「炭酸ガスは悪魔のガスか？」というタイトルです。
新しいトピックです。
http://www.cato.org/testimony/ct-pm100699.htmlから
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以下は、「選択の自由」のプロローグです。
志村さんのご努力でテキスト化されたものです。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝プロローグ
ヨーロッパ人による新世界での最初の植民地が、一六〇七年にはジェームスタウンに、また一六二〇年にはプリマスにつくられて以来、アメリカは冒険を求める人びとや、暴政からのがれようとする人びと、また、ただたんに自分自身や子供たちの生活をよくしたいと願う人びとなどを惹きつけ続けてきた。
最初はひとにぎりにすぎなかった移民が、アメリカ独立戦争とそれに続く建国の後では急速に増加していき、十九世紀には洪水のような流れとなった。何百万人もの人びとが大西洋を渡り、またそれよりはるかに少ない人びとではあったが、太平洋を渡り、暴政や悲惨にあえいで追い立てられ、自由と繁栄の約束に魅せられて、アメリカへとやってきた。
それらの移民がアメリカに到着しても、街路は金で舗装されていなかったし、安楽な生活が待っていたわけでもなかった。しかしそれらの人びとは自由を見つけ、また自分の能力を最大限に発揮できる機会をみいだした。懸命に働き、工夫や節約をしたり、時によっては幸運にめぐり会えたりして、それらの人びとの大半は自分たちの希望や夢を十分に実現できた。その成功に勇気づけられて、その友人や親族たちが後に続いてアメリカへやってきた。
アメリカの物語は経済的な奇跡と政治的な奇跡の物語であり、このような奇跡は二組の理念が現実へと具現されたことによってはじめて可能になった。おもしろいことにこの二組の理念は、一七七六年という同一の年に刊行された書物で形成されたという偶然の一致がある。その一組の理念は『諸国民の富』という著作の中に具体化されており、この著作こそスコットランド人アダム・スミスを近代経済学の父とさせることとなった傑作だ。人びとが必要とする食糧や衣料や住宅を生産するためには、経済分野で個人たちの間における幅広い協力や協同が不可欠だが、このことと、個人がそれぞれの目的を追い求める自由とを、市場経済体制がうまく調和させることができる方法を、『諸国民の富』は分析した。アダム・スミスが行った洞察の核心は、�狄佑咾箸龍�同が真に自発的なものである限り、交換の当事者たちである双方が利益を得られないのであれば、どんな交換も行われない�瓩箸いε世世辰拭�すべての人びとが利益を得られるのだから、人びとを協同させるために、外部からの力とか強制力とかによって自由を侵害する必要などはないわけだ。だからこそ、アダム・スミスは次のようにいっているのだ。「自分だけの利益を追求している個人は、見えざる手に導かれて、本人もまったく意図しなかった目的を促進させることになる。このように個人が意図しなかった目的だからといって、その目的がつねに社会にとってよくないものであるとは限らない。個人が初めから社会の利益を増大させようという意図をもっている場合よりも、自分だけの利益を追求する場合の方が、もっと効率的に社会の利益を増大する場合がしばしばある。わたしは、公共の福祉のために商売していると気取って主張する人びとによって、実際に社会の利益が増大されたという話を聞いたことがない（１）」と。
第二の組の理念は、アメリカの独立宣言に具体化されている。この宣言は、トーマス・ジェファーソンによって、その同胞たちの一般的な考え方を表わそうとして起草された。この宣言は、アメリカ合衆国というひとつの新しい国の独立を宣言した。アメリカ合衆国は、すべての人びとが自分自身の価値観を追求する資格を生まれながらにしてもっているという原則のうえに樹立された、歴史上はじめての国だ。「われわれは、すべての人びとが平等に創られ、創造者によっていくつかの侵害されることのない権利を与えられており、それらの権利の中には生命と自由と幸福の追求とに対する権利が含まれていると確信している」と、独立宣言は述べている。
また、その一世紀ぐらいのちになって、ジョン・スチュアート・ミルは同一の主張をもっと極端で一般的な形で述べている。個人にとってであれ、集団にとってであれ、その仲間の行動の自由に干渉してもよいと保証されているただひとつの目的は、自己防衛だ。……文明社会のどんな人間であれ、ある個人の意思に反してその人に対し権力が行使される唯一の正当な目的は、その人が他人に被害を与えるのを防ぐという目的だけだ。物理的なものであろうが道徳的なものであろうが、自分の利益のためという目的であれば、十分に正当な理由とはならない。……誰の行動であっても、そのためにその人が社会に対して責任を負わなくてはならない行動は、その人の行動が他の人びとに関係する場合だけだ。しかし、本人だけに関係する行動に関しては、当人の自主独立性は当然の権利であり絶対だ。自分に対して、つまり自分の肉体と精神に対しては、それぞれの個人が主権者だ。（２）
アメリカの歴史の大半は、独立宣言に盛られた諸原則を実行に移そうとする試みをめぐって展開されてきた。すなわち、最後には血を流した南北戦争によって解決されたあの奴隷制度に対する闘争から、「機会の平等」を促進しようとするその後の試みや、「結果の平等」を達成しようとするもっと最近における試みに至るまで、さまざまな試みがあった。
経済的自由は、政治的自由にとって不可欠な必要条件だ。経済的自由は強制や中央集権的な命令がなくても人びとが相互に協力し合うことができるようにさせることによって、この自由は政治的権力が行使される分野を減少させるのだ。そのうえ自由市場体制は権力を分散させることによって、政治的権力の集中が引き起こすかもしれないすべての弊害を相殺する効果をもたらす。経済的権力と政治的権力とが同じ手に握られることほど、暴政の出現を必至にさせるものはない。
経済的自由と政治的自由とが結合されたおかげで、十九世紀ではイギリスとアメリカの両国に黄金時代が発生した。アメリカはイギリスよりもさらに繁栄した。アメリカは過去の歴史の重みを背負うことなく、第一歩から出発することができたし、階級や身分といった古い制度の名残りも少なかった。また政府の規制もより少なかったし、人びとの活力や懸命な働きや技術革新などを受け入れる豊かな土地があったし、まだ征服されてない広大な大陸があった。
自由がどれほど大きな生産力をもっているかは、農業の分野ではっきりと、また劇的に証明された。独立宣言が採択されたときには、ヨーロッパやアフリカからきた三百万人たらず（土着のアメリカ・インディアンたちを除く）の人びとが、アメリカ東海岸の狭い部分を占領していたにすぎなかった。その当時は、農業が主要な経済的活動だった。アメリカに住んでいる人びとのために食糧を供給し、さらに外国からの品物と交換するために輸出する余分の食糧を生産するには、労働者二十人当たり十九人の農業従事者を必要としていた。ところが今日では、アメリカの二億二千万人の人口に食糧を供給し、アメリカを世界最大の農産物輸出国とさせている余剰農産物を提供するためには、労働者二十人当たり一人よりももっと少ない農業従事者しか必要としていない。
何がこのような奇跡を生みだしたのだろうか。それは明らかに、政府による中央集権的な命令ではなかった。ソ連とかその衛星諸国とか、大陸の中国、ユーゴスラビア、インドなどの諸国では、今日でも中央集権的な命令体制に依存しており、農業分野では労働総人口の四分の一から二分の一の農業従事者を必要としている。それにもかかわらず、大規模な飢餓状態の発生を回避しようとして、アメリカからの農産物の輸入にしばしば依存しなければならない状態だ。アメリカでの急速な農業発展のほとんどの期間、政府は取るに足りないほどの役割しか果たさなかった。土地を人びとは容易に手に入れることができた。しかしそれらの土地は、以前には非生産的でしかなかった土地だった。十九世紀の半ばを過ぎて、ランド・グラント・カレッジ（一方で土地を無償で払い下げるとともに、他方で農業教育を行おうとして設立された公開大学）が各地に設立された後では、それらの大学は政府の財政支出で援助された公開講座を通じて、いろいろな情報や技術を人びとの間に広めていった。。しかし疑いもなく、アメリカの農業革命が推進された主要な原動力は、すべての人びとに対して開かれていた自由市場における、民間の人びとのイニシアティブの働きだった。ただしその唯一の例外は、あの恥ずべき奴隷制度であった。しかしその奴隷制度が廃止された後においては、もっと急速な農業成長が起きた。世界のすみずみからアメリカへ流れ込んできた何百万人もの移民は、独立の農民として、また独立の商売人として、自分自身のために働いても自由だったし、相互に同意した条件のもとでなら、他人のために働いても自由だった。これらの人びとは、新しい技術を実験するのも自由だった。ただしそれは、このような実験に失敗したときには自分でその責任をとり、それが成功したときにはその利益を自分のものにできる、というリスクのもとにおいてだった。これらの人びとは、政府からどんな援助も受けなかった。さらにもっと重要なことだが、これらの人びとはほとんど何も政府からの干渉を受けなかったのだ。
ところが一九三〇年代の大恐慌の期間およびその後になると、政府は農業の分野で重要な役割を果たし始めた。政府は主として、農産物価格を人為的に高い水準に維持するため、農産物の産出を制限し始めた。
しかし、基本的には、農業分野における労働の生産性の増大は、それと同時に発生し自由によってはずみをつけられた工業の革命に依存していたのだ。こうして工業革命によって開発された新しい機械が、農業革命を推進していくこととなった。また逆に、工業革命の推進は、農業革命によって解放された労働力がいっそう増加したことによって推進された。すなわち工業と農業とは、手に手をつないで発展して行ったのだ。
スミスもジェファーソンも、政治権力の中央集権化は一般大衆にとって大きな危険になるとみなしていた。二人とも市民を政府の暴政から守っていくことは永遠に必要となるだろうと考えていた。それこそが、バージニアの権利章典（一七七六年）の目的だったのであり、アメリカ合衆国の権利章典（一七九一年）の目的だったのだ。また、アメリカ合衆国憲法における権力分散化の目的もそうであった。さらに十三世紀におけるマグナ・カルタ（大憲章）の発布から十九世紀の末に至るまでの間に、イギリスの法体系はいろいろ変化したが、それらの変化の背後において推進力になったのも、同じ目的だった。スミスとジェファーソンにとって、政府は審判官の役割を果たすべきであり、政府自身が競技の参加者になるべきではなかったのだ。ジェファーソンの理想は、彼が自分の最初の大統領就任演説（一八〇一年）で表明したように、「人びとがお互いに傷つけ合うのを規制する、賢明で質素な政府」であり、「人びとが勤勉に働き自分自身の生活の改善を推進するため、自分なりに自由に調節していくままにさせておく政府」だった。
ところが皮肉なことに、経済的自由と政治的自由とが大きな成功をもたらしたという、まさにその理由で、その後の思想家にとって、これらの自由がもっている魅力が減少していったのだ。十九世紀の狭く制限された政府は、ほとんど中央集権化されていない権力しかもっていなかったので、通常の人びとを危険におとしいれることはなかった。しかしこのことは別の面からいえば、当時の政府は、よい人びとのためによいことをしてやれる権力も、ほとんどもっていなかったということだ。しかもこの不完全な世界においては、どの時点においても多くの悪が存在している。まったくのところ、社会が進歩したという、まさにそのおかげで、依然として残っているいろいろな悪が、ますますいまわしく思われるようになっていった。つねにそうだが人びとは、自分たちにとって都合がよい発展は、当たり前のことだと思ってしまうものだ。人びとは、強力な政府が自由にとってどんなに危険な存在かということを忘れてしまった。それどころか、�爐發靴眄�府の権力が「正しい」手にあれば�瓩箸い�条件つきではあったが、強い政府によってだけ達成できる良いことに心を奪われてしまうこととなったのだ。
イギリスでは二十世紀の初頭までに、このような考え方が、政府の政策に影響を与え始めた。さらにアメリカでも、そのような考え方はますます広くインテリたちに受け入れられるようになっていった。しかし、一九三〇年代の初期に大恐慌が発生するまでは、このような考え方は政府の政策にまだたいした影響を与えていなかった。ところが第３章で論じるように、ひとつの分野、すなわち金融政策の分野での政府の失敗によって、大恐慌が発生することとなった。この金融政策の分野、つまり通貨供給政策の分野は、アメリカという共和国が始まって以来、ずっと政府がその権力を行使してきた分野だった。しかし大恐慌が政府の失敗によって引き起こされたということは、当時において認識されなかっただけでなく、今日においてさえ認識されていない。それどころか、大恐慌は自由市場資本主義の失敗だと広く解釈されてきた。この神話のおかげで、大衆はインテリの考えに同調し、個人の責任と政府の責任との相対的な関係について、それまでとは異なった考え方を信奉するようになった。それまでは自分自身の運命に対する個人の責任が強調されていたが、いまや個人は自分ではどうしようもない力によってもてあそばれる木の葉のようなものだと主張されるようになったのだ。政府の役割は個人が他の個人に強制を加えるのを防ぐ審判官であることだという考え方はなくなり、政府はある人びとを強制して他の人びとを助けるようにさせる義務をもっている親のようなものだという考え方がはびこることとなった。
政府介入の必要を強調するこの考え方は、過去半世紀にわたって、アメリカのいろいろな分野の発展を支配してきた。この考え方は、すべての段階において政府の権力を増大させ、また地方政府から中央政府へと権力を集中させ、地方の統制を中央の統制へと置き換えてきた。政府は生活保障と平等との名において、ある人びとから取り上げて他の人びとに与えるという仕事を増大させてきた。政府の政策は、ジェファーソンの金言とはまさに逆に、「人びとが勤勉に働いて自分自身の生活の改善を推進していこうとする努力」を抑制するために次から次へと立案され実施されてきた（第７章参照）。
これらの発展は、良い意図をもって生みだされたものだが、これを主として助けたのは〔これを推進した人びとの〕「自愛心」だった。今日では、福祉国家や温情主義的な国家をもっとも強く支持する人びとでさえ、その発展の結果は人を失望させるものでしかなかったことを認めている。市場の分野と同様に、政府の分野においても、「見えざる手」が存在しているようにみえる。しかしこの分野の「見えざる手」は、アダム・スミスの「見えざる手」とはちょうど正反対の方向に働いている。すなわち、政府介入を促進して公共の利益に奉仕しようと意図する人びとは、「見えざる手に導かれて」、「自分ではまったく意図していなかった」私益を「促進」することになるのだ。この結論がどれだけ正しいかは、本書のいろいろな章で読者に何度も納得してもらうことになるだろう。すなわち後続の章でわれわれは、政府が権力を握っている次のようないくつかの分野を調べていくつもりだ。社会保障を達成する（第４章参照）、平等を達成する（第５章参照）、教育を促進する（第６章参照）、消費者を保護する（第７章参照）、労働者を保護する（第８章参照）、さらにはまた、インフレを回避し、雇用を増大させる（第９章参照）――このような良い意図のもとに政府の権力が行使されているいくつかの分野が、実際にはどういう結果をもたらすことになったかを調べていくことにする。
ここでいったことは、アダム・スミスの言葉をかりていえば、次のようになる。「あらゆる人が自分の生活状態をよりよくしようとして行う恒常不変で中断することのない努力は、各個人的な富裕はいうまでもなく、公的で国民的な富裕が本源的に発生させられる原理であって、この努力は、政府による乱費があっても行政上の最大の過誤が犯されることがあっても、それでもなお事態を改善へと向けて進めようとする自然な進歩を維持していくことができるほど強力なことがしばしばある。それは、動物の生命における未知の原理のように、病気になっても、またその際に医師の処方がまちがっていても、なお（経済の）体質に健康と活力とを回復させることがしばしばある」。これまでのところアダム・スミスの「見えざる手」は強力だったので、政治の分野で反対方向に働いている「見えざる手」の悪影響を克服できた。
ところが最近の何年間かにおける経験、すなわち実質経済成長率の低下や労働生産性の低下を考えるとき、次のような疑問がでてくる。つまり、われわれがこのまま政府にますます大きな権力を与えるようになり、名前だけは公僕と呼ばれている「新しい階級」がわれわれの所得のいっそう大きな割合を、われわれのために（と主張されている）消費する権限をもっと大幅に認めていくとするならば、政府の規制がもたらすこれまで述べたようなおそるべき影響に、民間の賢明さが今後も打ち勝つことができるかどうかという疑問が生まれてくる。遅かれ早かれ、いや、われわれの多くが考えているよりも、おそらくもっと早く、自由市場のおかげで達成できた繁栄と、アメリカ独立宣言があれほど雄弁に表明しているような人間の自由との両方を、かつてないほどの巨大な政府が破壊することになるのではないか。
われわれは、もはや引き返すことができないところまできてしまっているわけではない。フリードリッヒ・ハイエクが、その深遠で影響力が大きい著書のタイトルにしたように、われわれは『隷従への道』を速度を速めながらころげ落ちていくことになるか。それともいまこそ政府に対して厳しい制限を設け、われわれがそれぞれもっている目的を達成するため、自由な個人相互間における自発的な協力にいっそう大きく依存をしていくようにするのか。このどちらの道を選ぶかという「選択の自由」を、依然としてわれわれはもっているのだ。暴政と悲惨にあえぐ状態は人類の大半にとって、これまでもありふれた状態であったし、今日でもまだ依然としてそうだが、われわれの黄金時代もいまや終わりを告げ、このような暴政と悲惨に苦しむ状況によって改めて全面的にとって代わられていくのだろうか。それともこのような方向を転換し、過去の経験に学び「自由の再生」から利益を得る道を選ぶという、賢明さと洞察力と勇気とをわれわれは今日もっているだろうか。
このような選択において賢明な判断を下すためには、まずわれわれの現体制がもっている基本的な諸原則を理解しなければならない。このような基本的な原則のひとつは、アダム・スミスの経済的原則だ。この原則あｈ、複雑に組織されていても円滑に運営されている体制が、中央集権的な命令がなくても発展し繁栄できるのはなぜかを説明している。さらに、強制力を使わなくても全体的に調整されることができるのはなぜかを説明している（第１章参照）。もうひとつの政治的原則は、トーマス・ジェファーソンによって明確に示されている（第５章参照）。また、人びとの間における自発的な協同を中央集権的な命令によって置き換えようとすると、大きな弊害が発生することになることをわれわれは理解しなければならない（第２章参照）。さらに、政治的自由と経済的自由との間には緊密なつながりがあることも、十分理解しなければならない。
幸いにして、いまや潮の流れは変わり始めた。アメリカにおいて、イギリスにおいて、西欧諸国において、さらには全世界の国ぐににおいて、巨大な政府がもたらす危険に対する認識が深まっており、その諸政策が生みだした成果に対する不満が高まっている。このような潮流の転換は、世論だけでなく、政治の分野においてもその影響がでてきている。議員にとっては、これまでとは異なった政治演説を行い、そして、おそらく実際にも異なった行動をとることが、政治的に得策であるようになってきている。われわれはいまや、世論におけるもうひとつの大きな変化を経験しつつあるのだといえよう。いまこそわれわれはこの世論の変化にはずみをつけて、それを全面的な全体主義という極端へと向けさせることなく、個人的なイニシアティブと自発的な協同とに大きく依存する方向へ向けさせる好機だ。
最後の章では、いわゆる民主主義的な政治体制のもとにおいては、どうして特殊利益の方が一般利益よりも強いのかを解明する。この特殊利益を優先させる欠陥をもっている現行の政治体制は、どうすれば是正できるのか。また、一方では政府にその基本的な役割を果たさせながら、他方でその政府に制限を加えるのにはどうすればよいか。つまり、われわれの国を外敵から守り、一人ひとりが他の市民から強制されることがないように保護し、市民相互間の論争を裁定し、みんなが従うべき規則に合意が得られるようにする――こういう基本的な政府機能を政府に果たさせながら、しかも政府に制限を加える方法を、最終章では解明するつもりだ。
> 明人さんこんにちは。
> 重たい掲示板にも書いたけど、こっちにも書いておきます。
>
> 小倉昌男の福祉革命（小学館文庫）\533+tax
> http://www.jbook.co.jp/product.asp?product=0001668079田中さん、情報どうもです。
今度探して読んでみますね。
しかし、障害者福祉というのは、いわゆる福祉という言葉とは別の呼び方をしたほうがいいのではないかと思いますね。
障害者補助費用とか、なんとか。。しかし、月収１万円というのは驚きです。それで自活などできるわけ
ありませんから、他の援助の実態はどうなのでしょう？
別に援助がけしからんという意味ではなく、単に興味なんですが。
というのも、障害者に対する福祉予算というのは、いわゆる福祉予算のごくごく一部に違いないと思うからです。その他の福祉なる名目の予算は、土建屋にきえていきますからね。実際は障害者のほとんどは家族の負担でなんとか生活できているんでしょうね。
明人さんこんにちは。
重たい掲示板にも書いたけど、こっちにも書いておきます。小倉昌男の福祉革命（小学館文庫）\533+tax
http://www.jbook.co.jp/product.asp?product=0001668079くろねこヤマトの宅急便の創業者の小倉氏がはじめた、
ヤマト財団について書いた本です。彼は、障害者の実態〔月収１万円）に驚いて、
障害者の自立に経営の概念をぶち込んだ人です。障害者の人たちもちゃんとした経営者の下で、がんがん
稼いでもらって、足りない分を国なり自治体なりが援助する
って形にしないといけない。小倉昌男氏は、この本の中では常識的な事しか言ってないんだけど
それでも左翼崩れの福祉屋には驚くべきことのようです。でわ。
選択の自由の本文より抜粋「われわれは、もやは引き返すことができないところまできてしまっているわけではない。フリードリッヒハイエクが、その深遠で影響力が大きい著書のタイトルにしたように、われわれは「隷属への道」を速度を速めながらころげ落ちていくことになるのか。
それとも、いまこそ政府に対し厳しい制限を設け、われわれがそれぞれもっている目的を達成するため、自由な個人相互間における自発的な協力にいっそう大きく依存していくようにするのか。
このどちらの道を選ぶかという「選択の自由」を、依然として我々はもっているのだ。」
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しかし、間違い無く日本は、引き返すことのできない時点にまきてしまったようだ。「隷属への道」の谷底まで落ちるしかないところまできてしまった。
副島さんが書かれているとおり、「さらに堕ちよ、日本」というのが
日本の宿命なのである。
実をいうと、バスティアの方も、NLMで翻訳できないかと考えています。バスティアの英語訳なら以前に紹介したようにネットにもあります。でも、たしかにこの翻訳は結構難しそうです。
私も、TheLawを以前十ページほど翻訳してみたんですが、簡単じゃないですね。そもそもバスティアの本は日本で翻訳はでていないのでしょうか？
> 「やくざ、ふーてんの寅」は、どう考えても、libertarian の原型たるには、「志やロマン」が欠けている。
> 謹んで、「５５８」の仮説を、取り下げます。私は、やくざは大嫌いですが、ふーてんの寅は好きです。(＾＾)
> 非常に、面白かったです。特に、ここ。
>
> ＞さらに、ロスバードはほかのリバータリアンとも違い、福祉国家だけでなく、「夜警国家」（フェルディナント・ラッサール）や「小さな政府」も認めない。国家を擁護するからだ。国家の否定に関していっさい妥協はしない。あくまで国家を前提にしている以上、現存自由放任は真の自由放任ではない。自由主義者でありながら、減税要求をするなどというのは、矛盾した主張だ。自由主義者たるなら、税金の全面撤廃を求めるべきなのである。規制を緩和し、官僚組織を縮小し、小さい政府を目指すなどというのは臆病者の発想だ。国家の延命策にのっかるような一般的な自称自由主義者は修正主義者にすぎない。ロスバードに言わせれば、欧米の古典的な自由主義者は裏切り者になる。
>別の部分ですが、バスティアをアナルコキャピタリストと近い存在と言っている所はなるほどなと思いましたね。
「一般的な自称自由主義者は修正主義者にすぎない。」という点では
ハイエクやフリードマンを始め、殆どのリバータリアンがロスバードにしてみれば修正主義者なのかもしれません。「私的所有権」や「国家からの自由」に対する温度差で、リバータリアンもいろいろと、タイプが分かれるように思います。しかし、「国家からの自由」に対して、あまりむきになるのは、どうかなというのが私の個人的な感想ですね。
それよりも、むしろ実質的な私的所有権の確保に焦点をおくのが
リバータリアンとしての筋ではないかと思っています。
なぜなら、「国家からの自由」からは、必ずしも私的所有権というのは保証されないと思うからです。
しかし、私的所有権が確保されていれば国家というのは、それほど問題にならないと思います。やはり現在、国家が巨大すぎるのが、問題ですね。例えば、日本政府が世田谷区役所くらいの規模なら、だれも国家のことなんかきにしないのでは？
> この著者のことを知りたくて、ネットで検索し、「佐藤 清文」という名前と分かりました。こんばんわ。
なるほど、そういう仕掛けでしたか。（＾＾；
でも、この作者はわりと我々と近い、よく知っている人ではないかと
思うのです。
見当はついているんですが。(＾＾）
この著者のことを知りたくて、ネットで検索し、「佐藤 清文」という名前と分かりました。
http://www.geocities.co.jp/Bookend/4208/published.html
http://www.kobe-yamate.ac.jp/%7Etetsuro/kenji96.htm
この人ではないようです。
http://village.infoweb.or.jp/~fwgi8515/index.htm
あとは、大した情報は見つけられませんでした。ところが、ここのトップをもう一度見ていたとき、マウスでクリックしながら文字を表示すると、なんと自己紹介の文が現れてきました。（「全てを選択」でも可）
ネットで検索した時間と手間が、無駄でした。（以下トップページ貼り付け始め）
HOMEPAGE OF A MARXIST
あるマルクス主義者のホームページ
このホームページはマルクス主義者であるわれわれ、すなわち批評家「佐藤清文（Sato Seibun）」の作品を紹介するためのものであり、全体は刊行作品・未刊行作品・CG作品の三つのパートにわかれている。刊行作品は、活字メディアにおいて、われわれがすでに先にあげた集団的匿名「佐藤清文」で発表したものである。また、未刊行作品は、諸事情によって、発表できなかった、もしくは時期を逃した、発表予定のものが含まれている。そして、CG作品は、文字通り、CGのアートであり、ネットでのみ公表しているものである。刊行作品ならびに未刊行作品については、加筆しているものの、原則的に執筆あるいは発表当時の社会的・歴史的背景を尊重するために、最小限にとどめており、今のわれわれと認識も文体も違い、部分的に古さを感じさせるところがあることは否めないが、われわれ自身が一番恥ずかしいという点を理解して、御了承願いたい。なお、「文学のナックルボーラー」と呼ばれるわれわれの作品には、焦点を絞らず遠心的で、無駄話が多く、ふざけていて、冗長な傾向があるので、その点は納得の上で見ていただきたい。感想や作品に関する問い合わせ、執筆の依頼などはs-seibun@geocities.co.jpまで送っていただければわれわれとしても幸いである。と同時に、世界各地で、理論的、倫理的、芸術的あるいは実践的なさまざまな活動をしている方々がこのサイトに参加してくれることを願っている。そういう人たちがこのweb siteをさらに面白くつくり変えてくれることをわれわれとしても期待していると強く言っておきたい。個人の連帯の基づいたよりよい集団的匿名を創出する試みに協力して欲しい。ここはすべての人に開かれた創造の場所である。われわれはあなた方を心より待っている。次の世界は、まさにそこに来ているのだ。いや、実際には、われわれはもうすでにそこに足を踏み入れてしまっている。That was then, but this is now. Take it easy, baby, take it as it comes! Don't move too fast, if you want your love to last! You were moving much too fast. Don't move much too fast! But it's too late, baby, it's too late. Though we really did try to make it, something inside has died and I can't hide. And I just can't take it… If you insist. Believe me, I love you for who you are, though.
