[182] 「分裂」するリバータリアンたち（第三部） 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/08/06(Wed) 23:14:383．戦後リバータリアン･リーダーたちと、ミゼスとの出会い
ミゼスが、ナチスの迫害を逃れて、ジョセフ･シュンペーター Joseph Alois Schumeter (1883-1950）等とともに、オーストリアから、アメリカに渡ってきた1940年以降、ニューヨーク大学ではじめた、オーストリアン経済学セミナーには、フリードマン、ハイエク（1950年、ロンドンより渡米）、ミューレイ･ロスバード、アイン･ランド、そして、かのアラン･グリーンスパン Alan Greenspanもいた（なお、シュンペーターは、ミゼスとウィーン大学で同級生だった。シュンペーターの方が早く、経済学者としてその名を知られるようになったが、彼は、後にも彼の書物の中で、ミゼスの経済理論、そして、オーストリア経済学を、指示する発言を続けしている。日本では、彼の方がミゼスやハイエクよりも有名だが、彼の名を通して紹介されている、「アントレプレナー (entrepreneur) 」の重要性等の主張は、オーストリアン経済学派の基本理論であって、彼のオリジナルではない)。6当時、自営の経済コンサルタントだったグリーンスパンは、アイン･ランドが主導していた、オブジェクティヴィスト知識人のサークルの内部団体（”inner collective” 、反集合主義=anti-collectivism を唱えていたのに、この呼称は面白い…）の主要メンバーでもあった。7ａ．アイン･ランドとミゼス
「オブジェクティヴィズム (客観主義) 運動（Objectivism）」と、そのカルト的なカリズマで人気を博したアイン･ランドであるが、その強烈な個人主義哲学と並んで、彼女の「オブジェクティヴィズム基本原理 “The Essentials of Objectivism,” (全6項目)」 の第5項目「政治見解 Politics」は、ミゼスが、ニューヨーク大学のセミナーで教示したであろう、オーストリア経済学の原理と、アメリカン･リバータリアニズムの政治理念との、見事な融合･調和の結晶と言える。ここにその第５項目の抜粋を紹介する。
（引用開始）
オブジェクティヴィストの｢社会的｣倫理原則は、自衛手段として以外、物理的な暴力により他人の価値を奪う権利は、人間にはいっさい認められていない、ということである。… 人々は、相互利益のため、自由な同意（契約）により価値（物･観）を交換し合う、価値の取引き主（商人）として、お互いを尊重し合わなくてならない。… 資本主義は、所有権を含む個人の権利を、認め合うことにより、成り立つシステムである。この中で政府に与えられる役割は、唯一、その個々人の権利を、保護することに限定される。 … オブジェクティヴィズムは、ファシズムや社会主義といった、いっさいの集合主義的統治形態を拒否する。さらに、今日において見られる、「（社会主義と資本主義の）折衷・混合経済」案や、政府による経済、および富の分配の統制･管理といった意見にも、追従しない。
The basic social principle of the Objectivist ethics is that no man has the right to seek values from other by means of physical force … (but) only in self-defense … Men must deal with one another as traders, giving value for value, by free, mutual consent to mutual benefit. … Capitalism is a system based of the recognition of individual rights, including property rights, in which the only function of the government is to protect individual rights … Objectivism rejects any form of collectivism, such as fascism or socialism. … also rejects the current “mixed economy” notion that the government should regulate the economy and redistribute wealth.8
（引用おわり）
ｂ．ミルトン･フリードマンとミゼス
リバータリアン経済学者、ミルトン･フリードマンも、ミゼスから、｢オーストリア経済学｣の教示を受け、後に、反政府介入主義のリバータリアン・シカゴ学派経済学を率い、ノーベル賞を受賞している。ミゼスの一番弟子ロスバードが、ミゼスの死後、1982年に設立した、ミゼス研究所の現所長、リューエリン･ロックウェル Llewellyn H. Rockwell，Jr. （彼のウェブサイト www.lewrockwell.com ）によると、ミルトン・フリードマンは後に、｢この国（アメリカ）で、フリーマーケット（自由市場経済）の思想の提唱･促進に最大の貢献をしたのは、彼（ミゼス）を置いて、他にはいない｣と、述べていたという。9 そして、ロックウェル自身、今日、政府の銀行･通貨政策（バンキング･マネタリーポリシー）において、マーケットの役割を重視し、強調する政策が急激に増えているのは、オーストリアン経済学の存在に負うところが大きいと主張する。
[181] 「分裂」するリバータリアンたち（第二部） 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/08/06(Wed) 23:04:172．オーストリアン経済学とアメリカン・リバータリアンの遭遇と融合
ａ．オーストリア経済学、アメリカへの移植
ミゼスの渡航から始まって、アメリカに移植された「オーストリアン経済学」の諸理論は、ここで、当時、反ソビエト共産主義を唱えて、活発な執筆を続けていたアイン･ランド Ayn Randや、ミルトン･フリードマン Milton Friedman、そして、強固な無政府資本主義（アナーコ・キャピタリズム）、アンチニューディーラー（後にアンチグローバリスト）主義を主張していたミューレイ･ロスバード Murray M. Rothbard ら、アメリカン･リバータリアンの立役者たちと、偶然に、そして、運命的に遭遇した*。
*ミゼス研究所（ Ludwig von Mises Institute、アラバマ州オーバーン）のオーストリア
経済学者、ウォルター･ブロック教授 Walter Block www.mises.org/fellows.asp?control=6
に直接質問したところ、オーストリア経済学とリバータリアニズムは、融合・共闘し
ているが、基本的に別のものだ。なぜなら、前者はあくまで、経済に関する事実
Facts を研究するサイエンスであるのに対して、後者は、経済に限らず、政治学問や
哲学、イデオロギー、から道徳的な価値規範や理念等まで含む政治思想体系だから。
ただし、オーストリア経済学者でリバータリアンは多い、逆もまた然りと言っていた。 そもそも、アメリカ建国の理念（政府の役割（個人の権利の保護）の限定、市民の絶対不奪の権利として政府改正・撤廃権の確立、絶対主義・専制君主制政府の否定等）を発祥とする、リバータリアニズム（またの名を、アメリカン･クラシカル･リベラリズム American Classical Liberalism）は、ジョン・ロックJohn Locke (1632-1704）の『政治についての二つの論文』 Two Treaties of Government（1690）と、第３代アメリカ大統領、トーマス・ジェファーソン Thomas Jefferson (1743-1826) の『アメリカ独立宣言』 The Declaration of Independence（1776, July 4）に、政治哲学思想の基盤を置く、反政府絶対個人主義者たちの政治思想だ。このリバータリアニズムが現在持つ思想基盤が、完成されて行くの最終段階で、ほとんど偶然、かつ、絶妙のタイミングで、この多分に思想的共通点を持つ、オーストリア経済学と出会ったのだ。
結果として生れた、アメリカン・リバータリアニズム(アメリカン･クラシカル･リベラリズム)とは、一言で言うと、国家＝政府による、法的権力を利用しての市民の自発的な社会および経済活動、生活、個人の生き方への制度的・道徳的介入を嫌う、強烈な個人主義を唱える政治思想である。したがって、攻撃を受けた際も、国家軍隊に頼らない自衛防衛（Self-defense）を主張するが、防衛以外は、非攻撃･非侵略（nonaggression）主義を厳格に唱える。そして、経済政策面で、オーストリア経済学の学説・理論（Theory）を受け継ぎ、人々の自発的で創造的な経済・経営活動（フリーマーケット) の阻害となる、政府による、税金、各種経済規制、金融介入政策、土地や個人所有物件の取り引きや企業運営、起業活動への、規制・管理・保護・指導政策等を、一切否定する。
ｂ．オーストリア経済学派とブリティッシュ経済学派の歴史的対立
本来、経済活動とは、人間一人一人の、日々、それぞれに置かれた環境に基づき、主観的に価値判断や行動選択の絶え間ない積み重ねで、織り成されて均衡して行く。自由市場における、自然な経済取引き (価値交換) の無数の連続により、商品の価値が、自ずから定められて行く。この考え方の起源として、ブリティッシュ経済学派の、アダム･スミス Adam Smithの「神の見えざる手」（Invisible hand）の理論（個々人の利益追求活動の積み重ねが、｢見えざる手｣により、最終的に社会全体のより効率的な利益向上へと導かれるとする）が有名である。しかし一方で、アダム･スミスと同時代のライバルで、自由市場（フリーマーケット）、無干渉主義（レイセイフェアー laissez-faire）原理の促進に、アダム･スミスに劣らぬ貢献と業績を残した、フランス人経済学者、ジーン･バプティスト･セイ Jean-Baptiste Say（1776-1832、オーストリア経済学派が、その歴史的ルートとする学者の一人。前述のトーマス･ジェファーソンは、セイの熱心な信望者っだった。しかし、セイもミゼスと同じように、現在のアメリカ・メインストリーム経済学の教科書では、ほとんど教えられない）は、「有効利益（ユーティリティー）のための相互有益的な経済取引き（価値交換）」（Mutually beneficial voluntary exchange of value for utility）が、経済全体の向上と発展を導くと主張した。
