが問題となる。
この本の主眼目は、ありていに言って、たったこの１つの事を知っているだけで、金額に換算して５万円ぐらいのものだろうと私が考えている、１個５万円クラスの値段のするたった３つの超重要文法事項と、１個１万円クラスの重要事項７，８個だけに限定して、詳しく解説することである。
したがって、言ってみれば３千円クラスの「重要構文」とか、１個４００円ぐらいしかしない最重要単語については、残念ながら続刊予定の私の『熟語構文集』に譲らねばならない。ちなみにふつうの単語を１個覚えたら１００円ということである。君は、１個１００円の単語や熟語を覚えるのと１個５万円の事項を理解するのと、どちらが大切だと思うか。
（転載おわり）
[1132へのレス] 須藤様へ 投稿者：府川雅明 投稿日：2004/01/01(Thu) 01:46:45
この件の書き込みを待っておりました。ところで、高橋がなりが５億円を出資したとされるテリー伊藤監督の映画「あー一軒家プロレス」は、どこに消えたのでしょうか。
[1132へのレス] 福原麟太郎先生のこと 投稿者：須藤よしなお 投稿日：2004/01/05(Mon) 03:22:39
府川様有難うございます。お返事が遅れました。
「あゝ！一軒家プロレス」というのは、コレのことですね。結局上映してくれる映画館が見つからなかったとか、出来が悪いと判断されてお蔵入りになったとか。。。でしょうか。（転載開始）
アダルトビデオ（ＡＶ）メーカーの最大手「ソフト・オン・デマンド」社長で、日本テレビ「￥マネーの虎」でも知られる高橋がなり氏（44）が、映画界に挑戦状を叩きつけた。高橋氏の企画・製作で、同社が製作費３億円、宣伝費２億円を投じる「あゝ！一軒家プロレス」（監督久保直樹）がこのほどクランクイン。主演はプロレスラーの橋本真也（38）、ヒロインには映画初出演の歌手・ソニン（20）が抜てきされた。
（転載終了）
・引用元ＵＲＬ
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/kiji/2003/10/17/01.html
追記：「No.1132」の記事の中で触れられている福原麟太郎氏について少し調べてみました。
（転載開始）
福原麟太郎（ふくはら・りんたろう）
英文学者・随筆家 （1894〜1981）
福山市宮前町に生まれる。福山中学校（現・福山誠之館高校）を卒業後、東京高等師範学校（現・筑波大）英語科に進学。東京文理科大学教授となり、のち、長年にわたって日本の英文学界をリードした。また、数多くの随筆集を刊行し、英国風の随筆文学を日本の風土に開花させた。
（転載終了）
・引用元ＵＲＬ
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/bungakukan/jyousetu.htm
（転載開始）
福原麟太郎先生のこと 東城眞造《福山大学学報》
89号 平成13年7月14日 【研究余滴】欄
福原麟太郎先生の名前を初めて聞いたのは,私の高校時代に講演に来られた時のこと
であろう。もう何十年も前のことになるが,松永高校(以前は松永駅のちょうど南側にあった)の生徒のときである。どんな話をされたかはまったく覚えていないが,全校生徒が講堂に集まって聞いた。話が決してうまいとは思えなかったが,とつとつとした話し方で,しんみりと聞いたことだけは覚えている。
後になって,郷土出身の偉い英文学者であることがわかった。沼隈郡神村(現在の福山市神村町)の赤壁という所に生まれ,幼少の頃をそこで過ごされた。お剣さんのお祭り(今津町の高諸神社のこと)にも行って,線香花火を買ってもらったことなど,自著の中で懐かしく思い出しておられる。中学は県立福山中学校(現在の誠之館高等学校)へ,松永から福山まで汽車で通学された。
福山中学校の時代に,先生の先輩に,元警視総監,丸山鶴吉氏(現在の日本はきもの博物館」館長の先々代)や,元文部大臣,森戸辰男氏などがいた。後輩には小説家の井伏鱒二氏などもいたようである。また,福原麟太郎先生のご尊父,福原甚之助氏も村長などをされた立派な人で,神村町の八幡神社の境内(大成館中学校の隣)に石碑があり,中学校の頃よくそこで遊んだ。また一度行ってみたいと思っている。
英語塾を開くようになってからか,あるいは英語の教師になってからだったろうか。私の父がよく「フクリン」「フクリン」(もちろん,福原麟太郎先生のこと)と言って,福中時代のことを思い出して話してくれた。父は遊び大将で悪であったが,福原麟太郎先生はよく勉強ができるので有名であったと,同級生であることを自慢していた。
また,私がかつて英語塾をしていた頃,塾の雑誌に,それも先生のことはよく知りもしないのに,先生の「読書の楽しみ」という文章を巻頭言に載せたことがある。塾生の中に福原麟太郎先生の親戚のお子さんがおられて,それを先生に見せたら,笑っておられたと話していた。穏やかな福原先生のお人柄がうかがえる。『福原麟太郎全集』(全12巻)が,研究社から昭和44年に出版されているのを見ても,偉大な研究業績であり,今さらながら敬服するばかりである。
一昨年,英国へ留学した時に,ロンドンの詩人の跡を尋ねて回った。Thomas Grayの生誕地Cornhillにも行った。福原麟太郎先生の大きな業績の一つに,そのThomas Grayの『墓畔の哀歌』という詩の研究があるが,その舞台となったイートン校の周辺にも,今度行って,福原先生の落ち穂でも拾ってきたい。
さて,私も二十数年,四国学院大学で教え,今年の4月から故郷の福山大学でお世話になる
ことになった。それはまるで,長い演奏を終えて,いったん幕が下ろされ,アンコール(?)に応え,再び舞台に現れて短い小曲を披露するカーテンコールのようなものである。私のエッセンスのすべてを,この福山大学の学生にできる限り教えたい。
Life can be beautiful
の信念を持って。感謝。
（人間文化学部 人間文化学科 教授）
（転載終了）
・引用元ＵＲＬ
http://www.fuhc.fukuyama-u.ac.jp/human/jpn/essaytojo.htm
今年も宜しくお願いします。
今年こそは私も本格的に英語を勉強したいと思います。
須藤よしなお 拝
[1132へのレス] 須藤 様 投稿者：府川雅明 投稿日：2004/01/05(Mon) 22:22:45
あー！一軒家プロレス の件、情報をありがとうございました。テリー伊藤は監督でなくて、プロデューサーでしたね。これまでの映画の約束事をぶちこわしたいということで、冒頭にいきなりクライマックス・シーンを持って来たり、ヒーロー役には、興行的にほとんど成功したためしがないというジンクスのあるプロレスラーを抜擢し、クランク・インの前にテレビ・コマーシャルを打って宣伝するなど、（コマーシャル用のカットしか撮影していない）鳴り物入りで話題をさらいましたが！？、１０本打たれる予定だったテレビ・コマーシャルが全く流されていないので、一体、どうなったのかと思っていました。
今年もよろしくお願いします。
[1132へのレス] 須藤 様 投稿者：バード（２２６２） 投稿日：2004/01/06(Tue) 22:15:46
バードと申します。ここへは初めて投稿させて頂きます。よろしくお願い致します。須藤様、副島隆彦著『入試英語ここまで』のまえがきを、掲載して頂き、有難う御座いました。
まえがきの文章も刺激的で良かったですが、この本の存在を、お陰様で知ることができました。
なかなか良さそうなので、子供のために入手したいと思い、古本を探しましたが、見つかりませんでした。
『道具としての英語』はちらほら見つかっていますが、『入試英語ここまで』は全く見つからないですね。もっとも、ほんのちょこっとしか探していませんが・・・
もし入手できそうなサイトを知っていれば、教えて下さい。
『道具としての英語』は、以前に吉田(Y2J)氏が掲載してくれていたので、これも良さそうだなと思っていました。そしてたまたま古本で「基礎の基礎」を見つけました。
子供は英語が余り芳しくなさそうで、少しは心配していたので、年末に購入し、子供に与えてみました。押し付けられたと思ったのか、学校の教科書や参考書があり読む暇なんてないと思ったのか、少しいやそうにしていました。（子供は高２です。）私は構わず、「副島隆彦という人は、何でも良く知っている、お父さんが知っている限りでは日本一の先生なんだよ。」と言って与えました。
最近、その本はどうだと聞いてみると、「分かりやすくて良い」と言っていました。勉強はかなり進んでいるようでした。
お正月に「表現編」が見つかって、購入したところです。これは、「英作文用」かつ「英会話用」のようですね。子供に「こんな本が入手できたけど、要るかな。要らなければお父さんが読むから・・・」と聞いたら「欲しい。読みたい。」と言っていました。（私も本当は読みたいのです、もっともなかなか時間がとれませんけど。）
ということで、子供の英語勉強に弾みがつく気配が出てきており、英語に食い付くようになっており、うれしく思っています。
副島先生の本の良さは、単に受験英語に終わらない、生きた英語を語っているところなのでしょう。
この本によって、もし子供が生きた英語に出会えたならば、こんなに安いお金でそれができるなんて、夢のように不思議に感じます。
今のところ、その可能性を感じています。本文をちらっと読みましたが、これらの本にその力を感じます。私などは、武者震いしながら？、霊感のようなものを感じながら、読む感じです。
もしいい結果が出ましたら、また報告します。（悪い結果であれば報告はしません。）
もしいい結果が出たら、言語そのものに強くなるということだから、また思考は言語によって完成されるということですから、本人は自信がつき、堂々と素直に生きる生き方を身につけるかなと、夢見ています。（特にひねくれている訳ではありませんが、ひねくれマスコミとひねくれ学校の影響で、完全に素直という訳には中々いきません。）
以上、ナーバスな家庭内の話で、済みません。いい結果が出てから書けば良かったかもしれませんね。私もちょっと恥ずかしいです。家庭内のことをちょっと書きすぎたかもしれませんね。失礼しました。（了）