（終わり）
非常に、面白かったです。特に、ここ。＞さらに、ロスバードはほかのリバータリアンとも違い、福祉国家だけでなく、「夜警国家」（フェルディナント・ラッサール）や「小さな政府」も認めない。国家を擁護するからだ。国家の否定に関していっさい妥協はしない。あくまで国家を前提にしている以上、現存自由放任は真の自由放任ではない。自由主義者でありながら、減税要求をするなどというのは、矛盾した主張だ。自由主義者たるなら、税金の全面撤廃を求めるべきなのである。規制を緩和し、官僚組織を縮小し、小さい政府を目指すなどというのは臆病者の発想だ。国家の延命策にのっかるような一般的な自称自由主義者は修正主義者にすぎない。ロスバードに言わせれば、欧米の古典的な自由主義者は裏切り者になる。
しかし、この文は誤記でしょう。
＞ロスバードが「アナクロ資本主義のマルクス」と呼ばれている
「アナルコ資本主義」でないと、意味が分かりません（笑）
「やくざ、ふーてんの寅」は、どう考えても、libertarian の原型たるには、「志やロマン」が欠けている。
謹んで、「５５８」の仮説を、取り下げます。
それにしても、何故私が、かくのごとくに、libertarian に惹かれるのか、もしかすると、私が、「満州に楽園を求めて、青春をかけて、出かけたが、一敗地にまみれて、引き揚げてきた親父の息子」だからかもしれない。
今まで考えたことがなかったが、私の親父共に、libertarian のかけらでもあったのではないか、ゆっくり考えてみたい。
[553]IMAGINEよりの引用
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> ロスバードを含めリバータリアンには、言うまでもなく、ある種の認識が欠けている。オーストリア学派は時間を経済学に導入した。かつて技術革新は熟練労働者から職を奪う悪だったが、オーストリア学派はその技術革新を重視した。街頭にあったテレビが、技術革新のおかげで、お茶の間、さらには寝室にまで置かれるようになった。貧困が生ずるのは国家が技術革新を規制するからだ。コンピューター業界が冷戦崩壊後著しく発展したように、国家に管理されている軍事ほど技術革新を阻害するものはない。「自由放任社会では、経済成長はとても早いだろう。国家がもはや、税金や規制で成長を抑えないだろう。したがって貧乏人は減るだろう。そして慈善が復活する。現行制度では、貧乏に直面すると、われわれの反応は“国家がやることだ”と言うだけだ。自由放任社会では、連帯と共同体の相互扶助の精神が再生するだろう」とロスバードは予測する。貧困を解決するのは技術革新というわけだ。ところが、コンピューター業界では、技術革新の速度が速すぎることによって、苦境に陥っている。とうとうマックはウインドウズに白旗をあげた。リバータリアンは技術革新の速度は頭に入れていても、加速度を考えていなかったのだ。
現在を所有できても、未来に対して所有権を主張することは難しい。さらに、自由化は各業界に再編成を促しているが、加速し続ける技術革新と拡大する市場に対応するため、寡占体制が生まれている。寡占体制はリバータリアンが非難してやまない大家ジョン・ケネス・ガルブレイスが高く評価しているものである。ガルブレイスは制度学派の長老であり、自由放任を厳しく戒めてきた。だいたい売り手が少数で、しかも生産物の差異化と市場支配力をかなりの程度持っている寡占体制は、経済学において、最も分析されていない市場である。リバータリアンは完全独占市場や独占的競争市場を批判したが、完全競争市場ではなく、寡占市場がその帰結なのだ。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝この謎の作家氏による、「時間軸の問題」というのは、非常にするどい指摘である。
リバータリアニズムは、時間軸の問題に対し、極めて楽観的というか、経済発展＝技術革新による
平等の時間差をともなった実現をイメージしている。
しかし、それには市場における寡占という現象がある時間幅で伴うようである。
寡占の内実が、常にリバータリアン的な「ゆるい連合体化」となっているかどうかは、よくわからない。しかし、それでもやはり、リバータリアンは寡占に対しても、楽観的なのである。マイクロソフトの問題でもそうだが、寡占はイノベーションによって世代交代していく市場の宿命があるという考えである。国家による寡占と異なり、市場における寡占は永続するものではない。寡占にもライフサイクルがあると考える。それを人為的に操作しようとすれば、逆の現象、すなわち寡占を強めるという逆説に陥ると考える。
人間というのは、短気なものであるから、5年、10年という時間幅で変化を眺めることはなかなかできない。５−１０年は長過ぎて我慢ができないという問題があるといえば、問題である。またそれが何年続くのかは、わからない。10年は我慢できても、誰でも100年は長過ぎると感じるだろう。
だが、更に楽観的にいえば、イノベーションの”加速度”がその世代交代をこれまで以上に早くしていくと考えられる。
リバータリアンにとって、寡占市場は、自由市場の帰結でもアイロニーでもないのである。
アメリカのlibertarian の原型は、西部開拓者であり、そのイメージが、草原の家のお父さんや、ジョン ウェインだとういことですが、日本のlibertarian の原型は、多分「やくざ」で、イメージとしては、ふーてんの寅サンや、高倉健でしょう。
西部開拓者の陰の部分については、最近アリゾナのインディアンリザベーションのホテルに泊まったとき、息子に教えてもらいました。
この仮説は、その内ゆっくり検証してみますが、かなりの共通部分がありそうで、お楽しみです。
石井さん、ご返事ありがとうございます。>内水面の漁業組合の組合員は、そのほとんどがサラリーマンです。釣りが好きだというオッサン連中で、経営と言う概念はほとんどないことは、初めの方のメールに書きました。
なるほど、漁業組合と言うのは本業がサラリーマンで、釣りが趣味の人達の同好会のような感じなのですか。
＞近自然型工法が滅茶高の工事費用だという認識は、「現在行われている」というカッコつきでのみ正しいものです。本来の近自然型工法というのは、ある条件下（50年とか、100年とかいうものではない）で壊れることを容認する工法である、というのが私の認識です。この前提を満たせば、わずかな費用で工事は可能になります。そうでしたか。私は近自然型工法というのが、どういうものかあまりよく知らないで無責任なことを言ってましたね。(＾＾；
＞それよりも、現在の河川行政に求められているのは、生命と財産をまもるため、と言われている堤防工事のようなものが経済的に割に合うのかどうかの検証である、と私は考えます。（似たようなことを、森田さんもここに書いていらっしゃいましたね
これと同様の主張は、大前研一も以前から唱えています。
ただ、結果的にそれは、利権に触れるために全くされてこなかったのですが、これからは、財政赤字に対応して流れが変わる可能性もありますね。
ここらへんは、もっと皆で主張すべきことだろうと思います。
＞日本の状況も同様ではあるが、誰にこのような発表ができるだろうか。人々がこのような事実を共有しなければ、何事も始まらない。
私が付き合っている、オッサン連中はリバータリアニズムの‘リ’の字も知らないし、興味もない、飲み屋で女の子のお尻を触っていれば（なかには、それより魚のヌルヌルがいい、と言う人もいる）幸せ、という人たちである（知の掲示板の品位を下げるような文章ですみません）。いえいえ、生真面目というかあまり遊びのない掲示板なので反省しておるのです。(＾＾；
＞私も、東アジアの土人そのものであり、そのようなオッサン達と大差はない。だから、飲んでいて楽しい。我々の大多数は、同じような精神構造である。しかし、日本が民主政体である以上、現実を変えるためには、このような人たちに分かってもらわなければならい。私は、リバータリアニズムを学びたいし、リバータリアンの生き方を尊敬している。しかし、その定義どおりに生きる自信はない。そのなかで、自分に出来そうなこと、役に立つことを実行するだけである。
いや、石井さんは、文面から察するにかなりのインテリですね。
ただ、リバータリアンの定義は、茫漠としたもので、別にないといえばないですよね。
一つ言えることは、社会に対する私的所有権を原理とした思考体系がリバータリアニズムだということだと思います。ですから、リバータリアン的になにかを考えると言うことは、私的所有権原理を適用させていくことが、どこまで可能かを考えるということになるのだろうと思っております。
私が、政府財産の売却（これは大前研一が以前から言っているし、ニュージーランドで実際にかなりの規模で行われた。）によって、この際、公有地というのを私有地に転換し（証券のような形で売り出すというのがよくある手法らしい。だからだれか一人だけで独占所有するわけでもないようだ。）、その私有地という私的所有権を前提に自然環境保護というのを考えた方が、より本質的なのではないかと思うわけです。
守るものに対する私的所有権がなくして、どのように戦えば良いのでしょうか？
＞今現在６０−７０兆円程度ある税金を全てプールして、国や自治体は一切合切なにもやらない。職員もほぼ全て解雇するという措置がいいですね。ということもオッサン抜きには実行できないんじゃないでしょうか？もちろん、非現実的ですね。
これはIMAGINEの世界です。(＾＾;
そもそも人に対し何かをやらせることよりも、何かをやらせないことのほうが、困難なことが多いのです。これは、貧乏ゆすりをやめろといっても、なかなかやめさせられないのと同じです。
＃ちょっと違うかな？＞アメリカの現状についてですが、海岸線のことについては知りません。河川については、ほとんどが日本と同じ公有物です。この辺は、ヨーロッパとは違います。ただ、河川の範囲は、いわゆる川と川原で、そこから一歩でも出れば私有地です。そのため、広大な私有地の中にある場所には現実的にアクセスできないところが多いのです。
イギリスのピーターラビットのナショナルトラストだったか？の湖水地帯の保護もやはり、同じですか？「そのため、広大な私有地の中にある場所には現実的にアクセスできないところが多い」のでしょうか？これは、単なる興味なんですが。
＞アメリカには色々な運動はあるにせよ、自然環境を守ることが公的な権利（public interest）として認められてきた歴史・文化があることは、国立公園の成り立ちから見て否定できません。ただ、そのための財源が、受益者の負担であることは余り知られていないのではないでしょうか。公的な権利（公的な利益？）という考え方が、ポイントですね。
これは単純に言えば、あまり、リバータリアン的な言葉ではないですね。
＞この中で彼らが強調しているのは、やはり、FWPがレクリエーションを楽しむ人たちのお金で運営されていることで、州の一般財源からの資金が予算の1％以下であることが特に強調されている。用途を明確に定めた税金というのは、日本にはあまりないのではないかと思います。
もちろん、ありますが、あっても、納得できないものばかりですね。＞ガソリン税とか。
しかし釣り竿の消費税が例えば５％として、それが全て自然保護に回されるということが明確になっていれば税意識というのは、おそらく違ってきますね。
「堤防工事のようなものが経済的に割に合うのかどうかの検証」と、税用途の明確化と制限がセットになれば、これは税意識を幾分でも自発的なものに変えることが出来ると思います。これは、日本でも適用可能な始めの一歩かもしれませんね。
＞蛇足ついでにもうひとつ、ふたつ。アメリカでは河川改修工事に陸軍工兵隊技術部（U.S. Army Corps of Engineers）の役割がかなり大きいのですが、日本の自衛隊もこのような活動ができるとお考えですか？ リバータリアンとしてはどうなのでしょうか？この前提にあるのは、公有地に対するアクションをどこが担うかという問題と思います。
私有地の保全を陸軍がやるというのは、変ですが、公有地だからこそ陸軍が担当するわけでしょう。
日本で公有地の公共事業は一般に私企業が行うのですが、そのことが逆に利権に結びついているわけですね。税金を使って軍にやらせるか、同じく税金を使って私企業の土建屋にやらせるかの違いくらいしかないように思いますが、結果はどのように違うんでしょうか？
アメリカで河川改修工事に軍を使うのは、なにかトレーニングのような意味とかあるんでしょうか？＞また、年内には、アメリカで行っている環境教育のひとつ、Project WET(Water Education for Teachers)というものを私訳したので発表したいのです。直接はリバータリアニズムと関係しないものですが、この場が適当だとお考えですか？
内容によると思いますが、とりあえず、その一部でも掲示板のほうに掲載してみてください。
私の方の判断で、Topに貼りつけるかどうか決めさせていただきます。
よろしくお願いします。
明人さん、返事が遅れてすみませんでした。内水面の漁業組合の組合員は、そのほとんどがサラリーマンです。釣りが好きだというオッサン連中で、経営と言う概念はほとんどないことは、初めの方のメールに書きました。
地方経済崩壊→人の手が全く入らなくなる→日本にアメリカのような原生自然（wilderness）が出来る、という現象は人間の目から見た時間の流れの中では起こらないと考えます。いったん手が入った自然が原生自然に戻るには、気の遠くなるような時間が必要になるでしょう。私は、原生自然だけが素晴らしいという考え方をしません。温帯で、人口密度も高い日本で暮らす人と自然の関係は、アメリカと違うのがあたりまえです。どっちが良いとか悪いとか言う問題ではないでしょう。例えば、下草刈り、という労働も、ある人たちにとっては‘収入＋余暇’にもなりうる可能性があるのではないでしょうか？
近自然型工法が滅茶高の工事費用だという認識は、「現在行われている」というカッコつきでのみ正しいものです。本来の近自然型工法というのは、ある条件下（50年とか、100年とかいうものではない）で壊れることを容認する工法である、というのが私の認識です。この前提を満たせば、わずかな費用で工事は可能になります。
それよりも、現在の河川行政に求められているのは、生命と財産をまもるため、と言われている堤防工事のようなものが経済的に割に合うのかどうかの検証である、と私は考えます。（似たようなことを、森田さんもここに書いていらっしゃいましたね）アメリカの河川に対する考え方が大きく変わったポイントに1993年のミシシッピー川・ミズーリ川流域における大洪水がある。損失額は、少なくとも130億ドル（1兆4,000億円）にものぼる米国の歴史上最も損失の大きい災害のひとつであった。
この事実を分析し、21世紀への氾濫源管理をアメリカ合州国政府氾濫源管理作業チームへ提出するために省庁合同氾濫源管理検討委員会が作られた。この内容が『挑戦の分担』という報告書として発表されている。このリポートの冒頭は連邦緊急事態管理庁(FEMA)長官の次のような議会発言で始まっている。
以下内容を引用。今や我々が事実に直面すべき時が来ている。わが国はもはや自然災害の膨大な費用を負担し続けることはできないという事実である。我々はもうこれ以上アメリカの納税者に経済的な負担をかけることもできないし、我々のコミュニティや諸個人に社会的負担も課すこともできないのである。
この報告書の中で現在直面している3つの問題が率直に述べられている。
第一に、1993年の中西部洪水が示したように生命と財産はリスクを負ったままであり、これは全国的なことである。危険に面している人の多くは、リスクの性質や潜在的な結果を十分に理解していないし、またそのリスクを負うためにかかる費用などを、充分に、相応に負担していない。
第二に、最近数年の間に、ようやくわが国は、エコシステムの重要性を充分に理解するようになった。過去2世紀にわたる生息地の巨大な損失の結果、わが国はいまや生態系がひどい状態にあるという事実に直面している。
第三に、氾濫源に運営管理に関する責任が、連邦政府、州、アメリカ・インディアン諸種族、地方自治体の間に分割されているので、効果的に機能していない。明確な定義が必要である。日本の状況も同様ではあるが、誰にこのような発表ができるだろうか。人々がこのような事実を共有しなければ、何事も始まらない。
私が付き合っている、オッサン連中はリバータリアニズムの‘リ’の字も知らないし、興味もない、飲み屋で女の子のお尻を触っていれば（なかには、それより魚のヌルヌルがいい、と言う人もいる）幸せ、という人たちである（知の掲示板の品位を下げるような文章ですみません）。私も、東アジアの土人そのものであり、そのようなオッサン達と大差はない。だから、飲んでいて楽しい。我々の大多数は、同じような精神構造である。しかし、日本が民主政体である以上、現実を変えるためには、このような人たちに分かってもらわなければならい。私は、リバータリアニズムを学びたいし、リバータリアンの生き方を尊敬している。しかし、その定義どおりに生きる自信はない。そのなかで、自分に出来そうなこと、役に立つことを実行するだけである。
今現在６０−７０兆円程度ある税金を全てプールして、国や自治体は一切合切なにもやらない。職員もほぼ全て解雇するという措置がいいですね。ということもオッサン抜きには実行できないんじゃないでしょうか？すみません、話が脱線しました。
アメリカの現状についてですが、海岸線のことについては知りません。河川については、ほとんどが日本と同じ公有物です。この辺は、ヨーロッパとは違います。ただ、河川の範囲は、いわゆる川と川原で、そこから一歩でも出れば私有地です。そのため、広大な私有地の中にある場所には現実的にアクセスできないところが多いのです。
アメリカには色々な運動はあるにせよ、自然環境を守ることが公的な権利（public interest）として認められてきた歴史・文化があることは、国立公園の成り立ちから見て否定できません。ただ、そのための財源が、受益者の負担であることは余り知られていないのではないでしょうか。以下に、モンタナの魚類・野生生物・公園局の財源を載せます。モンタナ州魚類、野生鳥獣類、公園管理部（Montana Fish, Wildlife & Parks 以下FWP）の98年の年次レポートの収入と支出に関する1999年の予算（以下1ドル108円換算）の内容は以下の通り。
歳 入
ハンティング及びフィッシングのライセンス
38億2,000万円（68.8%）＊モンタナ州以外から訪れた人の売上が２/３を占める。
連邦からの歳入（財源は狩猟用具や釣具、ボートの燃料などにかけられる税金）
10億9,000万円（19.6%）＊この約90％が魚類、鳥獣類のレストレーション（壊された環境の修復）に分配される。
その他の州の歳入（財源は州立公園の使用料、州の宿泊施設使用税の一部など）
5億9,700万円（10.8%）
州の一般財源
4,400万円（0.8%）
この中で彼らが強調しているのは、やはり、FWPがレクリエーションを楽しむ人たちのお金で運営されていることで、州の一般財源からの資金が予算の1％以下であることが特に強調されている。蛇足ついでにもうひとつ、ふたつ。アメリカでは河川改修工事に陸軍工兵隊技術部（U.S. Army Corps of Engineers）の役割がかなり大きいのですが、日本の自衛隊もこのような活動ができるとお考えですか？ リバータリアンとしてはどうなのでしょうか？
また、年内には、アメリカで行っている環境教育のひとつ、Project WET(Water Education for Teachers)というものを私訳したので発表したいのです。直接はリバータリアニズムと関係しないものですが、この場が適当だとお考えですか？
しかし、この作者、凄い該博な知識を持った書き手である。
世の中には、凄い人がいるものだ。（−−）/
この論文を書かれた作者の方がもし、この掲示板をご覧になったら
是非、ご連絡ください。
トップにリンクしたいと思います。ｍ（ ）ｍ
ロスバードを含めリバータリアンには、言うまでもなく、ある種の認識が欠けている。オーストリア学派は時間を経済学に導入した。かつて技術革新は熟練労働者から職を奪う悪だったが、オーストリア学派はその技術革新を重視した。街頭にあったテレビが、技術革新のおかげで、お茶の間、さらには寝室にまで置かれるようになった。貧困が生ずるのは国家が技術革新を規制するからだ。コンピューター業界が冷戦崩壊後著しく発展したように、国家に管理されている軍事ほど技術革新を阻害するものはない。「自由放任社会では、経済成長はとても早いだろう。国家がもはや、税金や規制で成長を抑えないだろう。したがって貧乏人は減るだろう。そして慈善が復活する。現行制度では、貧乏に直面すると、われわれの反応は“国家がやることだ”と言うだけだ。自由放任社会では、連帯と共同体の相互扶助の精神が再生するだろう」とロスバードは予測する。貧困を解決するのは技術革新というわけだ。ところが、コンピューター業界では、技術革新の速度が速すぎることによって、苦境に陥っている。とうとうマックはウインドウズに白旗をあげた。リバータリアンは技術革新の速度は頭に入れていても、加速度を考えていなかったのだ。現在を所有できても、未来に対して所有権を主張することは難しい。さらに、自由化は各業界に再編成を促しているが、加速し続ける技術革新と拡大する市場に対応するため、寡占体制が生まれている。寡占体制はリバータリアンが非難してやまない大家ジョン・ケネス・ガルブレイスが高く評価しているものである。ガルブレイスは制度学派の長老であり、自由放任を厳しく戒めてきた。だいたい売り手が少数で、しかも生産物の差異化と市場支配力をかなりの程度持っている寡占体制は、経済学において、最も分析されていない市場である。リバータリアンは完全独占市場や独占的競争市場を批判したが、完全競争市場ではなく、寡占市場がその帰結なのだ。けれども、その寡占市場の内実はリバータリアニズム的であると言っておかなければなるまい。企業体も従来のヒエラルキー構造から、インターネットのように、中心のないダウンサイジングしたグループのゆるい連合体化している。下部醸造が上部構造を決定するというわけだ。「リナックス」ＯＳはそういう社会の生み出したまさに時代の申し子であろう。ネット社会は、本質的に、ボランティア活動によって支えられているが──市場とボランティアの両立こそリバータリアニズムの理想である──、リナックスはそれも体現している。一九九一年、フィンランドのヘルシンキ大学に在学中のLinus B. Torvadsというスウェーデン語を話す21歳の若者が、「minix」というＯＳを開発した。minixのニュースグループであるcomp.os.minixへ現在開発中のＯＳにいかなる機能が必要なのかを尋ね、初期のLinuxのカーネル──システムの中心になる核──の配布をアナウンスした。その後、インターネットを通じて、そのＯＳは「Linux」として無償で公開された。世界中の技術者が情報を共有して、それに改良を加え、一九九四年、初の公式カーネル「Linux 1.0」がリリースされ、次第に、ウインドウズＯＳやマックＯＳにひけをとらない（AT＆Tソースコードをいっさい使用しないフルスクラッチで開発したこともあって）無料基本ソフトに成長した。Hej! Hur har du det? Vad sa du? Hur har du det? Tack, mycket bra. Saanko tulla mukaan? Totta kai. Kiitos. 正式な配布版が存在しないリナックス・コミューンには、「たこは財産」という言葉がある。「たこ」はセクハラの民事訴訟で敗訴した大阪府知事を指すわけではなく、初心者のことである。初心者に対する高い信頼性を実現し、とっつきやすくすることが、普及には欠かせないと考えているからだ。ただこの普及はたんなるユーザーの増加を意味しない。リナックス・コミューンにおいて、リナックスを文化と捉えている。リナックスは、従って、青いリンゴをかじりながら、汽車の窓にハンカチ振ることはあっても、赤いシャッポを脱ぐことはしないのだ。「モナドには、そこを通って何かが出入りできるような窓がない」（ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ『モナドロジー』）。ちなみに、広告が絶えず画面に入る猥雑さが嫌いではないわれわれは「Official RedHat Linux 6.1」も持っている。
多少の予想は外れていても、国家が市場に脅かされているのは、喜ばしいことに、事実なのだ。ジョージ・ソロスによって、イギリス政府がポンド切り下げに追いこまれたように、国家が市場に屈服したケースさえ少なくない。ヘッジ・ファンドの問題点は融資の審査の甘さにあった。それを許したのは国家だったのだ。ところが、国家は、「所得の再配分と社会的公正」の大義名分の下に、自らの無力を顧みず、市場に対する規制を強化しようとしているのである。国家は、無駄な抵抗はやめて、市場に敗北宣言しなければならない。さもなければ、不幸な人々を増やすだけだ。自由放任社会の樹立は長く続くことだろう。国家は、今でもそうだが、ありとあらゆる手を使って延命策を計るからだ。国家に群がるマフィアは無節操にも戦略も議論もなりふりかまわず変更するだろう。けれども、いつの日か、市場が国家を完全に見放して、国家に勝利し、窮乏と隷属という一九世紀以来の旧秩序に別れを告げるときがくる。国家なき社会、国境なき社会はユートピア的理想ではない。確実に訪れるただの現実である。自由放任の世界は必ずや到来する。その自由放任社会は完璧な世界ではないだろう。しかし、国家が支配する世界よりは、はるかにましな社会なことは確実だ。そうマレー・ロスバードは信じている。
You may say I´m a dreamer
But I´m not the only one
I hope someday you´ll join us
And the world will be as one.
