小坂です。私は、以前、副島先生が提唱されている、ハリウッド政治映画の収蔵室（アルカーヴ）に「エネミー・オブ・アメリカ」を寄付させて頂きましたが、下記『50歳からのパソコンライフ』というサイトにて、この映画に関する優れた映画評を見つけましたので、転載致します。
私の印象としまして、ハイテクを使った盗聴システムが、個人の日常生活まで監視する可能性があるということ、ことに、通信衛星まで使用した追跡劇は、全くのフィクションではなく、今や本当に出来るのだろうというリアルなものでした。
同時多発テロ以降、アメリカの『ウェイ・オブ・ライフ』及び『フリーダム』を守る為には、北朝鮮並みの自国民への監視体制も、益々、重要になっているのかもしれませんね。
最後の方で、副島先生の『アメリカの秘密』が大変好意的に取り上げられています。
もう一度この映画を、細部まで確認しながら見直してみるつもりです。
(転載貼り付け開始)
ハイテクを駆使した国家の陰謀アメリカの敵を告発するアクション 「エネミー・オブ・アメリカ」約133分
◆◆◆◆◆ 内部告発パターンの映画
アメリカの映画には、内部告発という一つのパターンがある。大統領の陰謀から行政や企業の不正まで、問題を暴く「正義の味方」のような映画だ。 すでによく知られている代表例は、「JFK」だろう。ケビン・コスナーが演じる主人公ギャリクソンが何年もかけてケネディ大統領暗殺事件の真相に迫る様子を克明に描き、アメリカ合衆国の行政機関を告発した。原作は、これもよく知られているように、暗殺事件当時、ニューオーリンズの地方検事だったジム・ギャリクソンによる「JFK」（日本語訳は『JFKケネディ暗殺犯を追え』（早川文庫）。 私たちシルバー世代には、実際の事件が身近な同時代に起きた衝撃的な出来事だっただけに、誰でも鮮明に記憶しているだろう。もしまだの人がいれば、必読・必見の作品である。
◆◆◆◆◆ 国家安全保障局の陰謀
ここで取り上げる「エネミー・オブ・アメリカ」も、実際のNSA（国家安全保障局）という行政機関を告発する形になっている。国家という抽象的な存在のために、個人の人権をないがしろにするNSAとその行政官レイノルズが繰り広げる陰謀を真正面 から描ききっている。
発端は、新しく議会に通そうとする国家安全法案（盗聴法）に反対していた下院議員をNSAが殺害することから始まる。 その現場を偶然撮影した野鳥観察家とその画像をやはり偶然手にした弁護士ロバート・ディーン（ウイル・スミス）が、次々に狙われることになる。証拠隠滅を図ろうとするNSAと行政官が、コンピュータから通信衛星まで、ありとあらゆるハイテクを駆使して二人を追う一大作戦へ映画は発展する。スピーディな展開と息もつかせぬ カメラワークで観る者を飽きさせない。
◆◆◆◆◆ ハイテク機器を駆使する
もう一つのこの映画の眼目は、コンピュータを含んだハイテク機器である。通信衛星、盗聴マイク、デジタルビデオ、画像処理のコンピュータ、悪用されるコンピュータ･ネットワークなど、これでもかこれでもかとハイテクが登場する。主役の弁護士は、衛星によって克明に現在の所在地を追尾され、ビデオに撮られ、あらゆる会話が盗聴マイクで録音される。クレジットカードの無効、スキャンダルのでっち上げなど、次々とプライバシーが剥奪され、偽情報がでっち上げられていく。映画は途中から一転して、元NSAの職員だったブリル（ジーン・ハックマン）の登場をきっかけに、弁護士側からのNSAへの反逆へと変わる。このハックマンが報復に使う手立てもすべてハイテク機器である。
どこまでが本当か、どこまでが事実か、とあるアメリカ人がいっていた「terrifyingly believable story」というのが実感だろう。◆◆◆◆◆ 日本でも同じことが・・・
アメリカを初めとする先進国にならって、日本も昨年「盗聴法」が国会で成立した。コンピュータ・ネットワークの急激な進化にともなって、私たちのプライバシーはすでにしっかりいろんな場所で抑えこまれている。かりに国家や行政機関がそれを操作しようとすれば、いとも簡単に利用でき、私たちのプライバシーは決して完全無比には守られてはいない。「盗聴法」はそれを認めさせる法律上の正当化であった。「アメリカの敵」とは、他でもない盗聴法をさらに強化しようとした議員、そのためなら手段を選ばないＮＳＡの局員である。そんなきわめて正当な主張をこの映画は語っているが、私たち多くの日本人は「日本人の敵」を告発することさえしなかった。作品は、正義を語る内容がどこか画一的で、安易すぎる印象がないではない。あまりにも結論と表現が一直線で単純すぎ、作品の場面 場面のリアリティはテクノロジーや撮影技法に力点が置かれ過ぎている印象も強い。 しかし、ただエンジョイするだけで終わらせていい映画ではないようである。アメリカの病根、ハイテク時代の個人が根底にあるからだ。
◆◆◆◆◆ アメリカの病根を解明する
内部告発パターンのアメリカ映画をもっと詳しく知りたい人に、ぜひとも『アメリカの秘密――ハリウッド映画を読む』（副島隆彦著メディアワークス刊1998）を紹介したい。アメリカの知識人の文脈では「政治映画」と呼ばれる32の作品を取り上げ、そこからたどることのできるアメリカの政治・社会・国民といった風土を克明に描いている。なぜ「エネミー・オブ・アメリカ」のような作品が当のアメリカ人のよって作られるのか、これを一読すればよくわかってくる。
(欄外)アメリカで政治映画と呼ばれる作品を取り上げ、克明にアメリカの病巣を指摘した書籍。映画愛好家には、面白い視点をもたらしてくれるだろう。
もうひとつ、『反面教師アメリカ』（堀武昭著新潮選書1999）も参考になろう。われわれ一般 の日本人が詳しく実感として知らないアメリカ人のものの考え方、行動の原理を著者の具体的な体験談から解き明かしている。
(欄外)アメリカ人の知られざる実像を体験的に述べた作品。意外なアメリカ人の顔が見えて来る。NSAの言い分は、「すべて国家のため」である。総理大臣が「神の国」「国体」といったことばを平気で使う日本だけに、ハイテク機器の導入にあくせくするだけでなく、アメリカの病根も私たちはしっかり知っておく必要がある。
(転載貼り付け終了)
50歳からのパソコンライフ ちょっと一息コーヒーブレイク
『＃00２ ハイテクを駆使した国家の陰謀 アメリカの敵を告発するアクション映画』より
http://www.pcfrom50.com/cff3.htm
初めて投稿します。豪州在住です。副島先生の著書の中でも、ハリウッド映画モノが大好きです。
先日、ジェームズ・ボンド映画の最新作｢ダイ・アナザー・デイ｣を見ました。全米では｢ハリー・ポッター｣を抜く興行成績を上げたそうですが、私が見る分には、これまでのダブルオーセブンものとさほど変わりがないと思います（当たり前ですが）。
ただ、北朝鮮という分かりやすい敵を設定したことで、いつもの荒唐無稽さにスパイスが加わったと感じました。英国人（ピアース・ブロスナンはアイルランド系ですが）対黄色人種という設定も、英米人にはグッとくるものがあるでしょう。
日刊スポーツ（ウェブ版）の記事を以下に引用します。＜引用開始＞
北朝鮮が映画「007」の公開中止求める
米朝関係が悪化する中、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）が（やさぐれ注・2002年12月）15日までに、米人気スパイ映画｢007｣シリーズの最新作｢ダイ・アナザー・デイ｣の公開を打ち切るよう、求める声明文を発表した。
朝鮮中央通信によると、声明を発表したのは北朝鮮の祖国平和統一委員会。007の最新作に対し「わが国を『悪の枢軸』の１つとして描き、南北対決を扇動しているだけでなく、北朝鮮や朝鮮民族を中傷、侮べつしている。汚れた、のろわれたこっけい劇だ」と、激しい調子で非難。創作、上映を「わが民族を冒とくする故意的で計画的な犯罪行為」とし、米国側に「１度公開を中止するべきだ」と求めている。
最新作は、俳優ピアース・ブロスナン（49）演じる主人公ジェームズ・ボンドが、北朝鮮と戦うストーリー。北朝鮮側が、韓国内の米軍基地にレーザー光線を使った新兵器で攻撃を仕掛けようとする場面など、激しいテロシーンが描かれている。ブロスナンとボンド・ガール役の女優ハル・ベリーが仏教寺院内でのセックスシーンを演じるが「悪の帝国で変態と堕落、暴力と色情の末世的な退廃文化を広げる総本山」などともののしっている。
北朝鮮の金正日総書記は映画好きで知られるが、米朝関係が悪化する中、今回は００７の活躍までが北朝鮮側の非難の的となってしまった。
（http://www.nikkansports.com/news/society/p-so-tp0-021216-05.html）
＜引用終わり＞（記事中、｢北朝鮮側が、韓国内の米軍基地にレーザー光線を使った新兵器で攻撃を仕掛けようとする場面｣とありますが、実際はレーザー光線ではありません）
韓国でも、この映画が朝鮮半島に不安定な状況をもたらすとして、上映禁止を求める動きがありましたね。
続いては｢ノース・コリア・トゥデイ｣というウェブサイト（http://www.infovlad.net/underground/asia/nkorea/）｣で見つけた１年前の記事です。＜引用開始＞
韓総連、「映画007製作中断」を主張
（ソウル連合ニュース）イ・チュンウォン記者
韓国大学総学生会連合 (韓総連）は、映画007シリーズ第20弾が北朝鮮軍を素材としたことと関連し、さる（やさぐれ注・2001年12月）24日付で声明を出し、映画製作の中断を主張したことが26日に明るみになった。
韓総連は声明で「”米国式軍事覇権主義”の伝令者の役割を自任してきたハリウッドの「007シリーズ」が今回、北朝鮮を「主敵」に設定したという点で民族的憤怒を感じる」と明らかにした。
韓総連は「今回の映画のためにジョージ・Ｗ・ブッシュ米国政権の特別補佐官が製作者と直接会い、 (映画の) 内容と関連した注文をしたという」と疑惑を提起したのち「“007シリーズ20編”製作は、私たち民族の間で力を合わせ、統一を成し遂げようとする7千万民族の自主的意志に対する、米国の“文化的テロ”だ」と主張した。
この団体はつづけて「 (来年) 1月に予定されている韓国現地撮影で、ハリウッド映画製作陣がこの土地に足を踏み入れることができないような闘争を展開すること」と付け加えた。
米MGM社が製作する「007シリーズ20編」は、北朝鮮軍の強硬派特殊要員が平和的な南北統一を指向する北朝鮮の穏健派将軍を除去しようとし、ジェームズ・ボンドがこれを阻止するという内容であることが伝えられ、外信によればジェームズ・ボンド (ピアース・ブロスナン）と正面対決を繰広げる北朝鮮軍将軍役には、在米同胞の映画俳優リック・ユンが抜擢された。
＜引用終わり＞多くの日本人は、これらの記事を見て、｢まーた北朝鮮が無茶苦茶なこと言ってるよ｣と思うでしょうが、副島読者にとっては暗黙の了解事項でしょう。
映画としては、とにかく、ピアース・ブロスナンが年をとり、体のキレが鈍ったのが目立ちました。ボンド映画の出演契約は今回で切れるそうですが、余計なお世話ながら、そろそろ引退を考える時期ではないかと思いました。
韓国でも批判が噴出している仏壇の前でのハル・ベリーとのからみも（実際は、小さな仏像がちらっと映るだけです）、アジア人の私から見ると別段、仏教を貶めたものとは思いませんでしたが、彼ら（英米人）がキリスト教会の聖壇の前でセックスシーンを演じるかと問われればそうとは思えず、キリスト教徒が仏教を邪教と考えている公然の秘密を露呈したとはいえるかもしれません。
根強い「月着陸はうそ」の説 ＮＡＳＡも対応に苦慮
2002.12.24
Web posted at: 17:23 JST- AP
米フロリダ州ケープ・カナベラル（ＡＰ） 「人類は月に着陸していなかった」「アポロからの中継は、実は米西部のスタジオで撮影されたでっち上げ」――３０年前から一部でささやかれてきた説が、昨年以来米国内で新たな広がりを見せている。これまで通り取り合わないのがいいのか、正面から反論すべきかと、米航空宇宙局（ＮＡＳＡ）も対応を決めかねているようだ。「でっち上げ説」の大筋は、旧ソ連との宇宙開発競争で苦戦し、あせった米政府が、勝ったと見せかけるために偽物の月着陸シーンを流し続けていた――というもの。昨年２月、米ＦＯＸテレビがゴールデンタイムの特別番組で取り上げたのをきっかけに、あらためて勢いがついた。インターネット上で議論が巻き起こり、生徒に質問された教師がＮＡＳＡに問い合わせるケースも急増した。
そこでＮＡＳＡは、学校などで使える「反論ハンドブック」の発行を企画し、かつてスペースシャトルの地上司令官を務めた科学者のジェームズ・オーバーグ氏に執筆を依頼した。しかし、「そんな説を相手にするべきではない」との批判が続出したことから、発行計画は白紙に。一方、オーバーグ氏は「ＮＡＳＡが手を引いても本は出す」と、執筆を続ける構えだ。「無視すれば隠していると思われるだけだ」と、オーバーグ氏は力説する。
アポロ１３号の船長を務めたジム・ロベル氏は最近、「月に行ってきたなどとうそをついた」として訴えられたという。今年９月には、アポロ１１号で月に降り立ったバズ・オルドリン氏が「うそつき、泥棒」などとののしられて誓いを強要され、こぶしで応じるという事件も起きている。でっち上げを主張する意見は、ここへきて一気に激しさを増しているようだ。
会員番号1141 藤塚と申します。4回目の投稿です。映画「ビューティフル・マインド」（２００1年アカデミー作品賞）から、興味を引かれた台詞を載せておきます。
（ＤＶＤの字幕から）●冒頭、新入生を迎える学長の台詞。
「数学者が戦争を勝たせた。数学者が日本軍の暗号を解き、原子爆弾を作った。君らもその数学者だ。ソ連が目指すのは全世界の共産化。医学、経済、テクノロジー、宇宙科学、米ソの競争は激化している。勝利するのに必要なのは全世界に提示できる学術成果だ。君らの中に第二のモールスが？ アインシュタインが？ 誰が民主主義と自由、そして新理論の旗手になる？ アメリカの未来は君らの手の中にある。プリンストンに歓迎する。」
●主人公、ジョン・ナッシュの、新理論を閃く時の台詞。同級生たち
「近代経済学の父、アダム・スミスは何と？ ”競合社会では個の野心が公の利益” ”個の野心”だぞ」
ジョン・ナッシュ
「アダム・スミスは違う。アダム・スミスは言った。”最良の結果はグループ全員が自分の利益を追求すると得られる。” 間違いだ。 ”最良の結果は全員が自分とグループ全体の利益を求めると得られる。”全てを支配する真理さ。アダム・スミスは違ってる。」
●ジョン・ナッシュのノーベル賞受賞スピーチ私は数を信じます。
I've always believed in numbers.理を導く方程式や理論
in the equations and logics that lead to reason.一生をそれに捧げて、今、問うのは、論理とは何か。
But after a lifetime of such pursuits, I ask, what truly is logic?理の定義は？
Who decides reason?答えを追って私は理学的また哲学的世界を旅し、
My quest has taken me through the physical, the metaphysical,幻覚にも迷い、戻りました。
the delusional, and back.そしてついに学んだのです。
And I have made the most important discovery of my career.人生で一番、重要なことを。
The most important discovery of my life.謎に満ちた愛の方程式の中に”理”は存在するのです。
It is only in the mysterious equations of love that any logical reasons can be found.今夜、私があるのは
I'm only here tonight because of you.君のお陰だ。
You are the reason I am.You are all my reasons.
君がいて、私がある。ありがとう。
Thank you.