ジーン･バプティスト･セイは、さらに、自由市場（フリーマーケット) では、企業家 (entrepreneurs) が、新たな需要を満たす新商品の開発、資本の蓄積 （accumulation of capital) 、そのさらなる生産への投資が、中央銀行ではなく、自由銀行（free baking）により行なわれることで、経済全体が成長・発展して行くという理論を、すでに、1803年初出版の、Traite d Economie Politique （のち、英語訳 A Treatise on Political Economy 『政治経済に関する論文』、1826年出版）で、明確に解説している。
セイは、さらに進んで、この資本主義・自由市場経済の自然の機能が、政府の市場介入により阻害され、経済の新たなる成長のリズムを乱し、結果として自分たちの地域や国だけではなく、人類全体としての発展（シビライゼイション）そのものが、停滞する恐れがあると説いた。
そして、ミゼスとハイエクが「ビジネスサイクル」理論として、この原理を受け継ぎ、自由市場資本主義（フリーマーケットキャピタリズム）、政府による介入政策（税制度、不換紙幣の増刷, 利子率の調整等）の否定、金本位制度の復活（紙切れ紙幣の廃止）といった、今日のオーストリア経済学の根本原理へと結実した。
ミゼスは、自由市場に政府が介入し、商品やサービスの価格から、貨幣の流通量や為替価格をすべて、政府の意思で決定し、統制･管理しようとする、社会主義・共産主義のシステムでは、結局、「どの消費者、顧客が、何を必要とし、何を欲しがっているのか。さらに、その価格をいくらにするべきか」を解析することはできない、と断言している。彼は価格が決定される理論を、以下のように解説している。
（引用開始）
価格とは、人々がある商品･サービスを、（自分が所有する）他の商品（もちろん紙幣・
貨幣も含む）と交換して手に入れたい、と強く要望するところから生まれる。それは、
さまざまな境遇にいる個々人が自主的に、売り買いをする決心と、実際の取引の用意
ができて、始めて決められてくる。 …（したがって、）価格を、政府介入政策や社会
主義政策などの強制や、押しつけで、思うとおりにコントロールできる事などありえ
ないのだ。… 強制的政策によって、価格を確定しようとすると、市場経済（マーケ
ット･エコノミー）はその自然な機能を失われる。…（その結果、経済状況が悪くな
ればなるほど、）政府当局は、その権限のさらなる拡大を要求し、「非効率な」市場経
済システムをさらに、いじくり回そうとすることになるのだ。
Prices come into existence by the eagerness of people to exchange one commodity or
service against another commodity or service. They are the outcome of various
individuals readiness to buy or to sell. … Prices cannot be manipulated ad libitum [at
will] by the social apparatus of coercion and compulsion, the police power. … Where
there is coercion, the market economy no longer functions; disorder results in the
production and the marketing of the articles subject to the governmental decree. Then
the spokesmen of the authorities point to the inefficiency of the market system and
ask for more government meddling with the price system.4
前の解説でもふれたとおり、ブリティッシュ経済学派とオーストリア経済学派は、歴史的に対立したまま現在に到る。この対立の系図は、以下の、ミゼス研究所、ラリー･セシュレスト Larry J Sechrest による、二大経済学派の師弟関係の系図で、一覧することができる。
（引用開始）
アダム･スミスから、デヴィッド･リカード、ジョン･スチュアート･ミル、アルフレッ
ド・マーシャル、アーヴィング･フィッシャー、ジョン･メイナード･ケインズ、ミル
トン･フリードマンという系譜を引き出せる。（一方、）ジーン･バプティスト･
セイからは、A.R.J.タルゴット、リチャード･カンティロンに始まり、ナッソー･シ
ニア、フランク･フェッター、カール･マンガー、ルードウィッグ･ヴォン･ミゼス、
そして、ミューレイ･ロスバードという系譜を導くことができる。この二つの軌跡、
あるいは、一連の人物の歴史的つながりは、しばしば交差したり、必ずしも、いつも
直線的に進んできたのではない。
[Adam] Smith leads one to David Ricardo, John Stuart Mill, Alfred Marshall,
Irving Fisher, John Maynard Keynes, and Milton Friedman.
[Jean-Batiste ] Say leads from A.R.J. Turgot and Richard Cantillon to Nassau.
Senior, Frank A. Fetter, Carl Menger, Ludwig von Mises, and Murray Rothbard.
The reader should keep in mind, however, that these two paths, or progressions,
have often been circuitous and nonlinear. 5
（引用おわり）
[180] 「分裂」するリバータリアンたち（第一部） 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/08/06(Wed) 23:02:34お世話になっております。
今年の２月に書き上げていた論文を、ここに載せます。
ここの掲示板を、もうこれ以上凍らせたままにはしませんよ！『「分裂」するリバータリアンたち Split among Libertarians
-シカゴ学派 vs.オーストリア経済学派、リバータリアニズム融合と対立の軌跡』 根尾 知史
イントロダクション
第二次世界大戦が終盤を迎えつつあった1940年代、オーストリアから、ナチスの迫害を逃れてアメリカに移民して来た学者たち、｢ホワイト･ゴッズ White Gods｣の一人、ルードゥウィッグ・ヴォン・ミゼスLudwig von Mises（1881‐1973）は、1945年、有給の教授ポジションも得られないまま、恵まれない学問環境の中、ニューヨーク大学での夜間教室を使用して一人、週一度の経済学セミナーを始めた。ミゼス自らが、その継承と拡大発展を担ってきた、「オーストリア経済学派」の経済定理・諸原則に基づき、ナチスファシズム、そして当時勢力を徐々に拡大しつつあった、ソヴィエト共産主義、社会主義思想のイデオロギーが孕む、社会工学（ソシアルエンジニアリング）の持つ危険性への警告と、打倒の決心を込め、アメリカという新しい舞台での、第一歩が踏み出された。
当時、急激に勢力を拡大していた、政府による経済干渉主義のケインズ経済学派（ケインジアン Keynegian）、社会主義のニューディーラーたち、そして、共産主義ソビエトとの戦いに備えて、反政府介入主義（アンチインターヴェンショニズムAnti-interventionism）を共通の政策原理に、戦後アメリカン･リバータリアンの復興を担っていた、気鋭の、若いリバータリアン・リーダーたちが、このヨーロッパから渡ってきた、大学者の元に集まるのに、それほど時間は駆らなかった。
1．ルードゥウィッグ・ヴォン・ミセス、その背景
ａ．ヨーロッパにおけるオーストリア学派
デヴィッド･ボウズ David Boaz の著書、『リバータリアン入門』 Libertarian a Primer の中でも、ユーティリタリアン・リバータリアン経済学者、アンチ社会主義リバータリアンの大ボスとして、頻繁に取り上げられる、ルードゥウィッグ・ヴォン・ミセスは、ウィーンで、プライヴェート経済セミナーを開講していた1920年代から、その一貫した、反政府介入主義を貫く「オーストリア経済学派」（Austrian School of Economics）の継承と発展に尽力してきた。1927年1月1日、独自で研究機関（オーストリアビジネスサイクル調査研究所 Austrian Institute for Business Cycle Research）を設立、教え子だったフリードリヒ･ハイエク Friedrich August von Hayek（1899-1992）を所長に就け、自らは、執行運営 (経営) 担当副所長として、その研究と指導を精力的に続けた。セミナーは、次第に評判を集め、20年代の終りには、ヨーロッパ各国から、知識人たちが聴講に来るようになっていた。1