（John Lenon “Imagine”）
〈了〉
現代世界で主流の国家概念は「国民国家」であり、世界各地で起こっている戦争、紛争、対立、抗争はこの国民国家の矛盾に起因している。人権抑圧を非難しても、国民国家では内政干渉として斥けられてしまい、結果として、多国籍軍による軍事介入だけが問題解決の方法と見なされてしまう。イラクには、アラブ系のシーア派イスラーム教徒とスンナ派、クルド系スンナ派がほぼ拮抗して住んでいる。これをアラブ・ナショナリズムで結束しようとすれば、クルド人は抑圧され、スンナ派イスラームでまとめようとすれば、シーア派が排除される。イラクという国民国家は国民主義とアラブ主義、イスラーム主義という三つの理念の微妙なバランスの上で成り立っている。そのため、イラクでは、クルド人の存在自体を認めないトルコとは違い、クルド語も、アラビア語とならんで、公用語に指定されている。そんなイラクで、湾岸戦争からアメリカが目の敵にしているサダム・フセインが権力を強化できたのは当のアメリカのせいである。アヤトラ・ルッホラ・ホメイニに率いられてイスラーム革命を達成したイランの影響を受け、過激化したイラク内のシーア派に危機感を抱いたアメリカが、イラクの事情を無視して、国益の名の下に、アラブ系スンナ派のサダム−−彼のバース党はもともと世俗的なアラブ民族主義政党である−−を支援したのだ。こうしたアラブ世界の人々から見ると、日本人の持つ「国民」意識は世界で最も国民国家的であり、異常な精神構造である。国民国家を建設しなかったアラブ人にとって、「国家」は自分たちを帰属させる数多い枠組みの一つでしかない。国民という意識は非常に弱く、国境を軽視している。アラビア半島の国々の中には国境線が確定していないところもあるが、アラブ人たちは別に気にしていない。「日本人とは何か」という議論が蔓延しているのは、選択の自由が否定されているからであろう。「二つ以上の方法があって、そのうち一つが大災害につながる場合、人はそれを選んでしまう」（ジョン・スタップ）。このマーフィーの法則を日本人は実証している。古代の国家は、階級関係の固定化と支配拡充のために、支配階級が推進して成立し、支配者階級は、同一の信仰を通じて、全成員の共同意識を強化したわけだが、近代日本の精神構造はこれと同じである。国民国家は、存立基盤を確保するため、聖徳太子の「日出る処」から「日の丸」、万葉集などから寄せ集めて「君が代」を考案したように、忘れられていた過去の幻想を実体化する。国民国家建設には内戦と少数派弾圧がついてまわるが、日本の場合、戊辰戦争と西南戦争、アイヌへの弾圧がそれにあたる。アイヌ語は公教育の場から完全に追放された。その上で、国民国家は個人にあらゆる手段を使ってアイデンティティを強制する。抽象的な国家の存在を視覚的表現である国旗と聴覚的表現である国歌によって象徴させる。国民国家は偶像崇拝によって成り立っている。国民国家は、そのため、歴史を嫌う。歴史を研究すれば、国民国家の基盤がたんなる幻想にすぎないことが明らかになってしまうからだ。ユダヤ教を信じていたのは、歴史的に見て、ユダヤ人だけではない。七世紀から一一世紀までコーカサスからカスピ海北岸に居住していたトルコ系のハザールは、八世紀にユダヤ教を奉じて東ローマ帝国と対立している。かつてロシアと東欧で「ユダヤ人」と呼ばれていたのは、西欧の場合とは異なり、このハザールに起源を持つものほうが多かった。現在、イスラエルでは、「ユダヤ人」とは母親が「ユダヤ人」である者かユダヤ教徒を意味する。母親が「ユダヤ人」であれば、戒律を守らなくとも「ユダヤ人」と見なされるし、母親が「ユダヤ人」でなくとも、改宗すれば、「ユダヤ人」になれるといううわけだ。ただし宗派によって見解は異なっているので、「ユダヤ人」に関する定義は決定的ではない。国民国家は規定を強制したがるが、すべては世界交通の産物である以上、完全な規定は幻想にすぎない。だから、国民国家は公教育と常備軍を通じて国民を生産する。それらはあくまで国家を維持していくための機関であって、個人のためにあるわけではない。沖縄戦の際、軍人が民間人に対していかなる姿勢をとったか、さらにたんなる写真を守るために何人が死んでいったかを思い返すだけで、これはわかるだろう。軍事力の発動は国内の経済のいきづまりから国民の不安をそらすために行われている。ロスバードのユートピアを空想的と批判する前に、軍の考える兵器や作戦がそれをはるかに凌ぐことを忘れてはならない。竹槍でＢ29を墜落させようという作戦は、いかなる国家主義者でさえ、国家の廃絶以上に非現実的だということを認めるだろう。
アウグスト・ピノチェト元チリ大統領に対するスペインやフランスの検察当局の動きもそうだが、国家概念が破綻していることは合衆国政府自身が認めている。一九九八年、合衆国はアフガニスタンとスーダンをミサイル攻撃した。オサマ・ビン・ラディンから資金提供されているテロリストの訓練施設と化学兵器施設があるという理由だった。これはケニアとタンザニアのアメリカ大使館爆破事件への報復であり、あのテロにはオサマ・ビン・ラディンをスポンサーにするテロリスト組織が関与していると見られていた。いくら攻撃されても、タリバーン派の支配するアフガニスタンは国際的な発言権を持っていない。北部に追いこまれたラバニ派が依然として国連の発言権を握っているからだ。オサマ・ビン・ラディンはタリバーン派に影響力を持ち、その支配地域を活動拠点の一つにしている。正統性は国際社会から承認されて初めて成立する。合衆国はタリバーン派自体と戦争をしているわけではない。あくまでオサマ・ビン・ラディン個人の支援するテロ組織と戦争をしている。個人は国家と戦争ができるのだ。コーエン国防長官は「ビン・ラディンが米国に戦争を宣言している限り、彼個人も戦争行為に絡んでくる」と声明を発表している。ある情報担当高官は「米国に対する報復攻撃の恐れは非常に大きい。これはテロに対する本物の戦争だ」と語った。サウジアラビアの建設実業家の息子であるオサマはその莫大な財産をイスラーム戦士養成と諸々の援助に注ぎこんでいる。ビン・ラディンが資金提供しているテロ組織はアフガンやチェチェン、ボスニア＝ヘルツェゴヴィナなどにイスラーム戦士を派遣していると言われ、中東から中央アジアにまたがる極めてゆるやかな国際的なネットワークであって、国家概念はこうした個人の国際的連合体によって脅かされている。資金取り引きの禁止をしようにも、あまりにはっきりしないために、不可能である。軍事力は経済的な問題の下にあり、国際秩序維持はそれに対するまやかしを帯びている。国民国家の概念は崩壊しているにもかかわらず、安全保障に関する認識は依然として変わっていない。安全保障は、国家にとって、外交とならんで、独占事項だからだ。寺山修司は、『ヒットラー』の中で、中学時代、「戦争権」を国家に独占させず、個人に委ね、「戦争したい人たちの団体申込み」をまとめて、したい相手に送ることを夢想したと書いている。国家はあまりにも甘い汁を吸ってきたので、それを手放すことはない。実際には各国の安全保障を脅かしているのは、ヨーロッパ諸国がＥＵを結成して国家の垣根を低くしようとしているように、国民国家概念そのものである。第一、国民国家の崩壊を体現しているのもはアメリカ合衆国自身なのだ。アメリカの一極支配は世界の解体を生じさせた。それはパーソナルのレヴェルにまで行き着いている。フランシス・フクヤマはアメリカの支配と歴史の終わりをヘーゲル主義に基づいていた。ヘーゲルの死後、ヘーゲル主義者が分派闘争を始めたごとく、統一は解体の予兆である。アメリカ人は、ネイティヴ・アメリカンとかアフロ・アメリカンといったように、形容詞が欠かせない通り、実体としては存在せず、アメリカ合衆国は、ヒューム流に言えば、知覚の束にすぎないのだ。
これほどまで国民国家概念が崩壊しているのに、ロスバードによると、人々がその存在を自明視しているのには理由がある。いかなる体制も、王政であっても、独裁制であっても、共和制であっても、世論の支持がなければ、保持できない。ただし、この支持は積極的でなければならないということはなく、シニカルな諦めで十分である。ラ・ポエジーは、『自発的服従について』の中で、国家は集団の同意による少数派の専制権力だと定義している。国家は、それを利用して利益を獲得する個人や集団のために、存在しているというわけだ。とは言っても、国家はＦ・オッペンハイマーが論じたような有力な種族あるいは階級がほかを征服して誕生したわけではない。漁夫の利ということもありうるように、有力だから支配者になれるとは限らないだろう。国家を含めたすべての権威的な制度は人々が熟慮の上で生み出したものでも、功罪ともに承知して構築されたものでもない。国家には領域・人民・主権という三つの要素がある。主権は統治権を意味し、対内的には最高の権力であり、対外的には独立の権力である。国家を正当化しているのはイデオローグである。国家はイデオローグを採用する。消費市場において、知識人に対する需要は決して高くない。国家が正当的な概念と考えられているのはイデオローグの仕業なのだ。国家はイデオローグを雇い、彼らに個人で犯した罪を罰し、国家による集団の罪は正しいというイデオロギーを正当化させてきた。Ｊ・Ｋ・ブルンチェリやＨ・スペンサーは国家を生命ある有機体と見なし、その構成員の個人は全体の機能を分担するだけという考えを示した。「元首」という概念はこの発想に基づいている。また、Ｋ・Ｆ・ゲルバーやＧ・イェリネックは、国家とは法的関係の主体となり得る法人であって、主権は君主にも人民にも属さず、国家自体にあり、君主は法人である国家の機関として統治を行うと言っていたし、Ｈ・Ｊ・ラスキやＲ・Ｍ・マッキーバーは国家が諸集団の利害や機能を調整していると主張した。国家は政治の機能を遂行するための組織であって、国家権力、すなわち政治権力は警察権・刑罰権・徴税権など法律ら基づく強制力を所有し、これを背景に政治の目的を実現する。国家は強制力を持っており、それがほかの諸集団と異なる点である。しかし、実際には、国家が国民的利益を政策に立案し、その実現を計れたことはない。「全体の利益、民衆の利益は、明らかに平和にあって戦争にはない」（マルタン・デュガール『チボー家の人々』）。国家はイデオロギーによって存在している。イデオロギーの終焉は、国家がある以上、ありえない。イデオロギーの内容は変化してきたが、その目的は同じだ。国家の存在は必要不可欠だと人々に納得させることである。イデオロギーは、物理的暴力以上に効果的だ。暴力とイデオロギーの関係はイソップ寓話の北風と太陽の関係と同じである。支配者はそれを知っていた。物理的暴力は強制的服従を人々に求めるにすぎず、反発を招きやすい。短期的にはいいかもしれないが、長期的にはむしろマイナスの効果しか生まない。そう考えると、中央集権的な福祉国家概念は、国家を存続させるには、まったくうまいやり方だった。国家に依存させて、人々を国家中毒にしてしまった。国家を廃止しようとすると、「」（ジョン・レノン）に悩まされてしまう。国家のイデオロギーはすべてプロパガンダである。イデオロギーは世論を自発的服従に、そうと思わないように、させられる。イデオロギーさえあれば、その暴力も、少なくとも、必要悪くらいまでは世論を納得させられる。歴史的に、国民国家は官僚制度を整備し、有力な知識人をイデオローグとして味方にひきこむことこそ、存在における不可欠の条件となった。ヨーロッパにおいて、中世までは僧侶階級がその役割を果たしてきた。近代に入ってからは、専門的知識を持った学者が、彼らに代わって、それを担った。イデオローグは、程度の差こそあれ、表現や伝達経路を管理し、情報を統制する。自由に目覚めた民衆が革命を起こすことを阻止しなければならないからだ。国家がイデオローグを必要とするように、一度国家にとりこまれた知識人たちも国家に依存している。国家がなくなれば、彼らは失業してしまう。知識人に対する需要は国家が最も多いのだ。労働市場では知識人サーヴィス提供の需要はさほどない。国家は圧倒的に供給過多の状態に知識人養成を行っている。だから、国家は知識人を最低価格で雇えるし、知識人にしても、職が保証されることは喜ばしいことになるのだ。さらに、ロスバードは、カール・ポパーに代表されるウィーン学派の通説に従い、知識人にはプラトンの哲人政治への郷愁があると指摘する。プラトンはギリシアのデモクラシーに反発し、彼の哲人政治のモデルは古代エジプトのような専制政である。イデオローグは支配者になる欲望を満足させたいのだ。世論は国家のイデオロギー装置のために、国家がなければ社会はまったく機能せず、生活もままならなくなると思いこまされている。事実は逆だ。国家がなくても、いや国家がないほうが、社会はうまく働くのである。
Imagine no possessionsI wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of man
Imagine all the people
Sharing all the world...
ロスバードはこのような新オーストリア学派の認識・方法をラディカルに押し進める。すべての問題は、現体制では、公の領域に属している。いっさいは市場の判断に委ねるべきなのだ。環境汚染を考えてみよう。空気や水を誰も所有していないため、人々は結果も考えず、汚してしまう。人間はまず生まれながらに所有権を持っていることに気づくべきなのだ。ただし、この所有権には、市場が許す限りにおいて、各個人の同意に基づく共有も含まれている。所有と共有を対立する概念として考えているレヴィナス派の思想家もいるが、それは市場を無視した誤解にすぎない。市場はそんなに愚かではないのだ。確かに、ハイテク産業が膨大なゴミを排出している。ユルゲン・ハーバーマスが、緑の党の躍進を受けて、環境問題への関心が世界を動かす力となりうると言っているように、市場も消費者のエコロジーへの関心に反応している。ハイテク企業も、市場の動きを尊重するなら、エコロジーに向わざるをえない。所有から切り離された実定法など存在しない。基本的人権は所有権である。合衆国憲法補正第一条の「出版の自由」も、所有権なくしては、ありえない。自由にできる電話が一つでもなければ、インターネットにしたところで、個人は自由に発言することすらできないだろう。その権利を行使するには、電話を所有するか、電話を所有している人から借用しなければならない。所有に対する侵害はすべての人権に対する挑戦である。自由は所有と同意義だ。「自由とは、各個人が、自分自身および、交換や贈物で得たものを処分できる自然権だ。所有と自由はしたがって不可分である。所有に対する侵害は自由に対する侵害となる。自由と所有権を切り離す社会は、その権利の行使の条件を人間から奪うことになる」。ロスバードは、原則的に、暴力革命を認めないが、自由を求める場合は別だ。一七七六年の合衆国の独立と一八四八年のフランスの二月革命は、ロスバードによれば、自由を促進した代表的な革命である。二〇世紀のすべての革命の出発点は自由への渇望があった。国家に反対し、私的所有を支持する動きがあり、それは個人的自由と物質的豊かさを獲得しようとする自然発生的な運動だった。一九一七年のロシアと一九四九年の中国の革命は私的所有を求める農民の反乱であり、彼らは平等を求めていたわけではなかった。まして国民国家建設などまったく眼中になかった。そもそも平等と自由の関係は並列ではない。平等はすべての人間に所有権が認められ、選択の自由があるということだ。革命の最終結果にとらわれて、最初の要求が何だったのかを見失ってはならない。自由を保証するのは市場であり、市場を優先させるなら、すべてに所有権を持たせないとうまく機能しない。市場の完全性を阻むものは費用逓減産業と外部（不）経済の二つがある。前者は生産量を極端に大きくしなければ、一単位あたりの生産費が最低点を示さないような巨額の資本を必要とする産業である。大型の土木・建築工事がそれにあたる。「土建国家」とも揶揄される日本で、自由化が進まないのは、経済学的には、当然である。経済学における外部とは市場を通さない領域あるいは部分である。外部経済は、山地の植林と平地の農家、もしくは鉄道の新駅と地主、養蜂家のように、市場を通さないで利益をあげることであり、一方、外部不経済は、公害や環境汚染のように、市場を通さず、損失をつくりだすことを指す。しかし、どちらも、産業資本主義の時代の話であって、市場経済の発展の下では、時代遅れとなっているのは明白だ。むしろ、道路はすべて私有道でなければならない。公道が存在しないなら、道路建設の許可をとる必要もなく、土地の所有者は自分の意思に基づいて道路をつくれ、整備のいきとどいた道路を利用できるるだろう。フランク・ナイトは、『社会的費用の解釈における若干の誤謬』において、ピグーの『厚生経済学』の重大な欠陥、すなわち道路の渋滞が道路税という形の政府の介入を正当化するピクーの提言の欠陥を発見した。ナイトは道路の所有権を私有化すれば、有料通行になり、渋滞を自動的に抑制できると反論したのだ。所有権論の第一命題は希少資源の所有権が明確に限定されている場合にのみ、市場は効力を生ずる。道の所有者は通行料を徴収し、それに基づいて、道路をつねによい状態に整備するだろう。通行しない道路のために料金を支払わなければならないという矛盾は解消される。かりに道路整備を怠ったり、不当な金額をとろうとすれば、誰もその道路を使わなくなり、別の道路を通ることになる。不必要な道路は建設されず、通行料金は適性に維持され、安全性も、当然、格段に高まる。
規制がいかに幻想を生み出しているかを交通の例で示してみよう。交通を見れば、その地域の人々の意識を把握することができるからだ。一九九七年に発表されたウィンドウズNT４.０の開発コード名であるカイロには、信号や横断歩道がほとんどない。道路は四車線以上がほとんどである。老若男女を問わず、人々は走っている自動車の間をぬうようにして道を渡る。なかなか流れが切れなくても、軽く手で合図を送れば、車も速度を落とし、渡ることができる。その脇を自転車やバイクの運転手や同乗者が手信号を示して曲がり、子供たちがロバやラクダに乗って通学していく。みんなお互いを配慮している。歩行者も、ドライバーも、いやすべての人々が流れを読むことに慣れているから、車が多く、道がいりくんでいるために、交通渋滞で有名なカイロだが、交通事故はほとんどない。初めての旅行者も、うまそうな地元の人の後についていけば、心配いらない。渡れてしまうのだ。西アジアや北アフリカの都市部ではほぼ同じ光景が見られる。重要なのは国家による規制ではない。こうした自然発生的な人々のルールの共有である。日本では、交通事故を減らすために、信号や横断歩道が必要なのだと信じられている。実際には、信号や横断歩道を増やしても、交通事故は依然として増加し続けている。しかも、業者と官僚が癒着し、税金を無駄に使っているだけなのだ。譲り合いの気持ちを推奨するようなスローガンが虚しく掲げられている日本の道路では、今日も、誰かが傷つき、亡くなっている。業者と官僚を肥えさせている信号機は、あたかもその墓標のように、立っているのだ。一方、西アジアや北アフリカでは、自動車道路と並列している歩行者道路において、若者の「爆笑」ガール・ハントを見かける。初対面の日本人女性に、いきなり、「ねえ、僕と結婚しない？」と声をかけてくる。女性が、当然、「えっ？でも、あなたのことよく知らないし」と答えると、「じゃあ、友達になろう」と言ってくる。これがまず一般的な情景なのだ。これが信号も横断歩道もない「路上」(ジャック・ケルアック)である。
Imagine there´s no heaven
It´s easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today...