木下玲子『欧米クラブ社会』新潮社、1996年。p.149-�次．蹈ぅ筌襦Ε献�グラフィカル・ソサエティ(RGS)
大英帝国のエリート探検家たちが作り上げた国際ネットワーク
ロンドンの二月にはめずらしく、良く晴れた日だった。ハイド・パークからそう遠くない旧ローサー・ロッジ(現ロイヤル・ジオグラフィカル・ソサエティ本部）までケンジントン・ゴア通りをゆっくり歩くことにした。
ローサーロッジの館は石畳の前庭や石壁のたたずまいに歴史の重さを感じる。建築様式はロンドン市内では見かけないオールド・イングリッシュ・カントリー。分厚い木製扉のドア・ノブを押し、ほの暗い玄関ホールに進むと右手に控えるハウス・バトラー(執事）が用件を尋ねてきた。用件を伝えるとバトラーは前日とまったく同じ調子で頷き、同じ歩調でゆっくりと二階の図書室に私を案内してくれた。
ロイヤル・ジオグラフィカル・ソサエティ(RGS)に興味をひかれたのは、日本に造詣が深かった英国の初代駐日特派全権公使で総領事、ジョン・ラザフォード・オルコック卿について読んでからだ。赴任した一八五八年当時、オルコックは日本に開国主義堅持を求め続けた辣腕外交官だった。外交は文化理解からと日本語習得にも力を入れた。
そのオルコックが、RGSの会長に選ばれたのは清国駐在特命全権公使(七年間)を解かれた後の一八七六年。アジア通の会長として二年間務めた。英国の関心がアフリカ諸国からさらにアジア諸国へと向かっていた時期である。■エリート探検家のメンズ・クラブ
図書館に入った。ここは米国にある地理や地質専門研究機関のライブラリーとはかなり違っている。利用者のために検索用のコンピューターなど置いていない。ライブラリアンはチーフを含めて三人だった。
その朝、図書室には数人の研究者がいた。ジュニア・フェローと呼ばれる大学生のメンバーが四人、丸テーブルを囲んで古い地図の上に頭を寄せ合っている。オックスフォード大学で考古学を専攻している学生たち。RGSの協力でチベット探検に出かけるという。
探検準備は、同じ場所に行った先人の探検足跡を古い地図（一八七六年)で確認することからはじまる。さわったら破けてしまいそうな地図が十数枚、宝物のように積み上げられていた。
ライブラリアンが百年ほども経っていそうな分厚い「索引書」を私の前に広げた。見たこともない古い書体で文字は大きい。
私のお目当ては、RGS発行の機関誌で研究書「ザ・ジャーナル・オブ・ザ・ロイヤル・ジオグラフィカル。ソサエティ」の一八六一年度版だった。そこに日本勤務を終えたオルコックがＲGS主催の帰朝報告講演で話した全文が掲載されている。一八六一年五月十三日に講演は行なわれていた。演題は「日本内陸旅行」。これは後に、外国人が著わした日本文化研究の名著といわれる「大君の都（The Capital of the Tycoon）」の土台となった。それを読みたいと思っていた。
講演はこう始まっていた。
「我々才ルコック視察団は日本の首都であるYEDO(江戸)を出発点に箱根、熱海から富士山にいたるまでの『農業実態調査』『植林・植物生態調査』『温泉水源・水質調査』を進めることにした。まず農業生産物については日本の特徴を次のようにまとめてみた。
日本の主要農業生産物は米である。米は日本では大抵が低地で山間湿地に灌漑用水を引いて生
産され、中国の栽培方法とほとんど変わらない。また畑にもそれに適した米栽培法が考案されていたのは興昧深い……。
最後に山肌を利用しての"段々畑"式栽培方法について述べたい。この方式は日本独自のものである。段々畑で生産される農作物は味はともかく、段々畑そのものがつくり出す絵画的な美しさは言葉に尽くし難い。日本らしい様式美は見るものの目を奪う」
「次に日本で栽培されている野菜類全般については、ひとことでいってフレーバー(味と香り)が皆無なのが特徴だろう。
この理由を専門家が徹底的に調べてみれば面白い結果が出るかもしれない。専門家としてではなく日本に生活した者としていうなら、私が観察した限り、多分に肥料のやり過ぎ、それが原因ではな
いかと考える。作物を早く育てようとするあまり肥料をやり過ぎ、それが野菜の風味を損なうばかりか野菜に独特の異臭を残す結果につながっていく。英国でもかつて似たようなケースがあったので良くお分かりいただけるだろう」
「果実についてもひとこと申し上げておかなければならない。観察してきた限り、日本には果実の木を熱心に育てようという発想そのものがないことを知った。実をつける木々を大切に育成する習慣がない。日本人にとって農作物といえば"米に始まり米に終わる”のである。しかし今回の旅行で分かったのは、地質学的にも気候面からもこの地域（箱根-熱海-静岡）ほど果実栽培に適した地域はないという事実だ」
「将来日本で果実栽培に着手してみたい、などとお考えの向きには、この地域（箱根-熱海-静岡)に推薦したい果実を挙げておこう。
-サクランボ、栗、イチジク、ぶどう、ミカン、メロン、梨、プラム、桃、スイカ、クルミなど」
別の資料から、オルコック講演当日のものではないが、一八六〇年代当時の定例講演会風景記録した写真も見つけた。演壇に立ち、RGSが編んだアフリカ地図を指差しながら説明する燕尾服姿の講演者。聞き入る聴衆は、紳士はいずれもブラック・タイ姿、婦入たちは筆麗なイブニング・ドレスに肘までの長い手袋をつけた正装である。
定例講演会はRGSの呼びものだった。最初にオーストラリア大陸を南北に横断して生還したジョン・マクドューガルも、ＲGSの探検隊をひきつれ北オーストラリアの植物生態調査を成功させたオーガスタス・チャールズ・グレゴリーもRGSで講演している。
ロイヤル・ファミリーを頂点に貴族、軍人、政治家、弁護士、医者、作家たちが集ったRGSは大英帝国全盛期のエリート探検家の国際的ネットワークだったのである。
彼らは冒険心にあふれ、ガッツを持ち、自由を謳歌するゆとりがあり、社会のリーダーとしての使命を負っていた。それが世界へのあくなき好奇心、未開へのあくなき探検心をRGSは上流階級の最も贅沢な「メンズ・クラブ」となった。
彼ら上流階級の探検家はまた、卓越したストーリー・テラーでもあった。自分たちの経験をどう伝えたらよいかをよく知っていた。RGSのメダリスト(優秀な探検家や研究者に与えられる名誉メダル受賞者）たちはまた、大英帝国のパワーのストーリー・テラーでもあった。■みんなインディ・ジョーンズのモデル
現在のフェロー(RGSのメンバー会員）たちにも会った。
英国の日刊紙「ガーディアン」の科学記者ティム・レッドフォード。レッドフォードはフェローになって二十五年になる。
スラリとしてやや赤ら顔のレッドフォードはいかにも冒険好きといった印象。頭に革の帽子を載せ、腰にナイフとムチでも吊るせば、そのまま「インディ・ジョーンズ」の風貌だ。
「インディ・ジョーンズもRGSのフェローだったのですか?」
私の冗談にレッドフォードは笑うと、
「しかし実際、あのモデルはRGSのフェローだったのですよ。ただ自分がモデルだと思っている現役探検家が多すぎるのが問題ですけれど…」といった。
レッドフォードはコーヒー・ショップに腰をおろすと熱中してシャクルトンの話を始めた。一九〇七年南極大陸を目指し英国を発ち、五カ月の探検旅行で大成功をおさめた探検家で、それ以前に極点を目指したロバート・ファルコン・スコット隊よりもさらに極点に近づき、一カ月間の食料不足(途中で食料が底をつき、お茶だけで一カ月を過ごした)を克服して画期的な成果をあげたRGSフェロー、ヘンリー・シャクルトンのことだ。
「シャクルトンの伝記を読んだのがRGSにひかれた最初でした。シャクルトンの探検はいつも資金不足で、それにもかかわらずリーダーシップがあったのですね。どんな困難に遭遇しても探検隊のメンバーはシェルパ(探検隊の案内や荷揚げを手伝う高地民族)一人にいたるまで決して命を落とさせなかった。隊員はシャクルトンと探検にいくと、二度と他の探検家とは組まなかったんですね。彼の孫は現在RGSのフェローです。おじいさんのおかげで爵位を貰ったシャクルトン卿ですがね」
大英帝国が未知へ向かって最も輝いていたとき、英国の男たちもはるかに勇敢だったとレッドフォードはいう。
「ケンジントン・ゴアの建物に行きましたでしょう。あの薄暗い玄関ホールに入るとゾクゾクしてきます。空気のなかにすべて先人の探検家魂がさまよっているようで。生涯RGSのフェローでいたいと思うのは、あのシャクルトンやリヴィングストーンが吸った空気を自分も吸っているという満足感じゃないかな」
RGSの定例講演会には定期的に出席しているジャーナリストで環境問題専門のポール・ブラウンにも聞いた。
「何度かフェローにならないかと誘っていただいたのですが、ジャーナリストの特権でいつでも講演会に行けるとなると、なかなかフェローになるふんぎりがつかなくて。私の場合は探検よりも環境調査に興味がありましてね。RGSとほかの国々が共同で行なっている環境プロジェクトは洩らさず聞いています。ただ、米国のナショナル・ジオグラフィック・ソサエティのような潤沢な助成金をRGSは持っていませんから、環境科学プロジェクトのアイディアは沢山あっても実現は難しい。その苛立ちもフェローになることに二の足を踏む理由かもしれません」■一八三〇年、RGS誕生
ロイヤル・ジオグラフィカル・ソサエティは、一八三〇年四月十二日に誕生した。ロンドン市内タヴィストック・プレイス三十七番地のフランシス・ベイリー(ザ・ロイヤル・アストロノミカル・ソサエティ会長)邸で開かれたパーティ席上だった。
創設に参加したのは四人。当時の英国で「ジオグラフィー」を単に地理学や地図製作の分野に押し込めず、それまでの英国に欠けていた科学的実証を基にダイナミックな発想で捉えようと考える行動的で影響力のある人々だった。
ホスト役のフランシス・ベイリーを柱に、トーマス・マクドューガル・ブリスベイン螂(元ニュー・サウス・ウェールズ知事)、水界地理学者のボーフォート大尉、ベイジル・フォール大尉らだった。
RGSが一八三〇年に誕生する背景にはいくつかの理由があった。
まず、鉄道を含む交通機関のめざましい発展や改良が世界各地で起こり、探検家の行動が物理的に自由になったことがある。
またその当時の英国でも、政府が母体の「ザ・ロイヤル・ソサエティ」というエクスクルーシブ・クラブが各種探検活動への資金援助を活発に行なっている。それほど探検熱は高まっていた。しかし、従来の探検は植民地政策の大枠から抜け出しにくく活動もアフリカ、オーストラリア、アジアに偏っていた。若手研究者たちはその慣習を抜け出し、科学調査や環境間題研究を中心にした未踏の地域への探検を考えていた。
新しい探検を進めるには「市民中心(政府のコントロール下にない）の開かれたクラブ」が必要だったのだ。
ただ、世界中を旅してきた、旅を愛する市民のクラブ「ローレイ・トラベラーズ・クラブ」は一八二八年にすでに始まっていた。メンバーは四十人。東洋研究家として有名なマースデンが会長になった。クラブの活動は愉快で楽しかった。メンバーは二週間に一度開かれる晩餐会に集まり、各自それぞれが一品ずつ、自分が所有する世界の珍味を持参して全員に供するのがルールだった。ラップランドに住むトナカイの腰肉、メキシコのハム、死海沿岸で育てられた大麦のパン、不思議な名前のワインやリキュールがテーブルを賑わせた。
また、市民による開かれたクラブが熱望された背景には英国の知的伝統もあった。
英国の貴族や裕福な家庭の子息たちは、大学に入る前にある期間(三カ月から一年間）、世界(アフリカやアジア、中近東、アメリカ大陸)を旅行して回るという習慣を継承していた。英国人青年たちはこの期間に実に多くの体験を積んでいく。その英国的知的伝統を下から支えてきたのは、自分たちで旅行することがままならない一般英国氏の好奇心にほかならなかった。青年たちの旅行体験を英国に居ながらにして聴く「アームチェアー・トラベラー」や、読むことで体験を共有しようとする「アームチェアー・リーダー」と呼ばれる一般市民の厚い層が、広い意味ではRGS誕生を心待ちにしていたのである。
「英国人はヒーローが大好きですから」
RGSフェローのティム・レッドフォードもいっていた。英国人は十九世紀からの探検家たちの話を好むのと同じくらい外の世界の話ならフィクションでも熱中するともいった。
「人気者は、南極大陸探検をした冒険家ギャラント。実在ではないけれど"ドラキュラ”、"ジキル博士とハイド氏”、"シャーロツク・ホームズ”もヒーローとして根強いでしよう?英国の地理的条件が関係しています。国が小さい上に長いコーストラインを持っている。だから海の彼方に目を向ける国民性になったのでしょう。そこに十九世紀初頭からの海運の発達や産業革命の興隆があり、植民地政策がどうしても必要だった。そうした社会環境がヒーロー好きの英国気質ととけあって探検家を求めたのでしょう。第一次大戦直後までその傾向は続いています」
「副島ハリウッド本」で、取り上げられていた、「マンチュリアン・キャンディデット」ですが、デンゼル・ワシントンを主演にして、リメイクされるようです。今朝の日経新聞の最終面の、早川文庫の広告に「パラマウントで再映画化」との見出しがあって、早速調べてみました。
（引用貼り付け開始）
デンゼル・ワシントンが、62年の傑作映画「影なき狙撃者」のリメイク作品へ出演することが決定！今作は、朝鮮戦争時に中国に捕らわれ暗殺者として洗脳された男の姿をドキュメンタリー・タッチで描いた社会派サスペンス。リメイク版の脚本は「トータル・フィアーズ」のダニエル・パインが手掛け、プロデュースはスコット・ルーディンとオリジナル版の主演スター、フランク・シナトラの娘・ティナがあたる。
（貼り付け終わり）
http://www.warehouse.co.jp/rent/video/topics/mostnew.html小説版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150410240/ref=sr_aps_b_2/250-9003065-0867420
（引用はじめ）
１８９２年に、舞台となったワイオミング州で、ジョンソン郡戦争、と呼ばれる抗争があった。牧畜業者グループと、主に東欧からの開拓農民との争いである。この戦争の経緯を真正面から映画化したのがマイケル・チミノの『天国の門』。牧畜業者側は、テキサスあたりから７５人のガンマンを雇い、農民の追い出しにかかったのだが、米陸軍も介入して、けっきょくガンマンたちの多くは投降し、戦争は終わった。『シェーン』はこの戦争の後日談である。アメリカ人観客は、グランド・ティートンの山なみが画面に映った瞬間に、ワイオミング、ジョンソン郡戦争と連想する。シェーンは、「戦争」に負けてジョンソン郡から逃れてきたガンマンなのだ。シェーンがやってきた谷で、もうひとつの同じ構図の抗争があった。シェーンは本来なら毛嫌いされておかしくはない立場なのだが、バン・ヘフリン一家の優しさと、奥さんの魅力に惹かれ、こんどは逆に農民の側について、ガンマンとしての腕を発揮することになったのだ。「戦争」の中でシェーンがどれほどの働きをしたかは、直接説明されないが゛初対面のジャック・パランスがシェーンの名を知っていることもからも、だいたい想像がつく。シェーンは、もはや生き延びたり、堅気になったりすることも不可能なほど、ジョンソン郡では大きな罪を犯してしまっていたのだ。（私の好きな西部劇より）
（引用おわり）西部劇の「シェーン」はガンマンといえば聞こえはいいが、どの時代の何処にでもいるヤクザ、ゴロツキにすぎなかった。治安が悪かったからそれなりにガンマンの需要があった。治安を担当する保安官も無法者たちとたいした違いは無く、胸にバッチを着けているかいないかの違いしかなかった。ブッシュ大統領をはじめとするアメリカ人の精神構造はその時代からたいした変化はしていないのだろう。
「無法者の保安官」には法律による規定というものは無く、彼に悪者であると名指しされたものが犯罪者であり、実在したワイアット・アープなども、何人も人を殺しながら有罪には問われていない。喧嘩をする前に要領よく保安官のバッチをつけて相手を殺しながら、喧嘩が終わればバッチを捨てるといったのが事実だろう。ワイアット・アープ自身賭博場の経営者であったことからも想像がつく。
しかしながら西部劇の映画の中では腕のたつ名保安官として描かれている。「シェーン」にしてもハンサムなアラン・ラッドが演じて好人物に描かれているが、実際にあったジョンソン郡戦争を題材にした映画だ。当時の牧場は牛を全くの放し飼いで放牧しており、所有者もはっきりしない牛が多かった。だから他人の牛が自分の牛の群れに紛れ込んだりするとトラブルになり牛泥棒呼ばわりする事件が相次いだ。さらには牧場主と農家との土地の争いも起きた。その際に牧場主たちはガンマンを雇って解決しようとした。日本のヤクザの縄張り争いと同じだ。
現代のブッシュ大統領も、イラクのサダム・フセインを大量破壊兵器を持っているとして、軍事制裁をしようとしている。イラクが大規模な油田を持っていなければこのような目に遭わずとも済んだのだろうが、アメリカの石油財閥の強欲により戦争を仕掛けられるのだろう。国連の制裁決議は「無法者の保安官」バッチにすぎない。腕の立つ無法者の保安官ほど厄介者はいない。ブッシュ大統領を「うすのろ」と呼ぼうがなんだろうが、世界は西部劇の荒野と変わりなく、強いものが土地を占有し利益を独占してゆく時代だ。