[1132へのレス] 投稿者：須藤よしなお 投稿日：2004/01/07(Wed) 15:49:18
バード（２２６２）さん『入試英語ここまで』は16年前の受験用参考書なので、現在は余程の幸運に恵まれない限り入手不可能です。
副島流英文法の研究成果は、そのエッセンスは『英文法の謎を解く』（受験生向けではなく、この本はむしろ、大学生アルバイトの塾の講師などの、教える側とか、その他教養人の大人向けだと思う）に引き継がれています。受験用英文法の勉強ならば『英文法講義の実況中継』（山口俊治・著）が凄く賞賛されているので、この本で足りる、でしょう。
しかし私にとっては学生時代は『英文法講義の実況中継』でも多少難しくて、敬遠してしまった覚えがあります。
その点『入試英語ここまで』は、内容の充実では『英文法講義の実況中継』に及ばないでしょうが、内容はさらに初歩的な事項に絞られています。それに何しろ、現在にも通じる、面白く読ませる話芸では、『実況中継』などよりも卓絶しているので、相当の劣等生でも最後まで勉強できる可能性があります。かつ、日本の英語受験業界の本質は、この本が出た16年前と比べて少しも変化していないのではないか、という疑念を私は持っています。だから今でも『入試英語ここまで』には価値が残っているのかも知れません。
多少心配なのは、現在の「ぼやき」のように、全編に渡って歯に衣着せずに本気で怒ったり本当の内情を書いたりしている文章の書き方です。私はこうしたは書き方に、最初圧倒され、今は「うわ、また激怒してる」と笑えるくらいになりまして、要するに正直さが感じられて好きですし慣れているのですが、「副島隆彦が嫌い」という、最初から合わない人には合わないもののようです。
ましてこの本は、対象年齢が16,17,18歳の少年少女なので、こういう文章を読んで面白く感じるのかどうか判りません。私はもう高校生とは感覚が断絶してしまっていますし、でも、お子さん相手に本気にならなくてもいいのになぁ、と思います。以前、副島隆彦がしらふで猫に挨拶しているところも見ましたが、どうも副島隆彦の脳内では相手を区別したり差別したりする価値観や機能が無いのではないか。
でも子供をそんなに莫迦にしてはいけない、のでしょうか。我々の手による独自復刊などは、予定はありませんが、行なうかもしれません。売れるかどうか見極められないので、検討中でずっと棚上げ中になっています。
ところで私は受験参考書には怨みつらみが結構ありまして、
もう少し早く「記事No.1132 」の文章に出会って『英文法講義の実況中継』に注目して、もっと本気で勉強していたらよかったのに、と日夜ふつふつと怨みを再燃させています。
私が受験期間中ずっとしがみついていたのは、色々な経緯で色々な人々から薦められた
×中原道喜『基礎英文法問題精講』(旺文社)
でした。『基礎』という言葉に見事に騙されましたが、アマゾンのレビュー等を見ると
（一部抜粋開始：アマゾンのレビューより）
・はっきり言って、この本は難関大受験者が１年の早期に英文法をおわすためか、一通りやった人が確認のための基礎ようとして使うかである。
・使用をお勧めしない人
英語が苦手だ･･･暗記が苦手だ･･･。詳しい説明がないと駄目だ･･･。
・これから勉強を始める人には必ずしも向かないが、
一度きちんと文法を学んだ人にとって、
これほどコンパクトでかつ網羅的な参考書はない。
（一部抜粋終了）
・上記引用元URL
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/401031477X/249-2716612-8195542
という、「基本的なことの判った上級者向け」だったようです。道理で、いくらこの本で覚えようとしても、理解した気がしなかったはずです。本当に、頭の良い人というのは、頭の悪い人間のことを少しも判ってくれません。頭の良い連中は、アルルさんとか、はなから授業を莫迦にして英文小説なんか読んでいたらしいですから、ほんとにやな奴です。でもこういう人は参考書などにあれこれこだわりませんし、本当に怖いのは半端な人から間違った知識を伝えられることでしょう。
とはいえ、私は英語の偏差値は最後にはそこそこ行っていました。文法のことが判らなくても「何となくコチラのほうが正しそう」で解いていました。国語も良かったし、３教科の内で世界史だけが悪かったのさ。。ふんだ。
PS.『道具としての英語』で思い出しました。私は未だ見ていませんがミュージカル映画で『メリー・ポピンズ』がありました。勉強に使えたらいいですね。
[1132へのレス] 投稿者：平山健治郎 投稿日：2004/01/09(Fri) 14:56:50
平山健治郎と申します。時価主義会計のことで一度他の掲示板に投稿したことがありますが、この掲示板は初めてです。懐かしくなってつい投稿してしまいました。
伊藤和夫『英文解釈教室』を受験生の時は愛用していました。改定版も最近買って持っています。これがでるまで、研究社のたしか山崎貞とかいう人のやたら練習問題が多い「英文解釈の研究」とかいう本が幅をきかせていました。同じ著書の「英文法」何ていったいなにを言いたいのかさっぱりわからなかった覚えがあります。「教室」の説明で日本英語の「熟語構文」（たとえばsuch〜that)にとらわれ過ぎなくていいということがわかりました。副島先生の言う訳文から入るという効率的な読み方は考えつきませんでしたが、例文と訳文を対比して読み、少ない練習問題を辞書なしで和訳するという使い方でした。その後、英語がすごく伸びたのを覚えています。
須藤さんの引用のおかげで、amazonで「実況中継」を注文してしまいました。
『入試英語ここまで』の復刊を切望します。
[1132へのレス] Untitled 投稿者：バード（２２６２） 投稿日：2004/01/09(Fri) 22:05:29
須藤さんへ＞＞『入試英語ここまで』は・・・余程の幸運に恵まれない限り入手不可能です。
そうですよね。『入試英語ここまで』は上・下の二巻のようですね。
＞＞・・・『入試英語ここまで』は、内容の充実では『英文法講義の実況中継』に及ばないでしょうが、内容はさらに初歩的な事項に絞られています。それに何しろ、現在にも通じる、面白く読ませる話芸では、『実況中継』などよりも卓絶しているので、相当の劣等生でも最後まで勉強できる可能性があります。
まえがきに、劣等生向けだと書いていましたね。
＞＞多少心配なのは、・・・全編に渡って歯に衣着せずに本気で怒ったり本当の内情を書いたりしている文章の書き方で、・・・こうしたは書き方（が、）・・・「副島隆彦が嫌い」という、最初から合わない人には合わないもののようです。
ましてこの本は、対象年齢が16,17,18歳の少年少女なので、こういう文章を読んで面白く感じるのかどうか判りません。
人それぞれですからね。権威主義的優等生は毛嫌いするかもしれませんね。うちの子は、間違いなく合っているみたいです。
＞＞でも、お子さん相手に本気にならなくてもいいのになぁ、と思います。
？そうですかね、いくらなんでもたまには本気にならなければ・・・と思います。それとも、親は自分の子に対して本心を言わないで生涯を終えろ、と言うのですか。それは、私にはできません。縛り首になっても。
あっそうか、これは副島先生のことかな、多分そうでしょうね。（前文は消さずに残します。）副島先生が「お子さん相手に本気になら」なかったら、どうなるんでしょうか。考えられないですね。子供向けの本を書かなくなるでしょうね。それが大人向けに伝染して、全く本を書かなくなる、という恐ろしいことに・・・
須藤さん、やっぱり、先生は何に対しても本気にならなければだめですよ。本気にさせていっぱい本を書かせて、それを須藤さんが売って、須藤さんがいっぱい儲けるとか・・・
＞＞以前、副島隆彦がしらふで猫に挨拶しているところも見ましたが、どうも副島隆彦の脳内では相手を区別したり差別したりする価値観や機能が無いのではないか。
へえ、そうですか、猫に挨拶を。それは面白いことを教えて頂きました。
＞＞でも子供をそんなに莫迦にしてはいけない、のでしょうか。
いろんな子供がいるので一概に言えないでしょうが、愛情のある（国民の連帯と幸福のために訴えている）本であれば、またそうでない本でも愛情を持って与えられ、子供が愛情にちゃんと包まれていれば、少々あるいはかなり難しくても大丈夫ではないでしょうか。
＞＞我々の手による独自復刊などは、予定はありませんが、行なうかもしれません。売れるかどうか見極められないので、検討中でずっと棚上げ中になっています。
私には口コミで売れそうな感じがするのですが。ただし、参考書などは一般に多分様子を見ながら買うでしょうから、「１冊だけでも、そして定価で、買える」（送料は別途）という条件など、多少売り方に工夫が必要だと思います。
＞＞ところで私は受験参考書には怨みつらみが結構ありまして、・・・
分かります、その気持ち。ここは、『サルの惑星』の国、日本ですからね。長老猿たちが、国民の知的向上を考えていませんからね。先生や教育産業？のたちの言うことをよく聞いて育った人は、大人になった後、みんなその気持ちになりますよ。
＞＞『道具としての英語』で思い出しました。私は未だ見ていませんがミュージカル映画で『メリー・ポピンズ』がありました。勉強に使えたらいいですね。
そうです、「基礎の基礎」が、それです。「英語嫌いのために作られた、まったく新しい考えにもとづいたテキストです。」と、イントロに書いてあります。
ちょっと見たところこれは、次のようなことが一番メインになっている本だと、思いました。
『メリー・ポピンズ』（原文ではなく、それを９００語レベルのやさしい単語によって書き直したオックスフォード大学出版局版のもとづくもの）のなかの文ひとつひとつに対して、「ガチガチ訳」と「なめらか訳」を対比できるようにしたものです。その一例が、次のようになります。
下記のように、原文の英文�，紡个靴董△修譴鯆礁�したもの（ガチガチ訳）�△函△気蕕飽嫐�したもの（なめらか訳）��が、対比して、示されるのです。
�� She said, or sang, these words again and again.