1900年代の最初の30年間、｢オーストリア経済学｣は、その経済原理 ―自由市場資本主義、フリーマーケットキャピタリズム、ビジネスサイクル理論に基づいた、アンチ政府経済介入、主観価値･反統計理論（商品に対する人間の価値や評価･選択は、置かれた環境や、将来の価値増加への期待等から、つねに主観的に変化し続け (主観価値)、 数学や公式での測定はできない(反統計)とする）、不換紙幣廃止･金本位制の復活等― は、当初からライバルの関係にあった、「ケインズ（Keynesian）経済学派」（政府介入型経済理論、統計･集合主導の、集合的客観価値絶対の経済理論）を抑えて、ヨーロッパおよび、アメリカ、つまり世界レベルの経済学界で、その地位と認知を高めつつあった。実際、ミゼスは、1931年には、アメリカで開催された、国際通商会議大会（Congress f the International Chamber of Commerce）にも招かれ、渡米もしている。
しかし、1929年に発生した世界大恐慌は、その惨状が長引くにつれ、人々の意識の中に、オーストリア経済学理論の土台である、自由市場（フリーマーケット）と資本主義（キャピタリズム）に基づく経済には、重大な欠陥があるのではないか、という不安と懐疑心を、そのトラウマとして植え付けた。その結果、マーケット経済の欠点とその調整のために、政府の市場介入の必要を訴えていた、ジョン･メイナード･ケインズ John Maynard Keynes 率いる、ライバルであった「ケインズ経済学派」が、急速に指示を拡大することになる。２
オーストリア経済学の「反集合主義」（Anti-collectivism）の理念に基づき、ナチス糾弾の論文を、発表し続けたミゼスは、ナチスのオーストリア侵攻の恐怖が目前に迫った1931年に、まず、ハイエクをロンドンに逃亡するよう指示し、1934年には、彼自身も、ジュネーヴに移住することをよぎなくされている。その後、スイスでも、大学院生国際研究所 International Institute for Graduate Studentにて執筆を続け、教鞭を執り、ナチスファシズムへの言論抵抗を続けていたが、1940年８月2日、ついに、アメリカへの移住を決行した。
ｂ．ミゼス、アメリカへの移住
ケインズ経済学派が、米経済学界を席捲していた当時、ほぼ全てのヨーロッパからの、共産主義者および、社会･民主主義者の亡命学者たちは、アメリカ学界での、新たな研究職を与えられていたという。しかしながら、自由市場主義（フリーマーケッター）、無政府資本主義（アナーコ・キャピタリスト Anarcho-capitalist）を主張する、オーストリア経済学者であったミゼスは、ニューヨークに着いてからも、最初の四年間は、教授としての職を米国内で得ることができなかった。彼は、しばらく、メキシコにある大学まで行って、客員教授をしたりている。
しかし、ミゼスのもとには次第に、その経済理論を強く指示した、フリマーケット主義のビジネスマンたちからの寄付金が集まって来るようになった。さらには、ニューヨークタイムズ記者としての地位を投げ打って、ミゼス保護ととその経済思想の普及に貢献した、強力な支援者、ヘンリー・ハズリット Henry Hazlitt（ミゼスとオーストリアン経済の理論をわかりやすく解説した彼の著書 『経済学 ワンレッスン』 Economics in OneLesson， San Francisco: Laissez Faire Books, 1946年初版は、ミルトン・フリードマンやハイエクの絶賛を受け、発行以来ロングセラー）の協力により、ついには、1945年から1969年まで、ニューヨーク大学のビジネス経営学部で、大学院教授の職を得ることができた。しかし、実際は、その後24年間の在校期間、最後まで、客員教授 (Visiting Professor) として、週一度の夜間講義しか与えられないままだったことも事実である。彼はよく、自分は金の事ばかりたくさん書いて来たのに、決して金には恵まれなかった、と自分を揶揄していた。当時、ニューヨーク大学学長だった、ジョン･ソーヒル John Sawhill は、優秀な学生たちには、あの “右翼反動主義者（Right-wing reactionary）” のクラスは受講しないように、と自ら言って廻っていたという。3
一方、弟子のハイエクは、移住したその年に、ロンドンスクールオブエコノミックスアンドポリティカルサイエンス（L.S.E）にて、経済･統計学教授の地位を得て、1950年にアメリカに移住するまで、勤め続けている。彼の名著、『農奴への道』 Road to Serfdom (1944年初版) は、そのロンドンで、アメリカにいる師匠のミゼスと、共闘するようにして、反ナチス全体主義、反ケインズ経済学派、反ソヴィエト共産主義、反社会主義学派としての言論戦を続けるなか、完成されたものだ。
[179] ロスバードとＤ．フリードマンの日本語訳版がでるぞ 投稿者：へっぽこ自由人 投稿日：2003/07/28(Mon) 00:17:18新着情報！
ついに！アナーコ・キャピタリスト／リバータリアンのミューレイ・ロスバードとデイヴィッド・フリードマンの本が日本のリバータリアン教授の森村 進氏などによって日本語に翻訳されて９月に発売されますぞ！
これはもうノージックの「アナーキー・国家・ユートピア」なんぞよりも読むべきだな。こりゃ発売されたら絶対買いだな。うんうん。買って読むべきだ。
http://www.keisoshobo.co.jp/kinkan2.htm
自由の倫理学
リバタリアニズムの理論体系
M・ロスバード 著
森村 進（一橋大学教授）ほか 訳
A5判/400頁/上製 予価（本体5000円+税）
9月下旬刊
[ISBN4-326-10145-8 C3010]
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自由のためのメカニズム
アナルコ・キャピタリズムヘの道案内
D.フリードマン 著
森村 進(一橋大学教授)ほか 訳
A5判/304頁/上製 予価（本体4400円+税）
9月下旬刊
[ISBN4-326-10146-6 C3010]
http://individualliberty.hp.infoseek.co.jp/
[178] Libertarianism @ Japan 投稿者：通りすがり 投稿日：2003/07/18(Fri) 23:29:27明人さんのlibertarianism @ Japanをみてみたら
次のようになっていたんで驚いたぞ。http://kyuuri3.hp.infoseek.co.jp/
Libertarianism @ Japan
Second Stage
coming soon
[177] Linuxの論客エリック・Ｓ・レイモンドの名言 投稿者：自由人R2 投稿日：2003/07/17(Thu) 05:59:05ESRによる秀逸なる超高品質な反国家論をうぷします。
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私がアナーキスト（リバータリアンでもある）である理由
http://nakamanman.f2g.net/anarchistj.html
著者： Eric S. Raymondウィリアム・シャイラーの『第三帝国の興亡［訳注１］』は、読者を震撼させる史上最高の著作の1つである。ナチの残虐さから目を背けることなく記述した本だが、その中でも最も背筋の凍る一節を引こう。
1934年8月19日に、選挙人登録を行ったドイツ人のうち95％が投票に出かけ、成人のドイツ国民のうち90％（3800万人）が、アドルフ・ヒトラーにドイツを統治する完全な権限を与えることに対して賛成票を投じた。これに対して、全体主義体制への移行に反対の意思表示をしたのは、425万人に過ぎなかった。
ヒトラーの計画は秘密にされていたわけではないし、彼が行使しようとした手段も隠されてはいなかった。それでもなおドイツ人の90％が、『我が闘争』そしてニュルンベルク決起集会に賛意を示し、ベルサイユ条約とクリスタルナハトを否認することを許したのだ。圧倒的な支持を受けての委任だったわけだ。
学問の世界の歴史学者や政治学者たちが、概してこの事実ありのままを受け入れようとしないのは別段不思議ではない。ありのまま受け入れるとすれば、我々自身の政治体制の土台が実は不確かなのを暴露することになるのだから。
ワイマール共和国の1934年の選挙は、最終的に過酷な墓碑銘を記すことになった。立憲民主主義こそ個人の自由の守護神として信頼にたるものだという主張に反して、政府が国民を計画的に虐殺することを防ぐことすらできないことが明らかになった。しかも、アメリカ人にとってより重要なことは、ワイマール共和国憲法は明白にアメリカ合衆国憲法に範をとっているということだ。
アメリカ式の立憲民主主義体制は、憲法制定者たちが、それ以前から存在する政治体制の欠陥に学んで、それを修正するべく考案したものだ。以来、歴史の評価は、後にウィンストン・チャーチルが発する次のような警句に象徴されるようなものに定まった。
民主主義政体は、政府の形態としてはひどいものだが、他の政体の8倍はましだ。
しかし、立憲民主主義体制それ自体が、国民の視野の狭さや道徳的盲目を否定するわけではない。こういう言い方も別に目新しいものでなく、200年前に、現代歴史学の事実上の基礎と言える『ローマ帝国衰亡史』でギボンが主題としたのもそこのところだ。
ワイマール・ドイツの自壊が示すのは、民主主義政体の致命的な不安定性は辺境に固有の性質でもなく遠い現象でもないということだ。つまり、近代の、教養があり、文明化された世界的視野を持つはずの西洋自由社会の中心に生きる人々が、煽動の技術にたけた人物たった一人に号令されて、自由を放棄し、何百万もの無辜の命を大量死に追いやる可能性がある、それも積極的にそうする可能性があるのだ。
ここで鋭い質問が生じる。立憲民主主義政体はこの問題を解決するのに無残に失敗したと言えるかもしれないが、ではどんな政体なら解決可能なのか？
政府の定義に関して、「特定の地理的領域において、強制力を第一義的に合法的に行使する権利を独占することを主張する組織である」とするマックス・ヴェーバーの定義を超えるものはまだ現れていない。とすれば、よい政府とは何かという問題は、こういう問いに還元される： 権力を一義的に、賢明に、かつ道徳的に行使するものとして信頼するに足る者は誰か？