アメリカはこれからも世界のあらゆる国に因縁を吹っかけて戦争を仕掛けるだろう。日本からは金を奪い、イラクからは石油を奪い、中国からは労働力を奪って帝国を維持して行くのだろう。その強欲さはアメリカの歴史そのものを見ればわかるとおり、牛の放牧の邪魔になるからとバッファローを絶滅させ、インディアンを滅ぼした。黒人を奴隷として使い、日系人を強制収容所に放り込み、アフガニスタンやイラクでは現在も無差別爆撃を続けている。その有様は西部劇時代の「無法者の保安官」そのものだ。
今、マイノリティ・リポートみてきました。フィリップ・Ｋ・ディック原作
特有の「人間の悲しみ」を感じさせる作品でした。楽しみました。でも、今
ひとつストーリーのわからないところがあり、ハヤカワの文庫本を買い、原
作のペイパー・バックもアマゾンに注文しました。その上さらに、クロウス
ホウイさんのおっしゃる、「決定的な事実」がわかりません。いつか機会を
見て、この板に書いてください。
はじめて投稿するクロウスホイという者です。副島先生の本は覇権アメや金
融鎖国、アメリカの秘密を含め、６冊ほど読ませていただきました。じきにぼやき有料会員に入会しようと思っております。
最近、マイノリティー・リポートという映画を観ました。監督はスピルバーグ、主演はトム・クルーズというドリームチームが手がけたものです。しかし、ぼくはこの二人にはそれほど興味がなく、むしろ原作者のＰ・Ｋ・ディックというＳＦ作家のファンだったので観に行きました。内容は、未来社会で犯罪予防局の捜査官として働く主人公アンダートンことＴ・クルーズが、自分が犯罪を犯すと犯罪予防局の予言者に予知され、その真相を確かめるべく局からの追跡を逃れつつ捜査する、というサスペンスじたてのＳＦです。原作はＳＦミステリーではないのですが、スピルバーグはこれを良質のエンターテイメントにしあげました。この掲示板の皆さんにもこの映画を観に行くことをおすすめします。
さて、皆さんにこの映画をおすすめする理由は、２つのビッグ・ネームに保証された品質である、というだけではありません。じつは、この映画は、ある決定的な事実を暴露しています。詳しいことは、内容にからんでくるので書けませんが、この映画がアメリカで公開されたのは、確か２００２年の前半でしたが、もし当時の政権が民主党政権だったなら大ヒットしただろう、というのがヒントになるかもしれません（アメリカでは２つのマニメイキン・スターでありながら、そこそこしかヒットしませんでした）。
副島隆彦です。私たちは、ハリウッド政治映画の収蔵室（アルカイーヴ）を作る運動を、そろそろ本気で始めなければならない、と思います。現に日本国中のレンタル・ビデオ屋に、膨大な量のレンタル・ビデオが収蔵されていて、それらのうちの
隠れた名作の政治映画が数１００本あります。それらを、みんなで手分けして集めなければならないと思います。
そのうち、というか、今でさえすでに、レンタル・ビデオ屋の廃業と、ＤＶＤ
で再生されるＣＤの形への変更で、過去の名作の政治映画が、大量に処分されているのだろうと思います。それらを安価で入手する（一本５００円から
１０００円で）ことは、知恵を絞れば可能だと思います。
それらを集めて、かつ、まとめて見てみたい、という欲しい人に販売する
ということもやらなければならないと思います。日本人は、映画評論家を名乗る連中でさえ、「政治映画」という考え方はできないし、政治思想の諸相を理解できる人もほとんどいない現状です。
ですから、出来そこないの、つまらない、へんな映画扱いされて大事にされて
いない映画こそを、私たちは救い出さなければならないのだ、と思います。私たち「学問道場」としましては、このハリウッド政治映画の収蔵室（アルカイーヴ）建設運動を来年は、本気で始めようと思っています。どうか、有志のご協力を希望します。
副島隆彦拝
(転載貼り付け始め）
Date: Fri, 13 Dec 2002 04:21:32 +0000
From: ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
To: GZE03120@nifty.ne.jp副島隆彦様
横浜市の＊＊＊＊です。
「ドクターモローの島」（１９７７年版）ＶＤＯ (コピー)をお送りします。
返送は不要です。どうぞお役立て下さい。＊＊＊＊
※『ドクターモローの島 (THE ISLAND OF DR. MOREAU)』
copyright: 1987 Vestron Video International. (The Netherlands)
販売元 ポニーキャニオン
＊＊＊＊さまへ
副島隆彦ですメールをありがとうございます。
「ドクターモローの島」（１９７７年版）ＶＤＯ (コピー)をお送りいただけるそうでどうもありがとうございます。来年の私どもの企画のひつとして、政治映画のライブラリー（収蔵室、アルカイーヴ）をつくって行こうと思います。この「映画なんでも文章箱」の管理人のよしなお君が中心になるでしょう。
新しい映画よりも、古いものを中心に集めて行って、ゴミとして捨てられ始めているものの中からみんなで手分けして探し出す方式を確立したい。あるいは、ビデオ産業界から安価に一気に大量に入手することも考えています。
と同時の、この「ハリウッド政治映画の収蔵室の運動」を活性化させるために、たとえば１０本組のセットにして妥当な値段で、古い政治映画を中古品として販売するする活動も始めなければと思っています。
今後とも宜しくお願い申し上げます。副島隆彦拝
（転載貼り付け終わり）
副島隆彦拝
岐丸です。久々にここの掲示板の投稿を見ていたら，舛添氏の投稿がありました。映画で学ぶアメリカ大統領―舛添要一のおもしろ国際政治学講座
舛添 要一 (著)を小坂さん，読みましたか。私は，この本を昨年あたり，学校の図書館で見かけて，ぱらぱらめくりました。内容を具体的に読んでいませんが，オリバーストーン監督のＪＦＫとニクソンを取り上げた時点で，こいつ，副島氏の本を読んで，剽窃したのか。と思いました。私が，この２作を見ようとしたきっかけは，副島氏の本があったからこそです。内容まではさすがに細かく見ていません。ほかに確か，クリントンがあったと思います。それも，ワク・サ・ドッグあたりが使われたのかな？この芸能人は，自分だけ天才だと思い込んでいやがる。私は，ウエークアップで見るたびにいやな気分になる。どうせ石原慎太郎と同じ考えをしているんだろう。自分さえ目立てばよい。と(引用開始)
表紙は、副島先生の2冊のセンスのよさには遠く及ばないと思います。いよいよ、舛添氏もこのジャンルに参入してきたようですね。副島先生のハリウッド政治映画本第3弾を首を長くしてお待ちしております。
(引用終了)ほかに出てくる人がいるだろう。その人たちが剽窃しているかどうか見ものだ。後は，副島氏の判断に任せる。
大石と申します。2度目の投稿です。「アメリカの秘密」で取り上げられている「薔薇の名前」に関する文章を、家長知史著「映画でまなぶ世界史」（地歴社、1994）という本の中で見つけましたので転載します。
（転載開始）
フランチェスコの死から101年後の1327年、北イタリアのベネディクト派の修道院を舞台に、フランチェスコ派の修道士パスカヴィルのウィリアム（ショーン･コネリー）がシャーロック･ホームズよろしく（僧侶だからブラウン神父のようにともいえるけれど、ウィリアムには若い弟子が助手のワトスン役としてちゃんといるから、やはりホームズ）、院内で次々に起こる変死事件の解明をすべく活躍する映画が「薔薇の名前」である。原作は国際記号学会の会長をつとめ、世界的な記号論学者として知られるボローニャ大学教授のウンベルト･エーコの同名の処女小説である。加藤周一氏は、この小説について「現代の小説で、おそらくボルヘス氏の短編を除けば、知的にこれほど面白い小説を私は知らない、といってもよいだろう」（加藤周一『夕陽妄語』朝日新聞社）といい、次のように述べている。
「歴史的な面に注目すれば、小説の興味は、修道院内の日常生活の詳 しい叙述にあるだろう。食生活･･････から、性生活（同性愛と近くの 村の娘との交渉）を通って、知的生活（共通語としてのラテン語、神 学的な論争）まで。修道院外の歴史的状況が修道院内の人間関係に反 映していることは、いうまでもない。殊にたとえば、アヴィニヨンの 法王と神聖ローマ皇帝との権力の対立、宗教裁判と異端弾圧、その間 にあってのフランシスコ派の微妙な立場などである。元異端裁判所審 問官で、皇帝に近いフランシスコ派の主人公が、修道院長をはじめ多 数の修道士たちと行う長い対話は、･･････中世思想史の興味深い一断 面を示す。」（加藤周一、前掲書）
（中略）
私自身がこの映画を見てまず引き込まれたのは、ドラマの舞台となるベネディクト派の修道院の重厚感とリアリティである。監督は「中世の現実をできるだけ忠実に再現させるに努めました」と語っているが、この修道院を再現するためのセットには1850万ドル（約29億円）が投じられたという。（略）
また、この映画の中では宗教会議、神学論争が描かれる。そもそもウィリアム自身、この修道院にやってきたのもこの会議に参加するためであった。この会議は、キリストは財産を持っていたかどうか（キリストが着ていた服は彼の財産であったか、なかったか）にはじまり、教会は貧しくなければならない（フランチェスコ派）か、教会は富や権力を必
要とする（教皇の立場）かという論争に決着をつけるものであった。教皇の特使は次のように言う。
「教会から財産が奪われれば、戦費にも事欠くようになり、異教徒と
の戦いを遂行できなくなる。世界最大の大聖堂は誰のためにあるの か。内外に教会と威信と栄光を宣伝するためである･･････。」（シ ネマスクエアとうきゅうCinema Square Magazine No.56 細川直子 「採録シナリオ 薔薇の名前」）
映画「フランチェスコ」でも描かれていた、ローマ教会の中枢部にいる高僧たち（もはや僧侶というよりは、巨大な組織となったローマ教会の経営者、組織維持者あるいは管理者たちという感じがするが）とフランチェスコ派の僧侶たちの考え方の違いがここでも見ることができる。（略）
この映画の中で登場する異端審問官ベルナール･ギー（F･マリー･エイブラハム）は実在の人物である。異端審問官はベネディクト派からもフランチェスコ派からも選ばれていたが、あまり成果をあげることがなく、やがて異端審問官は主としてドミニコ修道会から選ばれるようになった。こうしてドミニコ派の修道士たちが異端弾圧の先兵になっていったが、ベルナール・ギーもそうした一人であった。彼は教皇ヨハネス22世の命を受け、1317年から翌年にかけて現実に北イタリアに異端の弾圧に出かけている。このドラマの10年前のことである。『異端審問提要』という異端審問の手引書まで残したベルナール・ギーが、この映画の中でどのように異端審問を展開し、異端や魔女と決めつけた人たちを処刑（火あぶりの刑）しようとするかも見どころの一つである。（転載終わり）家長知史著「映画でまなぶ世界史」（地歴社、1994、pp43-45.）
ただ単に，投稿の整理のために削除しました．
そして，326 番の投稿に，http://www.imdb.com/ という文字を追加しました．
1479 樣もお気付きの通り，このようなゲストブック型掲示板や，Biz Forum のような掲示板では，URL 欄に書き込まれた URIへのリンクが，日付の右側の家の画像に貼られます．
下に URI が出る仕様にはなっておりません．
これも有名です
http://www.cataloghouse.co.jp/study/study5.html
（貼り付け開始）『シリコンバレー101』執筆＝山下洋一
http://pcweb.mycom.co.jp/column/svalley/svalley013.html【第13回】
ハリウッド対シリコンバレイ、その間で犠牲になるのは…02/11/26
「Hollywood vs. Silicon Valley」
以前にミッキーマウスの著作権について書いたことがあるが、その頃からエンターテインメントと新メディア産業の対立を取り上げるニュースが増えてきた。冒頭のキーワードで検索してみると、このトピックスのニュースが続々と引っかかってくると思う。
11月11日、映画配給大手5社が共同出資するネット配信サービス会社Movielinkが、米国の一部地域で試験サービスを開始した。一般的な反応はと言うと、今ひとつである。試用してみた友人によると、映画1本ダウンロードするのに1時間近くかかったそうで、1Mbps以上のサービスがほとんどない米国のブロードバンド事情では時期尚早なのかもしれない。だが、それ以上に気になるのは、本格的なオンラインサービスへの成長を期待する声がほとんどないことだ。逆に「オンラインサービスを手がけているというポーズに過ぎない」、「この分野で先行するベンチャー企業潰しを狙っている」など、否定的な意見が目立つ。実際、法外なライセンス料を請求されて、サービス停止に追い込まれた配信サービスが出ていることもあり、ハリウッド対シリコンバレイの対立色だけが強まっている感じがする。
17日から22日までラスベガスで開催されていたComdexでも、そのものズバリ「Hollywood vs. Silicon Valley」と題したパネル・ディスカッションが行われた。これが実にひどい内容だった。議論がかみ合わないどころか、「意地汚い」、「卑劣だ」などの罵り合いが、最初はにこやかに、そして最後には「だまれ、この野郎!」と言ってしまうぐらいヒートアップして繰り広げられた。それでも消費者のための罵り合いになっていれば少しは評価できるのだが、正直、「この人たちに消費者は見えているのかな?」と疑問を持ってしまう内容である。
このような状況を見かねたのか、わずか3時間だけComdexに立ち寄って意見を述べていった米映画界の重鎮がいた。「スター・ウォーズ」シリーズのGeorge Lucas監督である。
Lucas氏は、ハリウッド側代表であるNews CorpのPeter Chernin会長兼CEOの基調講演に突然登場した。ちなみに講演のテーマは「海賊行為について」である。
「無料のランチなんてありません。無料に思えたとしても、実は誰かが支払っているのです。結局、誰かが何かを奪ったり、何かを無料で得たとしたら、どこかで痛手を受けている人がいるのです」と海賊行為に真っ向から反対する姿勢を見せる。だが、Lucas氏はハリウッド企業の代弁者として出てきたわけではない。
「大企業というのは、まぁゴキブリみたいなもので、結局は生き残るんです。実際に被害を受けるのはアーティストなのです」と、講演の主役のChernin氏が青くなるようなキツイ一言。映画は、実際に映画を撮るスタッフだけではなく、メーキャップ・アーティスト、デザイナー、仕出しの弁当屋、撮影中にスタッフの子供の面倒を看る保母、完成した映画を上映する映画館、その映画館の周りで商売する人たち等々、たくさんの人で構成される非常に大きなエコシステムであると指摘する。しかし、最近、海賊行為の影響によって、このエコシステムが少しずつ蝕まれているのを感じていると述べる。
「とは言っても、映画がなくなることはないでしょう。何が起ころうとも私たちは映画作りを続けます。ただし、このままでは、『ハリー・ポッター』や『マトリックス』のように、莫大な予算をかけた映画は作れなくなると思います。映画の幅がなくなり、平均的になって、映画を観てもテレビを見ているような感じになるかもしれません。そういう意味では、本当の被害を受けるのは娯楽大作を待ち望む観客なのです」と映画界の今後を予測する。
Lucas氏は海賊行為に対して、具体的な解決策を提示したわけではない。観客が望む映画をアーティストが作り、そして観客がその作品を気軽に楽しめるような環境ができるように、映画に関わる全ての人にモラルの維持を求めただけだ。理想論と言われるかもしれない。だが、「料金を支払いたくなるような作品を作るという私の義務は果たします」という同氏の言葉は、パネルディスカッションで罵り合いを繰り広げるよりは、はるかに現実的で、説得力がある。
『シリコンバレー101』執筆＝山下洋一
http://pcweb.mycom.co.jp/column/svalley/svalley013.html（貼り付け終了）
（転載開始）『産経新聞』2002.11.18〜2002.11.20 朝刊
【仕事師列伝 平成編】
映画の感動を伝えて(１)〜（３）字幕翻訳家・戸田奈津子（１）1000作品刻んだ職人技
今年十月八日、大阪・関西空港にハリウッドのトップスター、トム・クルーズが降り立った。来年十二月公開予定の米国映画『ラスト・サムライ』撮影のためだ。
空港近くのホテルで行われた記者会見で、トム・クルーズの横に、通訳の女性が寄り添った。会見には渡辺謙、真田広之ら日本のトップスターも居並んだが、実はこの通訳の女性も、洋画ファンにとってはおなじみのビッグネームだった。
戸田奈津子。字幕翻訳の仕事で、日本人に映画の感動をナビゲートする、その人だ。
『地獄の黙示録』(一九七九年公開、米国)、『七月四日に生まれて』(八九年、同)、『タイタニック』(九七年、同)…。戸田が字幕翻訳に携わるようになって三十年以上がたつ。