�� 彼女は言った。あるいは歌った。これらの言葉をふたたび、そしてふたたび。
�� 鳥おばさん（＝彼女）はこの文句を繰り返し言っていました。いや歌っていました。
だから、日本文の�△冒蠹�するように単語を並べた英文�，蓮△海留冓検文興顱砲瞭票圈淵優ぅ謄�ブ・スピーカー）には��のように受け止められるということですね。
すなわち、
・・・は言った。あるいは歌った。 ・・・ �◆�
というように単語を並べた英文
said, or sang, ・・・ � �
は、
・・・は言っていました。いや歌っていました。・・・ ��’
というように、読み手に伝わり、
をふたたび、そしてふたたび ・・・ �◆�
というように単語を並べた英文
again and again ・・・ � �
は、
繰り返し ・・・ ��”
というように、読み手に伝わる
ということです。
＃ 恥ずかしながら、私などは、この��’で、「・・・は言い、あるいは歌った」という「がちがち訳」から
＃ 中々脱却できず、情景が明確に受け止められません。これだけのこと（一文）でもそうなんですからね、
＃ どうしようもないわけです。
＃ このような基礎を、一冊読了することでつかまないことには、話にならないだろうと、いうことです。
逆にいえば、��のように相手に伝えようとすると、�△里茲Δ粉兇犬留冓賢，鮟颪�ことになります。
日本文�△蓮�英文�，砲�なり対応し、日本文��は、英文�，砲茲辰禿舛錣襪海箸紡弍�しているということです。
この、� 檗´◆ 檗´� の感じを、この『メリー・ポピンズ』一冊を読破することによってつかもうとするのが、この本のメインのようなのです。
これはいいと思ったのです。「この基礎を自分のものにすることで、英語のネイティブ・スピーカー（英語を母国語とする人）たちが何を考えているのか、言いたいのかが、最低限理解でき」るそうです。
最後になりましたが、私は先のメールで、子供の英語学習について、
＞＞もしいい結果が出ましたら、また報告します。（悪い結果であれば報告はしません。）
と書きましたが、よく考えてみれば、学校の教材や何かがあるのに「もっと読みたい」ということを彼女が言ったのだから、もう既にいい結果が出たことになりますね。
だから、これ以上いい結果ということになると、
英文を読むのが好きになって、（時間の許す範囲で）なにかにつけて、英文を読みたがるようになる
ということですかね。
大切なことは、好きになること、（世の中に存在すること−英語もそのひとつ−に対して）興味を持つこと、ですよね。
［１９５４］さんの投稿文「Ｎｏ．１１４１」の、「受動態を使う理由は（いくらもあるけれど）、基本はやっぱり、何かを隠したいって（いうこと）」（Untitled 投稿者：1954 投稿日：2004/01/08(Thu) No.1141 ）は、私にとって、初めての貴重な情報でしたが、にもかかわらず受動態文の最後にby 〜って動作の主体を律儀にちゃんと書かせる受験用英語学習。日本英語の滑稽さが、ここにある。（［１９５４］さんのアメリカの学校事情も、良かったです。）そんなパズルかゲームのような学習をするよりも、英語をしながらネイティブ・スピーカーの世界など、何かを知るための、そういう目標に沿った（ほとんどの場合、言語は言語以外の何かを知るためにある、言語学は例外だろうが）、副島流の英語学習（本来の言語学習）をしてもらいたい。それで、入試の成績が少し下がったって、そんなこといいではないか、という思いがある。
どこまで能力が伸びるかは、神（ゴッド？、ほとけ？）が決めたことだ。（これ、予定説かな？）本人のせいではない、という思いもあります。
だから、大切なことは、世の中の何かが好きになること、そしてそれによって世界を広げることですよ、ね。
（了）
[1134] グレゴリー・クラーク氏のコメントの転載 投稿者：府川雅明 投稿日：2004/01/03(Sat) 03:02:15
（転載開始）Japan Times
Lots of debate, little action
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By GREGORY CLARK Japan Times 2003.12.3 教育改革一議論多く、行動少なし
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ジャパンタイムズ2003.12.3
�
The problems with Japan's education system are well known -- poor teaching in the universities; class disintegration (gakkyu hokai) in the schools -- to name but a few. So many students, unwilling to put up with the pressures and rigidities of the existing school system, are now dropping out of school (toko kyohi) that special schools have been established to bring them back into the education stable.
A key problem is the way university entrance exams effectively decide a student's employment future. Students who pass the exams are under little pressure to study properly since job placement is already decided by the reputation of the university they have entered. Universities, elite universities especially, are under little pressure to improve the quality of their education, for the same reason.
Meanwhile the harm caused by the pressure on students trying to enter good universities reverberates down the education ladder, almost to kindergarten level.
The education bureaucrats sought two years ago to ease some of these pressures with a half-baked scheme decreeing free-study time (yutori kyoiku) for students in public high schools. But the only result was to lower academic standards and disadvantage those students in their efforts to enter quality universities. It is now being withdrawn.
One way to make school education more appealing would be to divide classes on the basis of students' aptitude. That would both ease pressures and provide study incentives. But the bureaucrats still say no. They want to protect what they see as Japan's tradition of familial classroom equality.
Another answer that I have tried often to push in committees and shingikai (policy advisory bodies) of the former Education Ministry is a system of provisional entry to universities. Students just below the pass level of a university's entrance exams should be allowed to enter provided they can pass another exam at the end of their first year. It would ease entrance exam pressures, and provide a study incentive for at least some university students.
But when we tried to introduce the idea at Tama University, ministry bureaucrats moved to kill it, saying it would violate the principle of the rigid entry quotas they impose on all universities. It would also go against the regulation that makes it almost impossible to fail even bad students.
Meanwhile, in the same ministry's committees and shingikaione heard endlessly how universities should widen their entrance "gate" and narrow the exit "gate." How do you do this when entry quotas are fixed and you cannot get rid of bad students? Japan's capacity for tatemae and honne -- in this case, flowery words vs. the hunger for rigid bureaucratic control -- seems unlimited.
Later, as a member of Prime Minister Keizo Obuchi's National Peoples Conference on Education Reform, I managed to get the concept of provisional university entry recommended in the final report. But the bureaucrats still said no.
Other attempts to reform the system have met much the same fate. Together with others, I have long campaigned for a lifting on the ban on university entry below age 18. We managed to get that also recommended by the National Peoples Conference. But in revising the law to allow entry at age 17, the Education Ministry managed to insert so many conditions that it has become a dead letter. The bureaucrats are terrified that early university entry would disrupt their control of the school system.
But it was in efforts to reform English language teaching that I suffered my worst defeats. Something has to be done about the system of distorted English-language exams for university entry. Preparation for those exams is clearly the main reason why so many educated Japanese either dislike English or speak it badly.
The exams can only test script-comprehension abilities. They are often absurdly difficult, and riddled with mistakes (I recently counted 26 errors in one exam). Worse, the time and effort wasted in preparing for these meaningless exams is a major reason for declining standards in science and math at high schools.
Japan should do what we do in the West, namely recognize that advanced teaching of languages, difficult languages especially, should be the job of the universities.
Universities in Australia and the United States today use double concentrations -- for example, Japanese and business -- to produce quality graduates able to move directly into jobs requiring difficult language abilities. In many cases study of the language did not begin till university entry. In Japan, simple English can continue to be taught in primary and middle schools. But in high school only those who want to stay with the language should do so.
The advantage of a university-based teaching is that language courses can be intense -- four years of almost daily study, with good attention to the full range of language abilities. As well, the all-important incentive to learn is strong since students choose to study a language intensively, with the aim of using it for a future career.
Crucial to this idea is having English removed from the list of compulsory subjects in university entrance exams. I managed to do this at Tama, but to date no one has followed our example. In a committee I attended for a year to discuss reform of English teaching, the ministry bureaucrats managed to go in exactly the opposite direction. Whereas foreign-language study had previously in principle been an elective subject in high school, it has now been made compulsory.
After 25 years in Japan's education industry I am convinced there is little hope for any real improvement. Bureaucratic power and rigidity are much too strong.