自由放任社会では、各人が自分自身の所有者である。個々の思想・信条の自由は尊重される。何人もそれぞれの生命・自由・財産を侵害してはならない。自然発生的な個人行動に対して干渉が少なければ少ないほど、よりよい状態なのだ。かりにエルトン・ジョンを反道徳の汚らわしい存在と見なす保守的なキリスト教徒の年老いた女性の家主がゲイのカップルに部屋を貸すことを拒否した場合、彼女に国家権力を使って強要させるのではなく、リバータリアンはそれを議論する場を置くことのほうが重要だと考える。リバータリアニズムは参加の哲学である。自由放任の社会は管理社会とは違うが、さりとて、野放しの状態でもなく、人々がいかなることにも関心を持ち、参加するようになっている。確かに、自由放任の世界には法律（ロー）はない。けれども、規則（ルール）がある。この世界は交通によって構成されているからだ。制限速度の遵守以上に流れに乗ることのほうが重要であるように、交通には法律はないが、規則はある。二〇世紀のメディアはパーソナル化し、この現状にあって、自由放任が機能できる用意ができた。国家が崩壊してしまえば、個人に至るまで際限のない解体が続き、そのアトムとしての個人のケミカルな連合が始まる。自由放任の社会には無数の小国寡民のコミューンが存在するだろう。それぞれ毛沢東主義コミューンであろうが、ガンジー主義コミューン、ウッドストック・コミューンであっても、ゲイ・コミューンでも、阪神タイガースのファンのコミューンであったとしても、かまわない。コミューンは集団的匿名である。コミューン間の人々の移動は自由である。好きなコミューンに入り、好きな言語を話し、好きな文字を使っていい。嫌になったら、変えればいい。望むなら、コミューンをいくらでもかけもちしてもいい。すべては自由である。自由は選択が許されているということだ。国家から一方的に押しつけられたアイデンティティは無効である。アイデンティティという「戸籍の道徳」（ミシェル・フーコー）は自由放任の世界においては完全に消滅する。だいたい誰もが発信者になれるインターネット社会である今でさえも、「日本人」というアイデンティティ以上にプロバイダーと契約できる信用があるほうがはるかに重要である。自分自身が何者であるかということも自由に選択できる。選択の自由が尊ばれるからだ。美容整形するのも、性転換をすることも、離婚も自由である。自由放任の哲学は寛容だ。もちろん、すべてが思い通りになるというわけではない。国家の廃絶は権力の消滅を意味しないし、規則がある以上、タブーは存在する。それに、科学技術を筆頭にする時代的な限界もあるだろう。このユートピアではそれを個人が変える自由を残している。従って、コミューン間にも、コミューン内にも、結びつきはできるかぎりゆるやかにする必要がある。リバータリアニズムはアナーキーだとしても、共通理解をお互いに持つことができるかを考慮に入れている。共通理解の一つは選択の自由の保証である。麻薬や賭博、売春、安楽死は、十分な情報開示が行われた上で選択された場合、個人的な事柄であって、個人レベルで行われるかぎりにおいて、犯罪ではない。禁止の範囲や項目を決めるのも市場である。ただし、麻薬依存や賭博依存、性差別、貧困といった社会的問題は、自由放任社会は個人に幸福をもたらすから、そこでは減っていく。
移動の自由は、選択の自由に基づいて、完全に保証される。通行の自由は絶対であり、市場が規制しないかぎり、移民も自由である。移民は国家概念を脅かすから、警察を使って取り締まり、規制するのだ。第二次世界大戦以降差別は人種主義的姿から文化主義的なものへと変質した。今の極右は同一化を強要せず、むしろ、差異を重視し、それを固定化させて主張する。あるフランスの極右のメンバーは、「われわれはアラブ人がフランス人より劣っているとは考えていない。アラブの偉大な文化を尊敬さえしている。ただわれわれはフランス人だから、フランスに住むべきであり、アラブ人はアラブで生きていたほうがいいと思っている」と言っていた。この種の主張は、日本では、差別意識だと認識されず、メディアの前で、口にされている。「この点では、二十一世紀の日本にとっては、外国移民の問題が救いになるかもしれぬ。賛否がどうあれ、その時代には千万のオーダーの移民が予測されるから。教養ある知的階層、『優秀な人材』に移民を限定するという政策はまずいし、実際にもうまくいくはずがない。『文化水準』ということでは、『優秀でない人材』が当然に入ってくる。アメリカでも、プエルトリコやチカノに関して、差別発言をした人と同じ 状況が、二十一世紀の日本にも来る。しかしながら、アメリカの本当の底力は、『文化水準』の低いマイノリティ、『優秀でない人材』がどんどん入ってくることによって支えられている。マイノリティの二世 や三世が、新しい文化的活力を持った人材となっているのだ」（森毅『考えすぎないほうがうまくいく』）。外国人の規定は国民国家にとって都合のいい形で決まる。国民全体の救済を掲げているから、国民国家を国民が支持してしまう。国民全体の救済は、実際には、外国人を排除し、その犠牲を強いることを意味している。市場の自動調節機能は、国家同様、幻想であろう。しかし、市場は国民全体を救済しない。市場には外国人が存在しないからだ。国民国家は移動の自由を嫌う。国家はパスポートやビザ−−本来、モンゴル帝国のイスラーム教徒が自由かつ安全に移動するために考案したにもかかわらず−−を移動の制限の道具として発行している。国家はいかなることも自分の延命策の一つにしてしまう。労働運動の衰退も、やはり、移動の制約に原因がある。企業は国境を自由に移動できるが、労働者にはそれができないから、相対的に労働者の力は低下し、労働者は移民排斥に賛同してしまう。国家は人を心理的にも屈折させてしまうのだ。
元来、自由放任的な思考はフランスの重農主義者から始まった。自由放任が本格的に議論されるのは一八世紀の産業資本主義の登場である。この自由放任をめぐって、アダム・スミスからピエール・プルードン、マックス・シュテルナーまで左右にわかれていた。二〇世紀では、自由主義は市場経済であり、社会主義は統制経済であるから両者は対立すると考えられている。プルードンの社会主義がアナーキズムと呼ばれたように、社会主義は自由放任主義の一種なのだ。さらに、ロスバードが「アナクロ資本主義のマルクス」と呼ばれていることからも明らかだが、リバータリアニズムは決してマルクス主義と遠くない。「自由の王国」への飛躍や国家に対する憎悪は両者に共通している。そもそもマルクスの「アソツィアツィオン」はリバータリアンの展開するコミューンとほぼ同じである。だから、ロスバードが行っているのは、実は、国家に対する批判ではない。彼の意図は国家に対する批判を可能にしている装置を問題にし、それ以外に自由を見出すことなのである。実際、自由化政策が、必ずしも、保守派の政権によってのみ実施されたわけではない。一九八〇年代前半に破綻したニュージーランド経済を自由化政策によって回復させたのは保守派の国民党ではなく、労働党政権である。一九八四年、デイヴィッド・ロンギを首相にした第四次労働党内閣が発足した。このとき、大蔵大臣に就任したロジャー・ダグラスは「ロジャノミックス」と呼ばれる大胆な自由化政策をうちだして、対外信用度が失墜し、街に失業者が溢れていたニュージーランドの経済基盤を再建した。だいたい一般にマルクス主義的政治体制として知られている統制経済・民主集中制・生産手段の国有化はマルクスやエンゲルスとは関係がない。ビスマルクは、当時、その三本柱を政策として実施していた。エンゲルスは、『反デューリング論』の註の中で、それを「国家社会主義」と呼んで、批判している。マルクスにしても、エンゲルスにしても、政治理論をほとんど著わしていない。マルクスは経済学批判に匹敵するような批判的政治分析や国家論を残さなかったし、エンゲルスも『反デューリング論』でデューリングの国家論を批判するスタイルで国家の死滅について言及している程度である。けれども、彼らが国家論を描かなかった点を否定的に考えるべきではない。国家は消滅していく以上、その後の政治体制を描くことは背理である。ブルジョア国家に対置するプロレタリア国家など存在しない。共産主義社会は実現してしまうものであって、各個人が自由であるために、描写すべきものではない。共産主義社会は何人にも、たとえマルクスやエンゲルスであったとしても、管理された社会であってはならないのだ。従って、それは自由放任の状態に置かれる必要がある。
マレー・ロスバードは、一九二六年、ニューヨークに生まれ。コロンビア大学を卒業後、ニューヨーク大学、プリンストン大学で助教授をつとめる。一九六八年から八五年まで、ニューヨークに住み、地域社会のボランティア活動に積極的に参加している。一九八六年から、ネバダ大学ラスベガス校教授に就任し、その後、ネバダ大学で教えている。ネバダ州は、ロスバードにとっては不十分かもしれないが、全米一「自由」な州である。ロスバードは、ギ・ソルマンの『二十世紀を動かした思想家たち』によると、「ラスベガスはよい趣味ではないが、広島よりずっといい。自由放任の哲学は決して人を殺さなかったし、誰も自由放任の名の下では人を殺さないのだ」と言っている。今日、自由放任社会の具体的なモデルを見たいと思ったら、ラスベガスにいけばいい。ラスベガスは、まだ十分ではないが、自由放任社会の先取りである。世界中の財政難に苦しむ国家や地方自治体は、カジノを中心にギャンブルを公認したラスベガス・モデルを実施したり、真似しようとしている。しかし、今やラスベガスはテーマ・パークの町なのだ。二十世紀の経済は、確かに、ギャンブル的だったから、カジノで収益があがっていたけれども、二十一世紀はそうもいかない。鉱山資源で栄えながら、それが廃れると同時に、衰退した苦い経験から、ネバダ州の人々は次gの時代の予兆を読むことに長けている。二十世紀はアメリカの世紀だったが、ラスベガスはアメリカよりはるかに先行している。ラスベガスはアメリカの内在的批判、ポスト・アメリカないしはハイパー・アメリカである。ロスバードは、日本語への翻訳はほとんど行われていないけれども、経済学だけではなく、政治学や自由主義哲学に渡る著作−−『人間、経済、国家』、『自由について考えたこと』、『自由の倫理』、『新しい自由のために』、『権力と市場 政府と経済』、『個人主義と社会科学の哲学』、『一八一九年のパニック』、『貨幣とは何か』、『政府がわれわれの金に何を行っているのか』、『独占と競争』、『古典派経済学』、『行動の論理』、『アダム・スミス以前の経済思想』、『新しい土地、新しい人々』、『服従の政治』、『アメリカの大不況』、『革命への前進』、『銀行業務と景気循環』、『銀行業務のミステリー』、『金利と投資』、『フォン・ミーゼスの本質』など−−を発表している。ロスバードは、これらの著作を通じて、国家の不在から生じてくると思われる人々の不安や疑問に対して、明快に次々と答えている。そして、ロスバードはハイエクが結成したモンペルラン協会の一員として、「自由党」の理論家でもある。選挙結果はたいしたものではないが、全米に自分たちの主張を選挙という場を通じて響かせることこそが大事なのだ。彼らの主張と比べると、日本の「自由党」は「国家党」と改名したほうがいい。と言うよりも、日本で政治的場面で保守派が使う「自由」はすべて「国家」のことなのだ。
現代の自由放任派はオーストリア学派のルードヴィヒ・フォン・ミーゼスを守護神としている。オーストリア学派は経済現象すべてを個々の経済主体の主観的立場から研究する必要性を主張していた。経済的プロセスにおける時間の役割を最重要視し、価格形成だけでなく、景気循環や貨幣的撹乱の研究にも主観主義的＝限界主義的アプローチを応用することを提唱していた。個人の選択は目的に従っているから、あらゆる妥当な経済的推論の根拠を構成するというのがミーゼスの持論だった。ミック・ジャガーが卒業生として知られるＬＳＥの教授だったハイエクはミーゼスを継承してケインズに果敢に論争を挑んだが、オーストリア学派はケインズ派に破れ、その権威を失墜してしまい、ミーゼスにしても、ハイエクにしても、経済学ではなく、哲学の領域の研究に向かうことになる。ところが、日本での自由化論の多くは政経分離を前提にしている。彼らは経済においては自由化を主張しても、国家の権威や機能を強化しようとする。ジェレミー・ベンサムの「最大多数の最大幸福」という基準の根本にある「幸福の計算」も、自由主義の仮面を被った国家主義者は経済学ではなく、法学に適用してしまう。自由主義は国家主義や民族主義と根本的に違う。日本の自由化推進派は福祉国家論者より悪質である。なぜなら、自分たちに都合のいい部分だけ自由放任派を利用しておきながら、その本質部分を無視して、自由主義に関する認識を歪曲して世の中に広めているからだ。福祉国家論者は、一貫しているという点で、彼らよりよっぽど良心的である。福祉国家論者は、良心的であったとしても、自由競争が弱者を切り捨てることだと非難しているから、これは大きな間違いだと言わなばならない。公的なものが弱者の面倒を見ているという考えは、税金を通じてしか弱者を援助できないということを意味している。公的なものの独占・規制が強いところでは、民間のボランティア活動も育成されない。法的規制は公的なもの自身に対して甘いし、弱者救済の名の下に行われる法的規制は、自らの工夫のなさを保護するための方策になっている。強者が弱者を支援する方式をとり、強者と弱者の関係を多様化・流動化させる。強者と弱者の差の拡大、貧富の差の拡大といった現在市場経済の問題と福祉国家論者がしているものは、市場に原因があるのではない。すべては国家の存在のせいなのだ。国家のプロパガンダのために、原因と結果を転倒している。国家の干渉から解放された市場においてはそんなことが起ころうはずもない。市場を国家の存在を前提にした制度として考えるのではなく、リビドー的に把握しなければならないのである。さらに、日本だけでなくアジアでは、自由化はアングロ・サクソン流の発想であり、アメリカはそのローカルなものを世界中に独善的な態度でおしつけているという誤解が広く流布している。確かに、修正自由主義はそうだろう。しかし、それも真の自由主義であるリバータリニズムが世界に浸透するのを妨げようとする国家のプロパガンダなのだ。あるリバータリアンが老子を援用しているように、自由放任の社会が世界交通の場である以上、その発想も世界交通の産物である。だいたいリバータリアニズムは、アメリカでは、フーリエ的なユートピアとして斥けられ、依然として少数派である。市場経済によって拝金主義が蔓延するというのも誤解だ。なるほどリバータリアンは倫理も市場が規定すると言う。残念ながら、現在、市場には倫理の決定権を十分に委ねられてはいない。倫理の決定権を市場から奪っていおきながら、倫理の不在をあげて自由放任派を批判することは根本的に誤っている。かつてジョン・マクフィーは、水爆の開発者の一人で、素人による核兵器開発の危険性を指摘していたテッド・タイラーを取材し、『結合エネルギー曲線』（邦訳は、ちゃっ太くんでおなじみの文化放送開発センター出版部から、『原爆は誰でも作れる』のタイトルで出版された）を発表したが、誰もがインディペンデントなゲリラになれるインターネット社会では、核開発の知識をいかなる人でも手に入れることができる。可能であるからといって、それを実行に移すかどうかは倫理の領域に属し、それを最初に破ったのは国家である。核開発を市場が望むかどうかなど考えるまでもない。国家において倫理は最も不在になる。自由放任社会ではたんにルールを守るだけではなく、創造的につくることが求められる。
そのルールをつくれれば、JOQRのアナウンサー藤木千穂が、「世界三大美女の一人」と称して、谷崎潤一郎的理想を一身に受けつつ、次のような「ちぽりん写真館」なるサイトを開設するのも、まったくの自由である。
http://www.joqr.co.jp/people/html/people-frm.html
http://www.joqr.co.jp/people/html/tiporin.html
http://www.joqr.co.jp/people/html/tiporin-2.html
http://www.joqr.co.jp/people/html/tiporin-3.html
また、同じJOQRアナウンサー水谷加奈が「画伯」として、おそらくパブロ・ピカソ的理想を体現している自作を次のようなウェブを通じて公開するのも、自由である。
http://qteamer.net/kana-tenzi.htm
電子産業では従来のルールを適用することはできない。メーカーは、発売したコンピューター・ソフトについて、ユーザーに指摘されたミスをフィードバックすることにより、品質を向上している。これはコンピューターそのものに似ている。市場は、このようなイノヴェーションの速度が速いコンピューター業界に対して、鉄鋼業界と比べると、ゆるいルールを適用している。後者がボクシングだとすると、前者は場外乱闘やスリー・カウント以内なら反則さえも許されているプロレスのルールで戦っている。そのほうが消費者のメリットになるからだ。これは、ハイテク産業時代には世界に名だたる地位を持っていた日本が、行政による規制が強く、市場を十分に生かしきれなかったために、IT時代に突入した途端に、優位性を失ったことからも明らかだろう。国家は自分にとって都合が悪いのものだから、この市場のルールの創造を倫理の不在と言いがかりをつけているのだ。シカゴ学派の一人であり、主流派経済学者から「知的帝国主義者」と非難されるゲイリー・Ｓ・ベッカーは、従来社会学、心理学、人類学に属していると思われていた領域を経済学と結びつけているベッカーは、『罪と罰−経済学的接近』の中で、倫理は決して「公共の利益」によって決まるわけではなく、もし「罪」というものの期待便益、もしくは逮捕や刑罰の可能性に換算した罪の期待コスト、ならびに彼らの特別なリスク選好が与えられているならば、「罪」とはある人々が完全に合理的理由から行うもう一つの仕事にすぎないと書いている。とは言っても、市場が突飛な倫理を求めるのではないかという懸念は無用である。日常の中で、人々が平和で生産的、協力的な人生をおくれるようにすることこそが市場の導き出す倫理である。極端な緊急事態を想定してリバータリアニズムを批判するのは見当はずれだ。戦争のような非日常的状態をつくりあげているのは国家であって、その国家のプロパガンダにのってはならない。オーストリア学派は新古典派経済学の主流に合流し、一九三〇年代に消滅したわけだが、一九七〇年代に入ると、アメリカで新オーストリア学派として復活した。これにはミーゼスの弟子だったハイエクに負うところが大きい。ただ、シカゴ学派とも呼ばれる新オーストリア学派は、旧オーストリア学派と違い、一般均衡論、数理経済学、計量経済学、経済学的予測をすべて拒絶する。彼らは、最終的な均衡状態の特性分析よりも、むしろ、ある均衡に達するまでの競争プロセスの分析に関心をよせているのだ。
下に、ネット検索で見つけたリバータリアニズムに関する、論文を
勝手に引用する。
リバータリアニズムに関して、これだけのことが、書ける人間となると作者が誰だか私は勝手に想像できるのであるが、推測だから特定しない。(＾＾;
＃そのての作者情報も全くなかった。
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ＩＭＡＧＩＮＥ─マレー・ロスバード
「当世風の型にはまった考えから脱却するために、自由には危険が伴うということ、自由は物質的平等を生まないということ、自由はまた飢えで死ぬ危険をも含むということを認識しなければならない」。
ピエール・ルミュー『無政府国家への道』
Imagine there´s no countries
It isn´t hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace...