我々が歴史から学んだ通り、王や神官、皇帝といった専制君主も、貴族その他の寡頭政治支配者も、ことごとく失格である。また、フランス革命をはじめとする革命のその後の経過に見られるように、権力を握った人たちは、憲法による制限を受けずに人民の権利を擁護するためと称して権利を行使する結果、どんな圧制者にも劣らず恣意的になり得るし、堕落し得る。
ワイマール・ドイツの残酷な教訓から明らかなように、憲法による制限も十分には働かないのだ。このことを理解するには、ワイマール・ドイツを持ち出す必要も実はなく、アメリカの歴史を想起するだけでいい。最低限、憲法制定者たちが意図したのは、息の詰まる規制を行う官僚主義や、再分配を至高の価値とする福祉国家の規制とか内国歳入庁の重みに苦しむことではなかったことを認めるだけでいいのだ。とはいえ、ワイマール共和国の実例を持ち出せばもっと説得力が出てくるのは確かだ。連邦政府による権利の濫用の急増を正当化したがる人でも、ナチス・ドイツを擁護することはまずないだろうから。
シャイラーを読んで以来何年も、私はこの難問に悩み続けてきた。解決できれば、政治と道徳哲学の中心を占める問題のすべてを一挙に取り去るような問題である。政府がその国民に対してどんな効用を保証することを意図すべきかは、理性があれば人ごとに異なるだろうし、どんな種類の災厄や剥奪を防止すべきかということに対しても一様ではないだろう。しかし、見えにくいのは、自国民を大量に殺害するという罪を見過ごしかねないような政治的解決でさえ、容認される可能性もあるということだ。
自国民の愚行に対して断固とした態度を取ることを制度として組み入れた政府があり得ないならば、「無政府」こそ唯一の回答ではないのか？ 第二のダッハウ収容所、トレブリンカ収容所の出現を防ぐためには、権力の集中をすっぱりあきらめるべきではないか？これが、アナキストの処方箋である。すべての暴力を防ぐことができるわけでないとしても、少なくとも未来のヒトラーに大規模な軍隊を与えない、国家強制装置を与えない、大量虐殺の社会的な道具を与えないことは可能だ。
建国の父たちは、政府が異常な怪物に変質するのをうまく食い止める方法を見出したと思っていた。その方法とは、国民が武装できることを保障すること、そして、自由市民の義務の一つに政府の驕りをチェックすることがあると教えることだ。武装蜂起の脅威をちらつかせたり、必要とあれば実際に革命を起こしたりすることによって。トマス・ジェファーソンなら、ドイツのユダヤ人もジプシーも、ナチによる武装解除令に対し、蜂起するわけでもなくなすがままだったのはなぜか、さらに重要なことに、世界の自称文化国家が、武装解除令はやがて来るホロコーストの確かな前触れであることを見通せなかったはなぜか、と問うただろう。
しかし、事実の経過として、武器は徴発された。したがって、突撃隊員たちがやって来て自分たちを死の列車に押し込めようとするのを前に、ユダヤ人やジプシーたちには頼りにするものなどなかった。立憲民主主義体制の致命的な不安定性が、1200万人以上の人々を死に追いやったのである。アメリカのシステムに、将来の大虐殺を防ぐための本質的なものが備わっているとは私には思えない。とりわけ、多くのアメリカ人が隣人を武装解除することに熱心であるうちは。ジェファーソンをはじめとする憲法制定者たちが、憲法修正第2条［訳注2］の平易な言葉によって我々の社会体制の中に組み込もうとしたチェックを取り除こうとするうちは。
政府の傲慢を監視下に置こうという試みは成功しないという、寒々とした結論にたどり着くことになってしまった。国民の大多数は、国家的宣伝の虚偽の約束と有害な夢想を信じて、圧制から自衛するための憲法の保護機能を明け渡す誘惑に負けてしまう。あまりにもやすやすと。
だから私はアナーキストなのだ。
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最後にロスバードの一言
「政府『のみ』が、強制や暴力によって収入を得ている。これを『徴税』と言う。政府『のみ』が、国民に対して暴力を振るうための予算を行使することが可能である。政府『のみ』が、社会において、国民の所有権を侵害するために、歳入を得るために、道徳体系を課すために、政府に対する反対者たちを殺すために、権力を与えられている」 by ミューレイ・ロスバード
http://individualliberty.hp.infoseek.co.jp/AnarchoLibertarian/
[176] 訂正があります。 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/07/11(Fri) 16:35:50たびたび申し訳ありません。先の投稿に誤りがありましたので、ここで訂正とお詫びを致します。(前編）の最後の方に以下のような記述があります。「中世の西欧ローマカソリック教会にて神父を務めていた、トマス・アクイナス（Thomas Aquinas 1225-1274）は、」
これは誤りです。トマス・アクイナスは、神学者であり哲学者でもあり、教会の為にさまざまな貢献をしましたが、神父はやっていませんでした。
どうも申し訳ありませんでした。
＜参照＞
"Aquinas, Saint Thomas," Microsoft® Encarta® Online Encyclopedia 2003, Microsoft Corporation, 11 Jul, 2003,
http://encarta.msn.com/encnet/refpages/RefArticle.aspx?refid=761577720
[175] 追加の参考文献です。 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/07/11(Fri) 16:02:54(後編）で参照した文献を載せ忘れていましたので、ここに紹介します。＜参照＞
MacDonald, Margaret, “Natural Rigths,” Theories of Rights, edited by Jeremy Waldron, New York: Oxford University Press, p.21-40
長い投稿に目を通していただきまして、ありがとうございました。
[174] 「自然権（Natural Rights ナチュラル・ライツ）」とは？（後編） 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/07/11(Fri) 15:36:32以上の歴史と解釈をめぐっての対立などの事例から、まとめるのならば、「自然法」や「自然権」、あるいは「人権」の存在など、どうひっくり返っても、科学的に証明することなど出来ない、という最も簡単で根源的な事実を、まず真っすぐに認識するところから始めなくてはならないという結論です。地球には一定の重力が働いているとか、太陽は必ず東から昇るといった、実験や観察からその法則性を科学的、客観的に導き出せる、ナチュラルサイエンスのような代物ではない。これらはあくまで、私たち一人一人が、自らの価値観や意見として、それを受け入れるか受け入れないか、賛成か反対か、納得するか、あるいは強引に納得させられるかという、個人個人の価値観の「選択」の問題でしかない。この認識なくしては、理解や議論はできないということです。科学的に根拠がなくて、ではどうして、ヨーロッパ人やアメリカ人たちは、こんなに躍起になってこれらの「自然」や「神」の掟や、「自然権」という価値やコンセプトを大事に大事に擁護し、躍起になって守り抜くことを主張しているのか。それは、彼らが自らその価値がやっぱり一番だと、自分たちで選んで、これを信じると決めたからに他ならないわけです。あるいは、彼らが生まれついた家庭や社会、文化に根付いて自然に身に付いた文化的価値観というものでしかない。つまり、もともとが宗教的な思想から出ていることからもわかるように、「自然法」も「自然権」も「人権」も、ただの一つの宗教、または人々が長い伝統のなかで受け継いできた、ある価値観でしかない。そして、そこから拡大して、その人の政治的立場や、擁護するイデオロギーとして主張されているのです。この価値観は、地中海文明地域に独自に根付く歴史、文化、社会、民族性などの歴史的背景から生まれていますから、もちろん、その地域から遠くはなれて全く異なる文化や歴史背景を持つ、例えば私たち日本人に、「自然権」は人類の｢普遍的価値｣なんだから黙って受け入れなさい。解るでしょっ、と言って押し付けられても、いや解らないということになるわけです。
これは、逆もまた真なりで、例えば、日本人ならば特に学校で習わなくても、あるいは成文として、法律に定められているわけではなくても、例えば、人間は死んだらあの世に行って、又生まれ変わってこの世に戻ってくるのだと言った「輪廻転生」の価値観、あるいは、死んだおばあちゃんや先祖たちが、いつも自分を見守ってくれているから、お墓参りをちゃんとして感謝の気持ちを示さなきゃ駄目なんだよ、といった「先祖崇拝」などの考え方は、キリスト教を信じる大部分の西洋人たちには信じられないことだし、理解しろと言っても、この伝統的で文化的価値観が彼らに一体どこまで実感を持って理解されることやらと、率直に類推できるわけです。