日本の教育制度の問題点はよく知られている 大学教育の質の悪さ、学校の学級崩壊はほんの一例だ。現在の学校制度の硬直とプレッシャーを嫌って多数の生徒が登校を拒否し、そういう子どもを受け入れるための特別学校が多数できている。
問題の中心は、大学入学試験が生徒の将来の就職まで決めてしまうような大きな力をもっていることにある。入試を通ってしまうと、学生は真剣に勉強するプレッシャーがなくなる。入学した大学の評判で、就職のさいの求人がすでに大方設定されてしまうからだ。同じ理由で、大学、とくにエリート大学は、自らの教育の質を改善するプレッシャーが少ない。
一方、良い大学に入りたいという、生徒へのプレッシャーが生む害は、教育の梯子のずっと根元から、ほとんど幼稚園レベルまで下がって、席捲している。
このプレッシャーを和らげようと、教育官僚たちは2年前、公立学校にゆとり教育制度という中途半端な制度を導入した。だがその結果は、教育水準の低下と、よい大学を受検したい生徒には不利となって現れただけだった。その制度はいま取り下げられようとしているが。
学校教育をもっと魅力的にする一つの方法は、生徒の適性によってクラス分けすることだろう。そうすれば生徒へのプレッシャーは緩和され、勉強する意欲は高まる。だが官僚たちはそれも認めようとしない。日本の伝統である教室における家族的な平等主義と彼らが考えるものを、守ろうとする。
これまで、前文部省の委員会や審議会において私が推進しようとしてきたもう一つの答えは、大学への暫定入学制度である。大学入学試験で合格ラインのすぐ下にいる生徒を、一年次の終わりにもう一度試験を受けるという条件付で入学を認めるべきだ、というもの。これで大学入試のプレッシャーは、ある程度緩和されるし、学生にも、少なくとも一年次の一部の学生には、しっかり勉強するインセンティブができることになる。
だが、そのアイディアを多摩大学で実行しようとしたとき、前文部省官僚はそれを抹殺する動きに出た。そのアイディアが、彼らが全大学に課している入学者定員のきびしい枠の原則に反するという理由である。それはまた、勉強しない学生でも退学にすることはほとんど不可能とする現行の規則にも反するという。
その一方で、同省の委員会や審議会では、大学は入口の門を広げ出口を狭くしなければならないという議論が、耳にたこが出来るほど繰り返されている。入学者数が固定され、不真面目な学生を退学させることが出来ないなら、どうしてそれが可能か。日本の得意のタテマエとホンネ? この場合は、きれいな言葉と、頑固に官僚支配を守ろうとする貪欲さ? は際限もない。
その後参加した小渕総理大臣の設けた教育改革国民会議で、私の暫定入学のコンセプトを最終報告の提言に入れることができた。それなのに、文部官僚はノーの一点張りだった。
現システムを改善するもう一つの試みも、やはり同じ運命に遭った。他の賛同者とともに、私は18歳大学入学という縛りを解くことを長い間提唱してきた。これについても教育改革国民会議で提言に入れることができた。ところが入学最低年齢を17歳まで引き下げる
法改正に当たって、文部省はやたらに多くの条件をつけることに成功し、実質的には死文化させた。官僚は、大学早期入学が、かれらの学校制度支配を壊してしまうことを怖れたのだ。
しかしながら、私の努力が最も手痛い敗北を喫したのは、英語教育改革の分野だった。大学入試における歪められた英語試験の制度を何とかすることが急務だ。教育ある日本人の英語嫌い、英語下手がそんなに著しいのは、その中心に、大学入試に向けた英語の勉強が原因となっていることは明らかだ。
その試験は、文字を読める能力だけを試すものだ。その内容はしばしば、馬鹿馬鹿しいほど難解で、しかも問題に間違いが多い。(最近ある英語の試験を調べたが、一つの試験に26もの間違いを発見した) さらに悪いのは、この意味のない試験の勉強に費やす時間と労働が、高校における理科や数学の質の低下の大きな原因になっていることだ。
日本は、欧米でやっているように、本格的な外国語学習、とくに難しい外国語の勉強は、大学でやるべきだ。
オーストラリアやアメリカの大学では、今日、語学と専門のダブル専攻制をとっている? たとえば、日本語と経営学など。 卒業後、難しい語学力を必要とする仕事分野にすぐ入れる質の良い卒業生を送り出すためだ。多くの場合、語学は大学入学まで待って行われる。日本の場合は、小中学校でかんたんな英語を教える、だが高校ではほんとうに英語を続けたい生徒のみ続けるのがいい。
大学を中心とした語学教育のメリットは、語学コースをインテンシブにできることだ。? 言語能力の全側面の訓練を確実に並行させ、ほとんど毎日4年間やる。さらにこの場合は、学生が将来のキャリアを目的として、集中的に言語を学ぶことを自ら選んだのだから、言語学習に最もだいじなインセンティブが十分だ。
このアイディアのカギとなるのは、大学の必修科目から英語をはずすことだ。私は多摩大
学でそれをやった。けれども今もってこの例に習ってくれる大学を知らない。英語教育改善を議論する１年間の委員会に参加した時、文部官僚はまさにこれと正反対の方向に進めることに成功した。これまで原則として選択だった外国語を必修にしたのだ。
25年間日本の教育産業に関わってきて、私は今、日本でほんとうの改革は望み薄だの思いを深めている。官僚の力と頑迷さはあ
（転載 了）
和訳が途中で切れていました。僕のコピー・ミスではありません。クラーク氏は以前より、大学入試の科目から英語を外すことを主張しています。
[1107] 管理人様へ 投稿者：せきぐち よう 投稿日：2003/12/16(Tue) 23:17:13
管理人様へ本日（12/16）午前、投稿をしたのですが、なぜか消えてしまっています。どうしたらよろしいでしょうか。もう一度投稿した方がよろしいでしょうか。
[1107へのレス] せきぐち 様へ 投稿者：管理人 投稿日：2003/12/18(Thu) 11:02:16
ごぶさたしております。私がこの掲示板に入る際にも不都合が生じました。技術的なトラブルは不案内なので、対処法がわからず申し訳ありません。再度、投稿を試みて下さいませ。よろしくお願いいたします。
[1107へのレス] 再投稿しました 投稿者：せきぐち よう 投稿日：2003/12/19(Fri) 10:14:00
管理人様へ。サーバーの移行による一時的なトラブルが影響しているのかもしれませんね。ご返答ありがとうございました。投稿をもう一度行いました。
[1107へのレス] 済みません私です 投稿者：須藤よしなお 投稿日：2003/12/26(Fri) 12:00:18
せきぐちよう様、管理人様
12月16日のご投稿でしたら、丁度私が作業していた時間帯ですので、私のせいです。済みませんでした。
サーバーを移転したので、この掲示板『日本英語の謎を解く』も、ＵＲＬが変わっております。
かつては
http://soejima.to/boards/pt.cgi?room=tomaya
でしたが、現在は
http://snsi-j.org/boards/pt.cgi?room=tomaya
です。直接この掲示板を見に来られていた方にも、まだ混乱を引き起こしているかもしれません。消えてしまった投稿は、「作文教育を重視すべきです」であるのならば、ひとまず良かったと思います。『学問輸入』に関する、こんな重要な投稿を危ない目に逢わせてしまって、申し訳ありませんでした。
[1107へのレス] 須藤よしなおさんへ 投稿者：せきぐち よう 投稿日：2003/12/29(Mon) 16:40:04
須藤よしなおさんへせきぐちです。投稿のタイミングが悪かったようですね（笑）。ありがとうございます。
[1107へのレス] 須藤様へ 投稿者：管理人 投稿日：2003/12/31(Wed) 00:47:23
原因の究明をありがとうございました。
[1110] 作文教育を重視すべきです 投稿者：せきぐち よう 投稿日：2003/12/19(Fri) 10:12:22
外国語教育ではとかく「話す教育」に目が行ってしまいますが、「書く教育」はそれと同じぐらいかあるいはそれ以上に重要です。そして、「書くことを重視する」というのは言語教育の基本であって、母語を磨くにも不可欠な教育だと私は考えます。近年「日本語力（国語力）の低下」が叫ばれていますが、それを向上させるには、徹底的な作文教育が必要です。 そうした理由で、私は日本語（国語）の能力を伸ばすために、英語ではどのような作文教育が行われているのかを分析し、日本に取り入れることができないかと考えています。そして、日本語で文章を書くときの作法、そして日本の作文教育にその成果を取り入れられないかと模索しています。
実際に、意図的にそれを試みたのが、「言語技術の会」というグループであり、木下是雄という人でした。木下氏は
『理科系の作文技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121006240/qid=1071540961/sr=1-1/ref=sr_1_2_1/250-0513763-7894628
を書き、それまであまり知られていなかった「パラグラフ」や「トップ・ヘヴィー」の概念を日本に紹介しました（それらの概念がしっくりこない人は、実際に手にとって読んでみてください）。
私の手元に実際の英作文の教科書が二冊あります。英語圏（アメリカ）で実際に使われているものです。それは、
“Writing Academic English”
http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/0201340542/qid=1071541423//ref=sr_8_xs_ap_i1_xgl14/104-1230355-1049511?v=glance&s=books&n=507846
という本と、
“Paragraph Development: A Guide for Students of English”
http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/0136485022/qid=1071541576//ref=sr_8_xs_ap_i0_xgl14/104-1230355-1049511?v=glance&s=books&n=507846
という本です。
私が今行っている作業は、こうした本を分析、解読して、「日本語の作文」用の教科書に作り変えられないかというものです。それは、木下氏が導入した概念を更に日本で普遍化させ、日本語で文章を書く人が必ず身に着けるべきマナーにするということです。具体的には、日本の高校・大学生、あるいは、大学等で日本語を学ぶ留学生たちのために、その作文の教科書を与えるのです。
ここで、副島系読者の皆さまはハッと気がついたことでしょう。私のやろうとしていることは実は、進んだ文化の輸入です。遅れた文化は、優れた文化を吸収するしかないのです。つまり、遅れた文章作法しか持っていない日本語を、世界普遍価値としての英語に近づけるべく、アメリカ型の文章スタイルを移植するということです。私は日本語を専門とする人間の一人ですが、この点についてははっきりと言い切ります。いくら否定したところで、遅れているという事実は隠しようがないのです。古い日本語の作法（浪花節的文章作法、はっきりとしたルールのない「段落」という概念、「起承転結」という漢詩のスタイル）から、英文のスタイル（論理重視、パラグラフ、トップ・へヴィーの導入）への移行を、国民の合意事項にする必要があります。
[1110へのレス] こんな本も役に立つのでは？ 投稿者：２１１７番 投稿日：2003/12/20(Sat) 00:26:46
２１１７番です。せきぐちようさんの主張に同感します。日本における英語教育は「使えない」というマスコミの喧伝から「書く英語」から「話す英語」へと転換されつつあります。実際、中学生の使用している英語教科書の薄さには愕然とします。しかし、この国が本当に必要としているのは「英会話」ではなく、自らの意思を簡潔に書いて伝える、という能力です。
で、せきぐちさんの御紹介された本以外にも、日本人が英語を理解するに役立つと思われる本を紹介します。
この作品はYohanから出版されている英語圏の小学生レベル対応の本です。
“The Art of making sense”
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4896843738/sss-22/249-7517351-9381969
この作品の中には、小室先生が仰られる「意味論(semantics)」についての言及もあります。小学生向けということで、英語自体のレベルもそれほど高くなく値段も手頃なので、興味のある方には御一読をお勧め致します。
[1110へのレス] 日本人の英語受容 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/12/21(Sun) 11:08:33