自由放任派に属するアメリカの経済学者マレー・Ｎ・ロスバード（Murray N. Rothbard）は、Ｐ・Ｓ・フローレンスやＷ・Ｇ・フリードマンとならんで、企業社会における政府と企業との関係に関する大胆な学説を発表している。ロスバードは、一九七〇年に刊行した『権力と市場 政府と経済』において、企業社会における政府と企業の関係を二者間干渉と三者間干渉に分類している。二者間干渉とは、干渉者である政府が、企業との間の強制的交換、または企業の側からの強制的贈与を強要する場合であり、典型的例は国家支出と税金の徴収である。国家支出は政府による資金の移転支出である補助金と政府の資源使用的活動の公共事業にわけられる。三者間干渉とは、干渉者である政府が複数の人々に交換することを強いたり、あるいはそうすることを禁止する場合である。この干渉には交換条件を規制する価格統制と生産物および生産者の条件を規定する価格統制とがある。前者の例として高利禁止令や物価統制令があげられる。後者には特定生産物の生産ないし用役の提供を一般的に禁止したり規制するケースと特定企業あるいは企業集団にのみそれを許可するケースの二つがある。ロスバードは強制カルテル、事業許可制、関税、移民制限、幼年労働の規制、最低賃金、失業扶助、反トラスト法、資源保全法などを第二のケースの例としてあげている。日本では、一般に、国家が管理・統制しなければ、私的なものは営利追及に走り、欲望を満足させてしまうのではないかという危惧がある。だが、私的なものが暴走するのは、もともと国家の過度の管理・統制に原因がある。地上げは政府の山手線の内側を高層ビル化するという計画提案と公定歩合の引き下げ、急激な円高によって私的なものを誘発して始まったのである。私的なものが自律して、地上げを行ったわけではなかった。公的なものが私的なものに持つ力は法的規制だけである。どの法律にも社会的な力関係が刻印され、その法律の成立した経緯や存在意義はその力関係に負っている。法的規制は公的なものと私的なものとの関係から派生するものなのである。そこでロスバードは政府干渉には一般的に資源配分と所得分配の最適性を阻害する危険性があり、市場機構を重視するべきだという説を展開していき、そして、いつも通り、次のように叫ぶ。「国家は盗賊である」。
自由放任派には、右派としてルードヴィヒ・フォン・ハイエクやミルトン・フリードマン、左派ではロバート・ノージックが属している。フランスのアナーキストであるピエール・プルードンの「所有は盗みである」（『所有とは何か』）を思い起こさせる主張をするロスバードは最左派の位置にいる。「アナルコ・キャピタリスト」とも呼ばれる左派は自分たちの思想を「リバータリアニズム」と称している。ハイエクも、フリードマンも「古典的自由主義者」と自称しており、リバータリアニズムの創設者の一人であるかもしれないが、自分は違うと言っている。「リバータリアン」という名称は、一九世紀ヨーロッパで、アナーキズム啓蒙紙『レビスタ・ブランカ』が創刊された際、セバスチャン・フォールが唱えたものである。もともとは、当時アナーキズムの宣伝が禁止されていたため、カモフラージュをかねて、従来のイメージを覆す目的で使ったとされている。リバータリアンの語源は、リベラルとは違い、道楽者、放蕩者を意味するlibertine であり、ユーモラスな響きがある。リバータリアンは大企業の企業家に支持され、彼らが愛する作家は悪の官僚組織と戦う正義の企業家を描くエイン・ランドであるが、大著『リンカーン』で知られるリベラル派の作家ゴア・ヴィダルは自由放任によってアメリカ合衆国が「企業国家」になりさがったと国家の企業化を苦々しく批判している。合衆国は企業、大統領は社長であり、選挙民は株主だというわけだ。ラッファ曲線を信奉して、レーガノミックスを始めたロナルド・レーガンは、確かに、カルヴァン・クーリッジの“The chief business of the American people is business."という言葉を好んでいた。けれども、リバータリアニズムはアメリカの宗教右派のような反動ではなく、リベラル派以上に自由主義なのだ。
教条的な自由放任派であるロスバードは自由主義に関する信念を基盤に、国家は最悪の犯罪集団だと断罪する。そもそも揺籠から墓場まで、警察から裁判、刑務所まで、ありとあらゆることすべて私有化できる。警察や消防の仕事も保険会社や警備会社が行うだろう。現行の組織以上に犯罪や火災を抑制すれば、利益があがるから、各会社間の競争によって、間違いなく、治安は改善される。実際、国境で阻まれている（ハッキングやストーキングなどの）コンピューター犯罪への対処は警察ではなく、コンピューター会社自身が認める合法的ハッカーが行っている。ところが、女性や子供をターゲットにした人身売買の犯罪組織は民族や宗教を超えて連携しており、国家概念そのものがこうした許すべからざる犯罪を助長しているのだ。犯罪組織にとって、犯罪はビジネスである以上、リスクが利益に比べて大きいとなれば、それから手を引く。犯罪組織の持つ機動力と柔軟性に対して、国家は全然ついていけていないのだ。司法権も民営化は可能である。国家が司法を独占している体制では、国家に有利な判断が下されることは明白だ。現行の司法の制度はうまく機能していないし、世論は司法に対して不満だらけである。それに、国家の裁判独占を市場は必要としない。司法の独占体制がなくなれば、自発的な民間仲裁が発達することは確実だ。ヤクザに仲裁を依頼するのは、司法が国家に独占されているからである。裁判を紛争解決の手段ではなく、紛争そのものと見なしているような、あるいは裁判に訴えられない非自由競争的な認識が、暴力組織の介入をもたらしている。脱税による非合法的な資金があり、保護・調停・治安を業務として求められている以上、暴力組織の活動は法規制によってなくすことは困難である。暴力組織の民事介入などは、それを要求する非合法的なマーケットの場があるから登場する。シャンシャン総会にしたい取締役たちの思惑のために、暴力団や総会屋、右翼といった暴力を背景にした組織が介入してくるように、彼らは市場を嫌う。暴力組織が暗躍するのは公的部分であり、政治家や行政機構、産業界もさまざまな面で利用してきた。暴力組織は法的規制かないところに発生してくるのではない。過度の法的規制が暴力組織を生み出してしまう。暴力組織の活動が活発であるのは自由競争が停滞している証拠である。法的規制は何度行ったとしてもその抜け穴が見つかるであろう。規制を撤廃し、すべてを市場に任せるべきなのだ。法的規制が撤廃されても、市場が自由競争を十分に支えられる最大の要因の一つは情報公開である。リバータリアンは民間企業を神聖視しているわけではない。民間企業にしても、なるべく情報を公開したくはないだろうし、見られていないと思えば、不正やごまかしもするかもしれない。自由競争から逃れるために、企業間でカルテルやトラストを結ぶ事態が起こる恐れがある。だからと言って、国家がそれを規制・監視する必要はまったくないのだ。それは問題のすりかえにすぎない。民間の調査機関・格づけ機関が監視し、情報を公開すればよい。第一、最も情報公開に消極的なのは国家の機関なのだ。ギュゲスの指輪への懸念を解決するのは市場の監視である。市場がそれを支持してくれるには、信用がなければならない。信用は契約を守ることによって生じる。信用を与えるのは、一つの文化的・風土的基盤だけに基づく公的なものではなく、時としてまったく異なった背景を持つ私的なものである。ところが、信用を二の次にする官僚組織は情報公開を拒み、既得権益を死守する。ヨーロッパ諸国がとりくんでいるように、電力の自由化をすれば、脱原発も十分可能なのに、経済効率が悪く、安全性にも問題がある原子力発電所を日本で増設しようとしているのはその典型であろう。信用を失うということは市場では致命的である。自由競争に耐えられず、安全面を不問にしたままでいるものは、市場によって淘汰されていかなければならない。情報を開示せず、不正をやっている企業には市場が鉄鎚くらわす。市場が見捨て、株価が下落し、怒り狂った株主の追及から逃れられると思っている経営者はいないだろう。自由放任論者は資本主義者であると同時にアナーキストであるけれども、ロスバードはアナーキストよりもラディカルである。プルードンのようなアナーキストにしても、司法権は公に属するべきだと主張しているからだ。公というものはまやかしである。だから、国家は幻想であって、その実体は無だ。ただ、それと呼ぶことに合意した個人の集合にすぎない。そうした人々が、国家の名の下に、暴力や税金を徴収する独占的な権限に正統性・適法性を与えることを決めたのだ。ロスバードは言う。「国家、あらゆる時代を通じて、歴史上どんなマフィアより、効率的で恐るべき大きな犯罪組織なのだ」。税金は納税者のために使われたためしがない。税金は国家維持のために浪費されているにすぎないから、国家は税金を義務化するのだ。税金を誰も喜んで払っていない。徴税は泥棒、場合によっては強盗のやることと同じだ。間接税重視の政策にしたところで、税金が盗みであることに変わりはない。多くのイデオローグは税金を正当化しようとする。「国家なり自治体なりに帰属することのみ返りが税金なのだろう」。しかし、「税制に公平はない。税制に合理性はない」(森毅『税制に公平はない』)。国家と人民の間には社会契約が結ばれており、理想的な社会実現のために、人民は税金を自発的に払っているというわけだ。しかし、税金は、脱税があとをたたないように、非自発的に徴収されるのである。第一、国家は選挙権もなく、政治的発言が制約されている外国人や子供からも税金を徴収している。税金は盗みであり、その税金を浪費する典型の戦争は最大の犯罪であって、兵役は奴隷制である。「まず、自由放任社会は誰も脅かさない。それで争いの危険は減る。それでも争いが起これば、消費者が防衛費を払う。そこでも私的防衛体制間の競争で質が改善される。侵略された場合、所有者からなる人々は敵に対して断固たるゲリラ戦を行うだろう」。ゲリラはカスティーリャ語で「小さな戦争」という意味だが、ナポレオン率いるフランスの国民国家軍にスペインの民兵が勝利したことから由来する。ゲリラこそが国家を崩壊に持ちこむ活動なのだ。さらに、ロスバードはほかのリバータリアンとも違い、福祉国家だけでなく、「夜警国家」（フェルディナント・ラッサール）や「小さな政府」も認めない。国家を擁護するからだ。国家の否定に関していっさい妥協はしない。あくまで国家を前提にしている以上、現存自由放任は真の自由放任ではない。自由主義者でありながら、減税要求をするなどというのは、矛盾した主張だ。自由主義者たるなら、税金の全面撤廃を求めるべきなのである。規制を緩和し、官僚組織を縮小し、小さい政府を目指すなどというのは臆病者の発想だ。国家の延命策にのっかるような一般的な自称自由主義者は修正主義者にすぎない。ロスバードに言わせれば、欧米の古典的な自由主義者は裏切り者になる。レーガノミックスは、結果として、国家費用の増額だった。合衆国の右派は自由主義者を自称してはいるが、安全保障に税金を使うことにはやぶさかではない二枚舌の卑怯者だ。また、彼らは銃の所持は当然の私的権利だと主張しておきながら、国家に依存しきっている。合衆国最大の圧力団体ＮＲＡ（全米ライフル協会）の議会に対するたくみなロビー活動を見れは、それは明らかである。銃の規制は国家が行うものとはリバータリアンも思わないが、銃の蔓延は市場経済とは関係ない。銃の問題は市場の判断に委ねるべきなのだ。さもさも銃は、国家建設の際に、先住民族の土地を奪うために、使われたものであり、自衛が目的なのではなかった。「フロンティア・スピリット」も「アメリカン・ドリーム」も、国家の統制が強まっていく中で、事後的に生み出された幻想にすぎない。真の自由放任派は、「何よりもまず、このような『偽の兄弟』からわかれねばならない」（マルクス一八五九年二月一日付ヴァイデマイヤー宛書簡）。ロスバードが「私は、一部の左翼、平和主義者、環境主義者が警察の抑圧に反対し、国家の命に従った企業に反対する以上、彼らの客観的な味方だ」と告白するのも当然であろう。
ロスバードは、自由放任派の中でも、反国家の点で突出している。彼と比べれば、ハイエクの「自由主義的知識人は煽動家にならなくてはならない」などサビ抜きの寿司にすぎない。また、ロスバードとの長い対話から個人主義的無政府主義の理論に関して知的刺激を受けたと言う左派のノージックですら、『アナーキー・国家・ユートピア』の中で、「暴力・盗み・詐欺からの保護、契約の執行などに限定される最小国家は正当とみなされる。それ以上の拡張国家はすべて、特定のことを行うよう強制されないという人々の権利を侵害し、不当であるとみなされる」と書いているくらいだ。「無政府状態に警官一人」とカーライルが揶揄した自由放任を重農主義者も古典派経済学者も支持していなかった。彼らは政府の市場への介入はある程度少ないほうがよいと考えていたが、政府の介入が悪であるとか、それをゼロにしろとは言ってはいなかった。一切の例外を認めない自由放任を信奉したのはフランスのフレデリック・バスティアだった。この自由放任主義者はジョージ・バーナード・ショーばりの諷刺や皮肉を駆使した文体を操り、保守主義、社会主義、リカードゥ主義に対する攻撃の手をゆるめなかった。経済理論家としてはたいした存在ではなかったが、流布者としては経済思想史上、最大の一人であろう。リバータリアニズムはロック流、ベンサム流、ヒューム流、ミル流などさまざまにわかれているが、ロスバードはこのバスティア流である。ロスバードは、確かに、アメリカでさえも、ハイエクやフリードマン、ノージックほど知られた存在ではない。しかし、彼は「現代のリバータリアン思想の理論的構造を建設し、この理念を政治活動に活用するという両方の面で重要な役割を果たした。（略）リバータリアンたちは、ロスバードを政治経済理論を統合したマルクスになぞらえたり、不撓不屈の急進的運動を組織したレーニンになぞらえたりした」（デイヴィッド・ボウツ『リバータリアニズム入門』）。
(４)．個人主義、反集団である。集団や政党を作ること自体を嫌う。したがって、自分達の党も作らない。地域共同体は認めるが、究極的には否定。道路も橋も自分で造り、管理すべきだと主張。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝実は、リバータリアン党というのが、存在するが、なかなかによく
わからない立場だ。リバータリアン的とされる人間は、むしろ共和党に多いとする分析もある。＞Catoの論文
かなりの幅がリバータリアンの中にあるということは、あらかじめ承知しておかないと、ますます分からなくなることは必至である。
しかし、ベンサマイトリバータリアン、ロッキアンリバータリアンの副島先生の卓抜な洞察力による分類は、知らねばならない。（これはアメリカのかなりインテリのリバータリアンに聞いても、自覚的でないことがある。）
特に、日本においては共産党の人間がリバータリアンを自称しているというトチ狂った状況が見られるので注意しないといけない。
リバータリアンは、徹底的にその思想原理から導かれるように反共なのである。私的所有権に反する主張は全て否定するものである。またアナルコキャピタリストというのは、左翼のアナキストとは全然違うというのも、知っておくべきだ。
２０の特色より＝＝＝＝＝＝＝＝＝
(１０)．陰謀説を内心でとる者が多い。しかし、極右派のように激しくはない。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝陰謀説は、このL@Jではとらない。
しかし、戦略が存在することは事実である。
２０の特色より＝＝＝＝＝＝＝＝＝
最近ブキャナンは、国際ビジネスを認めるリバータリアンに対して「リバータリアンもグローバリストだ」と言い放った。ブキャナンは自分の思想を「エコノミック・ナショナリズム」（経済民族主義）と自己規定した。リバータリアニズムは反ナショナリズムである。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝副島先生は、ブキャナンよりのリバータリアンなのである。
２０の特色より＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
(17)1960年代に「反福祉・反国家統制・反平等主義」を主張して登場したシカゴ学派の"マネタリスト"ミルトン・フリードマン教授の"小さな政府"small Government理論は、リバータリアン思想の経済学の場面を完成させたものであると言ってよい。フリードマンの先生のハイエクの古典的自由主義Classical Liberalismもリバータリアニズム形成に影響を与えた。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝しかし、なぜミルトンフリードマンの本は、故意に出版されていないのか？
ハイエクだけが、あり難がられている今の状況というのは異常だ。
というわけで、L＠Jでは、M.フリードマンの本を断固復活させることにした。
２０の特色より＝＝＝＝＝＝
(14)リバータリアニズムは、1950年代にアイン・ランド女史が、あるべき人間像や社会像を小説や評論文の形で提起した。やがてそれが明確な政治思想の形をとり、共和党の保守的な人々の中でも最もアメリカ人臭い人々の間に広がった。1964年の共和党大統領候補バリー・ゴールドウォーター上院議員をアイン・ランド女史が支持表明したときに、政治勢力として登場した。したがって、共和党主流派の実務エリート官僚層や議会政治家たちに対する反発を暗に秘めている。リバータリアンの中には、共和党支持をやめて、すでに党外に出た人々も多い。漠然とではあるが、現在、アメリカ保守派の中の大きな勢力となっている。この漠然としているところが特徴でもある。
＝＝＝＝＝＝＝＝リバータリアンにおける当時のバリーゴールドウォータの重みというのはかなりのもののようである。
少し前に引用したデビッドフリードマンのコメントにも、バリーゴールドウォータの話が出てくる。
＝＝＝ 以下は訳 ＝＝＝＝
＞あなた（フリードマン）は、ご自身のことをアダムスミスのようにリベラルであり、ゴールドウォータのように保守的であるとも、おっしゃておられました。あなたは、ゴールドウォータの最後のクリントン氏に対する宣言と、pro-life組織を支持しますか？
＞それらのことを言ったのは20数年前のことです。ゴールドウォータ氏のことは以来なにも知りません。私は、クリントン氏の賛美者
ではありませんし、pro-life組織の支持者でもありません。
むしろその件ではその対立的な態度ですね。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
ゴールドウォータの解説は、おくやまさんが、近くレポートを書いてくれると期待しております。(＾＾)
２０の特色から引用−−−−−−
(15)実はアイン・ランド女史の思想は、日本で言えば、ニーチェの思想が果たした役割に似ている。日本でも、強固に個人主義的で、決して社会主義思想になどかぶれなかった人々がいたが、それに近い。ニーチェの強烈な思想のアメリカ版と考えてよい。アイン・ランド自身は、ニーチェは嫌いだと表明したことがある。
−−−−−−−−−−−−ニーチェに対するランドのはっきりとしたコメントのあるエッセイを近く翻訳してトップに載せます。
ランドは、ニーチェに対しては、真っ向から対立するスタンスです。
宇沢弘文先生が、リバータリアニズムについてこのようなことを言っておられる。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝
もともとヴェブレンの考え方は，アメリカの独立戦争の原点であったリベラリズムの考え方に基づいています。リベラリズムは日本では自由主義と訳されていますが，これとはまったく違った意味を持っています。日本語の自由主義は英語ではリバータリアニズム（Libertarianism）です。
リベラリズムというのは，すべての市民が人間的尊厳を持ち，魂の自立を保ち，そして市民的権利を最大限に享受できるような，そういう社会を作ることをめざして学問的研究をする，あるいは運動を展開するというのが本来の意味です。そして，制度資本はその人間的尊厳を守り，魂の自立を支え，すべての国民，市民が市民的権利を十分享受できるような，そのために重要な役割を果たすサービスや物を提供するものなのです。
＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝どうも、宇沢先生というのは、リバータリアニズムを知らないようである。この文化勲章を受賞されたような偉い先生にしては、悲しいことである。
正確さに欠くという意味で間違っている。
しかし、話しは変わるが宇沢先生くらいの人物が、本来、東大の総長になっておくのがふさわしかったのは、間違いない。宇沢氏には、左翼ではあっても、旧き良き時代のエリートの良心のようなものを感じるからである。
＃リバータリアンとしては、宇沢氏の主張に同調は全くできないが。
蓮実重彦という詐欺師まがいの人間を総長に戴いている東大というのは、もはや、横山ノックや
青島を知事に戴いている日本と同じ現象の一つといえる。
> これにはかつて紙幅の都合で単行本未収録の章はついているのでしょうか？もちろん、ついていますよ。
この未収録の章は、トップにある「現代の諸問題」です。
しかし、これのリリースは、来年の２月以降になりそうですね。(＾＾;
アメリカのlibertarianとの違い。
（３）私の技術買ってkれる人には、誰にでも売る。
（４）組合という組織は気に入っている。
（１０）陰謀説は、誰が唱えるかに寄るけど、大体眉につばを付ける。
（１５）私も、若い頃、社会主義、共産主義にかぶれない、馬鹿だった。
（１６）農業者は、あまり好きでなくて、製造業に根ざしている。
（２０）世界が市場であることは、肯定する。
明人さん、日本の自称libertarianの意見です。
＞この本は、近くこのL＠JのHPで、売り出される予定です。
＞お値段は、千円ポッキリの大安売りです。(^^)
＞ただし、電子テキスト形式での販売です。これにはかつて紙幅の都合で単行本未収録の章はついているのでしょうか？
トップに貼りつけてあった、上のリンクが見れなかったので、
GIF形式に変換して確実に見れるようにしておきました。
久々にTOPページをリニューアルをほんの少しやりました。
壁紙は、「大草原の小さな家」関係のHPから無断借用してきた
幌馬車です。(^^;
ついでに、バナーなるものも、作ってみました。
バナーというのは、私はその機能がよくわからないので、サイズだけバナーぽいペイント画という感じですね。(^^;
トップに、「リバータリアン保守思想２０の特色」を貼りつけて
おきました。
猫公爵さんに、感謝します。m( )m皆さん、最低、この文章は読みましょう。
他の論文は、結構むずかしいかもしれないですね。
> アメリカが行っている自然環境の「賢明な利用（wise use）」という考え方は参考になりますが、アメリカのことを言うとわれわれの親分は、「内水面の水産資源が、国の管理する国有財産であり、各州ごとに遊漁（釣り）についての厳しい規則が定められている米国と、公有水面における水産生物に対する考え方（わが国の公有水面の水産動植物は、民法で「無主物」とされている。漁業権の義務として課せられた放流魚といえども、公有水面においては無主物となるので、採った者の所有物となる）が根本的にちがう」と突っぱねます。この「わが国の公有水面の水産動植物は、民法で「無主物」とされている」というのが、いわゆる共有の悲劇となっているということですね。
> こんな事を書くと、明人さんから、そんな組合など潰れてしまえ、とお叱りを受けるでしょう。私も組合などなくなってもいいと考えるものです。ただし、自然資源の維持管理（物質循環と食物連鎖の健全性）は人間が動物である以上、必要な仕事だと考えます。明人さんは、この点いかがですか？ですから、この点を拝見するに、石井さんの主目的は、「自然資源の維持管理」にあるのかなと思うのです。
それと、セットになった地方の経済的な自立ですね。
> あと、当組合員のなかに養殖業者はいません。法律上は養殖業者と一緒くたんにされていますが、囲いのない河川や湖沼にただ魚を放流する養殖業など成立するわけがないのです。ただ、養殖業者のように分類されないと漁業権が付与されないのです。（話がくどくなってすみません）では、みなさん、なにで生活されているのでしょうか？
> 明人さんの指摘するように、公共事業や補助金を出したくても出せない状況はすぐにやってくるでしょう。そうなれば間違いなく地方経済は崩壊するでしょう。これは悪いことではないと思います。何で飯が食えるかを真剣に考えなければならなくなるからです。いまさら、工場がやってくるとかの話は出ないにしても、流行のIT革命で地方の時代が来る、などという現実感は現場に来れば来るほど薄くなります。しかし、都市がなくならないように地方もなくなるわけではないでしょう。自分の持っている財産である自然資源の利用は選択の一つに入るはずです。
私の認識では、地方経済はすでに破壊されているというものです。
公共事業や補助金で地域がすくわれるなんていうことは、有り得ないですし、ごく一部の土建屋が潤う程度でしょう。まあ、地元の人も作業員としてある程度のお小遣いは手に入れられるんでしょうけども、その程度の話ですね。
>
> やはり、私は自然資源の維持管理と経済的活動はセットで考えるほうが良いと考えます。日本はアメリカのような原生自然（wilderness）はありませんが、人間社会と共存できる自然はあります。逆に言えば人の手がある程度入らないと、日本の自然を維持することはできません。この財源はどこから来るのでしょうか？ 私は自然の中で遊ぶ人が、ユーザー負担として払うべきだと考えます。要は、釣り人やハンターです。そのためにも経済的自立及び規模の拡大が必要なのです。地方経済崩壊→人の手が全く入らなくなる→日本にアメリカのような原生自然（wilderness）が出来る。
というサイクルが出来たりして。。（＾＾；ゞ
しかし、自然環境を考える、組織単位として、漁協というのはさすがに小さいなとは思います。
組織が小さいのというより、持っている所有権が漁業権という与えられた認可権の一つしかないという意味ですね。> 日本のレクリエーションの市場規模についてですが、私は余り心配してはいません。ひとつ例をあげます。東京都あきる野市にある養沢毛鉤専用釣り場です。ここは、戦後アメリカの占領軍の将校がニジマス釣りを楽しむためにごり押しで作らせた釣り場で、当時は流域の人たちに猛反対されました。いわゆる自然河川を利用した管理釣り場（管理されている釣り場という意味ではアメリカの天然河川もほとんどすべて管理釣り場）という「釣堀」の一種なのですが、普通の釣堀とは違います。どう違うかというと、流域住民がルールを無視して勝手に魚を獲らなかった、あるいは、部外のルール違反者を許さなかった。このあたりまえのことがほかの釣り場ではあたりまえではないのです。もうひとつ重要なことは、この水域は秋川漁協から借りている格好ですから、売上の何割かを秋川漁協に払っている他は、基本的に収益が自分達の地域のものになるのです。最近では1日4,500円の料金で年間1万人以上の人々が訪れています。その上、川の姿も30年前とほとんど変わっていないということです。アメリカだけに本物のアウトドア・ライフがあるわけではないと思います。
やはり、この「川の姿も30年前とほとんど変わっていない」というところに、大きな市場差別要因があるのでしょうね。
ここでも、教訓は私的所有権が自然を守るということではないですか。＞例えば、漁協が儲かれば近自然型工法の設計や施工も発注できるようになれば、などと夢見ています。また、つりだけで地域経済が廻るとは考えていませんので土建業の方や観光業の方ともつながりを持ちたいと考えております。
実は、コンクリで河岸の埋め立て→”環境”に配慮して取り壊し→近自然型工法で再構築（滅茶高の工事費用らしい）という魔の公共事業サイクルが産まれているようです。
ですから、漁協が儲からなくても、近自然型工法は、陳情すれば何とかなるかもしれないですね。>
> 今週は朝が早いもので、明人さんの興味のあるアメリカの私有のことについては改めて書きます（といっても大して知っているわけではありません）。あしからず。
>それでは、よろしくお願いします。
私は、機械の技術士ですが、大宮の野本くん、nomoto@cea.or.jp が、河川の専門家で、多分石井さんと、午が合うんじゃないかな。
メールを差し上げたのは、多分野本君です。
私みたいな、門外漢でも、昨秋ドライブした、釧路湿原や、紀州の大台ヶ原は、すばらしいレクリエーションを、提供できますよね。
ディズニーランドが、アトラクションなんてのは、情けないと、思いませんか。
アメリカ人みたいに、ビジネスプランを提案して、投資家を募って、レクリエーションを、ビジネスにして下さい。
森田さん、以前はメールを頂き、ありがとうございました。
森田さんが仰るように、内水面（湖沼・河川）漁業の生き残る道は１次産業ではなくレクリエーションの機会を提供する３次産業への転換だと私は考えます。
アメリカが行っている自然環境の「賢明な利用（wise use）」という考え方は参考になりますが、アメリカのことを言うとわれわれの親分は、「内水面の水産資源が、国の管理する国有財産であり、各州ごとに遊漁（釣り）についての厳しい規則が定められている米国と、公有水面における水産生物に対する考え方（わが国の公有水面の水産動植物は、民法で「無主物」とされている。漁業権の義務として課せられた放流魚といえども、公有水面においては無主物となるので、採った者の所有物となる）が根本的にちがう」と突っぱねます。
来年に漁業法が37年ぶりに改正されますが、内水面に関しては大きくは変わらないようです。水産庁の目的は、200海里以外での商業漁業が大幅に制限される（事実上ほとんどできないようです）ために遠洋で操業していた漁船と今までの沿岸漁民の住み分けを考える（要はここも3次産業にシフトする可能性がある）ことのようです。私の所属する第5種協同漁業権が設定されている内水面に関しても、漁業権を入札制にするとか、運営の企画を出して優れたところに漁業権をあたえる、とかいう提案もあったようですが、最終的には漁協の反対でつぶれました。
こんな事を書くと、明人さんから、そんな組合など潰れてしまえ、とお叱りを受けるでしょう。私も組合などなくなってもいいと考えるものです。ただし、自然資源の維持管理（物質循環と食物連鎖の健全性）は人間が動物である以上、必要な仕事だと考えます。明人さんは、この点いかがですか？
あと、当組合員のなかに養殖業者はいません。法律上は養殖業者と一緒くたんにされていますが、囲いのない河川や湖沼にただ魚を放流する養殖業など成立するわけがないのです。ただ、養殖業者のように分類されないと漁業権が付与されないのです。（話がくどくなってすみません）
明人さんの指摘するように、公共事業や補助金を出したくても出せない状況はすぐにやってくるでしょう。そうなれば間違いなく地方経済は崩壊するでしょう。これは悪いことではないと思います。何で飯が食えるかを真剣に考えなければならなくなるからです。いまさら、工場がやってくるとかの話は出ないにしても、流行のIT革命で地方の時代が来る、などという現実感は現場に来れば来るほど薄くなります。しかし、都市がなくならないように地方もなくなるわけではないでしょう。自分の持っている財産である自然資源の利用は選択の一つに入るはずです。やはり、私は自然資源の維持管理と経済的活動はセットで考えるほうが良いと考えます。日本はアメリカのような原生自然（wilderness）はありませんが、人間社会と共存できる自然はあります。逆に言えば人の手がある程度入らないと、日本の自然を維持することはできません。この財源はどこから来るのでしょうか？ 私は自然の中で遊ぶ人が、ユーザー負担として払うべきだと考えます。要は、釣り人やハンターです。そのためにも経済的自立及び規模の拡大が必要なのです。
日本のレクリエーションの市場規模についてですが、私は余り心配してはいません。ひとつ例をあげます。東京都あきる野市にある養沢毛鉤専用釣り場です。ここは、戦後アメリカの占領軍の将校がニジマス釣りを楽しむためにごり押しで作らせた釣り場で、当時は流域の人たちに猛反対されました。いわゆる自然河川を利用した管理釣り場（管理されている釣り場という意味ではアメリカの天然河川もほとんどすべて管理釣り場）という「釣堀」の一種なのですが、普通の釣堀とは違います。どう違うかというと、流域住民がルールを無視して勝手に魚を獲らなかった、あるいは、部外のルール違反者を許さなかった。このあたりまえのことがほかの釣り場ではあたりまえではないのです。もうひとつ重要なことは、この水域は秋川漁協から借りている格好ですから、売上の何割かを秋川漁協に払っている他は、基本的に収益が自分達の地域のものになるのです。最近では1日4,500円の料金で年間1万人以上の人々が訪れています。その上、川の姿も30年前とほとんど変わっていないということです。アメリカだけに本物のアウトドア・ライフがあるわけではないと思います。
しかし、特殊な背景でできた釣り場のため、このような釣り場経営は他ではできていません。河川は、河川管理者としての建設省、農業用水・工業用水・上水道として農林・通産・厚生省、環境保全や教育の場として環境庁・文部省と利権の巣窟で漁協などはゴミみたいな存在です。しかし、私は学者でも物書きではないので、漁業権という権利を盾に実務をするしかありません。