「日本版字幕・戸田奈津子」のクレジットを刻んだ映画は千本を超え、今では、年間に公開される洋画の翻訳の多くを手掛けるといわれる。
字幕翻訳は、外国映画のセリフを単純に和訳すればよいというわけではなく、スクリーンに入るよう字数を「工夫」しなければならない。華やかな映画界の中で、ひと際、「職人的」な仕事といえるだろう。もちろん、資格試験などはない実力の世界だ。
「映画の世界に少しでもかかわっていたら、明日こそ何かあるかもしれない。そう思って一日一日を過ごしてきた。気がつけば、字幕の仕事で認められるまで二十年以上がたっていた」。戸田は映画一筋に歩んだ半生を、そう振り返った。
昭和十一年七月、戸田は九州で生まれた。日中戦争のため、一歳のときに父が亡くなった。会社勤めをする母の手で、東京・世田谷で育てられた。
兄弟姉妹はなく、近所に遊ぶ友達もいなかった。そのためか、幼いころの戸田は「本を読んで空想にふけるのが好きな子供だった」という。
九歳で終戦を迎えた。焼け野原となった東京は、ひどい食糧難だった。多くの人にとって、“灰色の世界”だった時代、小学生の戸田は初めて映画と出合った。母親が会社の帰りに、新宿の映画館に洋画を見に連れて行ってくれた。
観客が持ち込んだクジラベーコンやピーナツ、闇市の放出品を売る屋台のアセチレンガス…。戸田の記憶の中の映画初体験には、そんなにおいが立ち込めていた。
「本でしか知らなかった外国の世界が目の前に現れて、それこそ夢のようだった」
ジャン・コクトー主演の『美女と野獣』、名優ローレンス・オリビエの『ハムレット』をはじめ、涙なしには見られなかった『子鹿物語』、イギリス映画の『第三の男』、『赤い靴』、『黒水仙』…。
まさに映画のとりことなった戸田は、むさぼるように映画を見た。
「私に限らず、戦後の日本は美しいものに飢えていた。映画のスクリーンが、一気に違う世界に連れて行ってくれた。外国映画がどんどん公開され、ビデオもＤＶＤも一般家庭にあるような今の時代に育っていたら、あれほど映画に心を奪われたかどうか分かりませんね」
終戦後、学校の授業で英語が解禁になった。大好きな映画の中で、俳優たちがしゃべっている外国の言葉を習うのだと、中学生の戸田は胸をときめかせた。英語の授業が待ち遠しく、勉強に打ち込んだ。
当然のことのように英語が得意科目となった戸田は、英語教育で有名な津田塾大の英文科に進学した。
学年が進み、そろそろ就職が現実感を帯びてきたとき、同級生たちは、スチュワーデスや教員、公務員を志望職業としてあげたが、戸田はそうした職業に魅力を感じられなかった。頭の中には、ただ一つ、大好きな映画があった。
〈字幕翻訳をしたいのですが〉。昭和三十四年春、大学四年の戸田は、この言葉で始まる手紙を書いた。「好きな映画と英語が両方できる。映画もただで見られそう」。理由は女子大生らしい単純なものだった。
あて先は、当時、字幕翻訳の第一人者といわれた清水俊二(明治三十九−昭和六十三年)。映画界にコネなどなく、映画製作の知識もなかった戸田は、映画で見た字幕翻訳のクレジットを頼りに、電話帳で住所を調べ、手紙を投函(とうかん)した。
数週間後、戸田のもとに清水から返事が届いた。審査員を務めている映画自主審査機関「映倫」の事務所を訪ねるように、と手紙にはあった。はやる気持ちを抑え、事務所のある東京・東銀座に急いだ。
清水は黒眼鏡に銀髪のやせた初老の紳士だった。しかし、事務所近くの喫茶店で、清水が戸田に語った言葉は、思いのほか厳しかった。
「字幕をやりたいとは困ったねえ。とにかく、難しい世界だから」。このとき、清水はその難しさについて詳しくは語らなかった。
戸田は、失望を隠して礼をいい、家路につくしかなかった。二十二歳。ただ「映画が好き」だけでは、字幕翻訳家への道は開かなかった。
(２)“ときめき”持ち続けて
大学卒業間際の昭和三十四年早春、戸田奈津子のもとに、津田塾大の教務課から大手生命保険会社の社長秘書の仕事が舞い込んだ。
「映画の字幕の仕事をやりたい」と就職試験も受けず、いつまでも身の振り方を決めない戸田に対する大学からの就職の斡旋(あっせん)だった。
戸田は、字幕翻訳家の道をあきらめたわけではなかったが、食べていくための仕事は必要と思った。夢を捨てきれない気持ちのまま、生命保険会社に就職した。
社長秘書といっても、英文書簡のやりとりが専門の職だった。ところが、英文の手紙が届くのは数日に一通程度。暇だった。何もすることがないのに、仕事は午前九時から午後五時までと決まっていた。しかも、社長が帰宅するまで残っていなくてはならなかった。制服を着るのもいやだった。
《組織に合わない人間だということを身にしみて自覚した》(白水社『字幕の中に人生』)。そんな仕事に耐えられなくなった戸田は、就職した翌年の秋、会社に辞表を出した。
「泣きたいほどいやだった」と、わずか一年半で終わった会社勤めを振り返る戸田は「日がな一日座っていたら、お給料もらえるなんて、人によってはなんていい仕事だと思うかもしれないわね。でも、わたしにとっては何もすることのない仕事は苦痛でしかなかった」と苦笑まじりに話す。
「字幕翻訳家になりたい」という熱烈な思いは衰えていなかったものの、後先を考えずに退社した後の身の振り方はまったくの白紙だった。
二十四歳の戸田に、生活のための翻訳アルバイトの日々が始まった。通信社の原稿書き、雑誌記事の翻訳…。何でも引き受けた。「適齢期」の娘に対する周囲からのプレッシャーもあった。
一方、字幕翻訳家、清水俊二(故人)には、年賀状や暑中見舞いなど、時候のあいさつにかこつけて、手紙を書き続けていた。字幕翻訳こそないものの、清水を通じて、たびたび外国のテレビ番組の翻訳の仕事が入ったのが、一筋の光といえたかもしれない。
《望みをかなえてあげるという言葉はどこからも聞こえてこない。ここまできたのだからもう少し頑張ろうと、自分で自分を勇気づけるほかなかった》
この時期の苦しみを戸田は、自著にこう記している。
会話よりも文法中心の授業に退屈していた大学時代、苦痛でたまらなかった会社員時代、戸田にとって、救いはやはり映画だった。
たいていは、一人で映画館に行き、集中して映画を見た。会社員時代は、勤め先が映画館の集中する東京・日比谷にあったことだけがうれしかった。
「映画を見るのが仕事となった今でも、スクリーンの前では少女のころに戻ってしまう」。映画に対するときめきは、初めて映画を見た小学生のときからまったく変わらない。
新作の外国映画が映画会社に届くと、戸田の家の電話が鳴る。映画会社の試写室で、戸田は恐らく日本で最初の観客になる。
「あれほどのベテランの戸田さんですが、仕事で新着のフィルムを見るときに、涙を流しながらチェックしている。スピルバーグ監督の『Ｅ・Ｔ・』の翻訳を製作二十周年で付け替えたとき、戸田さんが『何度見ても泣けちゃう』と話していたのが印象的です」
そう話すのは、米国の映画会社「ＵＩＰ映画」(ユナイテッド・インターナショナル・ピクチャーズ・ファー・イースト)製作室長、岩川勝至(五二)。
岩川の仕事は、映画フィルムの輸入や字幕製作などで、戸田とのかかわりは深い。字幕翻訳家になる前から戸田を知り、付き合いは三十年近くになる。
「字幕翻訳はもちろんビジネスなのだけれど、映画ファンとしてストレートに映画をつかむ感覚をもつ翻訳家ですね」。いまや大御所となった戸田の素顔を知る一人だ。
不完全燃焼の日々を送っていた戸田に、映画界に本格的に足を踏み入れる仕事が訪れたのは、大学を卒業して十年になろうとするころだった。
戸田は、ユナイト映画(現・ＵＩＰ映画)宣伝部長、水野晴郎(現・映画評論家)のもとで英文の手紙を書くアルバイトをしていた。
ある日、水野は戸田に言った。「来日する映画プロデューサーの通訳をしてちょうだい」。映画は『アリスのレストラン』(一九六九年公開、米国)という前衛的な作品だった。
戸田は「まともに英語をしゃべったことがない」と、尻込みしたが、水野は有無を言わせず、記者会見の席に戸田を座らせた。
戸田は「しどろもどろで無我夢中の通訳。恥をかいた」と落ち込んだが、これをきっかけに映画関係者の通訳の仕事が次々に舞い込むようになった。
「英語はへただったけど、長年映画を見てきたおかげで、監督や俳優の作品や仕事の知識があったのが役立ったんでしょう」と戸田は振り返る。
そして、この通訳の仕事が数年後、戸田の人生の扉を大きく押し開けることになる。
(３)コッポラ監督と出会い
会社員生活をやめてほぼ十年。戸田奈津子は、映画パンフレットの翻訳や映画会社の手伝い、来日する外国の映画関係者の通訳をこつこつと続け、生活の糧を得ていた。
映画界の片隅に身を置いていた戸田が、「本当は字幕翻訳家を目指している」ということは、もはや周知の事実となっていた。実際、ぽつぽつと字幕翻訳の仕事も入るようになっていた。しかし、「仕事をくださいと頼める性格じゃなかった。(当時の字幕翻訳の仕事には)みんなのお情けもあったと思う」
自分はアグレッシブ(攻撃的)なタイプではないというが、「(字幕か別の仕事か)選択を迫られたときは、いつも字幕翻訳の道を選んでいた」。戸田は時間をかけて、少しずつ目指す道を歩き始める。
人生の転機は、アカデミー賞受賞の大物監督との出会いだった。昭和五十一年、娯楽大作『ゴッドファーザー』(一九七二年公開、米国)で世界の映画ファンを魅了した監督、フランシス・コッポラが、終結したばかりのベトナム戦争を描く『地獄の黙示録』製作の合間を縫って来日した。映画への資金参加を決めていた日本ヘラルド映画が、戸田にコッポラの通訳を依頼してきた。
《よれよれのレインコート、そこから突き出た大きなおなか、顔半分を覆うまっ黒な濃い髭(ひげ)。度の強い眼鏡の奥に、穏やかで静かな目がある。コッポラ監督は熊のように大きな手で私の手をにぎり、体に似合わぬ小さな声で「ハロー」と言った》(白水社『字幕の中に人生』)
コッポラは来日中、興味のあるものを求めて動き回り、戸田は通訳としてそれに従った。東京・世田谷にあるオーディオ関係の研究所で、コッポラは一人の技術者と親しくなった。
コッポラはのちにこの技術者を米国に招待したが、戸田はその際も同行した。サンフランシスコのコッポラの豪邸や『地獄の黙示録』の撮影現場で、コッポラと何度も顔を合わせ、少しずつ親交を深めた。コッポラは親しみやすかった。
映画が完成した一九七八(昭和五十三)年、戸田のもとに、『地獄の黙示録』のシナリオを、マスコミ向けに短い読み物にまとめる仕事がきた。そして、ついに、本格的に字幕をつける仕事が回ってきた。
何作か字幕翻訳をしていたとはいえ、戸田はほとんど無名。大物監督が描き、製作中から何かと話題を集めていた“大作”の字幕翻訳は、初めての大仕事だった。
難解なストーリー、詩を引用したナゾ解きのようなセリフ。四苦八苦の末に完成した字幕は、賛否両論の話題を呼んだ。「難解なのは字幕にも原因がある」と評論家からは批判的な意見も出たが、映画の字幕が論議を呼ぶことなど、それまでなかったことだった。
しかし、これを機に戸田のもとには、「手のひらを返したように」仕事が舞い込むようになった。
「ずっと後に知ったのだけれど、『彼女は撮影現場で私の話を聞いていたから、彼女に字幕をやらせたら』とコッポラ監督が言ったそうです」と戸田。通訳の仕事が思わぬ形で実を結んだ。
「字幕翻訳をしたい」と、業界の第一人者、清水俊二(故人)に初めて手紙を書いてから、実に約二十年の歳月が経過していた。
『愛と青春の旅立ち』(一九八二年公開)▽『トッツィー』(同)▽『フラッシュダンス』(八三年)▽『グレムリン』(八四年)▽『ランボー／怒りの脱出』(八五年)▽『レインマン』(八八年)▽『バック・トゥ・ザ・フューチャーＰＡＲＴ２』(八九年)▽『タイタニック』(九七年)▽『プライベート・ライアン』(九八年)…。
戸田が翻訳した映画のタイトルをたどると、ずらりとヒット作が並ぶ。戸田の字幕を見て育った映画人も少なくない。
「初めて仕事でお会いしたのが十年前。ベテランを前に初めは本当にドキドキしていましたが、実際の戸田さんはとても気さく。一週間に一本を仕上げるようなものすごい忙しさなのに、愚痴や文句を聞いたことがありません」
ウォルト・ディズニー系の映画会社、ブエナ・ビスタ・インターナショナル・ジャパンの制作部マネジャー、吉田貴代子は話す。
コッポラの『地獄の黙示録』で、字幕翻訳家としての地歩を固めてからの戸田は、次々とヒット作を手がけた。
世界的大ヒットとなった、心優しい宇宙人と人間の子供との交流を描く『Ｅ・Ｔ・』、人気ハリウッド俳優のハリソン・フォード主演の壮大なアクション映画『インディ・ジョーンズ』シリーズなど、代表作を選ぶのが難しいほどだ。
評価の高まりとともに、戸田の仕事は、スクリーンの外にも広がっていった。清水が担当していた集英社の映画雑誌『ＲＯＡＤＳＨＯＷ(ロードショー)』の、映画のセリフから英語を学ぶ「映会話」を引き継いだ。このコーナーは現在に至るまで二十年以上も続いている。
『産経新聞』2002.11.18〜2002.11.20 朝刊
（転載終了）
（転載開始）『産経新聞』2002.11.21〜2002.11.22 朝刊
【仕事師列伝 平成編】
映画の感動を伝えて(４)〜（５）字幕翻訳家・戸田奈津子(４)緊張の連続“３回勝負”
日本人ほど字幕を好む国民はないという。米国のＵＩＰ映画は、世界約三十カ国に映画を配給している。このうち、字幕をつけて公開するのは、日本を含めてわずか三カ国にすぎない。
英語を話す主人公は、ドイツで公開されるときはドイツ語で、フランスではフランス語、中国では中国語で話す。せりふはそれぞれの国の声優が吹き替える。
日本では断然、字幕ファンが多い。その理由を戸田奈津子は「小さな島国・日本は、言葉も含めて外国文化をもっと知り、それに触れたいという気持ちが強いためなのでは」と推測する。
さらに大きな理由は、俳優や女優の生の声を聞きたい、ということだろう。国によっては、売れっ子の吹き替え声優は、異なる俳優を四人も五人も掛け持ちで吹き替えるが、戸田はこの掛け持ちを否定する。
《アラン・ドロン、マーロン・ブランド、ウォーレン・ベイティ、ロバート・デ・ニーロ、マイケル・ヨーク、フランコ・ネロ。この六人の俳優が、いつも同じ声でしゃべっていたら？ はっきり言って、私なら映画を見たいという気がなくなってしまう》(白水社『字幕の中に人生』)
戸田の字幕翻訳の仕事は、映画会社の試写室で始まる。
東京・六本木の映画会社の試写室。観客席の後ろに、壁を背中にした小さな机がある。戸田はフィルムが届くと、翻訳する映画を、台本片手にまずここで見る。
感情移入してゆっくり見られるわけではない。台本に「箱書き」をしながらの真剣勝負だ。箱書きとは、一つの字幕にするセリフを「ここからここまで」というふうに、台本に印をつける作業をいう。
箱書きをもとに、一つの字幕のセリフが何秒間に話されるのかを示す「スポッティング・リスト」がフィルム・タイプ工場で作られる。
平均的な日本人が、映画の画面を追いながら読み取れる文字は、一秒間に三文字程度という。一つのシーンの字幕には字数制限がある。しかし、画面によっては早口でまくしたてていることもあるし、「ありがとう」と、ごく短いせりふの場合もある。
「字幕は翻訳ではない」と言われる。話されているセリフをそのまま訳していたのでは、観客が字幕を読み切れないうちに次のシーンに移ってしまうことになりかねない。セリフを正確に伝え、かつ試験の模範解答のような訳ではいけない。
戸田は、台本とスポッティング・リスト、映画の音だけ録音したテープで字幕を作る。作業は自宅で行う。完成までに約一週間。そこでやっと二度目の試写を行い、字幕原稿と画面を見比べて直していく。
「だれもいない暗い試写室で、たった一人で主人公の話す『Ｉ(アイ)』が“俺(おれ)”なのか“僕”なのかを判断するのです。字幕翻訳家は年間何百本も映画が見られていいな、などという世界ではない。裏方は本当に大変」
字幕翻訳の世界を知るＵＩＰ映画製作室長の岩川勝至(五二)はこう話した。
三度目の試写は、字幕がフィルムに書き込まれた後、映画会社のスタッフと見る。これが最終チェック。間違いがあったり、「やはりここはこうだ」というのがあれば、この段階で修正する。あとは工場でフィルムが焼かれ、全国の映画館へ。そして公開される。
字幕翻訳家が作品完成までに試写するのはこの三回のみ。海賊版が出ることを防ぐための厳しい版権の問題で、ビデオをとることは許されない。映画フィルムに一時停止はないから、本当に三回勝負となる。
戸田が「社長をはじめスタッフが語学に堪能で、字幕の一語一句にチェックを入れる」と話す映画会社がある。
東京・銀座にあるフランス映画社だ。駆け出しのころの戸田を知る社長の柴田駿は、字幕翻訳の仕事について語る。
「英語の台本だけ訳したのでは、ニュアンスが違っている場合もあります。同じ台本で先にフランス語に訳されているものを参考に、本当にこの訳でいいのかを、もう一度チェックしていました」
字幕翻訳にかける映画人の真剣さが、にじみ出ている。
「字幕翻訳家は何でも知っていて損することはない」とは、戸田の字幕翻訳の師、清水俊二(故人)の言葉だった。
岩川も戸田について、「よい字幕翻訳家というのは、いかに日本語の引き出しがあるかということ。その点、戸田さんは現代の言葉の変化もどんどん取り入れ、言葉が生き生きとしてわかりやすい」と評する。