戦前までの日本人の英語受容は、「音声抜き、ネイティブ不要の、一部エリートによる購読主義（それまでの日本人知識層が伝統的に行ってきた中国文化摂取と同じ方法による）」が中心でした。戦後は占領軍の進駐による”カムカム英語”に始まって、戦前までのエリート主義の反動から、大衆化した「英会話主義」ともいうべき流れの中で、各種英語教材の旺盛な販売や英会話学校の隆盛、またコミュニケーション能力を判定する検定試験の定着化などが見られます。一方で、文系理系問わず、大学受験の必須科目として続く”英語”に対応する受験英語も健在です。
この流れにあって、日本人が、英語学習のためにどれだけ財布のヒモを緩めるかといえば、電子辞書市場が約７００億ほどで、これは語学通信教育や教材市場を合わせたものとほぼ同規模です。電子辞書市場というのは、電子辞書そのものの単価が高いこともありますが、語学教室（英会話スクール）市場の約半分ですから、無視できません。で、僕は以前に電子辞書の掲示板というのを時限的に立ち上げたことがありました。
電子辞書（昔でいえば、研究社をはじめとするテクスト辞書）市場が相当の規模を持つこの国の英語受容を考えると、さまざまな動機、目的はあれ、英語のリーディング（読むこと）への潜在的欲求は衰えていないと思います。
[1110へのレス] 2117番さま 投稿者：せきぐち よう 投稿日：2003/12/23(Tue) 11:47:30
本の紹介ありがとうございます。さっそくチェックしてみます。小学生向けの本とのことですが、実はそこがスタート地点とも言えますね。アメリカで使われている小学生から大学生向けの教科書・学習参考書を洗いざらい分析し、日本のそれに相当する書物と対照してみることが第一歩かもしれません。
もう予想はできているのですが、アメリカのそれらは言語をどうやってうまく使うかということに重点が置かれているはずです。小学校の例では、"Show and Tell" というような教育ですね。
[1110へのレス] 府川さま 投稿者：せきぐち よう 投稿日：2003/12/23(Tue) 11:51:16
リーディング（読むこと）については私も興味があります。書くことと読むこと、この間には大変密接な関係があると思うのですが、それぞれがどのようにお互いの能力に影響を与え合うのか、知りたいところです。
[1110へのレス] せきぐち 様へ 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/12/23(Tue) 14:10:25
表音と表意 われわれが使う日本語は表意文字ですから、複雑な観念を表すときに漢字の画数は増えても、音は増えません。一方、英語は表音文字ですから、抽象的な表現をしようとすると、音と文字がずらずらと増えていくのが一般です。従って複雑なことを話そうとすればするほど、単位時間あたりの伝達量を維持するために、早口にならざるをえません。しかも関係詞という都合の良い接着語があるために、平均化した画数の文字が再現なく横に伸張していく傾向性を持っています。
われわれはまず、表音文字が不可避的に持つ”量”の増長に耐える必要があり、具体的にはディスカッションなどでしばしば目にする欧米人の多弁さ、話しやまない、抑制を欠いたと思われるような語の増殖に対処しなければなりません。
観念表現にあたって、音を増やさずに、文字を視覚的に構造的に複雑化させていく表意文字の快感とあいまいさを欧米人は知りません。僕は建築家の卵の欧米人と話したときに、漢字に異常な関心を抱いていることに気づきました。けれども漢字を覚えるのは面倒くさいのでしょう。ですから日本語の中に深く入っていけません。
表意文字の視覚的な複雑さは、伝達する内容以上のものを相手に運んでしまう可能性をはらんでいると僕は思います。ですから漢字を使う民族が、アルファベットが持っているロゴスの正確さと等しく向き合うのは最初から無理だと考えています。
[1110へのレス] 英語の時間 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2003/12/25(Thu) 05:31:54
英語の教師が英文和訳を通じて日本文の作文も指導するはめになっているとよく渡部昇一が述べていたと思います。作文教育はそのカテゴリからして、本来「国語」の時間にやるものであり英語の時間にするものではない。しかし日本では文学専攻の先生がたが「国語」を担当してきたためか、国語といえば「叙情的」な感想文とその類いを教えるところになっている。木下是雄の本以来、論理的な作文技術を学校で教えようという試みは教育現場で実践され始めて来ていると勝手に想像しているのですが、そんなことはないのでしょうか？現役の先生などおりましたら教えて頂きたいところです。
英語の時間にはさらに「発信する内容」まで教えてくれると生徒が期待しているフシがありますね。先日NHKの英語講座をながめていたら八城政基（ロックフェラーの日本での番頭？）がインタヴューに答えておりました。これからはますます英語力が必要云々の質問に対して、「日本語でもしっかりしゃべれないと英語でもしゃべれません」とはっきり言っておりました。私もこれに賛成で、英語を学べば「高級な」ことを急にしゃべれるようになれると勘違いするような人（女性に多いような気がしますが）に対しては正確なアドバイスだと思います。
せきぐちさんが提唱される「アメリカで使われている小学生から大学生向けの教科書・学習参考書を洗いざらい分析」はいいですね。私もアメリカの「国語」の参考書が１冊持っています。今度ご紹介します。
[1110へのレス] 吉田 さんへ 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/12/25(Thu) 09:16:08
お元気ですか。吉田様のノートンの紹介を通じた基本用語の検証の仕事は意義深いものと考えております。ところで、一つおたずねしたいことがあります。私は、日本人一般（ビジネス、外交、などに携わる一部の人間には死活的に必要だと思いますが）にアメリカ流の作文術を導入することに消極的な考えを持っています。吉田さんは、どう判断されますか。
思い出してください。つい最近、わが国は、金融をグローバル化しなければならないと称して、どのようなことになっているのか。作文のグローバル化（マクドナル化）を急いだ結果、次世代の子供たちがどのような作文を書き出すことになるのか。もっとも、それがどこまで功を奏するかはわかりませんが。
作文の方法はアングロ・サクソン的な直線論理もありますが、フランス語をはじめとするラテン語系の構文慣習（僕は８０年代に、その拙訳を「構造主義」関連文献で読まされてきた口ですが）
やアラビア系、ロシア系など種々存在し、もちろん日本語の起承転結もあります。
アメリカ人が採用する作文論理を”国際基準”とするのは、それが格段に優れているからというよりも、現行、政治的に強い力を持っているからという点を踏まえる必要があります。その上でなお、”世界の趨勢”に従わなければならないのなら、それにあえて反抗することもないわけですが。
僕個人としては、世代的に浪花節で何が悪いと開き直っています。若い人は別でしょう。最近では、ひらがなに漢字をはんだづけした日本語に対する愛着が深まっております。
[1110へのレス] 府川さんへ 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2003/12/26(Fri) 03:11:21
ご無沙汰しております。不勉強のため私は「直線論理」と「構文慣習」の違いがよく分からないのですが、ここでは 順接/逆接・演繹/帰納・対偶・背理法etcが登場する伝統的な論理学を「論理」とします。これらの用語は数学の時間に多少出てくるだけで、国語の時間には出てこなかったと思います。つまり作文とこれらの論理は日本の教育では関係がなかった訳です。小室直樹が「規範」について述べていたことですが、規範があってそれを守らないことと、そもそも規範が存在しないことは全く異なります。これと同様に、作文に論理を重視しつつ守らないこととそもそも論理を重視しないことには雲泥の差があります。つまり、論理を重視する意識がある浪花節とハナから意識しない浪花節とでは差があります。学校教育として論理を教えることと、実際にそれを常に使用するかは別問題と考えます。使う必要があるときに使うことが出来れば良いと考えます。
そういえばこの話題に関連する本を今日見つけましたので紹介しておきます。小野田博一『英語は「論理」』（光文社新書）。日本語は非論理的で英語は論理的という立場からさまざまな例を挙げて両者の違いについて述べた本です。まだ全部読んでいませんが、以下の箇所には笑いました。大まかに言えばその通りでしょう。
「超理屈っぽい文章を日本語で書き、それを英語に直訳すれば、論理的な英文」（23ページ）
[1110へのレス] 吉田さんへ 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/12/28(Sun) 11:51:19
早速のていねいな回答を誠にありがとうございます。この三日間、ＰＣにタッチできない状態にありましたので、返事が遅れました。
吉田さんが指摘される「直線論理」と「構文慣習」の区別を僕はしっかりできていません。厳密にいえば、そもそもどのような論理が存在するかから始めなければなりません。と同時に、その「論理」がどのように認識され、運用されているかも整理した上で、文章論理を考えなければなりませんね。
日本語が非論理的だというのは、欧米の論理に較べたときに、「論理」がなっていないということなのだと僕は認識します。なぜなら、日本語も日本人が使う限りにおいて、それなりの一貫性や理屈があるはずだからです。ただし、これを考えるときに、結局は、欧米的な思考体系が基準になるでしょう。
ただし、吉田さんの「ノートン思想用語辞典」の検証は、極めて意義が大きいと思います。対比的、類比的な思考ならば、日本人でもやっていけるだろうと思うからです。
[1110へのレス] 返答をかねて 投稿者：せきぐち よう 投稿日：2003/12/29(Mon) 12:34:21
■各言語の論理構成の違いについて
各言語による論理構成の違いについては、次の本が最も参考になります。日本では「対照修辞学」と呼ばれます。これを専門に研究している研究者は日本ではまだほとんどいません。
Ulla M. Connor Contrastive Rhetoric : Cross-Cultural Aspects of Second Language Writing
http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/detail/-/0521446880/qid=1072665363/sr=1-2/ref=sr_1_2/103-8899401-1817412?v=glance&s=books■英語の論理構成法を日本に導入することについて
英語型の論理構成を母語に移植するかについては賛否両論があるようですね。ここで、この問題について、もっと別の、大きな観点から見て見ましょう。これは「英語」対「日本語」の問題なのかどうか。実は「英語型」対「非英語型」の問題だと思います。したがって、この議論は、何も日本だけのものではなく、世界中の「非英語型」の国々（もちろん、生活会話は母語で、学問をしたりする場合は完全に英語で行うという国もかなりあるでしょうが）、の「（日本で言うところの）国語教師」たちを中心に、いままさに議論されている話題ではないでしょうか。したがって、この論点が世界的な議論であるという点がまず第一点です。例えばアジアでは、英語教育が浸透しているシンガポール、香港の教師たちは敏感に気づいているはずでしょう。日本でも、私たちがこうして議論しています。韓国、台湾でもまもなくそうした議論が始まるでしょう。
第二点目に、この問題を具体的に文化の「違い」と認識するか、「遅れ」と認識するかという点。私は「遅れ」と捉えます。なぜなら、英語における書く文化が、他の文化に対して非常に洗練されてれいるからです。「書く」ことに対するこだわり（あるいは言葉をよりよく使おうとする意志）が、英語を使う人々に見られるのです。例えば、MLAのハンドブックを見ても、彼らが「書くこと」に対していかにこだわっているのかが垣間見えるのです。
http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0873529863/qid=1072668199/sr=2-1/ref=sr_2_1/103-8899401-1817412
なぜ副島先生は日本語を「土人言語」と呼ぶのか。知識人を含め、多くの日本人は、そんなことはないと感情的に反発しますが、それは一言語として「遅れている」ことに対して客観的に述べたに過ぎないこと認識するべきです。
[1092] liberalism/liberalの定義 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2003/09/26(Fri) 18:35:02