つまり、「神の法（自然法）」や人間に「自然に、生まれながらに備わっている権利（自然権、人権）」があるはずだ、という考え方は、アメリカやヨーロッパで普通に生まれて、普通に教育を受けてきた人間にとって見れば、特別なものではなく、学校で習ったわけでもなく、しかし自然に身に付いている，所謂文化的世界観とでも言うものです。あるいは、それをさらに擁護したり、広めようという政治的目的､あるいはアカデミックな理想から、個々人の価値判断によって自らそれを受け入れることに決めた、「意見」、「信条」、あるいは「イデオロギー」でしかない。自然科学における、「再実験」によって何度でも実証することができ、はっきりと目に見える形で人々にその存在を「客観的」に証明できる「自然法則（これもnatural law）」というものとは、全く性質の異なるものです。そして証明できない以上は、その考え方を受け入れるかどうか、擁護するのかしないのか、信じるか信じないか、または、それを「正しい」あるいは「好ましい」と考えるか、それは「間違いだ」とか「気に入らない」として避けるのかは、それぞれの人間の自由であり、その「主観的」価値判断にゆだねられているわけです。だから私は、「人定法派（Law Positivist）」や「功（公）利主義者（Utilitarian）」の思想が、ベンサムが提唱して以来、エゴイスティックだ、非人道的だ、ナチズムを増長させた、などと散々批判されてきてもなお、現在にいたっても結局は、新たな論点から覆されていないという事実が、その思想体系の根源的正確さ（accuracy,「正しさ(rightness)」ではない）を物語っているのだと考えます。
つまり、「あなたは神を信じますか？」という問いかけと全く変わらない。「あなたは、自然法（自然権、人権）を信じますか？」「おれは信じないよ。神様なんているわけないじゃん。あるのは原子や量子なんかが、ひたすら循環しつづける、空虚な空間だけだよ。おれは死んだら分解されて、土に返って、今度は別の物体となってどっかで生まれ変わるか、あるいは、宇宙の塵にでもなって漂うだけさ」… これも一つの考え方に過ぎない。もしかしたらそのとおりかもしれないし、違うかもしれない。でもとにかく、誰にもその証拠を示すことはできない。そうである以上、より上手にもっともらしい論陣を張って、より説得力のある理論を主張できる者が、その｢意見｣や｢思想｣を人々に広め植え付けることができる。
そして、これらのコンセプトが「意見」や「価値観」や「イデオロギー」である以上、よりもっともらしい論拠を提示できる者、つまり、つまり、強力な弁護士を雇える者、暴力などの物理的手段に訴えられるもの、あるいは金銭による策謀によって、その主張の「正しさ」を他の人々に強引にでも納得させ、あるいは洗脳することができてしまう者たちの理論や価値観が最後に勝つ。「正しい」、あるいは「絶対で普遍的だ」ということになる。だからいつの時代も、時の権力者、覇権を握る皇帝や強権政府のサポートを得ることができた｢宗教｣「法律」｢思想｣「イデオロギー」が、最も強力になり人々からも支持を受け、広く浸透して行くことになるのです。
以上、大雑把かつ冗長な説明になり申し訳ありません。この文章は、数名のアメリカ人と話し、いくつかの関連記事と文献にあたって、得られた情報をもとに組み立てました。ですから、詳細はありませんが、大筋は正確だと思います。より詳しい情報をお持ちの方は、是非、追加や訂正をお願い致します。不正確あるいは不十分な情報や知識で、日本人どうし、ああだこうだと欧米思想の解釈をめぐってケンカしている暇があったら、どんどん自分でまず調べて、それをお互いに開示しながら、正確な知識と理解の共有を図るというやり方が、やはり一番効果的だと、私は考えています。
[173] 「自然権（Natural Rights ナチュラル・ライツ）」とは？（中編） 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/07/11(Fri) 15:23:23それでは「自然法」ではなく「自然権（Natural Rights, right of nature）」は、一体どこから始まったのか。もともと「自然権」は「自然法」の考え方から派生し、「人権」や「個人の権利（Individual Rights）」という考え方は、その「自然権」から更に派生して生まれました。この解説は、副島先生の『世界覇権帝国アメリカを動かす政治家と知識人たち』（東京:講談社＋α文庫、1999）第４章に詳しいですが、ここでは特に、「自然法」と「自然権」そして「権利」概念そのものに内在する矛盾点、それぞれの解釈についての大きな対立について、具体例を挙げながら見てみたいと思います。近代を迎えつつあったヨーロッパでは、アメリカ独立戦争やフランス革命が勃発する直前期、１８世紀前半から、神や教会や君主制国家の権威に対抗し、人間個々の理性（reason）や客観的経験や観察からの知性を重視する学問体系「経験主義（empiricism）」を提唱する「啓蒙思潮 （Enlightenment）」 が起こってきます。
例えば、オランダの法学者ヒューゴ・グロチウス（Hugo Grotius 1583-1645）は、｢自然法｣の概念とその前提にあった神学的な論拠とを、完全に切り離すことを主張し始めます。つまり、「自然法」には「神の意志」そのものである「一次法（Primary Law）」と、「神」ではなく人間の「理性（reason）」によって、数学や自然科学的法則のようその正当性を人間の客観的思考の中から引き出せる「二次法（Secondary Law）」のん種類の区分があると考えました。
＜参照＞
Uzgalis，William, “Hugo Grotius,” The History of Western Philosophy, 11 Jul, 2003, http://oregonstate.edu/instruct/phl302/philosophers/grotius.html
さらに、ジョン･ロック（John Rock 1632-1704）ら当時リベラル（Modern Liberal）と呼ばれた思想家たちは、「自然権（right of nature）」という考え方を、初めて明確に定義し、提唱しました。この思想は、抑圧的、権威的な絶対君主や政府統治者たちの強大な「王権（right of kings）」に対抗する理論的基盤、イデオロギーとして、その支持を広げて行きます。彼らの見解によると、人間は一人一人が持つ自由意思に基づいて、自らの生き方を選ぶ権利がある。これは、万人に対して「神から与えられた」ものであるから、どんな権力者や他人からも奪われることはできない「普遍的」、かつ人間にとって生まれつき備わった「自然の状態（state of nature）」であると主張したわけです。そして、政府の役割は、この個人に与えられた「自然権」を守ることであると訴えました。
＜参照＞
"Locke, John," Microsoft® Encarta® Online Encyclopedia 2003
http://encarta.msn.com，© 1997-2003 Microsoft Corporation, 11 Jul, 2003, http://encarta.msn.com/encnet/refpages/RefArticle.aspx?refid=761563503
さらに実際問題として、この「自然権」を具体的に行使するときに、どうしても個々人が占有できる「財産（property）」と、何より自分の「身体」を自分で所有し自由に使えることを保障する権利を、はっきりさせておかなくてはならない。自分の「身体」まで、他の権力者や資本家に所有され、拘束されて自由に使うことができなければ、それはつまり奴隷状態であり、「自分には神様が平等に与えてくれた権利がある云々…」といってみても、どうしようもない。ここにリバータリアンたちが口をすっぱくして繰り返す、「所有権（Property Rights, right of property）」の決定的な重要性があるわけです。それは、本当に人間の価値や行動の自由を守れる社会システムやコンセプトは、あいまいで主観的な「自然権」や「人権」の思想ではなく、個人で自由にできる土地や財産や自由市場経済という、最も自然な人間社会のシステムと、その中で必要になる個々人の「所有権（Property Rights）」という経済手段の中にこそあるのだ、という主張に基づいています。
＜参照＞
Garvey, Olive W., “Private Property is the most important guaranty of freedom,” Independent Institute, 11 Jul, 2003,
http://www.independent.org/tii/students/GarveyEssay97Whitman.html
自分の「身体」をまず自分で所有し自由に扱えなければ、いくら精神や意思が自由で、頭の中で何を考えても良いといわれても、その人間はひとつも自由ではない。さらには、頭で考えたことを、自分の身体の一部分である手と、書き記すための色々な道具を自由に使って、実際に「書く」という行動に移すことができなければ、いくら神様お墨付きのの「自然権」をわめいても、やはり人間は自由にはならない。例えば、「言論の自由」と言って、その意見を書き記す紙もペンもパソコンも、全部他人の所有物で、いつ取り上げられるか分からない、いつでも自分の自由に使えない、としたらどうか。さらには、その書いたものが自由に他の人々に読んでもらえる環境や出版･情報流通が自由にできる自由な社会環境が無ければ、いくら自分ひとりで言いたいことを自由に言えても、それが「自然権」として神から与えられているのだと言っても、それが本当の「自由」にはなりえない。
実はこの事実の発見にこそ、ジョン･ロックの本当の功績があるのです。彼は、人間は生まれながらに自由で平等で善であるあるという「理想」を主張した。これは人間に神様から与えられた「自然状態（state of nature）」であり、そこから「自然権(law of nature)」が保障されるはずだと。しかし、それを実現しようにも、自分の住むところも仕事場も、食べるものも、使える道具も土地も、自分の体すら全て、国王や政府の所有物であり、人民はそこからあてがわれる範囲で生活し、決して自由には使用できなかった。つまり、現実問題としては「自然権」よりも先に、資産や生活に必要な道具などを自由に使って、「自由で主体的な経済活動（unhampered private enterprise）」ができるための「所有権（right of property）」を獲得することが必要になる、ということに気付いた。（小室直樹、『理論の方法』、東京:東洋経済新報社、2003、p.20-55）