映画会社と字幕翻訳家は、訳をめぐって議論になることがある。「字幕映画」という、もう一つの作品をめぐって意見を戦わせるわけだ。そんな真剣勝負の末に、字幕はできあがっている。
しかし、「観客は映画を見に来るのであって、字幕を読みに来るのではない」と戸田はいう。観客に意識させずに映画のシーンを伝えている時点で、すでに名訳なのだろう。
(５)正しい日本語で夢紡ぐ
「絶対、徹夜はしない」が、字幕翻訳家、戸田奈津子の“ルール”となっている。集中力が命の仕事、それも週一本のペースで年間五十本近くをこなすには、徹夜続きでは体力がもたない。
「翻訳の仕事は一匹オオカミだから、体が資本なの。眠ること、食べること、楽しむこと、これがなにより肝心」と戸田は話す。
健康に人一倍、気を使っている戸田だが、五年前、突然の病魔に見舞われた。病名は「黄斑部変性症」。眼底の中心部である黄斑部に異常がおきる病気で、左目の視力をほぼ失った。
映画のスクリーンを目で追い、画面にあった字幕をつける字幕翻訳家にとっては、命取りともいえた。
「病院で検査を受けたら、左目が見えていないことがわかりました」。足元が崩れるようなショックだった。戸田にとって、目が見えないことは英語でいう「ソーシャリーブラインド(社会的役割の喪失)」にもなりかねなかった。
いろんな人の意見を聞き、医学書や眼科研究の情報を集めた。が、現代医学では原因不明で、治療法はなかった。やるだけやったあと戸田は、この病気に自分としての結論を下した。
「右目が病気にならなくてラッキー」
持ち前の前向き思考が、ここでも発揮された。「治らないものは仕方がない。くよくよしてもだめ。右目があって仕事ができる自分は幸せだと思う」。そう話す戸田の言葉に気負いはなかった。
日本で初めて日本語の字幕が入った外国映画は、昭和六年に公開されたマレーネ・ディートリヒとゲーリー・クーパー主演の『モロッコ』(米国)とされる。それまでは、「弁士」が、俳優のしゃべるセリフを日本語で観客に伝えていた。
当時、字幕が定着するかどうか疑問視された。日本が世界無二の“字幕大国”になるとは、だれも予想し得なかった。
事実、弁士らからは「目を悩ませる生理的苦痛」「大学生、小学生、都会人、地方人に同じ文句しかならべられない」と指摘された。しかし一方で、『モロッコ』の字幕は観客に好評だった。
戸田の師の字幕翻訳家、清水俊二(故人)は字幕の黎明(れいめい)期から翻訳の仕事に携わった。その清水は《モロッコの成功がなければ、日本での字幕翻訳の誕生はもっと遅れた》(ハヤカワ文庫『映画字幕五十年』)と記している。
『モロッコ』公開から七十年がたった。外国語を耳で楽しみながら映画を見る「本物志向」の字幕大国・日本に、微妙な変化が現れている。
子供を対象にしたアドベンチャーやファンタジー、アニメーションといったジャンルを中心に、映画館の封切り時から、「字幕版」と「吹き替え版」の同時公開が増えてきている。字幕すら読みたくないという、若者や子供たちの「活字離れ」の波が映画界にも押し寄せているのだ。
社会の動きに敏感な戸田だが、字幕に対する思いは変わらない。「私は観客にこびた言葉は使いたくない。正しい日本語で、できるかぎり原作に近いものを伝えたい」。卓越した言語感覚から「日本語力の字幕翻訳家」と評される戸田ならではの言葉といえるかもしれない。
初秋の九月、東京・銀座の喫茶店で戸田と会った。
「ビデオやＤＶＤの普及で、映画を取り巻く環境が変化するなか、映画館の行く末はどうなるのでしょうか」。人生の軌跡をひと通り取材し終えて、尋ねてみた。
戸田は言葉を返した。映画女優は、演技で自分のまゆ毛を五ミリ持ち上げるときにも、あの映画の大画面を想定している。顔の上の五ミリが、スクリーンではどれほど大きな変化になることか、と。
そして、「もし、映画が好きならば、あの大きさで見るのが、映画作品を作る人々への敬意の表し方だと思う」と続けた。
映画がひたすら好きだった少女は、その道を貫き今や第一人者となった。フランシス・コッポラの作品を訳し、一人前と認められてから二十年以上がたった。
もっとさかのぼれば、「字幕翻訳の仕事をしたい」との熱烈な思いに駆られ、清水に手紙を出した日からは四十年以上の歳月が過ぎた。
「信じてさえいれば夢がかなうなどとは思っていなかった。いろんな障害もあった。けれど人生はたった一度きり。自分で選んだ道なら後悔しない」
多忙な戸田だが、プライベートで映画を見るときは、ビデオではなく必ず映画館に足を運ぶ。「好きなだけ映画を見ることのできる」立場になった今でも、大勢で暗い映画館で一つのものを見るのが好きだ。
それは、戦後の混雑した暗い映画館で胸をときめかせた少女のころと、変わらない。
その戸田が生み出した字幕を熱心に見つめる子供たちのなかに、第二の戸田がいるのかもしれない。
(敬称略)＝おわり
(広島支局 滝川麻衣子)
『産経新聞』2002.11.21〜2002.11.22 朝刊
（転載終了）
という映画がここで話題になった事はありますでしょうか？
是非とも見て頂く価値がある１本だと思います。何となくコメディを見たいと思ってジム・キャリー主演のこの映画を借りたのですが、蓋を開けてみたら期待していたモノとは全く違い、コテコテの政治映画でした。
昨年末頃公開された映画だと思いますが、9/11以降の微妙な雰囲気の中で微妙な中身を扱った作品です。
まだご覧になってない方も多いと思いますので、中身についてはとりあえず伏せておきます。
小坂です。アマゾンで、政治映画で検索しましたら、下記、舛添要一氏の政治映画本にヒット致しました。
(転載開始)
レビュー内容（「BOOK」データベースより）
「大統領もの」映画には、アメリカ大統領を取り巻く環境について、実に多くのことが描かれている。政治や歴史の分厚い解説書を読まなくても、映画を楽しみながらアメリカ大統領に触れることができるのである。そんな想いから、アメリカの「大統領もの」映画を取り上げて、それを鑑賞しながらアメリカの政治や社会の仕組みを解説することを試みたのが本書である。内容（「MARC」データベースより）
アメリカ映画に多い「大統領もの」には、大統領を取り巻く環境について多くのことが描かれている。そうした「大統領もの」映画をとりあげ、鑑賞しながら、アメリカの政治や社会の仕組みを解説する。
(転載終了)表紙は、副島先生の2冊のセンスのよさには遠く及ばないと思います。いよいよ、舛添氏もこのジャンルに参入してきたようですね。副島先生のハリウッド政治映画本第3弾を首を長くしてお待ちしております。
映画で学ぶアメリカ大統領―舛添要一のおもしろ国際政治学講座
舛添 要一 (著)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894072483/qid=1037840324/sr=1-18/ref=sr_1_2_18/250-8018947-0779450
副島先生の３冊目の政治映画本を楽しみにしているデネブ・アルジェダイです。２度目の投稿です。『十戒』、『平原児』、『男性・女性』などで知られるセシル・Ｂ・デミル監督の１９３９年パラマウント作品、『大平原（Union Pacific）』。主演はバーバラ・スタンウイック、ジョエル・マクリー。この作品の冒頭の字幕の流し方は、『スターウォーズ』でも使われたことで有名です。また、『スターウォーズ』の人物設定も『大平原』の影響を受けているというのが定説のようです。１人の男勝りの女性をめぐる２人の男、その２人の男は友人同士で、一方はギャンブラーと聞けば、『スターウォーズ』のレイア姫、ルーク、ハン・ソロの関係そのままです。
デミル監督は、ガチガチの体制派（右派。共産主義嫌い）であり、また、アメリカの大衆が望むものを与えることにかけては、右に出る者のない、という監督です。
さて、『大平原』の冒頭の字幕の序文に注目すべき言葉が出てきます。それは、「The West is America's Empire」、「アメリカ（の）帝国」という言葉です。『大平原』が米国で公開された１９３９年と言えば、ナチスドイツのポーランド侵攻の年であり、世界情勢、特に欧州の情勢が風雲急を告げ出した年です。先の言葉は、思わず本音が出たということでしょう。まさに、アメリカ”共和国”が帝国として世界覇権国への道を歩み出すことを予言・宣言しています。西部を制服したみたいに、世界も征服していく、これ、アメリカの国是か？。
小室直樹先生流に言うなら、「共和国の仮面を被った帝国」、それがアメリカです。大作西部劇映画、『大平原』は、見事にそのことを示しています。なお、『大平原』には、人種問題に関して、驚くようなシーン、衝撃的シーンがあります。しかし、それは見てのお楽しみ。
田中秀雄著「映画に見る東アジアの近代」(芙蓉書房刊)を昨夜、読んだ。
五十年代の日本映画を筆頭に、中国、韓国、台湾映画を通して東アジアの近代史や政治を読み解くという内容で、いわば副島隆彦氏による｢アメリカの秘密｣「ハリウッドで政治思想を読む」の“東アジア版”という趣であった。
著者の田中氏は石原莞爾研修者だそうで、初端から黒澤明監督の代表作｢七人の侍」が満州国のメタファーであるという持論を熱っぽく展開する等全編目を見張るものが多く、一気に読破してしまった。とりわけ木下恵介が憂国と戦後民主主義との狭間に揺れ動いた作風を指摘していた点が興味深かったね。だから今までそれ程観る気がしなかった木下作品を観たくなった。
数少ない保守サイドからの映画評論本として、読む価値アリです。
最近見始めた，2ch:ハングル板 で，キャプテン・ハーロックが，実写映画化されるという話を，”おいお前ら！！面白いフラッシュ見せてくれ！！３ ”で見つけました．
記事は以下を参照のこと．http://www.so-net.ne.jp/movie/news/021108/04.html
2ch の芸能・音楽・スポーツ ニュース速報＋板にも関連スレッドが立っています．
実際にどうなるかは保証の限りではありません．
”ベルサイユのばら"は，日本マンガの古典かなと思い，文庫版を読みました．
また，海外での評価はどんなものなのだろうと思っていたら，既に，20年以上も前に，日仏合作で実写映画化されていたようです．
検索して見つけました．
http://www.barayakata.com/ladyoscar/ladyoscar.html興行的にはどうだったのか興味のあるところです．
原作よりもかなり階級の壁が厚くなっているそうな．(参照)如何に欧米の身分制が我々に想像し難いものか窺い知る事が出来ますね．
P.S.数日前で忘れていたので検索して出てきた website
http://monberu.milkcafe.to/
はじめまして、大石崇と申します。会員番号１３５１番です。今年のカンヌ映画祭で５５周年記念賞を受賞した反銃社会ドキュメンタリー、マイケル･ムーア監督作『ボウリング･フォー･コロンバイン（Bowling for Columbine）』が気になります。日本では正月映画第２弾だそうです。
Rolling Stone誌（１１月１４日号）に、マイケル･ムーアのインタビュー記事が載っていましたので、一部引用します。（引用開始）
-What was the genesis of this movie?
You would have to go back to 1963, when I was in fourth grade and we were herded out into the hallway at St. John’s Catholic school and told to get down on our knees because the president had just been shot. Living in a violent society, that’s been with us since we were kids.
-Do you think things are the same for teenagers today?
In some ways things are worse. The real opposition is gone. Whether it’s politicians in the opposition party who stand up something or whether it’s political organizing, it’s all missing. The good news is that now the citizens are much more politicized. They know when they’re being lied to. The majority of Americans know that Bush has a lot of crooked friends, from Enron to Cheney. The majority of Americans know that this is a distraction right now, trying to get this war against Iraq. (本当の野党がいなくなったが、citizenがより政治的になって、自分たちが騙されている、と気づいている。そして対イラク戦は間違っていると知っている、という内容だと思います。下手な訳ですみません)-They may know they’re being lied to. But they don’t do anything about it.
Well, where’s your outlet? The voting booth, where your choices are between Tweedledum and Tweedledumber? But anyone can still go for office, and any group can form its own political party. The mechanism exists. (投票して選ぶ政治家が共和党と民主党の連中しかいない。しかし自分たちで政党を作ることが出来るメカニズムは存在している)
-The mechanism exists. But above a certain point, you need money and lots of it to defeat Tweedledum and Tweedledumber.
I don’t believe that’s true. Jesse Ventura proved that. He didn’t have the most money. And he won. (金がなくても２大政党を倒せるというのはジェシー・ベンチュラ・ミネソタ州知事が証明して見せた)
-The original intent of the Second Amendment is not that far from what James Nichols, brother of Oklahoma City bomber Terry Nichols, more or less says in the movie:If you knew what the government did to you, you would feel like you should be armed against them. Do you believe in that any way?No. Because I believe the government is we the people. The government is only able to get away with what it’s allowed to get away with. (憲法の修正第２条の意図は、「政府のしたことを知ったら政府に対して武装しようという気になるだろう」、という連邦ビル爆破犯の兄弟言葉と同じだと思うか？−そうは思わない。なぜなら、政府は人民のものだからだ。政府は許されたことを実行するのみだ)
-But look what they get away with.
Yeah. Best example-November 2000. We allowed somebody who didn’t win the election to take the White House. It sent the wrong message to Bush and Cheney:”If we can get away with this, we can get away with anything” (ブッシュが選挙で勝ったのは間違いだった)
（引用終わり）Tweedledumって、不思議の国のアリスのキャラクターでしょうか？いまひとつ訳し方がわかりませんでした。それと、この監督は『アホでマヌケなアメリカ白人（Stupid White Men）』（柏書房）という本も出しているんですね。
最後に、米国憲法の修正（補正）第２条を載せます。
(引用開始)
AMENDMENT ��
A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed.