重要な政治用語として liberalism/liberal を載せておきます。これもとっくりと読んでいきましょう。--------------------
liberalism/liberal.
A political PHILOSOPHY whose origins lie in the Renaissance and the Reformation, and which acquired firmer roots in the 18th century and its greatest coherence in the 19th. It then remained a massive influence on the development of increasingly democratic societies, generally in a close marriage with CAPITALIST economic systems. In many nations liberalism lost ground after the severe economic DEPRESSION of the 1930s, the growth of stronger WORKING CLASS parties and TRADE UNIONS, and the post-1945 growth of social democratic movements (see SOCIAL DEMOCRACY). However, in recent years doubts about, e.g., the fiscal and social consequences of extensive WELFARE STATES and the effects of public ownership or wholesale economic regulation have seen a revival. Liberalism’s long history and adaptive character have made it somewhat protean in nature, to the confusing extent that its revival, at least in the economic sphere, was largely stimulated by the Conservative Party led by Margaret Thatcher (see THATCHERISM), while in the USA (arguably the nation which had least strayed from liberal values), conservatives (see CONSERVATISM) often use the term as one of opprobrium, to connote social and moral decay and excessive governmental intervention.
Liberalism essentially springs from a vision of society as crucially composed of individuals (rather than, e.g., classes) in a voluntary, contractual relationship with government. It stresses their liberty as the primary social good. This liberty is to be defended in such rights as those to free political institutions, religious practice, intellectual and artistic expression, to equal standing before the law, and to private property. It implies a distrust of the right or efficiency of a state which interferes with such freedoms and with the workings of economic markets.
In the 20th century liberalism has been challenged by doctrines such as FASCISM and variants of MARXISM, respectively stressing the principles of state POWER and equality (see EQUALITY, PRINCIPLE OF). The IDEOLOGY adapted to such threats or influences, and to changing patterns of economic organization, often by accepting the state as a positive influence in alleviating inequalities and protecting minority rights – as in the USA during the NEW DEAL and GREAT SOCIETY eras. The term’s flexibility, and its internationally varied forms of adaptation, have led to it also often connoting more loosely such values as tolerance (including, increasingly in matters of sexual mores), rationality, privacy, minority rights (see MINORITIES), PARTICIPATION.
The fading of COMMUNISM and consequent spread of essentially liberal-capitalist ideas have led some observers to see liberalism as en route to becoming the world’s unifying ideology. Critics suggest instead, e.g., that many of its elements clash with theocratic systems such as ISLAM, or that its individualism and marriage to capitalism render it unable to address major global concerns such as great international inequalities of wealth, or environmental dangers. For further reading: P. Neal, Liberalism and its Discontents (1997).
[1092へのレス] 和訳 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2003/12/25(Thu) 05:30:23
すっかりご無沙汰してしまいました。年のかわらぬ内に和訳を載せておきます。＝＝＝＝＝=＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
A political PHILOSOPHY whose origins lie in the Renaissance and the Reformation, and which acquired firmer roots in the 18th century and its greatest coherence in the 19th. It then remained a massive influence on the development of increasingly democratic societies, generally in a close marriage with CAPITALIST economic systems.
政治思想の一。その起源はルネサンスと宗教改革にさかのぼり、１８世紀になってしっかりと根を下ろした。その思想の一貫性は１９世紀まで続いた。そのあとに、増えゆく民主制社会の発達に大きな影響をあたえ、おおまかに言って資本主義経済システムと非常に近い関係にあった。
In many nations liberalism lost ground after the severe economic DEPRESSION of the 1930s, the growth of stronger WORKING CLASS parties and TRADE UNIONS, and the post-1945 growth of social democratic movements (see SOCIAL DEMOCRACY). However, in recent years doubts about, e.g., the fiscal and social consequences of extensive WELFARE STATES and the effects of public ownership or wholesale economic regulation have seen a revival.
多くの国で自由主義は、労働者階級の党と労働組合が成長した1930年代の厳しい不況のあとと、1945年以後の社会民主運動の成長によってその基盤を失った。しかし近年になって、行き過ぎた福祉国家の財政的および社会的な帰結、国営企業や大規模な経済規制の結果に対する疑問がよみがえってきている。
Liberalism’s long history and adaptive character have made it somewhat protean in nature, to the confusing extent that its revival, at least in the economic sphere, was largely stimulated by the Conservative Party led by Margaret Thatcher (see THATCHERISM), while in the USA (arguably the nation which had least strayed from liberal values), conservatives (see CONSERVATISM) often use the term as one of opprobrium, to connote social and moral decay and excessive governmental intervention.
自由主義の長い歴史と適応力のある性質は、「自由主義」に混乱しそうな拡大解釈を自然と許すことになった。自由主義の復活は、サッチャーに率いられた保守党によって（少なくとも経済的には）大きく刺激され、一方（自由主義の価値観に最も近い）アメリカでは保守主義者がこの言葉を社会的および道徳的腐敗と行き過ぎた政府干渉にくっつけて、不名誉なものとして頻繁に用いている。
Liberalism essentially springs from a vision of society as crucially composed of individuals (rather than, e.g., classes) in a voluntary, contractual relationship with government. It stresses their liberty as the primary social good. This liberty is to be defended in such rights as those to free political institutions, religious practice, intellectual and artistic expression, to equal standing before the law, and to private property. It implies a distrust of the right or efficiency of a state which interferes with such freedoms and with the workings of economic markets.