しかし彼は、この「自然権」という理想的観念と、「所有権」というより現実に即した人間の権利を、はっきりと切り離すところまではできなかった。「神」や「自然法」といった「主観的」で測定不可能な「自然権」という「宗教的価値観」と、「理性」や「功利主義」、｢資本主義｣などの「客観的」価値の測定や権利の理論を可能にする「経済的価値観」をごっちゃにしたままで、人間の「権利」論争を行ったため、ここに「自然法」｢自然権」に基づいた「権利」の解釈に、矛盾が生じて来ました。
例えば、「自然法」は、前述のように、人間の力を越えてはるか古代から現在まで常に存在する「神から人間に与えられた」おきてであり「法」である。だから人間は、統治する側もされる側も、その意思にかかわらず、これに従わなくてはならない。どんな人間もこれを変えることはできない。しかし一方で、ロックによれば、「自然権」もやはり「神から全ての人々に授けられた」ものであり、個人の意思によって自由に物事を決めることができる絶対の「権利」である。どっちも「神」によって与えられた絶対のものであり、人間によって変えることはできないのものだ。さあどうする。ということで、彼の理論が内包する矛盾が、その後現代に至るまで、「自然権」｢自然法｣そして「個人の権利（Individual Rights)」に関する解釈が、いくとおりにも分かれる結果となったのです。
そこで、この矛盾・対立を、アメリカで常に政争の焦点となる、「妊娠中絶（アボーション abortion）の是非」という具体例をもとに考えてみます。アメリカでは「妊娠中絶」に対し、大きく二つの立場が取られます。ひとつが「プロウ・ライフ(pro-life) 胎児の生命尊重派」であり、もうひとつが「プロウ・チョイス（pro-choice） 母親の選択尊重派」です。保守派（コンサヴァティヴスconservatives）、特に保守本流の人々は「プロウ・ライフ派」であり、胎児を除去するのは「殺人」に他ならない、生命を尊重するキリスト教の教え、「自然法」にも反するとして中絶に強く反対します。一方の、「プロウ・チョイス派」は、「自然法」が尊重する個人の自由意思、または、母親の「自然権」に基づいた個人の選択や権利をより尊重するべきだ、と主張するリベラル派（liberals）や、保守派の中でも、政府や宗教などの権威的道徳観や価値観の押し付けを嫌うリバータリアンたちが、あくまで母親個人の選択・自主性・自律性（autonomy）に任せるべきだという立場を取ります。
そして、この論争を決着し難くしているのはまさに、この「自然法」と「自然権」が持つ理論的矛盾、さらに解釈の多様性、という点なのです。つまり、「プロウ・ライフ派」は、胎児の生命を殺してしまうことは、「自然法」が強調する生命の尊重という教えに反し、さらには、胎児を「人間」とみなした上で、その胎児の「自然権」である「生きる権利」の侵害にあたると解釈します。一方で、「プロウ・チョイス派」は、同じ「自然法」が命ずる「個人の自律性（autonomy）」の基本原理、そして、妊娠している母親の自主的で自由な「選択する権利」という「自然権」を擁護しているのだ、と主張するわけです。どちらも、神の教えである「自然法」と「自然権」の原理に則った解釈をしているわけで、どちらも正しいと言えるし、どちらが「自然法」に違反しているとも言い難い。
＜参照＞
Robinson, Bruce A., “ABORTION: Basic facts about pregnancy and abortion,”
Ontario Consultants on Religious Tolerance, 11 Jul, 2003,
http://www.religioustolerance.org/abo_when.htm
ここまで考えてみて、「自然権」なんてあるわけないと言い放った、ベンサム（Jeremy Bentham 1748-1832）や、人間の「権利」とは、あいまいな道徳観や宗教的価値観よりも、あくまで「快楽（pleasure）」や「苦痛（pain）」、あるいは経済活動に換算できる「実利（utility）」で、計算して決めて行くしかないじゃないか、と本音を言い出した他の「功（公）利主義者（Utilitarian）」や「人定法派（Law Positivist）」、「理神論者（Deist ディーイスト）」たちが、やはり、人間世界のより正確な真実をより冷静に捉えていることが分かります。神様なんているかいないか分からないんだし、その神様がさらに「神の法」とか「自然法」を定めて、人間に「自然権」を与えてくれたなんて、誰がそんなこと証明できるんだ。神ではなく人間が持つ「理性（reason）」に基づいた、自主的な判断で決めていこうじゃないか、ということです。
[172] 「自然権（Natural Rights ナチュラル・ライツ）」とは？（前編） 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/07/11(Fri) 15:11:45いつもお世話になっております。かなり長い間ブランクをあけてしまいました。しかし、今日から復活します。私はまだまだ気力も体力も十分です。読者の皆さん、これからもどうぞよろしくお願い致します！さて、おるぶらいとさんから、リバータリアニズムと「自然権（Natural Rights ナチュラル・ライツ）」についての、投稿をこちらの掲示板に転載して頂きました。このコンセプトについて、日本人の立場からいろいろな解釈や議論が可能だと思います。しかし第一に自覚しなくてはいけないことは、日本や東南アジアの国々には基本的に「自然法（Natural Law ナチュラル・ロー）」や「自然権」という発想が、文化的にも歴史的も存在しませんから、私自身も含めて、この政治思想のコンセプトを実感を持って理解するのはなかなか難しいのだ、という大前提があるということです。以前に副島先生から提案のあった、ジョン・ロールズ（自然権・人権派）vs.ロバート・ノージック（人定法派）の対立について少しずつ調べていましたが、どう理解するにしても、まずはこの「自然法」「自然権」というものが一体どこから来て、西洋人たちにとって何を意味するかを、深くはなくとも、あるレベルの正確さをもって理解することが不可欠だと思いました。
今回の投稿ではまず、私が調べた（聞き出した）範囲で、「自然法」と「自然権」の歴史と主な論点について、簡単にまとめてみたいと思います。より詳しい詳細や、ロールズやノージックの対決は、もっと文献に当たってからでなくては紹介できないのですが、今はその時間が取れません。大雑把に行きたいと思います。
まず最初に、歴史の流れをひも解くと、古代ギリシャ・ローマの哲学者たちがはじめに、この世界には、人間が触れたり変えたりすることのできない「自然の法 （law of nature）」があるのだと考え始めました。紀元前6世紀に、ヘラクリタス（Heraclitus 540-480 BC）が、この世界は人間が変えることのできない「普遍的（universal）」な「宇宙または自然の法則・理性（“logos”＝ reason of cosmos/nature）」または、「普遍原理（universal principle）」「活動原理（active principle）」が支配している。人間はすべて、たとえ権力者（rulers） でも、この法則に従がって、社会的調和（social harmony）を保って生きなければならない、という根本思想を主張しました。その後、アリストテレス（Aristotle 384-322 BC）が、正義（justice）の概念の区分を行い、全世界に普遍的に存在する「自然法が持つ正義（natural justice）」と、地域やコミュニティーによって伝統や因習により異なる、通俗的な習慣法が持つ「法的な正義（legal justice）」が、それぞれに並存することを明示しました。
さらに、当時の哲学者や権力者たちの間で広く受け入れられた、「ストア哲学（Stoicism）」がその基本理念として、この「宇宙の法則・活動原理」を継承し、クリシパス (Chrysippus 280-206 BC)がストア哲学を体系化した際に、「自然法」の理論体系を構築しています。ストア哲学派により、この「活動原理に基づく宇宙の理性」は、「知性・意識（mind）」や「運命（fate）」、または「神（God）」とも表現されています。この場合の「神」とは、キリスト教以前の古代地中海文明独自の「神」の概念です。そして、ローマの政治家で弁論家のシセロ（Cicero 106-43 BC）が、その著作「De Republica（共和国にて）」にて、「真の法律」とは「自然と適合する正しい理性」であり、これは永遠不変にそして宇宙全体を普遍的に支配するものであると定義して、「自然法」信仰を普及させています。
＜参照＞
Lynch, John Edward, "Natural Law (ethics)," Microsoft® Encarta® Online Encyclopedia 2003, http://encarta.msn.com © 1997-2003 Microsoft Corporation, 11 Jul, 2003,
http://encarta.msn.com/encnet/refpages/RefArticle.aspx?refid=761553008
"Human Rights," Encyclopædia Britannica. 2003, Encyclopædia Britannica Premium Service, 11 Jul, 2003,
http://www.britannica.com/eb/article?eu=109242&tocid=219321&query=natural%20law%2C%20natural%20rights&ct=
一方で、新約聖書を聖典とするキリスト教が生まれる以前に、もうひとつ、「神の法」を唱える宗教がありました。それが、旧約聖書を聖典とするユダヤ教でした。彼らは、旧約聖書を、例えばその中にあるモーゼの「十戒（Ten Commandments）」を、俗世（secular）の為政者や権力者などが定める法律よりも、上にある神の（divine）絶対の法律として見なしました。つまり「神の法」に逆らった内容で、人間が法律や政策を制定すること（つまり、「人定法 （Positive Law）」）は、「違法」であると考えられた。よって、国や政府や権力者たちが定める法律群とは別に、統治する者もされる者も等しくこの「神の法」の裁きを受け、違反した場合は実際に投獄や刑罰を受けました。