「よく統制された国民義勇軍(ミリシア)は自由な国の安全保障にとって必要であるから、国民が武器を所有し、かつ携帯する権利は、これを侵害してはならない．」（引用終わり）
（飛田茂雄著『アメリカ合衆国憲法を英文で読む』中公新書,1998,p167.）
長くなってしまいました。それでは失礼します。
会員番号1141の藤塚と申します。この「スパニッシュ・プリズナー」をご覧になった方も多いとかと思いますが、これも私が気になる映画で、過去ログにないようなので一応挙げておきます。
この映画は、日本に利益が出ない計算式なるものを巡る犯罪サスペンスなのですが、最初に見たときは、日本人観光客がちょっとした伏線に使われてたりもするので、日本が小ネタにされてるなあ、ぐらいにしか思わなかったのですが、副島先生の本を読むようになってからあらためて見てみると、これは金融面でいいように騙され続けている日本のことや、金融の世界で悪魔のような騙し方をする勢力のことを描いた政治映画ではないか、と思えてきました。
監督のデヴィッド・マメットは、ポールニューマンの「評決」や「ホッファ」「ワグザドッグ」の脚本を手がけていますし、最近では、ラッキー・ルチアーノの盟友マイヤー・ランスキーの生涯を描いた「ランスキー アメリカが最も恐れた男」の脚本と製作総指揮をも手がけていますので、やはりこの「スパニッシュ・プリズナー」もただの犯罪サスペンスではなく、何らかの政治的意図が隠された映画なのではないかと思います。未見の方は是非ご覧になってみてください。
それでは失礼します。
（引用はじめ）
傲慢でわがままで、それでいて皆に付け入る隙を与えない。この愛すべき、そして憎むべきアメリカの象徴は、時代が狂気に染まれば染まるほど存在感を増してくる。「ナパームの匂いが大好きだ」と語り、その香りに勝利の確信をいだいていたのは、当時の驕り高ぶったアメリカの姿そのものであろう。そしてその姿は現代にも受け継がれている。しかし、この映画には決定的に欠けている視点がある。確かにアメリカの被害は甚大だったが、その何十倍、何百倍もの被害がベトナムに及んだ。主義主張や思想の狭間で、彼らの体験した地獄はどういったものであったのか、ここにはベトナム（アジア）側を象徴する語り部はひとりも登場しない。
そうした意味では、他民族文化への無理解は新たな戦争を予感させている――、これはアメリカ中枢同時多発テロが起きたから言うのではなく、オリジナル公開当時から懸念されてしかるべき欠点であった。ベトコンは残ったが、同じようにアメリカが支援し育てたタリバンはテロへの報復で崩壊した。オリジナル版エンディングの破壊シーンのように。 [M.Ogasawara]
（引用おわり）９，１１テロ事件以降アメリカはあきらかに狂い始めている。世界最高の軍隊を持ちながら、ナイフしか持たないテロリストにニューヨークの一角が完全に破壊された。さらには最高司令部のあるペンタゴンも、１時間もの時間的ゆとりがありながら飛行機の迎撃に失敗し、ビルの一角が破壊され２００名近くの国防総省職員が殉職した。しかも１年以上たっても犯人は捕まらず、米国は世界中に恥をさらしている。
アメリカ帝国は汚名挽回とばかりに、アフガニスタンのオサマ・ビンラディンを犯人としてでっち上げ、彼を差し出さないからと言ってアフガニスタン全土に爆弾の雨を降らせた。まさに現代の狂気である。一人の容疑者を捕まえるために一つの独立国家を破壊することが許されるだろうか。映画の「地獄の黙示録」ではカーツ王国を爆撃で破壊した。映画の予言は当たったのだ。
アメリカはアフガニスタン攻撃で軍事力を世界に誇示してその威厳を保とうとしている。ロシアや中国までもがそのアメリカの軍事力に恐れおののき、ヨーロッパ各国はイギリスのブレア首相のごとく、プードル呼ばわりする国まで出てきた。しかしながらアメリカの弱点が克服されたわけではないのだ。巨大なる軍隊を保持するためにアメリカは定期的に生贄を探し求めなければならない。
その生贄はベトナムでありイラクでありアフガニスタンであった。いったん空爆が始まるとミサイルと爆弾の実験場と化し、古くなった爆弾とミサイルの処分場となる。解体するより安上がりだからだ。今も瓦礫と荒野しかないアフガニスタンを空爆し続けている。先日は無人偵察機から発射されたミサイルが、走る車に命中しテロリスト数人が死んだ。アメリカ軍にとっては中東の人間は標的でしかなく、実験をかねた演習場なのだ。
アメリカ軍の奢りたかぶりは最高潮に達している。そしてイラク攻撃を声高らかに公約すると、選挙で大勝利する。しかしイラク攻撃の理由は何なのか。単にアメリカの言うことを聞かないというそれだけだ。だからアメリカとアメリカ人は狂っている。「地獄の黙示録」の完全版ではフランス人の荘園が登場する。そしてこのように告発している。
（引用はじめ）
彼らは「ベトコンはアメリカが育てたのだ」と告発する。そして――「われわれがなぜここに留まるのか？ それは持っているものを守るために戦っているからだ。しかし、君たちアメリカ人は、大いなる幻想と実体のないもののために戦っている」と付け加える。[M.Ogasawara]
（引用おわり）アメリカはベトナムで共産主義の脅威と戦った。アフガニスタンではテロとの脅威と戦っている。イラクでは大量破壊兵器の脅威と戦うそうだ。アメリカはいつまで大いなる幻影と実体のないもののために戦うつもりなのだろう。最終的にはアメリカ以外の総ての国を支配下にするまで戦い続けるのだろう。歴史が教えるところでは、このような帝国は内部から崩壊し始める。９，１１テロはその先駆けである。
最初に、「アメ政」掲示板の「[5636] やっとこのネタが出ました。 投稿者：Rss-Kさん」から転載します。今回の投稿のきっかけとなった内容です。（なお、下線部はよしかわがつけた。）
【転載開始】『朝日新聞』2002.10.23 朝刊【途中ですが、転載終了】「フセイン後」米が検討本格化 イラク版「ＧＨＱ」探る
【ワシントン＝石合力】ブッシュ米政権が、イラクのフセイン政権転覆後の構想作りを本格化させている。米軍主体の占領が一定期間必要になるとみて第２次大戦後の日本を想定したイラク版「連合国軍総司令部（ＧＨＱ）」モデルを検討、反体制派への軍事訓練の実施も承認した。ただ、民族や宗派間の対立が激しいイラクに日本モデルを当てはめることには疑念の声も出ている。
米政府は、国連安保理決議の行方をにらみ、外交的な配慮から政権転覆への言及を控え気味にしているが、武力攻撃の準備は着々と進めている。ブッシュ大統領は、反体制派５千人を対象に、来月から軍事訓練を実施、予算措置として９２００万ドル（約１１５億円）を支出することを決めた。戦闘や通訳要員にイラク人を使うもので、政権転覆に向けた具体的な準備と言える。国内のイラク人が呼応する保証はないが、「民衆は、抑圧から解放されることを望んでいる」（フライシャー大統領報道官）。
国務省は今年４月から、イラク国外にいる反体制派の指導者、学者らと「イラクの未来プロジェクト」を開始。新政権の構想づくりを始めた。財閥解体や民主化、教育改革などを進めたＧＨＱの占領政策を意識したものだ。米軍主体の占領軍が全土の大量破壊兵器を完全に廃棄。極東軍事裁判同様にイラク軍幹部らを軍事法廷にかけ、反体制派主体の暫定政権を樹立、民主化を進めるというシナリオだ。米政府には、同じく大量破壊兵器を抱える朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）への「占領オプション」はなく、イラクの「特殊性」（ブッシュ氏）を際立たせる対応になっている。
さて、日本人はこの記事から何を思いいたすべきか。
それは、アメリカは次のように日本のことを冷酷に見ている、ということ、
「現在のフセイン政権のイラクと、戦前の日本は同じようなものである。」「ほんとにそんな風に見てるの？」と私が聞いてみて正直に答えてもらえそうな英米人が、わたしの周囲にはいないので、実地に確認はできませんが。。でも、なんだかかねえ。
では次に、具体的には、どんな風に同じように見えるんだろう？という点について、
副島隆彦著「決然たる政治学への道」のまずは、１４５ページから引用します。【引用開始】
日本人はあまり気づいていないかもしれないが、イラクの独裁者サダム・フセインと日本の天皇は、ジョーンズ博士的視点からすれば、全くの同じものだ。何も違いもない。イラク国民のフセインに対する忠誠心の厚さは、日本国民多数派の天皇に対する素朴な敬愛の念と変わるところはない。（Ａ）からすれば、フセインも天皇も、全く同じアジアのまじない師（呪い師）であり大神官（グランド・マジシャン）であるに過ぎない。
【引用終わり】下線部にある「ジョーンズ博士」うんぬんについての説明を続けて引用します。ジョーンズ博士とは、俳優ハリソン・フォードが映画で演じた役柄名です。
実は、次の引用内容がそのまま、イラクにも、戦前の（ソーシアル・エンジニアリング前の）日本にもあてはまる、っていうことになるんです。目をそらさずに考えてみましょう。あ、多分、北朝鮮も同じことです。１４２ページから。
【引用開始】
ここに、一つ、格好の具体例がある。それは、映画『インディー・ジョーンズ』（原題は「インディアナ・ジョーンズ」）である。この映画シリーズの中の、例えば、『魔宮の伝説』などは、アジア人、東洋人に対する欧米人の典型的な理解像である。このシリーズものの映画の中では、インド北部あたりの東洋専制国家が舞台である。ある土侯の国の民衆が、奴隷労働を強制されて苦しめられている。その民衆を救い出す役割が、ハリソン・フォード主演のジョーンズ博士に与えられる。密林の奥や地下の洞窟の中の巨大空間の祭壇に、魔神の偶像が祭られている。その手前に、狂信的な呪術（マジック）に支配された奴隷たちの群れが平伏して狂気の祈りを捧げている。
【引用終わり】まず、下線部前半の風景について。
イラクではサダム＝フセインが自分を崇拝させながら、イラクの民衆が苦しんでいる、というのが対応する。
北朝鮮では、金日成・金正日の個人崇拝のもと、民衆が飢えに苦しんでいる、というのが対応する。なんだ、結構あたっているな、と私は思う。
というわけで、戦前の日本では、「天皇に忠誠を違いながら、日本人はとても苦しめられていた。戦前の治安維持法違反は最高で死刑であった、特高警察等が思想の取り締まりを行なっていた、自由主義思想も糾弾されていた」、というのが、これに対応することになる。
これは奇しくも、日本社会党・日本共産党の見方と一致する。下線部後半の内容について
「民衆を救い出す役割が、ハリソン・フォード主演のジョーンズ博士に与えられる。」
これは、イラクでは、ブッシュ政権に与えられる役割になるのだろう。
そして、戦前の日本でこれに対応するのは「I shall return」と言って、その言葉を実現させたダグラス＝マッカーサーになるのだ。マッカーサーは日本で何がしたかったのか？
日本人の民衆を救い出したかったのだ、それが、ニューディーラー将校の願いでもあり、マッカーサーの願いでもあったのだ。これがソーシアル・エンジニアリングである。「病気を治す行為の中に悪などない」という理屈になる。映画のシナリオの続きを、引用する。１４２ページから。
【引用開始】
そこに、生け贄にされる囚われの白人女性が連れてこられ、危機一髪のところで大乱闘の末に白人男の英雄によって救い出される。この時、奴隷たち（現地の民衆）を魔術にかけていた悪者の呪い師（マジシャン）が殺されて、奴隷たちはめでたく解放されて、自分たちの部落に帰って行く。
【引用終わり】ちなみに、下線部の部分は、それぞれ、
イラクの場合は、アメリカのイラク攻撃と戦後の再建ということになる。
日本なら、アメリカ占領軍によるソーシアル・エンジニアリングが完了して、ということになる。「救い出された民衆」とは誰か、
イラクの場合、アメリカの思惑とおりサダム＝フセインが排除されるとなると、「救い出された民衆」の代表とは、フセインに反旗を翻した反政府組織で構成した新政府になるであろう。
では戦前の日本の場合において、「救い出された民衆」の代表は誰か？ イラクの場合の類推で考えると、これまでの戦前の日本政府に目のかたきにされていた政治犯・反政府系の政治団体ということになろう。それが日本共産党や日本社会党を作った人脈である。これが、日本共産党・日本社会党をＳＣＡＰが支援した理由であろう。さらには民衆の中には、自分たちが解放されたことを喜ぶ人たちもいるであろう。それが、敗戦直後の日本では、それが日本的左派とでも呼ばれる人たちである。ソーシアル・エンジニアリングを喜ぶ階層である。
映画「インディー・ジョーンズ」の筋書きでもって、マッカーサーのしたかったこと、日本的左派がＳＣＡＰに支持された理由、等がよく見えてくる。映画はすばらしい。
小坂です。[310]で紹介致しました、「椿三十郎」と「用心棒」の二本立てが池袋、新文芸座にて『東宝70周年記念 東宝映画大回顧展』の一環として11/8（金）、9（土）に上映されます。私も、久しぶりにスクリーンで見たいのですが、１０月２９日の副島先生の講演会同様、残念ながら予定が取れません。
特に、「用心棒」は、今でこそ大娯楽活劇と位置づけられていますが、公開当時は、冷戦下における、ある種、政治的な意図を持った映画であるとした批評が多数あったようです。
詳しくは、下記、新文芸座のHPをご参照下さい。他の黒澤映画も上映されるようですので、未見の方は是非!!
東宝70周年記念 東宝映画大回顧展
http://www.shin-bungeiza.com/schedule2.html
小坂です。昨日の朝日新聞に、黒澤明監督２３作品のDVD BOX1.2.3が発売されるという広告がありました。これを記念して、私の黒澤作品トップ28(３０作品中、「一番美しく」「デルス・ウザーラ」は未見の為)を現在の時点であくまでも独善的に発表させて頂きます。
今も存在しているか分かりませんが、ほとんどの作品は２０数年前、「浅草東宝」のオールナイトにおいて見ることが出来ました。、又、大スクリーンで見られたことは私にとって、貴重な思い出となっております。やはり、映画は映画館で見るべきですね。
以下、作品名と公開年です。長くなりますが、ご容赦下さい。
１位 椿三十郎 1962年 ２位 七人の侍 1954年 ３位 生きる 1952年
４位 天国と地獄 1963年 ５位 わが青春に悔なし 1946年 ６位 隠し砦の三悪人 1958年 ７位 酔いどれ天使 1948年
８位 虎の尾を踏む男達 1945年 ９位 羅生門 1950年 １０位 姿三四郎 1943年
１１位 野良犬 1949年 １２位 悪い奴ほどよく眠る 1960年 １３位 白痴 1951年
１４位 赤ひげ 1965年 １５位 用心棒 1961年 １６位 どですかでん 1970年
１７位 蜘蛛巣城 1957年 １８位 素晴らしき日曜日 1947年 １９位 生きものの記録 1955年
２０位 まあだだよ 1993年 ２１位 影武者 1980年 ２２位 どん底 1957年
２３位 醜聞（スキャンダル）1950年 ２４位 乱 1985年 ２５位 静かなる決闘 1949年
２６位 続姿三四郎 1945年 ２７位 八月の狂詩曲（ラプソディー）1991年 ２８位 夢 1990年
とまあ、１位は椿三十郎ですが、私は、年に最低１回は見直しており、椿三十郎＝副島隆彦論を書こう、書こうと思いつつ、月日がたっております。又、この映画は、名台詞の宝庫だと思いますので、いずれ紹介させて頂きます。
今日は一つだけ、伊藤雄之助扮する城代家老、陸田(森前首相にも通じる典型的な日本型指導者だと思います)が言ったとされる台詞を「完本 チャンバラ時代劇講座」(橋本 治著 １９８６年刊 徳間書店 P190)より引用致します。
(引用開始)
江戸出府の殿様の留守をいいことに次席家老と国元用人が私腹を肥やしている。これをなんとかしなければと(引用者:注 甥の加山雄三扮する、飯塚ほか９人の若侍が)伯父の城代家老に意見書を提出したところ、その伯父はニヤニヤ笑って「おい、おれがその汚職の黒幕かもしれないよ」と言った(中略)そして「お前たちはこの俺を少し薄のろのお人よしだと思ってカカシがわりにかつぎ出すつもりらしいが、人は見かけによらないよ。危い、危い。第一、一番悪いヤツはとんでもないところにいる。危い、
危い」と言って、青年達が一生懸命書いた意見書をビリビリ破ってしまった、と。
(引用終了)このすっとぼけた城代家老と入江たか子扮する睦田夫人の夫に輪をかけたおとぼけぶりが、この映画の隠し味となっています。長くなりましたので、今回はこの辺で失礼します。
9ディズという娯楽映画を見ました。感想なんですが、単純に楽しめる核ジャックものの映画です。
ところで、この作品、アンソニーホプキンス以外、目立っているのは
黒人系が多く見えました。もちろん、アファーマティブプランの影響で
人種バランスはとれてましたけどね。感想なんですが、アンソニーさんを引き立て役につかった、黒人向けの
映画なのかなってところです。表だって宣伝してませんが、白人大物
俳優を使った有色人種向け映画って、ジャンルとしてあるのでしょうか？
『アポロってほんとうに月に行ったの？Did The Apollo Really Go To The Moon？』
著者：エム・ハーガ M.Haga（訳者の芳賀正光と同一人物）
朝日新聞社
定価：本体980円+税
2002年10月5日第1刷p.69〜74より転載
映画「カプリコン・1」を知っていますか？
Do You Know the movie called 'Capricorn One'?迷ったとき、混乱してきたときに大切なのは「一息つく」ことです。不思議な話をたくさん聞かされてきたみなさんも、そろそろ疲れた頃でしょう。
ここで、ちょっとコーヒータイムにしましょう。気分転換に、みなさんの好きな映画の話でもしませんか？
かつて、1977年に製作された映画が、大いに話題となったことをご存知ですか？ ピーター・ハイアムズ監督が撮った「カプリコン・1」（原題CAPRICORN ONE）がそれです。ちなみに、1978年、日本で公開されたときのチラシには、こんなコピーがつけられています。（配給・東宝東和）
「全世界を相手に地上最大の頭脳集団NASAが仕組んだビッグ・トリックとは！」ストーリーは次の通りです。
●
NASAが膨大な予算をかけて、人類初の有人火星宇宙船を打ち上げようとした。ところが、打ち上げ直前に、宇宙船に搭載している装置に重大な欠陥があったことが判明する。
●
だが、プロジェクトには国家の威信がかかっている。政治的なさまざまな思惑から中止することはできない。そこで、NASAは宇宙船だけ発射させ、その宇宙船に乗り込むはずだった3人の宇宙飛行士を連れ出した。
●
彼らが連れて行かれたのは、砂漠に設けられた秘密スタジオ。そして、宇宙船が火星に着く頃、このスタジオのセットから「人類初の火星着陸」のウソ中継が、世界に向けて放映される……。
●
火星からの「ウソ中継」を演出するため、撮影した宇宙飛行士の動きをわざわざスローモーションで流すなど、映画で描かれている「演出」の様子は、アポロの月面着陸ウソ説を示唆するかのようです。
というか、アポロの月面着陸ウソ説をヒントにして作られた映画なのです。そのため、NASAもこの映画には、相当神経質だったようです。当初は、特別に管制センター内での撮影を許可するぐらいに協力的だったそうですが、映画の内容を知るや態度を硬化。一転して、製作中止を要請しました。拒否する監督は圧力をかけられたというのです。
映画のプロデューサーのポール・N・ラザルス3世は、あるインタビューにこう答えています。