自由主義は本質的に、社会は徹底的に（階級とかよりも）個人から自発的に構成されており、政府とは契約上の関係にあるという社会ヴィジョンから生まれた。それは自由こそが最も大切な社会善であることを強調する。この自由は、自由な政治団体、宗教上の慣行、知的および芸術的表現、法の前の平等、私有財産権などの諸権利によって守られるものであるとする。
In the 20th century liberalism has been challenged by doctrines such as FASCISM and variants of MARXISM, respectively stressing the principles of state POWER and equality (see EQUALITY, PRINCIPLE OF). The IDEOLOGY adapted to such threats or influences, and to changing patterns of economic organization, often by accepting the state as a positive influence in alleviating inequalities and protecting minority rights as in the USA during the NEW DEAL and GREAT SOCIETY eras.
２０世紀になって、自由主義はファシズム（国家権力を強調する）やマルクス主義の変種（平等性を強調する）の教義に挑戦されている。このイデオロギー（自由主義）は、そうした脅威や影響、また、変わりゆく経済構造のパターンに対しても、不平等の軽減やマイナリティの権利を保護など（アメリカのニューディール時代や「偉大な社会」時代）を好ましい影響としてよく受け入れることによって、適合してきた。
The term’s flexibility, and its internationally varied forms of adaptation, have led to it also often connoting more loosely such values as tolerance (including, increasingly in matters of sexual mores), rationality, privacy, minority rights (see MINORITIES), PARTICIPATION.
この言葉の柔軟さ、そして国境を越えて変化した適合形は、寛容（性的なそれも含む）、合理性、プライバシー、マイノリティの権利、政治参加、などのさまざまな意味を含むようになった。
The fading of COMMUNISM and consequent spread of essentially liberal-capitalist ideas have led some observers to see liberalism as en route to becoming the world’s unifying ideology. Critics suggest instead, e.g., that many of its elements clash with theocratic systems such as ISLAM, or that its individualism and marriage to capitalism render it unable to address major global concerns such as great international inequalities of wealth, or environmental dangers. For further reading: P. Neal, Liberalism and its Discontents (1997).
共産主義の後退とその帰結としての自由主義的資本主義者の思想は、信奉者らにとっては、自由主義は世界の統一イデオロギーになる過程として映った。批判者らにとっては、その要素の多くはイズラムのような神聖政治システムと衝突するし、また、その個人主義と資本主義との結婚は地球規模での重要問題（国際的な富の不平等、環境の危機）に注意を向けることを出来なくさせていると示唆している。
[1118] 英文日本国憲法の条文から「日本人１２歳論」を推察する。 投稿者：よしかわ邦弘 投稿日：2003/12/23(Tue) 20:50:19
ある本を紹介します。
島村力（しまむら・つとむ）著「英語で日本語憲法を読む」（グラフ社 ２００１年１１月初版）私が２年ほど前に買っておいて、読みもせず本棚においていたのですが、最近、読んでみてびっくりしました。
英文の日本語憲法なるものが「正式に」あったのだそうです。
【引用開始 ３〜４ページ】（かっこ内は、よしかわによる補足）
ここで知っていただきたいのは、実は英文日本国憲法（略）（なるものが）和文と同時に成立したものであるということです。
いまから半世紀前の１９４６年、昭和２１年１１月３日に日本国憲法は公布され、条文は官報に掲載されました。そして同時に、その英文も当時発行されていた英文官報に掲載されています。官報にのるということは正式である証拠です。今から考えると妙な話です。英文憲法はその後、「六法全書」にも収録され、しばらくはいろいろな条文集にも収録されていましたが、いまでは六法全書をはじめ法律文集からは姿を消しています。ちょっとしたミステリーなのです。
【引用開始 ３〜４ページ】
よしかわ邦弘です。
この本は、その英文日本国憲法なるものについて各条文（英文）を解説したものです。条文成立にいたるエピソードもまとめらています。英語の勉強にもなりますし、おすすめの本です。
この本の中では、以下の内容が一番ためになった事実です。
【引用開始】
法律の文章はshallを使い、命令や誓約を示すのが一般的ですが、英文日本国憲法には、法助動詞を使わずに現在時制を用いた条文が出てきます。
Academic freedom is guaranteed．（第２３条）
などがその例です。このほか、第２０、２１、２８条も同じです。いずれも受動態であることも共通しています。
これは何を意味するのでしょうか。「保障される」というですが、誰が保障するのでしょう。国民でしょうか、政府でしょうか。それとも、国民同士の誓約なのでしょうか。わかりきっているから、主体をぼかしているのでしょう。日本語にはよくあるあいまい（曖昧）さですが、各条に対応するマ草案の条文も同じ現在時制で断定しているところをみると、アメリカ側が日本人に「民主主義国家では常識なのだ」と教えてあげるという姿勢の表われではないでしょうか。
マッカーサー元帥は、日本人を「１２歳」のレベルだとアメリカ上院外交委員会で発言していますが、そんな自負が憲法条文に忍び込んでいるのです。
【引用終わり、９０〜９１ページ】
よしかわ邦弘です。
この文章を読んで、「日本人１２歳論」が実感をもって理解できました。
最後に、上記引用文中に出ていた英文での日本国憲法条文を以下に記します。（カッコ内は、日本語での日本国憲法正文）。
第２０条
Freedom of religion is guaranteed to all.（後略）
（信教の自由は何人に対しても、これを保障する。（後略））
第２１条
Ｆreedom of assembly and association as well as speech, press and all other forms of expression are guaranteed. （後略）
（集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。（後略））
第２３条
Academic freedom is guaranteed．
（学問の自由は、これを保障する。）
第２８条
The right of workers to organize and to bargain and act collectively is guaranteed.
（勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。）
以上です。
なお、その他の条文ではshallがほぼ用いられています。
is guaranteed.の英文のみ、shallが省略されています。
[1118へのレス] よしかわ さんへ 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/12/23(Tue) 23:22:28
条文の英語対訳を見ました。笑えますよ。見事に笑えませんか。かたやアルファベットで朗々と流れていく文字。かたや漢字の合間にひらがなを貼り付けて何やら一般人にはわからない文字。例えば第２８条。英語はＴＨＥ ＲＩＧＨＴが主語ですね。まちがいありません。堂々としたものです。日本語になると、権利というだけでは弱いので、後ろで「これ」を保障するなどとやっています。日本人が１２歳といえば、いずれは日本人は１５歳になり、成人するような含みもありますが、本当にそうなるでしょうか。条文の英日対訳を比較すれば一目瞭然です。全く違うものを無理無理帳尻合わせているとしか思えません。僕にはＴＨＥ ＲＩＧＨＴなんてわかりません。ですから、やっぱりＹ２Ｊさんのように、英語の基本語の定義を一語一語こつこつとやっていくしかありません。
[1118へのレス] 投稿者：よしかわ邦弘 投稿日：2003/12/24(Wed) 22:35:19
府川さんのご意見に賛成します。前出の本から、関係する箇所を引用します。
【９１ページ】
第２０条は英文では、‘Freedom of religion is guaranteed to all．’で、普通に訳せば、「信教の自由はすべてのひとに保障される」ですが、憲法正文では「信教の自由は、何人に対しても、これを保障する」となっています。（略）これは受け身の訳し方よりも重々しく、そして原文の受動態に見られる主体の欠如を忠実に表現しています。日本文独特のパターンと言えるでしょう。
【９１ページ】
「…は、これを保障する。」という憲法条文の中にのみ存在する日本語表現。
これには、日本語を翻訳する側が、
「信教の自由をどういう根拠で保障するのか、なんて考えないぞ、そんな屁理屈は絶対考えないぞ」という意気込み（あるいは諦念）のようなものがよく読み取れます。
こういうことを書いていて、さすがに悲しくなってきました。
[1118へのレス] 補足 投稿者：よしかわ邦弘 投稿日：2003/12/24(Wed) 22:40:44
日本語を翻訳する側が、
は
日本語に翻訳する側の、間違いでした。
[1118へのレス] よしかわ さんへ 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/12/25(Thu) 01:00:32
よしかわさんの主張の中に極めて重大な示唆が含まれていると僕は思いました。
すなわち、英語を日本語に訳し出す作業過程で、英語にも日本語にも存在しない「仮構」の概念を意図的に作り出す政治性が存在しているということです。訳出されたものを、単に語法や文化、慣習の問題に帰着させると抜け落ちてしまう視点です。極論を言えば、訳者が、どのように拙劣に訳そうが、とにかく「アメリカの要求に」忠実な方針であればいいとしているのか、それとも、対応する適切な訳語がない場合、その隙間の部分で巧妙に、「アメリカを騙し返し」ているのか。この隠された意図は、最終的にわれわれにとって利益になるのか、不利益になるのかを見極める必要があると思いました。