そこで、森田さんのような技術士（土木関係と記憶しておりますが間違っているでしょうか）の方や経済学をご専門にやっておられる方のご意見も伺いたいと思います。例えば、漁協が儲かれば近自然型工法の設計や施工も発注できるようになれば、などと夢見ています。また、つりだけで地域経済が廻るとは考えていませんので土建業の方や観光業の方ともつながりを持ちたいと考えております。今週は朝が早いもので、明人さんの興味のあるアメリカの私有のことについては改めて書きます（といっても大して知っているわけではありません）。あしからず。
「国家とは国語である。それ以外のなにものでもない」というシオランの定義は、意味深い。
これは、「国語以外のものは国家ではない」＝「政府は国家でない。」、「法律は国家でない」、「軍は国家でない」、「土地や国境は国家でない」といった、もろもろの系も含んでいるわけです。
リバータリアニズム的な国家観とは、「国家とは国語である。それ以外のなにものでもない」という方向にありそうです。
誰も国語という歴史的環境の存在は否定しないでしょう。
＞しかし、日本の赤字は今、６５０兆円あって、GDP（約５００兆円）の１．３倍あるそうです。
このままのペースで行くと２００８年くらいには、国家破産するらしいです。
それを回避するために、公共事業は、政治家がやりたくても出来ない状況に、そのうちなるでしょう。
最悪のシナリオとしては、大幅な増税（消費税３５％が目標らしいです）することで、この公共投資サイクルを延命化することにあります。
しかし、リバータリアンとしては、ここは、増税でなく、川や海の国や自治体管理の公共物を民間に売って、私有財産にするという循環で切りぬけるべきと思いますね。しかし、これも大事ですが、もっと好ましい赤字解決の方法としては
今現在６０−７０兆円程度ある税金を全てプールして、国や自治体は一切合切なにもやらない。職員もほぼ全て解雇するという措置が
いいですね。こうすれば、十年程度でなんとかなる計算になりますね。(^^)
＞だから、特定の水面で養殖漁を営む権利のようなもので、その一部を釣り人にも釣らせて上げますよ、という発想でできています。なるほど組合員は、養殖漁で生活しているんですね。
＞組合員になるためには、当地に住んでいること、年間30日以上漁を営むこと（漁師を対象にしているのですから）が条件になります。収入源は、組合員による部課金と釣り人からの遊漁料です。補助金はもらっていません。
補助金はでていないのですね。すこし安心しました。(^^;A＞経済的に自立しているかどうかについてですが、赤字にはなっていないというレベルの組合が内水面の漁協のほとんどではないでしょうか。役員報酬も非常に低いというか、給料が出せるほど儲かっていません。
赤字になっておらず、わずかばかりの黒字が出ていて、「養殖漁を営む権利のようなもので、その一部を釣り人にも釣らせて上げます」という形で、本業の養殖漁もうまく行っているんであれば、申し分ないではないですか？
＞確かに、明人さんの言うように、形骸的組織はなくなれ、という意見は正しいと考えますが、漁協をなくすだけでは問題は解決しません。漁協に変わる受け皿はまだありません。漁業によって生計を立てる人がいなくなった内水面漁業において、現実と法律は遊離した状態ですが、現状でも経営的に成功している例はあるのですから。
現在、日本で漁業と言うのは、 経済的にはほとんど成り立っていない状況だろうと思うんです。
その中で、レジャーフィッシングだけで大きく儲けるのは、難しそうですね。
地の利とかで、儲けられる規模とかは、マーケティングされるんでしょうし。
＃河口湖で、利益があがっているのもあの一帯がレジャー地帯だからでしょう。
しかし、海辺や川辺というのが日本では、既にほぼ完璧に破壊されてしまっています。
だから、日本のアウトドアレクリエーションというのは、アメリカの半分どころか
１/１０以下しかないということもありえますよね。少なくとも、アメリカのような
ほんとのアウトドアライフを楽しむということは、ほとんど誰も出来ていないだろうと思います。
多摩川あたりに４ｗｄで行って、バーベキューをして帰ってくるというのが、
東京近辺の典型的なアウトドアライフというお寒い状況でしょうね。
そもそも、子供が遊べる川とか野原なんてのは、田舎に行っても、今はあまり
ないのではないかと思うんです。
私はアメリカに行ったとき、自然を手付かずの状態で保存するというのに、随分と神経を
使っているなと関心しました。日本だと少しでも危なそうな場所があれば、柵やらが
かならず作られていますからね。こういうお金はどこから出ているのかしりませんが、そういうふうに人間を徹底的に子供扱いするのが日本の特徴と思います。これが日本の福祉という言葉の意味です。＞我々の目的は、自然を守ることではありません。しかし、水と土壌などの物質循環がうまく機能しないと魚は増えません。同じ釣るなら、きれいな景色の中で釣りをしたいというお客さんのニーズもあります。だから、自然を守ることも必要になります。経済行為に自然保護もくっ付いているので分けては考えられません。
しかし、ここは分けて考えるべきなんではないでしょうか。
目的がはっきりしないと何を言っているのかわからないです。
手法はどうであれ、自然を手付かずの状態で守るというのが、石井さんの目的なのではないのですか？
それと同時（ついでに？）に、レジャーフィッシングでも儲けたいということなんでしょうけども。
まあ、これはどっちが先でも構わないのですが。
つまり、推察するに、石井さんの話しで自然を守ると言うのは、自然破壊や景観を破壊する公共事業工事をさせないことなんではないのですか？
つまり具体的には護岸工事で川をコンクリートで固めないとか、ダムを作らせないということですね。
そして、そうしたほうが、自然景観も維持され、レジャーフィッシングという経済の上でもよい条件になるということなんではないですか。私が、アメリカの現状で知りたいと思うのは、川や海岸線というのが、どのくらい私的所有物になっているのかという点ですね。日本の場合、特に川や海岸線というのは、昔から公共物とされてきて、私的所有の対象になっていなかったために、特に戦後、盛大に公共投資の餌にされてきたのだろうとは思います。
しかし、日本の赤字は今、６５０兆円あって、GDP（約５００兆円）の１．３倍あるそうです。
このままのペースで行くと２００８年くらいには、国家破産するらしいです。
それを回避するために、公共事業は、政治家がやりたくても出来ない状況に、そのうちなるでしょう。
最悪のシナリオとしては、大幅な増税（消費税３５％が目標らしいです）することで、この公共投資サイクルを延命化することにあります。
しかし、リバータリアンとしては、ここは、増税でなく、川や海の国や自治体管理の公共物を民間に売って、私有財産にするという循環で切りぬけるべきと思いますね。
石井さん、初めまして、森田裕之といいます、技術士協同組合の理事長もしています。
石井さんのアメリカリクリエーション情報と、日本の漁業組合の立場の話が、もう一つ、分かりにくいのですが、石井さんのお考えは、日本の、漁業組合が、組合メンバーも、漁業者と言うよりも、リクリエーション目的の人に、変わってきたので、顴骨奪回して、アメリカのような、リクリエーション産業に、方向転換すれば、結果として、新しい産業が生まれるし、環境も保護される、と言うことでしょうか？
私の、LAに住む孫娘が、今年始めて、サマーキャンプに参加して、大いに、成長したと、感心したので、関心があります。
漁業組合の組織は、水産業協同組合法及び漁業法によって規定されています。漁協は都道府県知事より漁業権の免許を受けています。漁業権の一般的意義は、特定の水面において特定の漁業を営む絶対権であって、行政庁の免許によって設定される権利である、とされています。具体的には、定置漁業権（定置網による漁業を営む権利）、区画漁業権（いかだによる海苔の養殖、いけすによるハマチの養殖）、協同漁業権（一定地区の漁民が、一定の水面を協同に利用して営む漁業権）に分かれます。
我々の組合は、協同漁業権の第5種協同漁業（河川、湖沼という内水面でなされる漁業）に分類されます。なぜこのような法律ができたかと言うと。わが国の公有水面の水産動植物は、民法で「無主物」とされているため、漁業権の義務として課せられた放流魚といえども、公有水面においては無主物となるので、採った者の所有物となる。この不合理を解消するために、漁業法第129条で以下のような漁業規則の規定が設けられた、とあります。
だから、特定の水面で養殖漁を営む権利のようなもので、その一部を釣り人にも釣らせて上げますよ、という発想でできています。第5種協同漁業権が設定されている内水面で釣りをするときは、漁協が定めた遊漁規則の遵守と、遊漁料を支払いと資源維持に対する義務放流がセットになっています。
組合員になるためには、当地に住んでいること、年間30日以上漁を営むこと（漁師を対象にしているのですから）が条件になります。収入源は、組合員による部課金と釣り人からの遊漁料です。補助金はもらっていません。
経済的に自立しているかどうかについてですが、赤字にはなっていないというレベルの組合が内水面の漁協のほとんどではないでしょうか。役員報酬も非常に低いというか、給料が出せるほど儲かっていません。同じ非営利団体とはいえ、農協などとはぜんぜん違います。ただし、芦ノ湖漁協などは専従の職員を何人も雇えるほど経済的に自立していますし、河口湖漁協などは、ブラックバスを漁業権魚種に認定して年間2億円以上もの収入を上げています。
確かに、明人さんの言うように、形骸的組織はなくなれ、という意見は正しいと考えますが、漁協をなくすだけでは問題は解決しません。漁協に変わる受け皿はまだありません。漁業によって生計を立てる人がいなくなった内水面漁業において、現実と法律は遊離した状態ですが、現状でも経営的に成功している例はあるのですから。
我々の目的は、自然を守ることではありません。しかし、水と土壌などの物質循環がうまく機能しないと魚は増えません。同じ釣るなら、きれいな景色の中で釣りをしたいというお客さんのニーズもあります。だから、自然を守ることも必要になります。経済行為に自然保護もくっ付いているので分けては考えられません。
本当なら、自然の再生産だけで水産資源を利用できれば、儲かるのでしょうが（我々は法律で非営利団体に区分される）、そうすると義務放流を行っていないということで漁業権は認められなくなってしまいます。これは矛盾していると、私も思います。
すみません、こんなので答えになっているでしょうか？
こんばんわ。
明人と申します。
マイナーな掲示板なので、いつも私がレスさせてもらってます。(^^;まず、質問なのですが、石井さんの所属しておられる漁業組合というのは,一体どういう組織なのですか？
アメリカの現状よりも、まず、そちらのほうが知りたいですね。
市場経済重視であれば、経済的に自立できていない組織、補助金で辛うじて存続してるような形骸的組織は、そもそも存続すべきではないと私は考えます。漁業組合で、自治体や国から補助金を受け取りながら、その他の収入で生計をたてていれば、だれも組合の経済的自立などは、考えないでしょうね。
また、そもそも石井さんのポストでは、自然を守るのが目的なのか、組合の経済的自立を考えるのが目的なのか、質問の意図がわかりかねます。
あまり、一度に質問するのもなんですので、まず上の点について、できればお答え下さい。
はじめまして、副島先生に市場経済重視派の環境保護運動家として取り上げていただいた、漁業組合の理事をしている石井利明です。
現在の組合の課題は経済的自立だと考えていますが、安く釣りをするために組合員になる、という現状のために経済的自立を本気で考えている人は少数です。そこで、この掲示板に投稿して皆さんのお知恵を拝借できたらと考えました。
まずはじめに、経済的自立のかぎとなる事実としての市場規模から報告したいと思いましたが、残念ながら私が知る限り、日本国内において使えそうな統計資料がありません。以下にはアメリカの統計を挙げます。何でもアメリカの半分、というシンプルな思考を使えば、日本にも巨大な市場があることが分かります。その巨大な市場と政治との接点として大統領令も付け加えてあります。
内容は『川の自然を生かす アメリカのレクリエーション』（財）日本生態系協会から抜粋しました。
国情が違うアメリカのことですが、役に立つことは利用すればよい、と私は考えます。
以下本文です。国民経済に占めるレクリエーションの位置
アメリカは、原始的自然環境でのレクリエーションに対する要望が強い国です。内務省魚類野生生物局（USFWS）は、釣り、ハンティングなどのレクリエーションの機会を人々に提供することをひとつの目的に設置された行政機関です。USFWSは、自然環境の「賢明な利用（wise use）」に配慮したレクリエーション供給計画を実施していくために、基礎資料として、アメリカ社会におけるレクリエーションに関する全米実態調査を1955年から5年ごとに行っています。以下の資料は、1996年の調査の数字です。
アウトドア・レクリエーションの１６歳以上の人口は、合計７，７００万人。その内訳は釣り3,520万人、ハンティング1,400万人、自然観察6,290万人。
アウトドア・レクリエーションの支出総額は、1,012億ドル。釣り378億ドル、ハンティング206億ドル、自然観察292億ドル、その他135億ドルとなっています。
釣りに関する支出の内訳は、51％（192億ドル）がボートや釣竿、服などの装備代金、41％（154億ドル）が食費や宿泊費、交通費などの旅費、9％（32億ドル）がライセンス料や土地のリース料などです。レクリエーショナル・フィッシングは、アメリカ社会において、文化的、国民経済的に、いまや重要な位置を占めています。「文化的」とは、人々が自然の事物について学び、環境倫理を実感をもって身につけると言う意味であり、「国民経済的」とは、釣り道具など約380億ドル規模の市場が形成され、130万人以上の雇用が創出されている事実を指します。
しかし、その一方、魚類生息環境の直接的破壊、水質汚染、河川横断工作物の設置、また利用者の混雑などが原因で、レクリエーショナル・フィッシングを行える場所は、全体的に限られてきています。
レクリエーショナル・フィッシングに関する連邦政府としての戦略は、これまでにも出されてきましたが、1995年6月に大統領命令が公布されたことによって、改めてこれが本格化することになりました。大統領命令 第12962号 レクリエーショナル・フィッシング
Executive Order 12962 Recreational Fisheries
憲法及びアメリカ合衆国の法律が大統領としての私に与えている権限に基づいて、…全米的に高まりつつあるレクリエーショナル・フィッシングの機会への要望にこたえるため、水域システムを保全し、復元し、その価値を高める必要があることから、私は次のことを命令する。第1条連邦政府機関の責務
連邦政府機関は、要望が高まりつつあるレクリエーショナル・フィッシングの機会を提供するために、…州政府及び部族と協力しながら、次の各号に掲げることを通して、アメリカ合衆国における水産資源の量、機能、持続可能な生産性及び分布状況を改善しなければならない。
以下省略。次は水利権のことについて書き込みたいと思います。
昨年北大であった、学会の後の見学会で、展示室に、明治の農学校当時の、先生のノートや、学生のノートが、展示されていました。
私の知っている名前は、中谷宇吉郎、雪の博士や、茅誠司東大総長のノートで、全部英語でした。
北大の先生に聞いたら、当時は、先生も、生徒も、英語で勉強していたそうです。
農学校で、天文学や、数学の英語の教科書をみたのは、驚きで、感動しました。
明治の先輩方は、理科系も、文化系も、すごく勉強していたんですね。
＞しかし往々にして、科学者の中でも、科学的でない「科学主義」者が分際を越えた発言をしていることが多く、まさに対局にあるとはいえトンデモオカルトエセ学者どもとイソモルフィックな構造を作っているようにも思います。これは、ほんとに同感です。
馬鹿みたいに単純化したお馬鹿なことを真面目に言う連中、つまり「科学的でない「科学主義」者が分際を越えた発言をしている」ことがマスコミにはよく出てきます。
これは、頭の切れがどうのこうのという以前に、ちょっとやはり
ほんとに馬鹿なんじゃないの？という気がしてしまいますね。(^^;
それこそニュートン物理？で世の中の全てを切るみたいな感じのことをいう連中ですね。話しは飛びますが、ちょっと前に、科学者の社会的責任論というのが、はやったことがありました。
あれは左翼系の学者による煽動的な議論でした。
ああいう議論にころっと参ってしまう、理系の連中のうぶな感覚というのは、オウムに走った優秀な理系の学生と同じものなのかなと思います。＞取りあえずは理系の人間は文系的素養が豊かであることを誇り、文系の人間は理系的素養を誇るような健全なスノビズムに期待するしかないのでしょうか。
私はこの健全なるスノビズムを支持したいですね。(^^)/
> しかし私は「リバータリアニズム入門」単行本を入手したいのですが、未だに適いません。版元品切れのようですね。洋原著を買ってゆっくり読むのも、図書館から借りてコピーするのも吝かではないのですが、先生の訳書を入手できるに越したことはありません。
>
> 地方都市の大きな書店で売れ残っているのを見つけるしかないのでしょうが、他に何か入手に関してお知恵拝借できませんでしょうか？ 先生の本で未入手なのはあれだけなんでこだわっているのですが（笑）。この本は、近くこのL＠JのHPで、売り出される予定です。
お値段は、千円ポッキリの大安売りです。(^^)
ただし、電子テキスト形式での販売です。
よろしかったら、これをお求めになってください。
「今日のぼやき」を見てきました。う〜ん、不思議です。
横尾さんに関する先生の書き込み中に「大阪に……巨大書店にも先生の著書はまったくみ置かれていない」とありましたが、「へっ？」という感じでした。大阪なら、巨大書店、たとえばジュンク堂難波店なら、棚に先生のコーナーがありますし、α文庫の棚には「〜知識人たち」もありますが。しかし私は「リバータリアニズム入門」単行本を入手したいのですが、未だに適いません。版元品切れのようですね。洋原著を買ってゆっくり読むのも、図書館から借りてコピーするのも吝かではないのですが、先生の訳書を入手できるに越したことはありません。
地方都市の大きな書店で売れ残っているのを見つけるしかないのでしょうが、他に何か入手に関してお知恵拝借できませんでしょうか？ 先生の本で未入手なのはあれだけなんでこだわっているのですが（笑）。
えっと槌田氏の例の本ですが、旧JICC出版＝宝島社からの単行本は絶版だと思いますが、確か宝島社文庫から再版されていたと思うのですが、そちらも絶版でしたか？改訂版の文庫のほうは、氏のリサイクル批判に反論を持つ「リサイクル文化」誌に集うような環境左翼との対決シンポの分が確か補遺として付け加わってたように思います。
氏や室田氏などへのご意見には私も基本的に同意見です。何でもかんでも「開放定常系」でしたからね（笑）。
皆さんのおっしゃる通り、分かる範囲出来る範囲を明確にするのは科学者の良心であり、責任であると思います。しかし往々にして、科学者の中でも、科学的でない「科学主義」者が分際を越えた発言をしていることが多く、まさに対局にあるとはいえトンデモオカルトエセ学者どもとイソモルフィックな構造を作っているようにも思います。
「科学者は最悪の哲学を選びがちである」（アルセチュール）という言葉は、科学者が自己の専門領域をひとたび離れて社会的文化的発言をすると、凡庸な思想に陥りがちな傾向を揶揄していると思います。
副島先生も書き込みでそのようなことをおっしゃってたと思います。確かに日本の文系の人間は馬鹿が多いと思います。しかし逆に、立花隆ごときに言われるのも何だかなですが、氏が「東大講義」で言っていた、文系に科学の素養が余りにないのと同じく、理系の人間にも人文・社会的な素養がなさすぎるというのも確かです。日本の科学者養成のシステム自体が、サイエンティストではなくテクニシャンを作るレベルでしかないからでしょうか。
先生の言われるように、人文なんて基礎であり人文科学といううローカルな言い方は通用しないにしても、例えばアメリカなら医学部は（看護学部も）大学院大学だから、理系は勿論にしても人文系学部や社会科学系学部を優秀な成績で卒業していないと（＝人間and/or社会に対して何らかの洞察を持っていないと）、医師＝科学者としての専門教育を受けさせてもらえないようになってますよね。科学者専門家共同体の持つ科学知も普通の人間の生活世界に基盤を持ち、独立したものではないからで、まして人間相手の仕事ですから。日本のように人間は相手にできないは、院内処方丸覚えで生化学知識はいいかげんで下らん医療ミスを生み、救急医療の基本も出来ない大量の医師を生み出す馬鹿げたシステムとは大違いです。
それを旧制高校的教養主義と揶揄される向きもありましょうが、取りあえずは理系の人間は文系的素養が豊かであることを誇り、文系の人間は理系的素養を誇るような健全なスノビズムに期待するしかないのでしょうか。でも今の大学生を見ているとその期待も空しいように思えてきますが（泪）。
ところでアメリカの特許保護＝非公開期間が日欧に比して長くなってるということは、タカリで喰おうとしているようなアンフェアさ（笑）や国家戦略としての競争力温存を感じるのですが、それは間違いですか？ また公平さも「金になりそうなモノには投資する」という現実的な気質さの反映という面が大きいようにも思われますが、これも違ってますか？
でも、日本より風通しの良い面は確かにありますよねぇ……。
> 副島先生を知る前は、単純に、アメリカの技術者の方が、フェアで、独創的な物を、評価してくれる、とありがたがっていました。
> 覇権国ー属国の図式で、見直すと、私は相当な馬鹿技術者です。しかし、実際、ほんとに「アメリカの技術者の方が、フェアで、独創的な物を、評価してくれる」のは事実なんではないでしょうか？
「覇権国ー属国の図式で、見直すと、私は相当な馬鹿技術者です。」
とおっしゃる意味が私にはよくわかりません。(^^;
機械物では、試作の評価や、ユーザーにまず使ってもらうのに、アメリカでやることが、成功率高いです。
日本で特許をとっても、アメリカで商品化して、逆輸入するケースが、案外あるんです。
副島先生を知る前は、単純に、アメリカの技術者の方が、フェアで、独創的な物を、評価してくれる、とありがたがっていました。
覇権国ー属国の図式で、見直すと、私は相当な馬鹿技術者です。
＞将来の最善の場合でも彼らの衝突の間隙を縫って「漁夫の利」を得ようとするしか属国日本の取る道はない日本というのは、どうもアメリカの外圧そのものが政治利権になっているようですね。
アメリカに対し、悔し涙を流す人もいるでしょうが、同時にそれで潤っている利権団体も確実に存在します。
日本が属国でどうアメリカに対抗しようかという以前に、そういう恥知らずな田舎政治家しかいない日本という国そのものの、度し難い野蛮な後進性が全ての諸悪の根源ではないかと思いますね。
下に引用したD.フリードマンのインタビューは、分かりやすいもの
ですが、誰か翻訳してくれませんか？
これも、トップに貼りつける予定なのです。David Friedmanというのは、実に重要なリバータリアン経済学者の一人です。
＞科学者の社会的責任なるものは、事実を徹底的に追及し、それを伝えることにしかないと思います。この場合の「事実」なるものは、単に科学的なデータだけでなく、
なになにに関する解釈が正しいか正しくないか？
というものであってもいいですね。
ここまでは言えるが、これ以上は推測であるとか
そういう区別をきちんとさせるのも、科学者の役割の一つじゃないかと思います。
それが、全く出来ないのがマスコミのような下等な連中どもです。
世にはびこる勝手な間違った解釈を正すのも科学者の役割だと思いますね。
中国の話がでたので、私の親父の話を一寸だけ。
70年くらい前、私の親父は、埼玉県の補助金をもらって、上海の同文書院という、日本が作った学校を卒業、満州中央銀行という、日本の作った銀行に勤めて、私と、弟が現地で生まれました。
終戦の一週間前に、ソ連兵が現れて、即日奉天と言うところへ逃げて、1.5年暮らしてから、日本に引き揚げました。
親父のとっさの判断で、銀行のお金を、子供達の服に縫い込んで、逃げたので、戦後子供達が沢山売られていたにもかかわらず、子供心には、何事もなく、引き揚げてきました。
銀行のお金を、みんなで分けちゃった話は、ほんの5年ほど前に、お袋から聞きました。
親父の卒業した、同文書院は、沢山本を残しているので、彼らの考えていたことは、良く分かっています。
今日、アメリカにむしり取られていることが、わかり始めた、日本人が、親父達と同じように、大東亜共栄圏だ、という人が増えてきたよに思えます。
私は、なるべく中国、韓国には、寄りつかないで、生きてきましたが、若い人たちは、歴史をよく勉強してから、外国とつき合った方がいいですよ。
私は、出稼ぎというコンセプトを、粉砕できるのは、libertarianismしかないと、結論ずけています。
>揶揄されるのも何だかなぁなですが（笑）。こんばんわ。
いや、とんでもない。
私は、猫公爵さんを全然揶揄なんかしていませんよ。(^^;;
私の対応が冷やかしのようにとられてしまったようですが、そうではなく、炭酸ガス問題というのは、ある種の人間文明にたいする最終的なガン宣告のようなもので、そういう終末感というのが、ある意味でおもしろい話しとして受け止められているということを一般論として言ったまでです。
ところで、ご推薦してくださった２冊の本は本屋で探してきました。
槌田さんの本は既に絶版でしたが、森の方は手に入りました。
事実がまだあまりよくわかっていないところで、ああだこうだと結論を急いでいるかのような主張が、環境問題では多過ぎるように思うわけです。
科学者の社会的責任なるものは、事実を徹底的に追及し、それを伝えることにしかないと思います。その点、槌田さんにせよ、室田武にせよ、あまりに軽率な市民運動家のように思います。そういう人間を私は昔から決して良心的な人間とすら思ったことはありません。
ちなみに、中国の生活水準が無論、全体的には日韓並になるとは思ってません。アジア情勢もありますし。ただ今開放地区やいくつかの大都市周辺で起こってることがある程度広がるのは確かで、たとえ1/8が変化しても１億ですから、大変なのは大変で、可能世界的論議です。そして、もちろん穀物メジャーの支配の話は、副島先生が言われるグローバリストの仕掛ける「実物経済への移行」という面で考えているのですが……。
さらに階層間倫理と書いたのは、マクロ的には（力の差のある）国家間のことでもあり、ミクロ的には民族・宗教・人種などを反映した諸階層を意図してます。
環境関連の会議も含めて、突き詰めれば種々の資源分配に関わる国際会議の類は、何か見ていて空々しく、そして空しい気がします。取りあえず米欧の対立する局面は見ていて愉快ですし、（環境庁長官がグローバリストのコントロール下にある現状では）将来の最善の場合でも彼らの衝突の間隙を縫って「漁夫の利」を得ようとするしか属国日本の取る道はないのでしょうが、時に私は米欧の対立も大きな補完構造なのではないかという疑念にも襲われるのですが。私のような馬鹿の思いつきにすぎないのですが、副島先生やみなさんはどうお考えなのでしょうか。単なる悲観主義でしょうか。
槌田氏を権威と言ったのは確かに言い過ぎでしたか（笑）。かつて一部で権威とされていたぐらいのほうが正確なのでしょうが。氏のお仲間で経済学とエントロピー理論を結合していた方が居られましたが、今や見る影もありませんが、不正確＝やや文系的な思想に流れたとすれば、悪しき影響を受けてたのでしょうか。
ただ、厳密に言えば科学的正確さを欠く場合があり、かなり極端な意見をおっしゃる場合もありましょうが、エントロピーの法則を無視したリサイクル運動（まさに文系的な左翼運動のなれの果て）に水を差した功績を私は評価しているのですが。最近は別の方の著書のせいもあって、最近やっとゴミの分別が無意味だということも知れ渡ってきたようですが。行政が税金の無駄づかいをしている好例ですし、なかなかリバータリアニズム的だと思ったのですが、どうでしょう？
また太陽電池発電にも、生産時の環境汚染、投入資源（石油換算）と償却までのエネルギー産出量のバランス、発電所＝大規模化したとき＝広域なパネルの掃除のコストまで語って、環境左翼（学者＆推進派）の論理の矛盾を付いたのは痛快だったのですが。それから二酸化炭素濃度が増えた増えたと騷ぐ者への冷や水として、悪役視されてる二酸化炭素も増えればそれに伴って光合成の結果、生産量も増えてるという程度の科学的事実の指摘であって、それはまさに森田さんの書かれた通り応用されてます。農産物の収量増加には化学肥料・農薬などの恩恵に加えて、二酸化炭素濃度も影響があるというだけで、別にそれが全てだとか、その全てを担うほど濃度が高いとか言う話はされていません、沈没した潜水艦じゃあるまいし（笑）、私は健康科学専攻なので勿論二酸化炭素中毒の知識くらいありますし。
それから、要するに氏がそういうことを書いているという事実の指摘であって、私は全く同意見だとも何とも書いてないのですが。それからパラダイム論を持ちだすまでもなく、科学知識は価値中立的ではあり得ない訳で、トンデモな疑似科学は論外としても、それ以外の立場で主流・非主流というだけでは、将来的な正しさまでは補償されない訳ですから、温室効果関連（理学部的のみならず、工学部的＝護岸土木関連産業まで）で、最新知見ではどういう説がいくつあり、そしてそれぞれがどういうところから研究資金が出ていて、どんな政治的背景を持つのかを様々な方面から指摘していただければ嬉しいわけなんですが……。それから最後の話をそう簡単に陰謀理論やヨタ話の類と同一にされると涙が。資本主義のドライブが存在するには資本主義化されない「外部」が必要なわけで、かつては商人資本主義＝遠隔地交易＝空間的差異を元に利潤を得ていたのが、現在では技術革新、いわば時間的差異を元に利潤を得て発展しているわけです。これはグローバリストの人為的操作に関わらず、資本主義世界の基本です。
中国が政治は共産主義、経済は資本主義とけったいな折衷をしておりますが（笑）、今やウルトラマンの再放送が高視聴率を取る一方で、携帯電話も使われています。確かに国土が広大で貧富の差が激しい訳で、短期的な問題ではないですが、何年か遅れで、かつての日本や韓国の生活水準に近づいていることは確かです。
昔、学生運動を初めとする社会運動は国民平均所得が、何ドルか忘れましたが一定額に達したとき起こると欧米の研究で数値が公表されていました。「立て、飢えたる者よ」どころか飢えていては立つこともできず、まさに社会主義が好況期の思想と揶揄された所以です。無論「日本の秘密」で副島先生も書かれたように、日本の安保運動も米グローバリストのコントロール下にあったことは確かですし、他国でも同様であったことは論を待ちませんが、それすらある程度の生活水準（結果としての知的水準も含む）があってのコントロールですし。実際、韓国のそれは日本のそれとドルベースで同額になったときに起こっています（笑）。
話が若干それましたが、中国も別に米国に留学したトップがグローバリストに洗脳されているという話に関わらず、いかな中華思想の国とはいえ、一方で民衆レベルで欧米風の生活文化に感染症のように文化侵略されてることは確かです。その拡大が、我々の側で資本主義的消費文化の拡大が環境破壊をもたらしているように、同様にそれが10億もの国民を有する国のレベルでで行われたとき、どうなるかという問題を指摘しただけです。実際、米国のハンバーガーのせいでアマゾンの森林破壊もされ、日本人のエビの大量消費のせいで、東南アジアのマングローブ林が破壊されてきたではないですか。中国でも水俣病が起こっているわけですし……。歴史は繰り返すわけですし。
科学的データからすれば、普通の人間のタンパク質の廻転から考えれば、アミノ酸スコア100のタンパク質換算で、人間は体重の1/1000ｇの摂取で十分なわけで、即ち体重60kgなら60ｇでいいわけです。即ち、何キロも肉を喰うことは身体の負担となる全くの無駄であり、その分の飼料穀物を飼料としてではなく食料に回せば、世界から飢えて死ぬ人間はいなくなる訳です。ホントにグローバリストが人権派なら食肉量を半分にすればいいわけです。別にアニマル・ライツ派に遠慮せずに（笑）
しかしそれを不可能にしているのが、欧米人が馬鹿みたいにモノを喰うあの習慣と、（無論グローバリストと関係ある）シカゴで蠢く穀物メジャーの思惑であるわけでしょう。その意味では、狂牛病騒ぎは欧米人にはいい気味です。これをフライドチキンでプリオンが感染するという悪意ある話にしてアメリカ人に恐怖を振りまいた（笑）のが、あのX-Filesで、それがタイムワーナー系なのは、思想的にも副島先生が言われるように偶然ではないように思います。
ちなみにご存知かも知れませんが、ローマ・クラブというのは、欧米両方のグローバリストの集まりだったはずです。中身は、仕掛けている側が書いたにしてはカマトトに思えましょうが（笑）、地理的フロンティアが無くなるのはグローバル化の行方として当然ですが、資源が有限なのだから、その分配獲得をめぐって地政学的問題と絡んで、特に21世紀には種々の問題が起こり得るのは、いわば常識なのではないのですか。要するに、環境倫理＝世代間倫理（垂直的）であり、それをもじって言えば階層間倫理（水平的）な問題でもある訳です。無論、前回の私の投稿のレベルが低く、嘴のはさみ方が下手だったにせよ、揶揄されるのも何だかなぁなですが（笑）。
昔から有名なのは、伊豆半島での電照菊、最近では、高級マスクメロンの栽培に、ローソクや、co2発生器を使っていることは、ご存じの方も多いでしょう。
ここでの事故が案外多いのです、最近火災によるPL問題で、その当たりの話を沢山聞きましたが、中毒に近いことは、日常茶飯事のようです。