そして、このユダヤ教がたどり着いた革命的な神についての発想、「唯一神教（monotheism）」の考え方が、「自然法」というコンセプトをより強力に定着させます。神はたった一人でこの世界や宇宙の全てのものを創り出した。そして、そこには神の「イメージ（image）」に基づいた、一定の原理や法則が施されている。これは人間にはどうすることもできない、「普遍的」にすべてを超越して存在する「神の法(自然法)」なのだ、という信仰です。そしてこの「唯一神」の「神の法」は、古代ギリシャ･ローマの「宇宙の法則・理性・活動原理」という考え方とも対応して、古代地中海文明における「自然法」という基本思想を形成して行ったわけです。
＜参照＞
岡田英弘、『歴史とはなにか』、東京:文藝春秋、2001、p.61-7
ですから、ヨーロッパにおける「自然法」や「自然権」の起源は、キリスト教よりも更に古くから、この地中海文明の地で生まれて育まれ、人々の間で広く信じられて来ました。法を授与する存在（law-giver）としての｢唯一神｣、人知を越えた絶対的な「神の法」の存在という、文化的に独自な思想の背景にあったことを、まず確認しなくてはなりません。人間の決めるあらゆる法律の枠組み「人定法（Positive Law）」の外側、上方にある超越的、絶対的な「神の法（自然法）」の存在という思想は、このヨーロッパ全域に根付いて来た独自の歴史的・文化的法律観から始まって、今日の欧米人どうしにおける「自然法」vs.「自然権」vs.「人定法」の論争にまで、深く根を下ろしているわけです。
その後、キリストが生まれて１００年ほどの間に、当時ヨーロッパでの覇権を謳歌していたローマ帝国が、キリスト教を認めるようになり、その過程でキリスト教は、大きく二つの宗派に分かれて行きます。もともとは、ローマ帝国の行政区分を反映するかたちで、ヨーロッパにおける西と東の分離が始まり、その影響が、現在まで続く「西欧ローマカソリック（Western Roman Catholic Church）」と、「東欧オーソドックス（Eastern Orthodox Church）」の二大宗派を生み出しました。
「西欧ローマカソリック」は、紀元前からの伝統であった、神によって与えられた「自然法（Natural Law）」の存在、つまり人間の定める「人定法（Positive Law）」越えた「神の法」という人々の信仰を、そのまま継承しました。たとえ権力者たちが、それぞれの統治領で独自の法「人定法」を定めて、その地域や国を統括していたとしても、そこには必ずその人間の法律の枠外に「神の法」、すなわち「自然法」が一定の規範（norms）として常に存在していた。西欧ローマカソリック教会の神父（Bishop of Rome=Pope 司教）は、この「神の法」の番人として従事したわけです。そして、この「神の法」に基づく規範（norm）を構成する原則（principles）や規則（rules）も、実際に法的効力を持った。これに違反したものは、たとえ統治者や権力者でも、法的に処罰されたわけです。
一方、ローマ帝国とのつながりを維持することで、権力的バックアップを受けていた「東欧オーソドックス」の教会は、聖職者や権力者をも超越した「自然法」という考え方を、最初はありがたがらず、採用していなかった。これらの教会は、自らの権威を維持するために、それぞれの地域の政府・統治者たちと強く結びついていました。教会の神父（Patriarch 総主教）は、ローマ皇帝から任命されるというかたちを取っていた。そして「自然法」という概念自体、中世東ヨーロッパでは、それほど積極的に受け入れられてはいなかった。しかし次第に、この「自然法」という概念を逆手に取り、教会こそ、そして教会のリーダーである神父こそ、神の意志・おきての代弁者（substitute）または翻訳者（interpreter）であるのだから、その神様のエージェントである教会のリーダーたち、そして、彼らと結託する政府統治者たちが発布する法律群「人定法」こそ、まさに「神の法（自然法）」そのものなのだ。だから安心して、黙ってそれに従いなさいという解釈(イデオロギー)が構築されて行きます。
ですから「自然権」の概念そのものは、人間界の統治者たち（secular rulers）の権力を超えた超国家的存在、「神の絶対的権威（absolute authority）」として、西欧ローマカソリック教会を中心に発展して行ったわけです。
例えば、中世の西欧ローマカソリック教会にて神父を務めていた、トマス・アクイナス（Thomas Aquinas 1225-1274）は、この「神の法」の存在を学術的に「自然法」として定義し、もともとキリスト教の発祥ではなかったこの「自然法」の考え方を、キリスト教における「神」の意思やアイデアに基づく「正統法（Just Law）」であると明確に定義しました。改めて西欧キリスト教社会に、「自然法」の「正当性（Justice）」を提示したわけです。
この「神の法(自然法)」が持つ「正当性（Justice）」という考え方が、「神の創造物（God’s creation）」である人間の法律やその他の所業まですべてに超越して、普遍的な「永続的（Eternal Law）」として存在する。よって人間は、理性（reason）と自由意思(free will)によってこの「神の法」に調和しながら生きるべきであり、どんな「人間の法（人定法）」も、この神に与えられたの「自然法」を越えた内容を法律に制定することはできないのだ、という考え方を示したたわけです。
＜参照＞
Magee, Joseph M., “St. Thomas Aquinas on the Natural Law,” Thomistic Philosophy Page, 11 Jul, 2003, http://www.aquinasonline.com/Topics/natlaw.html
しかしこの時点ではまだ、「自然権（Natural Rights）」の考え方は出現していません。当時のヨーロッパは未だ、それぞれ君主制国家（現代の「国民国家」というシステムは、１８世紀中ごろまで出て来ない）や地域による文化や言語の壁が大きく、ヨーロッパそのものにはまとまりはなく、各地域ごとに分離していました。アクイナスの「自然法」理論も、西欧ローマカソリック教会で主に反響を持って受け入れられました。
[171] ロン・ポールさん 投稿者：自由人Ｒ 投稿日：2003/07/03(Thu) 07:26:01アメリカの連邦議会にたった１人しかいない貴重なリバータリアン政治家である「ロン・ポール」情報をうぷします。
コピペにさらに情報を追加してある。ロン・ポール情報（あちきのホームページ）
http://gifu.cool.ne.jp/gunnuts/ron_paul.html
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[48] ロン・ポール Ron Paul 投稿者：おくやま 投稿日：2000/10/03(Tue) 14:57
Rep.（下院議員）Ron Paul、ロン・ポール、共和党（Ｒ）
選挙区であるこの州の人口は５６万人強で 人種構成は 77.8% が白人, 10.6%が黒人, 0.4% アジア系, 0.3%がネイティブ, 23.3%がヒスパニック系, その他が10.7%
テキサス州オースティン右斜め下、ヒューストンの左斜め下のメキシコ湾海岸沿い。入り江が多く、平らな土地である。石油が発見されるまで港らしい港はなかった。
東側がヒューストン Houston, オースティン Austin サンアントニオ San Antonioの周辺地帯に属しており、ここのこの選挙区の3分の1が住む。かなり田舎の選挙区である。
91年の選挙区改正によりベトナム戦争で悪名名高いリンドン Ｂ.ジョンソン Lyndon B. Johnson 元大統領が出た地域（オースティンの東側）が選挙区に含まれた。
伝統的に民主党が強いのだがドイツ系テキサス人 Texas Germansが建てた町では共和党寄り。大統領選では８０年代から共和党で、クリントンを二回とも蹴っている。
日本で言えば静岡県の熱海市かも。
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１９３５年８月２０日、ペンシルバニア州のピッツバーグ生れの６５歳。現住所はサーフサイド Surfside。
ゲティスバーグカレッジ Gettysburg Col.で文系学士 B.A.で 1957年に修了。デューク大学 Duke U.で医学博士 M.D を 1961に修了。
宗教：プロテスタントだけで細かい宗派には言明していない。
結婚：奥さんの名前はキャロル Carol さん。
軍隊経験：空軍外科医師 Flight Surgeon, Air Force, 1963-68年
政治経歴：アメリカ下院議員 U.S. House of Reps., 1976年, 1978-84年.
実業経験：開業医 Practicing physician, 1968-96年
委員会：
銀行および金融関連 Banking & Financial Services (17th of 32 R): Capital Markets, Securities & Government Sponsored Enterprises; Domestic & International Monetary Policy (副委員長 Vice Chmn.); General Oversight & Investigations.
教育・労働関連 Education & the Workforce (17th of 27 R): Early Childhood, Youth & Families; Workforce Protections.