[1114] 英文法の謎を解けても 投稿者：橋本金平 投稿日：2003/12/21(Sun) 11:59:56
先生の「英文法の謎を解く」は、チョムスキーやピンキー論に似たところがあって、解けたからといって、私の読解力や英語文章力があがったわけではなかったことだけが真実です。
[1073] マニフェスト 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2003/08/13(Wed) 21:52:02
日本のニュースもといニューズを見ていたらマニフェスト型の選挙公約がどうの云々と喋っていた。確かこの言葉は前に記事で見たが実際に使われていたので少しく驚いた。関連記事を一件検索してみたがそれによると「公約」ではなく「政策綱領」のことだと言っているようだが「公約」は候補者が有権者に約束する「政策」のことだから較べることではないだろう。それに（英語板なのでここから本題）「政策綱領」ならば「プラットフォーム platform」や「プログラム programme」が通例であろう。
「マニフェスト」といえばすぐにマルクスの『共産党宣言』（The Communist Manifesto by Karl Marx, Friedrich Engels）が思い浮かぶ。新しい党の設立理念を堂々と述べるならば「マニフェスト manifesto」で良いが少し詳しい公約の類い−橋を作ります雇用を増やします緑豊かな県にします−になぜ大袈裟にも「マニフェスト」が必要なのか。
以上、ノートン辞典にも特に記載が無かったので勝手に解説してみた。
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候補者は政策綱領掲げ選挙を 北川三重知事が提案 ［毎日新聞１月２６日］
三重県の北川正恭知事は２６日、同県四日市市で開かれた「改革派」知事とのシンポジウムで、今春の統一地方選にあたり、知事選や政令指定都市の候補者に「公約」の代わりに政策の達成期限や財源の裏付けなどを示した「マニフェスト」（政策綱領）を作成するよう求める構想を表明した。
北川知事は従来の公約が大風呂敷を広げた無責任なものになりがちと指摘し、具体的な財源や実現可能性を裏付ける構想の狙いを語った。近く綱領作りのマニュアルを策定、候補者に送る。併せて政策綱領を普及させる民間非営利団体（ＮＰＯ）活動も行う予定だ。
北川氏の提案をうけ、春に改選を控えた増田寛也・岩手県知事と片山善博・鳥取県知事は「現段階は今後の財政は見極めづらい」などと述べるにとどめた。 【荒川基従】
[1073へのレス] 吉田さんへ 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/08/14(Thu) 23:06:35
鋭い問題提起ですね。そもそもなぜ、われわれは新しい考え方を示すときに、日本語でなくて、外国語を使うのでしょうか、日本人なのに。（間違った英語を使うこともさることながら。）
[1073へのレス] 胡散臭い言葉 投稿者：吉田（Ｙ２Ｊ） 投稿日：2003/08/16(Sat) 00:31:37
日本の政治シーンでなにやら新しい言葉が出てくると胡散臭い場合がありますね。小沢一郎の「普通の国」が「normal country」の訳語だったように。小泉改革の時で出てきた「骨太」改革というのも「bold」の訳語でしょう。どうせアメリカから「Bold Reform」だかの要求を突きつけられたのだろうと私は見ている。それが「ノーマル・カントリー」「ボールド」にしないのは単に日本語として座りが悪かっただけのことで、おさまりが良ければカタカナにしていたと思います。
翻って、「マニフェスト」である。これはまさかそうした外から言われての言葉ではないだろうということがありありと見てとれる。
[1073へのレス] マニフェスト論争？ 投稿者：吉田（Y２J） 投稿日：2003/10/13(Mon) 23:28:05
「マニフェスト論争」というものがあるらしい。語学的に見たら無意味だが。「名正しからざれば、言うこと順ならず。言うこと順ならざれば、事成らず」と孔子も言っている。「マニフェスト」が流通したら「政策綱領」「選挙公約」の類いはますます嘘臭くなるだろう。本来の言葉である「政策綱領」だって「政権を取れば必ずやる約束事」だ。言葉を変えれば中身まで変わったと思い込んでしまうのは仕方ないほど日本的である。
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「マニフェスト」か「公約」か、各党分かれる
2003 年 10 月 11 日 （読売新聞）
１１月の衆院選の公約をマニフェスト（政権公約）と呼ぶかどうかで、主要６党の立場が分かれている。
マニフェスト「信奉派」の筆頭は、民主党だ。菅代表は１１日の愛知県岡崎市での街頭演説で、「なぜ横文字を使うかというと、（小泉首相が）『公約は大したことない』と言うからだ。政権を取れば必ずやる約束事だ」と述べ、マニフェストは通常の公約より“重い”との考えを強調した。
民主党の狙いは、実績のある与党を「将来の約束」という同じ土俵に乗せ、国民に比較してもらうことだ。菅氏はこの日、「首相は鼻っ柱の強い人だから『逃げない』と言う。しめしめと思っており、マニフェスト論争になってきた」と本音をのぞかせた。
自民党は公式にはマニフェストとは呼ばず、政権公約で統一している。幹部は「横文字では有権者に分かりにくい」と説明するが、「民主党の後追いと見られたくない」のが本音のようだ。保守新党も「総選挙政策」と呼んでいる。
森派幹部は「与党の具体的な政策は選挙の公約ではなく、毎年の予算案に盛り込む。予算案に触れない野党とは違う」と強調する。
一方、同じ与党の公明党は「政策を実現できる政党という印象になる」（幹部）として、「マニフェスト」と呼んでいる。ただ、訳語は「政権公約」でなく、「政策綱領」を使っている。「政権選択の対象になるほど議員数もいない」のが理由と見られる。
◆共産は「拒否派」◆
共産党は、マニフェスト「拒否派」だ。市田書記局長はこう説明する。「政権を取ればこうするというのがマニフェストなら、取れなければパーになる。野党でもこうやる、と言うのが責任ある政党で、世間の流れにならってマニフェストと呼ぶつもりはない」
◆混乱気味の社民◆
混乱気味なのが社民党だ。公約発表の２日の記者会見で、大脇政審会長が「政権を取った場合の実現可能性のある公約となると、社民党はまだ距離が遠い。厳密にマニフェストとは言い難い」と語った。
ところが、同席した福島幹事長はすかさず、「マニフェストと書いて下さい」と記者団に要請し、時流に乗り遅れまいとする気持ちをあらわにした。
[1073へのレス] 投稿者：1954 投稿日：2003/12/18(Thu) 02:37:53
吉田さん、おひさしぶりです。
ちなみに、アメリカ暮らしをしていると、マニュフェストという言葉は日常語、、というか
毎週教会で耳にします。たとえば、先週歌ったアンセムにも「In Manifesto unto God」
という一節がありました。
神との契約だから、破ったらばちがあたって、魂ごと焼き尽くされてしまう。。。っていう
ニュアンスがあります。
マニュフェストという言葉自体はどう訳してもかまわないですが、「これがマニュフェストだ」
と言ったことは絶対に守ってほしいですね。
[1104] 英語に対する構え 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/12/04(Thu) 22:29:26
英語に対する構えのポイントを整理します。
１、受験英語により、誤って植えつけられた英語に対する劣等感から解 放されること。
２、”個々人”にとって、どの程度まで英語が必要なのかを知ること。
３、日本人であることの有利点を見出すこと。
[1104へのレス] 日本式英語発音はダメか 投稿者：府川雅明 投稿日：2003/12/12(Fri) 01:10:10
東京に支店がある外資系金融企業で働く英国人から直接、聞いたことですが、仕事で日本人の”顧客”と話をするときは、例えばＦＥＥＤＢＡＣＫという言葉はちゃんと日本英語式に「ヒ・ー・ド・バッ・ク」と母音を一音ずつ強調して話すという。ネイティブ同士で話すときは、もちろん元に戻すように努力しているそうだ。（ジョークでしょうが）
いずれにせよ、営業のためであれ、彼らは譲歩し、日本式英語が承認されている場があることは事実である。日本人が英語を、ネイティブはだしの発音で話せるようにならなければならないとは、誰も強制していないはずである。問題は話しの中身だろう。ここで、私はもっと”日本語”の本を読まなければダメだと自己反省します。
[1101] ささやかな翻訳 投稿者：むくしろう（１０２１） 投稿日：2003/11/21(Fri) 02:06:47
小澤です。私にはダウン症の一人娘がいます。その関係から、ダウン症者の
支援組織JDSNに所属しています。先日著者のジム・トレリースさんから許可
を得て、著書の一部をJDSNホウム・ペイジに掲載していただきました。URL
はhttp://jdsn.ac.affrc.go.jp/JDSN-DL/yomikikase.htm です。お時間
があったら御覧下さい。掲載していただくと穴が目立ってきますね。この
ジェニファー・トマスという女性もダウン症ですが、今年マサチューセッツ
のコンコルド高校を卒業したようです。そのURLは
http://www.trelease-on-reading.com/jennthomas-update.html です。
療育・教育の分野では、英語で書かれたものは、参考になるようです。
訳文や内容について、ご意見下さい。また、管理人様、趣旨にはずれるので
あれば、削除していただいて結構です。
[1101へのレス] 小澤 様へ 投稿者：管理人 投稿日：2003/11/23(Sun) 00:56:40
上記、書き込みを決して削除いたしません。小澤様は、英語を実際に活用する意義と価値を見出していらしゃいますね。
[1101へのレス] 管理人様 投稿者：むくしろう（１０２１） 投稿日：2003/11/23(Sun) 12:25:48
小澤です。削除なさらぬとのこと、ありがとうございます。心から感謝いたします。いくら情報があっても
発表の場がなければ、誰の役にも立ちません。上のジェニファーさんの件は１９９５年の１１月号のアジア
版リーダーズ・ダイジェストで知っていました。機会あるごとにいろいろなところで話しましたが、反応は
なきに等しかったのです。今回は、いろいろな方の協力を得て発表できました。まず身内から言えばJDSNの
事務局。しかし、一番はジム・トレリースさんでした。e-メイルのアドレスを公表しているのであたりまえ
なのかもしれませんが、トレリースさんは実に気さくにさまざまなお願いや質問に答えてくださいました。
ジェニファーさんの最新情報として、ご両親と旅行するため、一年の猶予期間を取っているそうです。私の
拙い英語でも、ほとんんど間を置かずトレリースさんは答えてくださいました。この点では副島先生を彷彿
とさせます。また、甘えて趣旨違いの事を書いたかもしれませんがお許し下さい。