明人さんのおっしゃるように、我々の意識の奥には、co2がどんどん増えると、えらいことになるよ、という恐怖がありますね。
> 私が、素朴な疑問で、そのときに、左側の堤防を、切ったらどうなんですか、とききましたら、小災害ですむと、若い説明する、技術者は正直に、恥ずかしそうに、言ってました。
> 技術者が、市民として、技術者の常識を、正直に語ってくれないと、困るんですね。
でも、その人はやはり正直な人のようですね。(^＿^;
猫公爵さん、こんばんわ。> エントロピー理論の権威で、元理化学研究所署員、反原発運動でも有名な槌田敦氏の「地球環境保護運動はどこがまちがっているか」（宝島社文庫）や田中淳夫「森を守れが森を殺す」（新潮Oh文庫）あたりが面白いですね。
>槌田敦さんというのは、今ではエントロピー理論の権威と呼ばれているんですか？
私の記憶では、東大の杉本先生とのエントロピー論争で、その間違いを
随分と指摘されてしまっていましたが。。(^^;
これは、もちろん杉本先生の勝ちでした。科学の論争は白黒がはっきり
しますからね。> 前者では、温暖化自体が予算獲得の手段になっている連中の研究が背景にあることを示しながら、南極の０度以上の部分が増えてその分の氷が海に溶けても、気温上昇分水蒸気量も増えるから、結局それは南極大陸氷床を厚くする結果に終わるとして、危機を煽るプロパガンダに過ぎないといっています。そして無論光合成＝炭酸同化作用であるから、農作物の生産量は二酸化炭素濃度の上昇に比例して増えることなども書かれていますが。
これは、下の論文のこの部分に対応してますね。
Now, when we look at the cold half-year temperatures in the Northern Hemisphere
since World War II, it is apparent that the warming is inordinately confined
to Siberia and northwestern North America (Figure 4). These are the two "source
regions" for the coldest continental airmasses on earth. Because of their
coldness, they are very dry, and because of their dryness they have very little
"natural" greenhouse effect and are consequently "warmed"
(if changing the temperature from -40ー C to -38ー C can be called a "warming"!)
more rapidly than moist, summer air.
要するにWW2の後の観測データからいえることは、シベリアとかの極寒地だけが、温暖化しているのであって、それもー４０℃がー３８℃になるような温暖化！だということですね。
しかし、「無論光合成＝炭酸同化作用であるから、農作物の生産量は二酸化炭素濃度の上昇に比例して増える」ほどに顕著にCO2濃度が上がったら、これは、その前に人間が参ってしまいそうですね。（＾＾；
> 確かに私の幼少期には、地球は寒冷化する、小氷河期が来そうな話にもなっていました。しかも石油資源が20世紀末には枯渇することや第三次世界大戦の話などとも相まって、終末感がじんわり拡がっていました。ローマクラブの「成長の限界」という、現在の資本主義文明の臨界点を語った本の話題もありました（この問題は解決してませんが。例えば中国が資本主義化して、国民が日本並に肉を喰い、車に乗るような生活をすることになれば公害問題や食糧問題をはじめ、資源分配に関わる紛争がアジアに関わらず起こるのは必定）。
この手の話しは、五島勉のノストラダムスの大予言を読むような面白さがあるんでしょうね。(^^)
しかし、L＠Jが環境問題のようなものも、真面目に考えるのには、やはり深い訳があるのであります。
最近、赤羽にある、荒川管理事務所という、建設省の出先の見学会に行きました。
数字は、うろ覚えですが、80年に一度くらいある、荒川の、海に向かって、右側の堤防が切れて、大洪水になると、こうなります、というシミュレーションドラマのビデオを見せられました。
地下鉄に閉じこめられた、人たちを含めて、大災害になるということを、沢山見せられ、よって、800億円をかけて、スーパー堤防を作ります、ということでした。
私が、素朴な疑問で、そのときに、左側の堤防を、切ったらどうなんですか、とききましたら、小災害ですむと、若い説明する、技術者は正直に、恥ずかしそうに、言ってました。
技術者が、市民として、技術者の常識を、正直に語ってくれないと、困るんですね。
エントロピー理論の権威で、元理化学研究所署員、反原発運動でも有名な槌田敦氏の「地球環境保護運動はどこがまちがっているか」（宝島社文庫）や田中淳夫「森を守れが森を殺す」（新潮Oh文庫）あたりが面白いですね。前者では、温暖化自体が予算獲得の手段になっている連中の研究が背景にあることを示しながら、南極の０度以上の部分が増えてその分の氷が海に溶けても、気温上昇分水蒸気量も増えるから、結局それは南極大陸氷床を厚くする結果に終わるとして、危機を煽るプロパガンダに過ぎないといっています。そして無論光合成＝炭酸同化作用であるから、農作物の生産量は二酸化炭素濃度の上昇に比例して増えることなども書かれていますが。
確かに私の幼少期には、地球は寒冷化する、小氷河期が来そうな話にもなっていました。しかも石油資源が20世紀末には枯渇することや第三次世界大戦の話などとも相まって、終末感がじんわり拡がっていました。ローマクラブの「成長の限界」という、現在の資本主義文明の臨界点を語った本の話題もありました（この問題は解決してませんが。例えば中国が資本主義化して、国民が日本並に肉を喰い、車に乗るような生活をすることになれば公害問題や食糧問題をはじめ、資源分配に関わる紛争がアジアに関わらず起こるのは必定）。
ところが石油の確認埋蔵量は増える一方（笑）。原発推進の論理は破綻してきました。また、太陽系の銀河系における公転＝移動と星間物質の濃度のせいとも言われる、間氷期の問題にしても、ミクロには確かに平均気温の上昇が見られるにしても、実際は地球が温暖化してるのか寒冷化してるのかは説が分かれていると聞いています。その意味からも、前者の話は面白いと思います。後者は最近文庫化されたものですが、森林保護を違った面から考えるものですが、森林は酸素をもたらすとか自然のダムだという単調な考え方の誤りや熱帯雨林の生物の多様性は環境破壊が生み出したという問題を指摘し、二酸化炭素の問題もそこから考え直すきっかけを我々に示しています。
私の関心領域の医療の周辺では、温暖化というと、平安の頃のように、関西圏でもマラリア（古典に記された「おこり」）の流行域に入るとか、沖縄なんかの巨大ゴキブリがさらに北進するとか、伝染病関係の話題が多いですね。
上の本をお読みになっての感想などもお聞かせ願えれば幸いです。m(_ _)m
http://www.gn.apc.org/resurgence/articles/lovelock.htm
よりLovelockの文を引用しておきます.==========================================
JAMES LOVELOCKA MODEST INHERITANCE
--------------------------------------------------------------------------------
In the event of a world catastrophe, future generations
will need a book of knowledge to guide them in rebuilding civilization.
--------------------------------------------------------------------------------
PERHAPS JULIAN SIMONS is right to think all will be well for the next few decades. He sees the growth of resources sufficient to meet demand. He thinks it probable that the future air will be warmer and still polluted but not enough to cause discomfort. There may be more of us in some places. There will be more cars but they will be smaller and more efficient. He expects no worse than this for at least the next twenty years.
Others, like Paul Ehrlich, see a much gloomier future. Most of us believe in the maxim "Business as usual" and so we behave like the inhabitants of Tokyo and Los Angeles. We put thoughts about the earthquake at the back of our minds. We act in the hope that the world will continue into the twenty-first century much as it is now.
Few travellers from the North would go to the tropical South without antimalarial drugs, or without checking how the nearby local war was progressing. By comparison our journey into the future is amazingly unprepared. Where people know well the local danger, as in Tokyo, they prepare for the earthquake to come. When the threats are global in scale we ignore them. Volcanoes, like Tamboura 1814 and Laki 1783, were much more powerful than was Pinatubo or Krakatoa. They affected the climate enough to cause famine, even when our numbers were only a tenth as many as now. Should one of these volcanoes stage a repeat performance, do we have now enough stored food for tomorrow's multitudes? If part of a Southern glacial ice sheet slid into the sea, the level of the sea might rise by a metre all over the world. This event would render homeless millions of those living in coastal cities. Citizens would suddenly become refugees. Do we have the food and shelter needed when cities such as London, Calcutta, Miami and Rotterdam become uninhabitable?
We are sensible and we do not agonize over these possible doom scenarios. We prefer to assume that they will not happen in our lifetimes. We take them no more seriously than our forefathers took the prospect of hell, but the thought of appearing foolish still scares us. An old verse goes, "They thieve and plot and toil and plod and go to church on Sunday. It's true enough that some fear God but they all fear Mrs Grundy."
In science we have our Drs Grundy also. They are all too eager to scorn any departure from the perceived dogma. Scientists and science advisers are afraid to admit that sometimes they do not know what will happen. They are cautious about their predictions and do not care to speak in a way that might threaten business as usual. This tendency leaves us unprepared for a catastrophe such as a global event that was wholly unexpected and unpredicted - something like the ozone hole but much more serious. Something that could throw us into a new dark age.
We can neither prepare against all possibilities, nor easily change our ways enough to stop breeding and polluting. Those who believe in the precautionary principle would have us give up, or greatly decrease, burning fossil fuel. They warn that the carbon dioxide by-product of this energy source may sooner or later change, or even destabilize, the climate.
Most of us know in our hearts that these warnings should be heeded but know not what to do about it. Few of us will reduce our personal use of fossil fuel energy to warm, or cool, our homes or drive our cars. We suspect that we should not wait to act until there is visible evidence of malign climate change - by then it might be too late to reverse the changes we have set in motion. We are like the smoker who enjoys a cigarette and imagines giving up smoking when the harm becomes tangible. Most of all, we hope for a good life in the immediate future and would rather put aside unpleasant thoughts of doom to come.
WE CANNOT REGARD the future of the civilized world in the same way as we see our personal futures. It is careless to be cavalier about our own death. It is reckless to think of civilization's end in the same way. Even if a tolerable future is probable, it is still unwise to ignore the possibility of disaster.
One thing we can do to lessen the consequences of catastrophe is to write a guide-book for our survivors to help them rebuild civilization without repeating too many of our mistakes. I have long thought that a proper gift for our children and grandchildren is an accurate record of all we know about the present and past environment. Sandy and I enjoy walking on Dartmoor, much of which is featureless moorland. On such a landscape it is easy to get lost when it grows dark and the mists come down. We usually avoid this mishap by making sure that always we know where we are and what was the path we took. In some ways our journey into the future is like this. We can't see the way ahead or the pitfalls but it would help to know what is the state now and how we got here. It would help to have a guide-book written in clear and simple words that any intelligent person could understand.
No such book exists. For most of us, what we know of the Earth comes from books and television programmes that present either the single-minded view of a specialist, or persuasion from a talented lobbyist. We live in adversarial not thoughtful times and tend to hear only the arguments of each of the special-interest groups. Even when they know that they are wrong they never admit it. They all fight for the interests of their group while claiming to speak for humankind. This is fine entertainment; but what use would their words be to the survivors of a future flood or famine? When they read them in a book drawn from the debris would they learn what went wrong and why? What help would be the tract of a Green lobbyist, the press release of a multinational power company, or the report of a governmental committee? To make things worse for our survivors, the objective view of science is nearly incomprehensible. Scientific papers and books are so arcane that scientists can understand only those of their own speciality. I doubt if there is anyone, apart from these specialists, who can understand more than a few of the papers published in Science or Nature every week.
Scan the shelves of a bookshop or a public library for a book that clearly explains the present condition and how it happened. You will not find it. The books that are there are about the evanescent things of today. Well written, entertaining or informative they may be, but almost all of them are in the current context. They take so much for granted and forget how hard-won was the scientific knowledge that gave us the comfortable and safe life we enjoy. We are so ignorant of those individual acts of genius that established civilization that we now give equal place on our book-shelves to the extravagance of astrology, creationism and homeopathy. Books on these subjects at first entertained us or titillated our hypochondria. We now take them seriously and treat them as if they were reporting facts.
Imagine the survivors of a failed civilization. Imagine them trying to cope with a cholera epidemic using knowledge gathered from a tattered book on alternative medicine. Yet in the debris such a book would be more likely to have survived and be readable than a medical text.
What we need is a book of knowledge written so well as to constitute literature in its own right. Something for anyone interested in the state of the Earth and of ourselves - a manual for living well and for survival. The quality of its writing must be such that it would serve for pleasure, for devotional reading, as a source of facts and even as a primary school text. It would range from simple things such as how to light a fire, to our place in the Solar System and the Universe. It would be a primer of philosophy and science - it would provide a top down look at the Earth and ourselves. It would explain the natural selection of all living things, and give the key facts of medicine, including the circulation of the blood and the role of the organs.
The discovery that bacteria and viruses cause infectious diseases is relatively recent; imagine the consequences if such knowledge were lost. In its time the Bible set the constraints for behaviour and for health. We need a new book like the Bible that would serve in the same way but acknowledge science. It would explain properties like temperature, the meaning of their scales of measurement and how to measure them. It would list the periodic table of the elements. It would give an account of the air, the rocks and the oceans. It would give schoolchildren of today a proper understanding of our civilization and of the planet it occupies. It would inform them at an age when their minds were most receptive and give them facts they would remember for a lifetime. It would also be the survival manual for our successors. A book that was readily available should disaster happen. It would help bring science back as part of our culture and be an inheritance. Whatever else may be wrong with science, it still provides the best explanation we have of the material world.
IT IS NO USE even thinking of presenting such a book on magnetic or optical media, or indeed any kind of medium that needs a computer and electricity to read it. Words stored in such a form are as evanescent as the chatter of the Internet and would never survive a catastrophe. Not only is the storage medium itself short-lived but its reading depends upon specific hardware and the software. In this technology rapid obsolescence is usual. Modern media are less reliable for long-term storage than is the spoken word. It needs the support of a high technology that we cannot take for granted. What we need is a book written on durable paper with long- lasting print. It must be clear, unbiased, accurate and up to date. Most of all, we need to accept and to believe in it at least as much as we did, and perhaps still do, in the World Service of the BBC.
In the dark ages of our earlier history the religious orders in their monasteries carried through the essence of what makes us civilized. Much of this knowledge was in books and the monks took care of them and read them as part of their discipline. Sadly, we no longer have callings like this. The vast collection of knowledge that is now available is more than any one person could hold. Consequently it is divided and subdivided into subjects. Each subject is the province of professionally employed specialists. Most are expert in their own subject but ignorant of the others - few have a sense of vocation. Apart from isolated institutes like the National Centre for Atmospheric Research perched on a mountain side in Colorado, there are no equivalents of the monasteries. So who would guard the book? A book of knowledge, written with authority and as splendid a read as Tyndale's bible, might need no guardians. It would earn the respect needed to place it in every home, school, library and place of worship. It would then be to hand whatever happened.
James Lovelock, CBE, FRS, is the author of
Gaia, the Practical Science of Planetary Medicine.