「NASAが（アポロの月面着陸を）やろうと思えば、でっちあげも可能だったと思います。私たちは月へ人を送り込まないで、こうやってスタジオでこの映画を製作したんです。あの時代でも、同じことができたはずです」ちなみに映画の製作費は408万ドル。NASAのアポロ計画の予算は、前述したように250億ドルです。
繰り返しになるかもしれませんが、アポロの月面着陸ウソ説は、いまに始まったことではありません。アポロ11号が月面着陸してからこれまでに、このテーマは繰り返し取りざたされてきたのです。
いくら何でも、国家や政府が、自国の威信やさまざまな政治的思惑といった理由で、こんな大規模なウソで、国民や世界を欺いたり、真実を隠蔽したりするものなのか……こう考える人もいるでしょうね。
しかし、それは日本人的な考え方です。ハリウッド映画には、国家や政府の陰謀をテーマにした映画が、数多くあるのはご存知でしょう？
答えは、「信じられない話」の残りを聞き終わってから出しても、遅くはありません。
小坂と申します。さて、現在、トムクルーズが姫路で、「ダンス・ウィズ・サムライ」とも言うべき映画の撮影中です。
総製作費３００億円をかけて、明治維新後、日本を西洋化するためにやってきた男の物語を描くそうです。長文ですが、ご容赦下さい。nikkansports.comより
(引用開始)
トム・クルーズ日本流で映画製作発表会見米俳優トム・クルーズ（４０）と日本人俳優が共演する大作映画「ラスト・サムライ」（エドワード・ズウィック監督、０３年１２月日米同時公開予定）の製作発表が８日、大阪府内のホテルで行われた。同映画は「武士道精神」をテーマに日本ロケを敢行する。ハリウッド映画は通常製作発表を行わないが、クルーズは日本流に従って渡辺謙（４２）ら共演者とともに出席。サムライスピリットの体現を誓った。１０日に京都などでクランクインする。
(中略)
構想２５年、総製作費３００億円の大作映画。プロデューサーも務めるクルーズは、ズラリと並んだ日本人キャストを「ベストのキャスティング。（渡辺）謙さんは素晴らしい俳優。小雪さんも才能があってベリーナイス」と紹介した。
映画は明治維新後、日本を西洋化するために来日した南北戦争の英雄と、武士道精神を貫く侍たちが、対立しながらも強いきずなで結ばれていくストーリー。大掛かりな戦闘シーンも登場する。クルーズは撮影に備えて剣術や空手を身に着けた。「私にとって試練の映画。今までにないほどフィジカルトレーニングを積んできたよ」と胸を張った。日本史関係の本も読破した。「サムライ・スピリットはエレガントで美しい。礼儀や名誉を重んじ、知的でもある。敬意を払いたい」。精神的理解にも努めたようだ。
(引用終了)又、下記サイトより、この映画の脚本批評を引用します。
TOM CRUISE on the Netより
http://members.tripod.co.jp/tcruise/index.html(引用開始)
「The Last Samurai」脚本プレビュー 2
by Lance Henriksen and Cary-Hiroyuki Tagawa
（2002/7/9 The Stax Reportより）ジョン・ローガン（「スター・トレック ネメシス」、「グラディエーター」）による114ページのこの脚本は2001年5月18日付となっている。アカデミー賞受賞経験のあるエドワード・ズウィック監督（「グローリー」）がこの歴史ドラマをトム・クルーズ主演で製作する。撮影は日本、ニュージーランドにて2003年1月の開始が予定されている（※、日本ロケ開始は10月。）。このプロジェクトは、Helen Dewittの同名小説や1990年のLance Henriksen主演映画とは無関係である。
(中略)
脚本の批評・解説
「The Last Samurai」は私がここ数ヶ月で読んだ中で最高の脚本である。魅力的な歴史的フィクションで、西洋人に異国の世界を垣間見せてくれる。そして、しばしば映画に登場するもののほとんど理解されていたなかったサムライについて、学ぶ機会をあたえてくれる。一番面白かったのは、これがアメリカが初めて東南アジア事情に手出しをする物語であるがゆえの、現代の問題との（少々露骨な）相似性である。第二次世界大戦、アメリカのベトナム戦争介入、80〜90年代の日本企業のアメリカ大量進出。これらが脚本の中で明白にほのめかされている。
これら先に起こることのヒントが押し付けがましいかもしれないと心配したが、結果的には悲劇的色合いと痛切さを強めるものとなった。 観客は登場人物らの未来がどうなっていくのか知っているし、日米双方に怖ろしい数の犠牲者が出ることも知っているのだ。
私はウッドロウ・オールグレン[引用者注:トム・クルーズ]が映画の観客の目の役割をする単なる傍観者か、こういう物語にありがちな醜いアメリカ人のような取るに足らないキャラクターになるのではと懸念した。ジョン・ローガン自身このことを懸念したようで、賢明にもオールグレンにアイデンティティ・クライシス（自己認識の危機）を与えた。オールグレンは軍人以外の人生を送れないように感じていた。オールグレンは戦争が終わった今、自分が何の役に立つのだろうかと思っていた。勝元[引用者注:渡辺 謙]（アカデミー賞候補になる可能性を秘めたキャラクターである。「猿の惑星」のCary-Hiroyuki Tagawaのような役者に最適の役柄となるだろう)との友情を通してオールグレンは軍に属する前の人生を思い出し、戦争が彼の魂を失わせる前の自分を取り戻していく。勝元を師として、オールグレンはアドバイザーから生徒となるのだ。(中略)
ローガンが描くテーマ
ローガンの書く物語に繰り返し現れるテーマは何だろうか。“アウトサイダー”である。「RKO281」の一匹狼的な映画製作者オーソン・ウェルズ、「ネメシス」の悪者Shinzon、「タイム・マシーン」のエロイの中のタイムトラベラー。ローガンは周囲と調和しない孤独な人間を描くのに秀でている。「The Last Sarmurai」はこのテーマのさらなる探求である。“現地人の間で暮らす白人”という筋書きのため、タイトルを「ダンス・ウィズ・サムライ」に変えたくなる。そして数々のアカデミー賞を受賞した「ダンス・ウィズ・ウルヴス」と同様、この映画にも成功が待っているという予感がする。
「The Last Samurai」は興奮を呼ぶアドベンチャー物語であり、日本の歴史、日米関係の歴史における重要なターニング・ポイントについての興味深い解釈であり、日本文化とサムライについての啓蒙的な講義である。映画の公開が待ちきれない思いである。
(引用終了)副島先生の「属国・日本論」を下敷きにしたような、現在の日米関係を色濃く反映した映画になりそうです。また、現在の日本には、既に精神的な有りようとしてのいわゆる「サムライ」は消えうせたとでも言っているタイトルですね。
田中です。以前ボスニア紛争物の映画４本について書いたのですが、その後
○ ブコバルに手紙は届かない (アメリカ＝イタリア＝ユーゴ合作 1994)
（ビデオ版の題名は、"ブコバル" ）○ パーフェクトサークル (ボスニア、フランス合作 1997)
を観たので、感想を書いておきます。２作とも当事者の作成した映画です。
以前書いた、ボスニア (1996 ユーゴスラビア) では、セルビア人とモスリム人の友達同士が戦争によって、引き裂かれていくのですが、"ブコバル" でも同じように、愛し合う夫婦（セルビア人とクロアチア人）が戦争によって引き裂かれていくという設定です。
1994年に作られただけあって、人種間憎悪が高まり始めて、クロアチアが独立に向けて動き出す様子が映画の中から見て取れます。
虐殺、輪姦、略奪、爆撃といったお約束の内容ですが、最後に映し出される、ブコバルの町を空撮した映像が本当に圧倒的なまでにすごいです。
"パーフェクトサークル" は、サラエボを舞台に、空想癖のある老人と戦災孤児の兄弟との係わり合いを中心にした話です。映画としては、特におもしろくないですが、銃撃を避けながら買い物に行く風景、闇市、塹壕、地下の避難風景、街中を走るＵＮ(国連）の装甲車といった、サラエボの毎日の様子がとても参考になります。
まとめておくと、
当事者の作った映画○ ブコバルに手紙は届かない (アメリカ＝イタリア＝ユーゴ合作 1994)
○ パーフェクトサークル (ボスニア、フランス合作 1997)
○ ボスニア (ユーゴスラビア 1996)イギリスからみた、ボスニア紛争
○ ウェルカム・トウ・サラエボ（―WELCOME TO SARAJEVO― ９７年 イギリス）
○ WARRIORS (ウォリアーズ BBC作製)上記の５本の映画は一通り見たほうがよいでしょう。それぞれ、丁寧に作ってあって、良い映画だと思います。映画によって、悪く描かれている民族がそれぞれ異なるというのもボスニア紛争の特徴でしょう。
前も書きましたが、オリバー・ストーンがボスニア紛争を描いた"セイビア"は、見る価値の無い映画です。
でわ♪
Rss-kさん、面白い記事を有難うございます。笑ってしまいました。（転載はじめ）
● オリジナル
チンピラA：「＊＊の野郎，最近，ショバ代を渋るようになりやがった」
チンピラB：「許しちゃおけねえ。今度会ったら，ヤキ入れてやらにゃあ」
チンピラC：「半殺しにしちまえ」
親分：「黙らねえか！堅気の衆に手え出すんじゃねえ！」● E rated version
チンピラA：「＊＊君，最近，土地使用料を滞納するようになったねえ」
チンピラB：「それは許すわけにはいかないね。今度会ったら，懲らしめてやりましょう」
チンピラC：「ポカポカ殴ってやろうよ」
親分：「静かになさい。一般市民をイジメてはいけないよ」(転載おわり)
私が観たい改変版は『フルメタル・ジャケット』と『パルプ・フィクション』と『オースティン・パワーズ』です。子供のうちからディズニーだけでなく大人の映画を観ておくことは大切ですよね。
そして大人になってから衝撃の事実に気付くのです。
TORA様投稿有難うございます。ホームページの文章群も非常に充実していて驚きました。
『グラディエイター』についてですが、私は最近別の目的で、図書館で『エンサイクロペディア・アメリカーナ』という百科事典を引いていたら、ひょんなことから映画『グラディエイター』に出てきた皇帝、コモドゥスについての記述を見つけて、ついでに引き写しました。以下、拙訳にて失礼します。コモドゥスとは、実際も、映画と変わらない悲惨な人でした。ローマ帝国て、一度名前が変わっていたのですね。（引用はじめ：『Encyclopedia Americana』より）
COMMODOUS,Lucius Aelius Aurelius(161-192 A.D.),
ルシウス・アエリウス・アウレリウス・コモドゥス。（紀元後161年〜192年）
Roman emperor.He was one of the sons of Marcus Aurelius and survived Marcus' other male children. Pushed into public affairs when the revolt of Avidius Cassius threatened the throne in 175, Commodus was made co-augustus (joint senior emperor) with his father in 177 and accompanied Marcus to the wars in defense of the Danubian frontier.
ローマ皇帝。マルクス・アウレリウス帝の息子たちの一人であり、他の息子たちとの生存競争に生き残った。175年に起きた、帝位を狙ったアヴィディウス・カシウスの反乱で、公の場における頭角を現す。177年、コモドゥスは父親（コモドゥス自身よりも上位の皇帝）との共同で統治する皇帝・アウグストゥスとなる。ドナウ国境での防衛戦において、マルクス・アウレリウス帝に随行。
After the death of Marcus Aurelius in 180, Commodus ruled alone, changing his name to Marcus Commodus Antoninus. He terminated frontier hostilities by agreeting to pay subsidies to the barbarians along the Danube.
180年にマルクス・アウレリウス帝が死去した後は、コモドゥス一人が、マルクス・コモドゥス・アントニヌスと名前を変えて、ローマを統治した。ドナウの蛮族に助成金を支払うことに合意して、国境紛争を終結させる。
The reign of Commodus (180-192) was troubled by economic decline, barbarian threats, internal discord, palace conspiracies, and finally the insanity of the emperer himself. About 182, Commodus' sister Lucilla plotted his assassination, but the conspiracy was detected and foiled. Somewhat lacking in talent and still too young to exert authority, Commodus relied heavily on his associates for the conduct of state affairs. Consequently, they, rather than the emperor himself, suffered when things went wrong. The praetorian prefect Perennis was sacrificed to appease military discontent in 185. Cleander, the chamberlain who suceeded Perennis, was thrown to the mob when grain ran short in 189.
コモドゥスの治世（180年〜192年）は、経済の衰退、蛮族の脅威、国内の不協和音、宮廷内の陰謀、それに皇帝自身が狂気に陥ることにより、困難続きだった。182年前後、コモドゥスの姉（あるいは妹）のルシーラがコモドゥスの暗殺を計画する。しかしこの陰謀は察知され、失敗する。多少の才能の欠落と、権威を行使するにはあまりに若すぎた、ということにより、コモドゥスは政治問題を処理するにあたって朋友・自分に近しい人だけに頼りすぎた。その結果、彼ら皇帝の朋友たちは、皇帝自身よりも、物事が失敗したときに苦悩した。185年、属州ペレンニスの長官である近衛兵が、軍隊の反乱を鎮圧する際に犠牲になる。ペレンニスにおいて成功した宮内官のクレアンダーが189年の穀物不足の際に民衆の中に放り投げられる。
By 191, Commodus had become insane. He imagined himself the reincarnation of Hercules. He renamed Rome "Colonia Commodiana", the colony of Commodus. He changed his name back to Lucius Aelius Aurelius Commodus, and he changed the names of the months to correspond to his names and titles, among which were Hercules, Romanus, Exsuperatorius, and Amazonius. On New Year's Eve, 192, Commodus was assassinated by members of his palace staff.
〔Tom B. Jones, University of Minnesota〕191年、コモドゥスは狂気の人になった。彼は自分自身をヘラクレスの生まれ変わりだと思い込んだ。ローマを、『コモドゥスの土地』を意味する『コローニア・コモディアナ』と名前を変えた。自分の名前をルシウス・アエリウス・アウレリウス・コモドゥス、と元の名前に戻して、1年間の月の名前を自分の名前や称号になぞらえて、それぞれ名前を変えた。すなわちヘラクレス、ローマ人、Exsuperatorius（物凄い生まれの超越者？）、アマゾネス、など。192年、新年が明けた元旦の宵に、コモドゥスは宮廷の彼の部下たちによって殺害された。
（引用おわり：『Encyclopedia Americana』より）
（引用はじめ）
日本も、叛乱に破れて５０年ぐらい立つから、そろそろ帝国に対して叛乱を起こす時期に来たのだ、と、当の、帝国側が、判断している。さしずめ、第一回目の叛乱土民軍の大酋長は、石原慎太郎とかいうアホだろう。彼について行きたい人は、行けばいい。どうせ、先端を開く前に謀殺されるだろう。「青嵐会」部族退治は、すでに始まっている。ローマ軍の属国支配の洗練された統治技術を甘く見てはいけない。（今日のぼやき 副島隆彦） (2000/07)
（引用おわり）ドイツのシュローダー政権とアメリカのブッシュ政権が険悪な状況になっている。いまだにブッシュ大統領からの祝電がシュローダー首相の元に行っていない。シュローダー首相はイギリスのブレア首相にとりなしてもらえるように急遽訪問した。ドイツの法務大臣のヒトラー発言もブッシュの気にさわったところだろう。
シュレーダー首相にとって見れば選挙に勝つためにはアメリカのイラク攻撃に反対せざるを得なかった。緑の党と連帯を組む以上当然の話だ。アメリカべったりのキリスト教民主同盟への反発票も集めることにより政権を維持することが出来た。さらにはネオナチもシュレーダー首相を応援しているから余計に問題は厄介だ。
ドイツ国民にとってみればドイツ統一ができた以上アメリカに遠慮することはなくなった。ソ連も崩壊し当面恐れるべき軍事的脅威は無くなった。長年鬱屈していたドイツの国民感情が表面化してきてもおかしくはない。１０％を超える失業率はワイマール時代を髣髴とさせる。ゲルマン民族の反骨魂が目を覚ましてもおかしくないだろう。
映画で「グラディエイター」という映画がありましたが、ゲルマン民族の反乱軍とローマ帝国の派遣軍との戦闘場面がありました。軍事大国のローマ軍だから様々な兵器と優れた武器でもって制圧して、ゲルマン民族を皆殺しにしていくのですが、最終的にローマ帝国の内部崩壊でもってゲルマン民族に征服されてしまう。ドイツ人はそのゲルマン民族の末裔だから何度滅ぼされても懲りずに反乱を起こす。
副島隆彦氏によるとアメリカ帝国は古代ローマ帝国の正当な後継者と密かに認識しているようだと指摘している。世界各地に軍隊を派遣して、各国を属国化してく様子は古代ローマ帝国そっくりだ。日本の総理大臣も就任すると、代官としての認証を得るために訪米する。シュレーダー代官へブッシュ皇帝からの認証が来ないということは大問題だ。
しかし、ドイツ国民にとっては大ローマ帝国を滅ぼしたという実績がある。古代ローマ時代にはローマ軍へ反乱を起こすことは、皆殺しになるか奴隷になることを意味する。それでも反乱を繰り返しついにはローマ帝国を滅ぼしてしまった。第一次大戦も第二次大戦も一つの反乱に過ぎないのだろう。その度にアメリカ帝国は軍隊を派遣して制圧した。
東洋にもローマ帝国と同じ頃大秦帝国が存在した。その末裔が大中華帝国である。その東の島には日本民族がいるのだが、二度にわたって大中華帝国を滅ぼしている。一度目は倭寇と呼ばれる海賊が沿岸を荒らしまわり大明帝国を滅ぼした。二度目は日清戦争で大清帝国が滅亡した。厳密に言えばローマ帝国と同じ内部崩壊で滅んだのだが。