> co2は、人間よりも、植物むけに、angelic gas なんでしょう。下にはりつけた論文は、なかなかに説得力があると思うのです。
そのうち、要点を要約した訳でも作っておきますね。文系の人にも、これなら数式が一切出てこないので、わかりやすいと思います。
しかし、みなさん、炭酸ガスばかり心配していますが、酸素や窒素や希ガスの心配と
かしないんでしょうかね。
まあ酸素がなくなるということは心配しないでしょうが、ラブロックの本には例えば次のようなことが書いてあります。「酸素濃度が２１％という現在の大気は、生命にとって安全の上限だといえる。これよりほんの少しでも濃度がませば、火事の危険は倍加する。落雷による山火事の危険性は酸素濃度が１％上昇するごとに７０%
も増加するのである。
酸素濃度が２５％を越すと、現在の植生はほとんど荒れ狂う猛火を生き延びられず、熱帯雨林帯も極地ツンドラも壊滅をまぬがれない。」ついでにもう一つ引用しましょう。
「ほとんどの生命体は、２酸化炭素と水との反応を促進する炭酸アンヒドラーゼという酵素を含んでいる。炭酸塩を含んだ海洋生物の殻は、たえまない雨となって海底にふりそそぎ、そこで最終的にチョークや石灰岩の岩床を形成し、海の上層に２酸化炭素のよどみができるのを防いでいる。」ラブロックの基本的な大気環境（=Biosphere)に対するスタンスというのは、そこに
生命のようなホメオスタシスが働いているというものだと思います。
CO2にせよ、窒素にせよ、酸素にせよ、希ガスにせよ、それがある一定のとても不安定！な濃度で維持存続されているというのは、ホメオスタシスティックな調整能力がなければならないという観点ですね。どのガスの濃度にも意味があるようです。
地球の大気というのは、単純な熱力学的なガス空間と考えてよいものではないようです。
猫公爵Poitrineさん、こんにちわ。
後半のUpをどうもありがとうございます。(^^)/> また小姑根性？（笑）を出してしまいますが、
> ＞(14)リバータリアニズムは、1950年代にアイン・ランド女史が……提起した。
> ＞やがてそれが明確な政治思想の形をとり……
> の部分ですが、むろん意味は分かるものの、主述の呼応からすれば、２文に開いたままなら前文を「リバータリアニズムは、1950年代にアイン・ランド女史によって……提起された。」と直すか、２文を繋いで「リバータリアニズムは、1950年代にアイン・ランド女史が……提起したものが、明確な政治思想の形をとり……」かの形に直したほうがよいと思うのです。筆者でない私が言うのも何ですが、副島さんの文章を一端とは言え、アップして公開するからには、この際きちんとしたい気がするのですが。もし何でしたら、うかがってみて下さい。わかりました。
これは、副島先生に伺ってみることにします。
その後で、TOPにはりつけておきますね。
それでは、また、よろしくお願い致します。
旧三井東圧の技術者、高柳さんは、冷蔵庫の3倍くらいの、グリーンハウスで、水耕栽培の研究をしていましたが、「部屋一面に銀紙を張って、蛍光灯で光を供給、co2ガスを吹き込み、色んな植物を、栽培していました。」
いま、ある焼き肉レストランの焼き肉に巻いて食べる、レタスは、高柳さんのハウスのレタスです。
普通のレタスより、2-3倍巨大で、柔らかく、しゃきしゃき感がないので、レタスだと思うと、気持ち悪かったけど、あじはまあまあでした。
ホントかどうかわかりませんが、ハウスの中は、ジュラ紀の地球状態なので、レタスの生育が,猛烈に早いのだそうです。
co2は、人間よりも、植物むけに、angelic gas なんでしょう。
(11)平等主義よりも、人間の能力には生まれながらに差があるとして、反平等主義の思想である社会ダーウィン主義Social Dawinismを信じている人が多い。この意味では、信仰（宗教）的でない。政治思想としては、ベンサム主義Benthamiteであるから、"ポジティヴ・ロー"positive law（法人定主義）の立場に立つ。私的な契約contractだけでよしとし、社会契約説social contractを否定する。したがって、議会が次々と山のように作る法律によって自分たちの自由な契約が規制されてゆくことに、強く反対する。これは(２)の反政府・反国家の理念につながる。(12)わかりやすく言えば、西部劇のヒーロー、ジョン・ウェインのイメージを描くとよい。あるいはクリント・イーストウッドの、悪をたたきのめす強い男のイメージである。個人的英雄主義。西部のカウボーイのマッチョ主義。西部開拓農民（パイオニア）の独立独歩の精神、自己責任主義。人の助けを借りずに、自分と家族だけで真面目に働いて生活してゆく。
(13)現実的には、国に税金を納めたくない独立自営の商店主small business ownerたちの生活意識を反映する。したがって、従業員のための健康保険掛け金まで雇用者である自分たちが払う健康保険法Health Care Billに反対した。それは増税と同じだからだ。
(14)リバータリアニズムは、1950年代にアイン・ランド女史が、あるべき人間像や社会像を小説や評論文の形で提起した。やがてそれが明確な政治思想の形をとり、共和党の保守的な人々の中でも最もアメリカ人臭い人々の間に広がった。1964年の共和党大統領候補バリー・ゴールドウォーター上院議員をアイン・ランド女史が支持表明したときに、政治勢力として登場した。したがって、共和党主流派の実務エリート官僚層や議会政治家たちに対する反発を暗に秘めている。リバータリアンの中には、共和党支持をやめて、すでに党外に出た人々も多い。漠然とではあるが、現在、アメリカ保守派の中の大きな勢力となっている。この漠然としているところが特徴でもある。
(15)実はアイン・ランド女史の思想は、日本で言えば、ニーチェの思想が果たした役割に似ている。日本でも、強固に個人主義的で、決して社会主義思想になどかぶれなかった人々がいたが、それに近い。ニーチェの強烈な思想のアメリカ版と考えてよい。アイン・ランド自身は、ニーチェは嫌いだと表明したことがある。
(16)ある意味では、最もアメリカの伝統に根ざした、土俗的な根本保守派である。
(17)1960年代に「反福祉・反国家統制・反平等主義」を主張して登場したシカゴ学派の"マネタリスト"ミルトン・フリードマン教授の"小さな政府"small Government理論は、リバータリアン思想の経済学の場面を完成させたものであると言ってよい。フリードマンの先生のハイエクの古典的自由主義Classical Liberalismもリバータリアニズム形成に影響を与えた。
(18)1991年湾岸戦争の時、ブッシュ大統領に反対して「若い米兵たちを石油利権のために死なせるな」として派兵反対・開戦反対を唱え、後に92年と96年の大統領選挙に出馬した政治評論家パット・ブキャナン自身は、もともと保守本流であってリバータリアンではなく、アイソレーショニストである。最近ブキャナンは、国際ビジネスを認めるリバータリアンに対して「リバータリアンもグローバリストだ」と言い放った。ブキャナンは自分の思想を「エコノミック・ナショナリズム」（経済民族主義）と自己規定した。リバータリアニズムは反ナショナリズムである。
(19)ブッシュ大統領は、1991年の湾岸戦争を、アメリカおよびAllied Forces（同盟軍。日本ではなぜか「多国籍軍」と記している）の大勝で終わらせて支持率を上げたが、大方の予想を裏切って、翌年末の第２期めの大統領選挙に敗れた。国内の経済間題（不況と失業）対策に失敗したために、国民から失格の審判を下された。アメリカ国民は本当は「内向き」になっており、このアメリカ国展の「内向き」（国内間題重視、不干渉主義）の大きな傾向を支えている政治思想が、リバータリアニズムである。リバータリアンは「右派平和主義者」Right-Wing Doveである。
(20)一応アンチ・グローバリズムanti-glovalismであり、アンチ・エクスパンショニズムanti-expansionismである。リバータリアンは戦争に反対である。アメリカがすぐに海外に派兵し、戦争を始めようとする真の動機は、世界中に進出しているアメリカの大企業の権益や財産を守ろうとするためであると考える。したがって、国際化した大企業経営者層のために自分たちの生命・財産が利用されることに反対する。
【追記】
遅くなりまして申し訳ありません。続きをここにアップします。m(_ _)mネットではこの文章が横書きでアップされることを配慮して、年号は半角アラビア数字にしておきました。
また括弧付数字についてですが、ウインドウズの機種依存文字を使うと、私のようなマック使いや他のＯＳでも文字化けしますので、半角括弧＋半角数字にしています。万人が見るサイトですから、そうした配慮は必要かと。以後、皆さま、ＦＥＰの「機種依存文字を出力しない」オプションをオンにしておけばいいと思います。また小姑根性？（笑）を出してしまいますが、
＞(14)リバータリアニズムは、1950年代にアイン・ランド女史が……提起した。
＞やがてそれが明確な政治思想の形をとり……
の部分ですが、むろん意味は分かるものの、主述の呼応からすれば、２文に開いたままなら前文を「リバータリアニズムは、1950年代にアイン・ランド女史によって……提起された。」と直すか、２文を繋いで「リバータリアニズムは、1950年代にアイン・ランド女史が……提起したものが、明確な政治思想の形をとり……」かの形に直したほうがよいと思うのです。筆者でない私が言うのも何ですが、副島さんの文章を一端とは言え、アップして公開するからには、この際きちんとしたい気がするのですが。もし何でしたら、うかがってみて下さい。
私も副島さん同様、元予備校教師（国語）なので、日本語表記が気になってしまうのです。本来、この手の直しは講談社の編集者が文庫化する際にチェックを入れておくべき代物で副島さんの責任に帰するべきものではないのですが、副島さんのおっしゃるように最近の編集者の力量は怪しいものですから（笑）。
Catoの論文丸ごと引用します。
「炭酸ガスは悪魔のガスか？」というタイトルです。
新しいトピックです。
http://www.cato.org/testimony/ct-pm100699.htmlから-------------------------------------------------------
Carbon Dioxide: A Satanic Gas?
TESTIMONY of
Patrick J. Michaels
Professor of Environmental Sciences
University of Virginia,
and Senior Fellow in Environmental Studies at Cato Institute
to the
Subcommittee on National Economic Growth, Natural Resources and Regulatory
Affairs, U.S. House of Representatives
Carbon Dioxide: A Satanic Gas?
October 6, 1999
Thank you for soliciting my testimony on the nature of Carbon Dioxide as a
"pollutant" with regard to global climate change. I regard a "pollutant"
as something that produces a demonstrable net negative impact on climate and
ecosystems.
"Negative" and "positive" impacts on climate are value
judgements made by human beings. Within that limitation, I submit the following:
This testimony demonstrates that the observed climate changes that have accompanied
the enhancement of the natural greenhouse effect have been considerably smaller
than they were originally forecast to be, and that they are likely to remain
similarly small. Further, they are inordinately confined into the winter, rather
than the summer, and, within the winters, they are inordinately confined to
the coldest, deadliest airmasses. There is no overall statistically significant
warming in the average temperature of the United States, which is a record of
105 years in length. While the United Nations has stated that during the greenhouse
enhancement, "the balance of evidence suggests a discernible human influence
on global climate," I cannot view what has happened as a net negative;
some might easily argue that it is a net benefit. Under neither interpretation
does this qualify carbon dioxide as a climatic "pollutant."In January, 1989, over ten years ago, I first testified on climate change in
this House. I argued that the computerized climate models from that era were
dramatically overpredicting future warming, and that the observed history of
climate projected a much more moderate warming, of 1.0ーC to 1.5ーC, over the
next century. I further argued that it would eventually be recognized that this
moderate climate change would be inordinately expressed in the winter vs. the
summer, in the night vs. the day, and that overall it was plausible to argue
that these changes conferred a net benefit upon our world.
If I had the perfect vision of knowing what would have happened to the climate
in the next ten years, how the scientific literature evolved擁n its attempts
to explain the lack of warming, and in its refusal to recognize persistent,
damaging and pervasive errors in the forecast that continue to this date悠 would
have changed not one word.
This testimony explains why.
In the last ten years, we have learned that:
- Observed surface warming is most consistent with a forecast below the lowest
statistical range forecast by climate models. Recent observed changes are
several times beneath what was forecast a mere ten years ago, assuming
historical changes in carbon dioxide (see Hansen, et al., 1998).
- The postwar ratio of winter-to-summer warming is greater than two-to-one
(Balling et al., 1998)
- Over three-quarters of the cold half-year warming in the Northern Hemisphere
is confined to the very coldest airmasses. The warming outside of these airmasses
is a minuscule 0.2ーC per century (Michaels et al., 1999).
- The variation, or unpredictability, of regional temperatures has declined
significantly on a global basis while there is no change for precipitation
(Michaels et al., 1998)
- In the United States, streamflow records show that drought has decreased
while flooding has not increased. (Lins and Slack, 1999).
- Maximum winds in hurricanes that affect the United States have significantly
declined (Houghton et al., 1995), and there is no evidence for a global
increase in damaging storms (Landsea et al. ,1996).
- The Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate
Change will have no discernable impact on global climate within any reasonable
policy timeframe (Wigley, 1998).
In toto, these findings lead inescapably to the conclusion Carbon Dioxide
is not a "pollutant," and plausibly argue that it is a net benefit.
Scientific Background
It has been known since 1872 that water vapor and carbon dioxide are the principal
"greenhouse" gases in the atmosphere, and that increasing their concentration
should elevate the temperature in the lower atmosphere. What has been a subject
of contention ever since, is the amount and character of the warming.
Because of all of the atmospheric greenhouse gases emitted by human activity,
we have progressed to roughly a 60% increase in the equivalent natural carbon
dioxide greenhouse effect. The earliest climate projections, made by Arrhenius
in 1896, indicated this would result in a rise in mean global temperature of
approximately 3.25ーC. Computer models that served as the basis first Scientific
Assessment of Climate Change by the United Nations Intergovernmental Panel on
Climate Change were around 1.8ーC for current greenhouse changes (Murphy and
Mitchell, 1995). These were lower than original estimates largely because of
the retardation of direct warming by the ocean.
The 1.8ーC figure was typical of the range of most climate models, and led to
the scientific bifurcation between the modelling community and the more data-driven
empiricists, who argued that the observed 20th century warming of 0.6ーC (with
half of that before the major greenhouse gas changes) indicated future warming
would be around one-third of the mean projected value of 4.2ーC over the next
century, or around 1.0 to 1.5ーC.
The IPCC admitted the validity of this position in its 1995 report, when it
wrote that:
"When increases in greenhouse gases only are taken into account...most
[climate models] produce a greater mean warming than has been observed to date,
unless a lower climate sensitivity [to the greenhouse effect] is used...There
is growing evidence that increases in sulfate aerosols are partially counteracting
the [warming] due to increases in greenhouse gases."
Are sulfate aerosols responsible for the now-admitted dearth of warming? In
previous testimony I have shown how poorly this argument stands the critical
test of the data. Suffice it to say that the record of the three dimensional
atmospheric temperature in recent decades does not appear at all consistent
with this hypothesis. Instead of repeating that argument, I would simply point
out that the southern half of the planet is virtually devoid of sulfates, and
should have warmed at a prodigious and consistent rate for the last two decades.
Unfortunately, we have very few long-term weather records from that half of
the planet, and almost all come from the relatively uncommon landmasses. However,
we do have over two decades of satellite data (Figure 1), adjusted by John Christy
for orbital decay and other drifts; it shows no change in temperature whatsoever,
although the prominent spike and retreat from the 1998 El Nino is rather
striking.
Figure 1. Southern Hemisphere MSU satellite temperatures,
drift-adjusted, from John Christy of University of Alabama, 1/1/79-8/31/99.
The sulfate hypothesis implies this zone should be warming rapidly.
The failure of the climate models is much more profound than any error that
could simply be corrected by reducing the amount of incoming surface radiation,
which is what the sulfate "fix" does. Instead, it is a failure in
the vertical dimension that has been occurring for nearly a quarter-century.
Figure 2 shows the entire concurrency for our three records of "global"
temperature, which is limited by the beginning of the satellite MSU data in
January 1, 1979. The record is now completing its 21st year.
Our figure shows satellite temperatures, weather balloon temperatures roughly
between 5,000 and 30,000 feet, and surface temperatures measured by thermometers.
There is an increase in the surface record of 0.15ーC/decade. Research by NASA
scientists demonstrate that about 0.02ーC/decade of this is a result of changes
in the sun (Lean and Rind, 1998), leaving a remaining 0.13ー C/decade ascribable
to human influence or other natural variation. The other two records show no
change.
The disparity between the surface, satellite and weather balloon readings is
likely to have some basis in reality. The concordance between the satellites
and balloons cannot be from chance, so there must be some process occurring
in the lowest layers (below 5,000 feet) that is not being picked up in those
two records.
Figure 2. Satellite, weather balloon (5,000-30,000 ft.),
and surface temperatures since 1/1/79, the beginning of the satellite record.
My research shows that this warming below 5,000 feet is largely confined to
the winter half-year (October-March in the Northern Hemisphere, April-September
in the Southern); as Figure 3 shows, the ratio of winter-to-summer warming is
greater than two-to-one.
Figure 3. Winter and summer half-year warming since 1945 shows
the dominance of winter temperature change.
Now, when we look at the cold half-year temperatures in the Northern Hemisphere
since World War II, it is apparent that the warming is inordinately confined
to Siberia and northwestern North America (Figure 4). These are the two "source
regions" for the coldest continental airmasses on earth. Because of their
coldness, they are very dry, and because of their dryness they have very little
"natural" greenhouse effect and are consequently "warmed"
(if changing the temperature from -40ー C to -38ー C can be called a "warming"!)
more rapidly than moist, summer air.
Figure 4. Winter minus Summer warming trends since 1945 show
the dominance of warming in Siberia and northwestern North America in winter.
In the winter half-year, these airmasses occupy around 25% of our hemisphere.
Recently published research (Michaels et al., 1999; Michaels et al., accepted)
shows that over three quarters of the winter warming is confined to this very
cold air. When we compare the average postwar warming in the statistical gridcells
that comprise these airmasses to those that don稚, the result is truly stunning.
The coldest air is warming up a rate 10 times larger than the remainder
of the hemisphere; see Figure 5. That research also proves that the warming
is largely confined to the cold air masses, and that the more severely cold
they are, the more they warm.
Figure 5. Average warming rate in Northern Hemisphere
gridcells that are cold and dry (right) vs. the remainder.
Together, these findings all prove that over the entire concurrency of the
surface, satellite and balloon records, there is a warming confined to the bottom
5,000 feet of the atmosphere, but over two-thirds of it is in the winter, and
three-quarters of that is in the most profoundly cold continental air that we
know of. If this is the work of carbon dioxide, carbon dioxide is not a pollutant.Together, these findings also demonstrate a persistent, damaging, and pervasive
error in all climate models, including those that serve as the basis for the
Kyoto Protocol.
Figure 6. Warming predicted for today痴 change in greenhouse
gases and sulfate aerosols by the LLNL model. Note that the entire zone
from 5,000 feet to the stratosphere is predicted to have warmed.
Figure 6 shows the projected quarter-century warming from the Lawrence
Livermore National Laboratory (LLNL) climate model incorporating greenhouse
warming and sulfate cooling (addition of stratospheric ozone depletion
changes the result very little), as originally published by Santer et
al. (1996). This finding, more than any other single result, served as
the basis for the 1995 IPCC statement that "the balance of evidence
suggests a discernible human influence on global climate." However,
there is no reason to single out the LLNL model except for its wide availability;
every other one behaves in a quite similar fashion.
The LLNL model and all others are clearly making an egregious error that renders
the magnitude of their predictions of global warming virtually useless: They
all have dramatically failed to predict what happened between 5,000 feet and
the bottom of the stratosphere. This comprises over 80% of the troposphere,
or the earth痴 active weather zone.
Our chart shows the observed warming in this zone (as published by Santer et
al., 1999) for various upper atmospheric records vs. the average warming predicted
the current suite of climate models. There is no statistically significant
warming in the observed data since the satellite/balloon concurrency in 1979,
while the models have an average warming rate of 0.23ーC/decade (Figure 7).
Figure 7. Model-projected average tropospheric warming (left)
since 1979 vs. observed values published by Santer et al. (1999).
In other words, the models have been wrong for the last quarter-century葉he
period of greatest greenhouse gas increase熔ver 80% of the troposphere.
The atmosphere is a mixed fluid; the behavior in one vertical level depends
in part on behavior in others. It is profoundly troubling that, for the last
quarter-century, that projections of surface warming are much closer to observed
values, than what has been observed in the remaining 80% of the troposphere.
This differential calls into question the validity of any projection, surface
or otherwise coming from these models. More important, it indicates that the
"sulfate-greenhouse" paradigm is so inaccurate that it misspecified
almost all of the troposphere.
The Ubiquitous Nature of Observed Changes
The National Oceanic and Atmospheric Administration has analyzed postwar temperature
trends in the Unites States and found similar results; see Figure 8. The largest
warming in the last three decades occurs in winter (January through March) which
is the time of year in which severity and presence of the cold high pressure
systems that form in northwestern North America largely determine the winter
departure from normal. Late summer and early fall temperatures actually show
a slight decline.
Figure 8. Seasonal changes since 1966 in the U.S. record,
according to the U.S. National Oceanic and Atmospheric Administration.
NOAA has also analyzed U.S. temperatures back to 1895. Even though this record
contains some large cities with artificial urban warming there is no statistically
significant warming in the overall record (see figure 9).
Figure 9. There
is no statistically significant overall warming trend in the record of U.S.
temperatures, which is 105 years long.
The record can be broken down decadally, i.e., 1895-1997, 1905-1997, 1915-97,
etc...Only one of these combinations shows a significant warming that would
exceed the Frye Rule of disqualification for "junk science" (i.e.
at the .05 level), and that is the period 1965-present. The chance that one
trend (out of the ten possible ones) would show a warming is statistically common,
even at this probability level. It is noteworthy that NOAA, in the report on
climate change that served as the basis for figure 8, "chose" the
only period (1965-97) in the entire 105-year record that showed statistically
significant warming. Later decadal periods (i.e. 1975-97, or 1985-97) do not;
and neither does any earlier period. Perhaps an appropriate question would be
to ask why the only such period out of the ten possible ones was selected for
analysis and publicity.
An Alternative Interpretation
It is hard for me to believe that the billions of dollars that American taxpayers
have invested in climate modeling has produced a completely worthless result
with regard to human-induced climate change. Rather more intriguing is the notion
that at least the models have the functional form of the warming right, but
instead are indecisive about its magnitude.
Figure 10 shows projected warming from a large family of different climate
models. Some increase their atmospheric carbon dioxide at 1% per year, effectively.
Others use the U.N. standard of 0.7%, and others have been adjusted for the
observed lower rate noted by Hansen (1998). Some have sulfate aerosols in them
and others do not.
Figure 10. Output from several representative climate
models. Once warming starts, it takes place at a constant rate.
Regardless of all of these varying assumptions about differences in the exponential
rate of greenhouse forcing or the presence or absence of sulfates, one clear
fact emerges. In general, they are all straight lines. Once greenhouse
warming starts, it proceeds as straight line, not as an exponential increase.
What differs between the models is not their functional form耀traight lines傭ut
the slope (or rate of increase) in those lines. In fact, the mean and
standard error of the warming are 0.25ーC ア 0.07ーC/decade, where the confidence
range is at 67%.
Which of these models is likely to be correct? Under the assumption of linearity,
nature helps to provide an answer, as global near-surface temperature has risen
as a straight line, too, in the last three decades. The slope since 1968, when
warming began, is 0.15ーC/decade (Figure 11). This is slightly below the low
confidence limit given by the ensemble of models shown here.
Figure 11. The observed linear trend in temperature
for the last three decades is lower than the projections of most climate
models.
However, Lean and Rind indicate that approximately 0.02ーC/decade of recent
warming is likely to be caused by solar variation; subtracting away this small
amount gives a warming rate of 0.13ーC/ten years.
Assuming linearity, this gives a rise of 1.3ーC in the next century用recisely
at the midpoint of the range to which I first testified over ten years ago.
Models are also linear with respect to their cold and warm season warmings.
Given the differential that we have seen since 1968, the expected winter and
summer half-year warmings work out to 1.45 and 1.15ー C, respectively, in the
next century.
During this century, we experienced a temperature rise of approximately half
of these values. Crop yields quintupled. Life span doubled, in part because
of better nutrition. Winters warmed. Growing seasons lengthened. The planet
became greener. Increasing carbon dioxide had something to do with each and
every one of these. There is simply no logical reason to assume that doing the
same, this time in 50, instead of 100 years, will have any different effect
in kind. That kind of improvement in the quality of human life could hardly
be caused by a "pollutant."
References
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climate change, contribution of the WGI to the Second Assessment Report of the
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