現代のアメリカ帝国が滅びる時も、内部崩壊が原因で滅びるのだろう。しかしそのきっかけになるのは地方の反乱である。シュレーダーの率いるドイツ民族が今度の反乱でアメリカ帝国を滅ぼすきっかけとなるのだろうか。すでにアフガニスタンでアメリカ軍は小規模な反乱に対応できないでいるようだ。副島隆彦氏は最近次のように書いている。
（引用はじめ）
あれほど社会主義、社会平等主義、反戦平和 を信念にしていた、ドイツ社民党支持のドイツの労働者たちが、一旦、国境紛争、領土問題が表れると、途端に異様な愛国者に豹変して、「自分が住むわけでも、見たことも無い」と土地のことで、本気になって兵士となっと戦場へと送られていった。そして、第一次世界大戦も、第二次世界大戦も戦った。沢山の労働者が兵隊となって死んだ。あの難解な理屈づきで近代人（モダン・マン）のドイツ人にしてこの程度の、子供じみた歴史の教訓を持っている。日本人は、これを自分の事に重ね合わせてみれば、今の自分も同じように馬鹿だ、ということに気付くだろう。（2002年 副島隆彦公式HP 今日のぼやき より）
（引用おわり）
（貼り付け開始）『MYCOM PC MAIL 2002. 9.25 No.1186』
シリコンバレー101 第4回 執筆＝山下洋一
ビデオオンデマンド一歩手前のニッチ市場
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/09/24/03.html
アメリカには、西にHollywood Video、東にBlockbusterという大型のビデオ/DVDレンタルチェーンがある。一昔前、ビデオレンタル店と言えば、個人営業の店が当たり前だったが、この二つのレンタルチェーンの台頭によって、小さなビデオレンタル店は一掃されてしまった。ところが、今、このビデオ/DVDレンタル業界の巨人の前にNetFlixというライバルが出現。しかも、大型チェーンの方がかなり苦戦しているのだ。NetFlixは、シリコンバレーの南西に位置するロスガトスに生まれたスタートアップ企業である。設立は97年と古く、ドットコム企業が次々に消えていく中を生き残ってきた。そのビジネスというのは、DVDのオンライン・レンタルサービスである。
ユーザーは、まずNetFlixの会員になる。月々の会費は19.95ドル。そして、NetFlixのサイトで借りたいDVDを選んでリストを作る。すると、在庫のあるDVDが、リストの上位から順番に郵送されてくる。貸し出しできる本数は最大3本まで。返却は、DVDと共に送られてくる封筒に入れて、ポストに投げ込むだけだ。送料を支う必要もない。1本でも返却すると次の1本が送られてくる。この繰り返しで、毎月何本でも借りられるのだ。
近所のレンタル店とあまり変わらないと思うかもしれないが、実際に利用してみると、「便利すぎ!!」としか言いようがない。「返しに行く必要がない」、「自分のペースで借りられる」、「ビデオ・ライブラリー(12,000+)が豊富」という違いだけで、近所のBlockbusterには全く足が向かなくなった。趣味が偏っているせいもあるかもしれないが、希望のDVDはほとんどすぐに送られてくるし、しかも郵便事故があったとしても、「届きませんよ!!」と電話1本するだけで、すぐに代わりを送ってくれる。サイトでは、監督や俳優名による検索も自由自在。作品評や実際に見た人のコメントがあるなど、オンラインならではのメリットを生かしているのもポイントが高い。
97年設立のNetFlixが今頃になってブレークしているのは、やはりDVDの普及にある。郵送料の問題からNetFlixはDVDのみを扱ってきたのだが、昨年までDVDプレーヤーがなかなか家庭に普及してくれなかった。変化があったのが昨年の年末商戦。9/11の影響による"巣ごもり現象"で、DVDがヒット商品となり、それに従ってNetFlixのメンバー数も急増した。
NetFlixの勢いに危機を感じたBlockbusterは、一部の店で月々19.95ドルの定額サービスのテストを開始した。だが、返却に行く必要がないというのがNetFlix最大のポイントとなっているため、定額サービスというだけでは苦戦が続いている。Blockbusterがメールオーダーを始めれば、NetFlixの立場も危うくなるだろうが、そこまであからさまなビジネスのコピーにもふみ切れないようだ。
むしろ今後は、BlockbusterよりもCinemaNowのようなブロードバンド回線を利用したビデオ・オン・デマンドやデジタル・ケーブルTVとの競争が激しくなるだろう。
NetFlixのCEOであるReed Hastings氏は、「オンラインとメールオーダーを組み合わせたスタイルがよく話題になっていますが、実はこのビジネスのヒントはStarbucksから得ているのです。顧客の満足度、そこが成功のポイントになっています。だから、このスタイルに固執するつもりはありません。今よりもユーザーの満足度を高められる方法があれば、すぐにその方法を採用するでしょう」と述べる。
今は株価も安定しているNetFlixだが、このままではレンタルビデオとビデオ・オン・デマンドを結ぶ"すき間ビジネス"で終わる可能性は高い。だが、"顧客の満足度"をキーワードにビデオ・オン・デマンド時代のNetFlixも成功させるようだと、今度はHastings株が急騰することになりそうだ。
NetFlix
http://www.netflix.com/Blockbuster
http://www.blockbuster.com/Hollywood Video
http://www.hollywoodvideo.com/CinemaNow
http://www.cinemanow.com/（貼り付け終了）
（貼り付け開始）『ITpro 米国最新IT事情』
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/ITPro/USIT/20020923/1/女優のヌード・シーンに服を着せる
――映画改変ソフトがハリウッドを揺るがすDVDはおろかビデオさえ存在しなかった古き良き時代，家庭のお父さんやお母さんは子供がいかがわしい深夜番組など見ないように，眼を光らせていたものだ。技術の進歩と共に，子供たちの周りを様々なニュー・メディアが取り囲むようになり，その内容も暴力性やわいせつ度が過激になってきた。親としては気が気ではなかろう。
ここ数年では，インターネットのアダルト・ホームページを締め出すための，「フィルタ・ソフト」が急速に普及してきた。「技術には技術で対抗」といったところだろうが，これまでのところ，その対抗手段はもっぱら「子供の目から，不適切なシーン（映像）をカットしてしまう」，あるいは「不適切な映画や映像ソフトその物をシャットアウトしてしまう」という方法だった。
デジタル技術の進歩が，そうした手段を根本的に変えようとしている。「不適切なシーンをカットする」代わりに，子供が見ても大丈夫なように「映画自体を作り変えてしまう」のだ。
まず登場したのは過激な内容を改変したビデオやDVD
保守的なコロラド州や，宗教的理由からアダルト・暴力映画に神経質なユタ州などでは，ビデオ・DVD店の中に，「Eセクション」という特別売り場が目立ち始めた。Eセクションの「E」は，Edited Ratedの頭文字。Editedすなわち映画の内容を，家族みんなで見られる穏当な内容に「編集・改変」してしうのだ。一昔前のアナログ・フィルム時代なら想像もつかなかったが，DVD上に記録されたデジタル映画なら，いとも容易に改変できるのである。
こうしたE-rated映画のDVDを販売する業者には，Sunset Video，Clean Flicks，Video?といった新興企業がある。彼らはいずれも，ここ数年ヒットした映画のE-rated versionを200〜300タイトル用意して提供している。彼らの手にかかると，オリジナルの映画がどう変わるか。たとえば大ヒット映画Titanicの中で，Leonard DiCaprioがKate Winsletのヌード姿をスケッチする場面がある。E-Rated versionでは，Winsletがもはや裸ではなく，コルセットを身につけている。昨今のデジタル編集技術を使えば，この程度の加工はお茶の子さいさいである。
映像だけではない。俳優の台詞（セリフ）も，声質を保ったまま変えることができる。たとえば「Shut up（黙れ）」といった乱暴な言葉遣いが，「Be quiet（静かになさい）」というお行儀の良い表現に変わる。これを例えばギャング映画やヤクザ映画に適用すると，おそらく次のようになるであろう。
● オリジナル
チンピラA：「＊＊の野郎，最近，ショバ代を渋るようになりやがった」
チンピラB：「許しちゃおけねえ。今度会ったら，ヤキ入れてやらにゃあ」
チンピラC：「半殺しにしちまえ」
親分：「黙らねえか！堅気の衆に手え出すんじゃねえ！」● E rated version
チンピラA：「＊＊君，最近，土地使用料を滞納するようになったねえ」
チンピラB：「それは許すわけにはいかないね。今度会ったら，懲らしめてやりましょう」
チンピラC：「ポカポカ殴ってやろうよ」
親分：「静かになさい。一般市民をイジメてはいけないよ」・・・これではヤクザ映画ではなく，子供の学芸会である。もともと子供に見せることを想定して改変されたのだから，こうなるのも当然だ。しかしいくら子供のためとはいえ，極端に表現を変えてしまえば，それはオリジナルの映画とは全く別物になってしまう。「作品」と「表現」は本来，不可分であるからだ。しかもE-rated version業者は，オリジナルの映画を作った監督や製作会社に無断で，内容を改変しているのだ。
当然ながら抗議行動が起き始めた
このためハリウッドでは今，Directors Guild of America(DGA:米映画監督組合)を中心に，E-rated versionへの抗議運動が起き始めている。映画監督は結構，身勝手な要求を主張することもあるが，今回のケースに限っては，明らかに彼らに分がある。E-rated versionは誰がどう見ても著作権法違反である。現在まで野放しになって来たことの方が，むしろ不思議だ。
法律ではなく常識で考えても，映画の過激場面を「当り障りの無い表現」へと改変するのは問題がある。性的・暴力的なシーンは，時に芸術的表現や，映画そのもののモチーフを達成するために必須となるからだ。もちろん，それは往々にして監督や映画会社の「言い逃れ」に過ぎず，実際は単なるアダルト映画や暴力映画だったりする。しかし中には，崇高な目的のために，そうした過激シーンを本当に必要とする作品もある。
例えばSteven Spielberg監督の「Saving Private Ryan」を考えてみよう。冒頭のノルマンディ上陸シーンは，徹底的なまでに残虐なシーンの連続である。敵のマシンガンで，頭や腕や胴体を吹っ飛ばされる兵士たち――子供はおろか大人だって，相当の抵抗感を覚えたはずだ。しかし「これでもか！」とばかりの過激シーンを立て続けに見せることによって，この映画は「戦争の惨さ」を我々の胸に叩き込んでくれるのだ。
これがE-rated versionでは完全に改変されている。ビーチに上陸した兵士たちが殺される姿は，ほとんど映っていない。その代わりに，「砂浜にぶち込まれて爆発する砲弾」や，「兵士の鉄兜に跳ね返る銃弾」などでお茶を濁している。Spielbergがこれを見たら激怒するだろう。病気を一発で治す「劇薬」と「毒」は紙一重である。過激な映画の毒を抜くことは，優れた芸術作品を骨抜きにしてしまうのと同じなのだ。
ついに「自動改変ソフト」まで登場――“公正使用”の範囲内なのか？
現在出回っているE-rated映画は間違いなく著作権法違反だから，今の形のままでは，いずれ市場から姿を消さざるを得まい。むしろ今年に入って，ハリウッドの監督たちが新たに神経を尖らしているのは，オリジナル作品の中身を自動改変してしまうソフトウエアの登場である。
「MovieMask」や「ClearPlay」といったソフトが，これに当たる。Trilogy Studiosという新興企業が提供するMovieMaskは，インターネット経由でダウンロードできる。これをパソコンにインストールし，市販のDVD映画（オリジナル作品）を再生すると，過激シーンが自動的に穏当なシーンへと改変されて，ディスプレイに映される。
ClearPlay社が提供する商品は，さらにその先を行く。同社は映画の自動改変ソフトウエアをテレビ用のDVDプレイヤーに標準搭載し，これを699ドルで販売している。この特殊なDVDプレイヤーを使えば，どんなに危ない映画も「家族みんなで安心して楽しむことができる」というわけだ。
監督たちが心配するのは，これらのソフトが著作権法に抵触する，とは必ずしも言えないからだ。著作権法には，「Fair Use（公正使用）」という条項がある。これによれば，一般消費者が映画DVDを購入して，その中身を勝手に改変して視聴しても何ら問題はない。確かに自分一人で楽しむ分には，誰にも被害をかけないのだから，Fair Useの判定は至極妥当である。
冒頭で紹介したClean FlicksなどE-rated映画業者の問題は，彼らが勝手に改変した映画を「売って利益をあげている」点にある。これはどう見ても違法である。ところが，Trilogy StudioやClearPlay社では，改変した映画DVDを売っているわけではない。彼らが提供するのは，「一般消費者が映画を改変して視聴するためのソフト（ツール）」に過ぎないのである。つまり「Fair Useの手助けをしているに過ぎない」というわけだ。これは彼らのビジネスを守る，かなり強力な法的論拠になるだろう。
経済的側面から見ても，自動改変ソフトには問題が無いように見える。すなわち，仮にこれが広く社会に普及したところで，映画会社や監督には金銭的被害は及ばない。なぜなら消費者は「オリジナルの映画DVDを買ったり借りたりして」，これをソフトで改変して見ているからだ。従ってオリジナル作品の売上は，全然減らないのである。これでは映画監督やプロデューサも，文句のつけようがない。
オリジナルの映画製作者らが訴えるとすれば，それは芸術的側面からの抗議であろう。ハリウッド映画監督のIrwin Winklerは，改変ソフトを使って映画の性的シーンを覆い隠すことを，「ダビデ像（の性器）にコンドームをつけるようなものだ」と喩える。映画監督らにしてみれば，「精魂傾けて作った芸術作品を，無神経な手で汚される」ような不安と屈辱を覚えるに違いない。
しかし，映画の無断改変にまつわる法的闘争は，おかしなことに本来糾弾されるべき側の改変業者がイニシアティブをとって開始された。E-rated業者としては最大手のClean Flicksは8月末に，Steven Spielbergら16人の有力映画監督を相手取って，「監督たちが『自分たちの作品を改変してはいけない』と主張する権利はない」と訴えたのだ。監督達に訴えられる前に，先制攻撃を仕掛けたのである。
不意打ちをくらった感のある監督たちだが，反撃に転じるのは時間の問題。DVD映画の無断改変をめぐる裁判は，今後しばらくハリウッドで最も注目を集める闘争となるだろう。
（小林 雅一＝ジャーナリスト）
■著者紹介：（こばやし まさかず）
1963年，群馬県生まれ。85年東京大学物理学科卒。同大大学院を経て，87年に総合電機メーカーに入社。その後，技術専門誌記者を経て，93年に米国留学。ボストン大学でマスコミの学位を取得後，ニューヨークで記者活動を再開。著書に「グローバル・メディア産業の未来図」（光文社，2001年12月発行），「スーパー・スターがメディアから消える日----米国で見たIT革命の真実とは」（PHP研究所，2000年），「わかる！クリック＆モルタル」（ダイヤモンド社，2001年）がある。
（貼り付け終了）
周喩さん、投稿有難うございます。
（周喩て、漢字で出たんですね（笑））
ジャッキー・チェンは、香港返還の１年位前に日本の雑誌のインタビューに答えて、「私の映画は純粋に面白さを追及したものだから、政体が変わっても、今までと同じように映画を作り続けることが出来ると思う」と答えています。『アルマゲドン』みたいな単純、エンターテイメント映画の第一条件は、非・政治的であるか、または時の政府におもねる内容であること、なのでしょう。トルーマンはＮＡＳＡの職員でしたが、もう一人、シャトルに乗り込んで、チームもろとも核兵器を爆破させようとする軍人がいました（名前忘れ）。彼は今アメリカ国内で一番力を増しつつある空軍の出身だったと思います。そういえば最近のヒット娯楽作の主役は、皆空軍ですね。『インデペンデンス・デイ』とか『ディープ・インパクト』とか、宇宙人や隕石が降って来たら、皆空軍(宇宙軍)が対応しています（「アメリカ宇宙軍」の正式名称は、アメリカ空軍「スペース・コマンド」(AFSPC（Air Force Space Command）ホームページはこちら）。『ディープ・インパクト』で地球を救うのは、厳密に言えばＮＡＳＡでしたか？ＮＡＳＡの宇宙飛行士は、アメリカ国籍を持った民間人と軍関係者の両方から選ばれます。
副島本の新刊から引用します。
（引用はじめ：『世界覇権国アメリカの衰退がはじまる』ｐ．１４７〜ｐ．１５１）
ラムズフェルドが全米ミサイル防衛網構想を発表したということは、「今後は、空軍に、戦闘機部隊や戦略爆撃機部隊の『空』だけではなくて、その上のほうの、つまり宇宙（スペース）までも縄張りとして与える」ということだったのである。これで、ペンタゴンの制服軍人たちの世界がてんやわんやの大騒ぎになった。空軍にミサイル防衛網という名の、昔の名前で言えばＳＤＩ（戦略防衛構想）という「スターウォーズ計画」まで、管轄として握らせてしまった。
ラムズフェルド国防長官は「ラミー」の愛称で呼ばれているが、自分の立場を空軍重視ではっきりさせてしまったので、ペンタゴン内部の制服軍人たちに嫌われ始めている。
〔中略〕
そもそも軍隊（アーミー）というのは陸軍（アーミー）のことである。だから、陸軍がいつも真ん中に座って威張ってきた。
〔中略〕
一方、海軍（ネイビー）というのは、歴史的にどこの国でも陸軍から派生して生まれてきた軍隊である。それゆえ、何かあると経費削減の対象にされたり、海軍はその存在根拠がいつも脅かされている。
〔中略〕
空軍は、陸軍と海軍よりもあとから派生した軍隊なのに、今や一番のエリート軍となりつつある。（引用おわり：『世界覇権国アメリカの衰退がはじまる』ｐ．１４７〜ｐ．１５１）
新聞から関連記事を、探してきました。
(転載はじめ)
『毎日新聞』東京朝刊。２００２年６月２８日付け
【宇宙軍と戦略軍、米が１０月に統合−−ミサイル防衛強化】
ラムズフェルド米国防長官は２６日、米軍機構改革の一環として、現行の宇宙軍と戦略軍を統合して新たな司令部をつくることを明らかにした。敵のミサイル攻撃などに対する迅速な対応を図るもので、ブッシュ政権のミサイル防衛構想と密接に関係する機構改革とみられる。新司令部は１０月にも稼働を始める予定だ。
現行の戦略軍は戦略核兵器の管理・運用を担当し、宇宙軍は、衛星やミサイルの打ち上げ、核爆発の探知などを任務としている。長官は新司令部の任務について「ミサイル攻撃の早期探知と防衛に責任を負う」と語った。
ミサイル防衛構想を推進する米政府は、「核配備見直し報告」によって核兵器使用の原則を再検討している。【ワシントン布施広】
（転載おわり）
個人的にはこいう能天気映画は、私は好きなんですよ・・・頭使わなくていいから。