政治史：
空軍に勤めたあとテキサス州で産科医obstetrics と gynecology 婦人科医をヒューストンの南西に位置するブラゾリア郡 Brazoria Countyで開業しようとして移る。１９７１年の「ニクソン・ショック」に動揺してから政治に感心を持つようになった。
７６年から四期下院をつとめ、８４年に上院選に出馬するが、テキサスの大物政治家フィル・グラム Phil Gramm に 73%-16%の大差をつけられて負ける。
１９９８年 リバータリアン党選出の大統領候補として４万３千２百票（全体の 0.47%）を獲得。とりあえず第三位。
任期の限定 term limits や所得税の廃止 abolition of the income tax など、現在主流になっている議題の先駆けを下院で提案をしていた。
しかしその他の彼の提案、例えば各種政府団体などの政府への資金提供の法律での禁止や、軍事費の壮大なるカット（$150 billion）、そして金本位体制への復活などは相手にされていない（なんてこったい！相手にしてちょーだい！）。行動は徹底していていかなる国からの補助金（医療保険などを含む）のたぐいは受け取っていない。大したもんである。
グレッグ・ローリン Greg Laughlin が党をくら替えした１９９５年の６月に再び政界入りのチャンスを得て予備選に出馬。全国組織のリバータリアンネットワークや自身の発行する雑誌「ロン・ポールの政治レポート」 the Ron Paul Political Report、それに金保有者から選挙資金を集める。
完全な共和党候補ではなかったがリバータリアン的主張 (連邦政府に対する不信）が支持を集め、ローリンは１回目の選挙で一位の43%獲得をしたが ２回目の決戦投票 runoff ではポールが競り勝ち、本選挙の資格を得る（ 54%-46%）
.９６年の本選挙では民主党で「保守的民主党員」 ''conservative Democrat''と名高かったチャールズ“左利き”モリス Charles ''Lefty'' Morris 相手に共和党執行部からやや敬遠されながらも競り勝つ（51%-48%）
↓補正
リバータリアンの間ではヒーロー発言で有名で、C-SPANという政治専門政治チャンネルで「連邦政府が新たなワコーanother Waco に爆撃をしかけるんじゃないかと私は心配です」と言ってヒーロー視される。
（ロン・ポールのアーカイブにもWacoのことが書いてあるhttp://www.lewrockwell.com/orig/paul1.html）
テキサス州 Texas １４区選出。2002年の中間選挙では、民主党候補相手に投票の68.05%で米下院(地区14)のための再選に圧倒的勝利をおさめて勝った。
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＜主な支持団体＞
やはりどちらかというと右系に人気。
−Concord Coalition（CON）均衡財政 Pro-Blanced Budget推進団体。９７％の高い支持をうける
−National Federation of Independet Business（NFIB）中小企業独立推進団体。日本でいうところの「連合」か？ハイテク、個人農業経営者、サービス関連も含まれる。７９％の支持。
−National Taxpayers Union （NTU） 全米納税者団体。全米最大最古の納税者の権利向上団体。３０万人の会員がいる。特に連邦政策関連に影響する税制を監視。８８％の支持。
−American Conservative Union (ACU) 保守団体。1971年発足。保守全般に関する格付け（レ−ティング）をする。８８％の高支持。
−National Tax-Limitation Committe（ＮＴＬＣ）減税推進団体。特に長期の減税政策を狙う。７１％の支持。
−Christian Coalition（ＣＨＣ）宗教右派の中心的団体。 Pat Robertson パット・ロバートソンが会長。メソジスト系が中心。現在会員は１５０万人ほど。特に「家庭の価値」を重要視する。１９８９年に発足。９１％の高支持率。
↓追加
−無妥協ガンロビー Gun Owners of America［http://www.gunowners.org/］ からも絶大なる支持を得ている。
（無妥協ガンロビーGOAはNRAの銃規制妥協スタンスに反対している。GOAはLP［http://www.lp.org/］と親和的。）
−JPFO［http://www.jpfo.org/］という無妥協銃権利団体（ロビー団体ではない）もロン・ポール氏を応援してる（プロガン・ヒーロー！）。
＜政治態度＞
左派の民主党の格好の標的。海外派遣反対・軍事費削減派。
中小ビジネスの味方。
市場主義を優先させた最低賃金の廃止abolition of the minimum wage を唱える。
連邦のドラッグ禁止法 federal anti-drug lawsに反対。
特に売春法関連 anti-prostitution laws には穏健な意見を持ってる。
連邦政府が敵。
中共の香港への干渉に対する制裁案に賛成したり、コンピュターによる個人データ管理化に関する全ての法案に反対。
一連の共和党らしからぬ投票記録が共和党自身にも嫌われる。要するにリバータリアン。
我補正：「小さな政府案」がアメリカ的すぎてリバータリアンズからはヒーロー扱いされてる。
↓我追加
＜ポール氏のあだな＞
☆現代のトーマス・ジェファーソン☆（ルー・ロックウェルの人がそう言った）
ドクター・ノー（民主党や他の共和党の提案に一貫して反対しまくってるから）
孤独な共和党員（共和党にリバータリアンといえる人はポール氏１人しかいないので）
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＜私見＞
けっこうステキである。やはりリバータリアン。
「個人の生活」と小ビジネスがとにかく信条。
国連や連邦政府に対する不信感がすごい（つい最近国連脱退法案を提案しますた：http://www.just15.org/）。
自由への熱き情熱を感じる。投票に関する一貫性はすごい。
おわり
[170] 在外者掲示板[1050]を転載します 投稿者：おるぶらいと 投稿日：2003/06/09(Mon) 12:22:54おるぶらいとです。
ここの掲示板では、藤森さんとか森田さんのやりとりで紹介されたことがあるのですが、ここの掲示板への投稿は初めてです。在外者掲示板でリバータリアンについて言及したので転載致します。＜以下張り付けはじめ＞
Re[1049]: Linuxism様
Linuxism様[1049]の見解は、たまに困惑することもあるのですが、理解を深めていく上での過程であると考えましょう。
以下[1049]の、御意見一面的には当たっているともいえるかもしれません。ただ、リバータリアニズムというのが、いろいろな思想基盤を持つ人々の寄せ集めであるので、一般論として結論づけるのは早計だと思います。
ナチュラルライツを基盤とするリバータリアンは、リバータリアンのなかで人数的に大勢を占めているようですが、リバータリアニズムは、ナチュラルライツが必須だとは思いません。一応、「リバータリアニズム入門」では、アインランドはナチュラルライツを基盤とするリバータリアンに分類されています。しかし、過去のこのページの掲示板で副島氏がアインランドは、ナチュラルライツを基盤としない功利主義的な立場であると述べられていたことがあります。で、私の頭の中では混乱していて、アインランドは本当にナチュラルライツを基盤としてリバータリアニズムを展開しているのか確認できていません。アインランド自身の論文を読んで確認する必要がありますが、私自身このページで思想のつまみぐいをしている身であり、そこまでする余裕がありません。他人の解説を百回聞くより自分でアインランドを読んで確認するのが一番早いのですが、、。ちなみに、「リバータリアニズム入門」は、ナチュラルライツを基盤としているとデヴィット・ボウツ自身がはっきり明言しております。それを理解しないで「リバータリアニズム入門」を読むとあらぬ誤解を招いてしまうことになります。そういう意味で「リバータリアニズム入門」という本はリバータリアニズムの解説書であってもバイブル（原典となる基盤書）ではありません。この本は、リバータリアニズムを理解するお薦め本というより、参考書でしょう。リバータリアニズムをきちんと理解するには「覇権アメ」の方が適切だと思います。というわけで、Linuxism様の[1049]見解には、YesともNoとも答えられません。（以下の見解）
[1049]より張り付け＞
この矛盾をアインランドは逆説的に仮想実験で解決した。と同時に小説で知的労働者のナチュラルライツを主張した。それがアメリカの資本主義に恐ろしくマッチした。特に９０年代はそうだった。が、ところが、、アメリカはノスタルジーにかかり、ランドになりきれず、ネオコンに逆行して、恐らく、今それが方向感を失っている。ということではないか？というか、マルクス理論で出てくる労働者ＶＳ資本家という構造に大バブルで逆戻りしてしまった（知的労働者が無視されることになる）。これは困ったということで、ある種アノミー崩壊を起こして、ネオコンという怪物が「表舞台」に出てくるほかなくなってしまった！？＜張り付けここまで＞
リバータリアニズムというととかく「自由主義」がとりあげられるのですが、「自由（自由放任）主義」というより「自立（自律）主義」であると考えたほうがよいと思います。「自由」であるためには、なにかそれを担保するものが必要なのですが、それが「自立（自律）」であって、「自立（自律）」しているから「自由」でいられるのだと考えた方が自然だと思います。人間は生ながらにして自由であると考える（ナチュラルライツ派）のは、「自由」を担保するために「自然権」をゼッち上げる必要があるのですがそうしてしまうと、論理的に破綻してしまうように思います。何でも自由（自由放任）がリバータリアンとは決して言わないでしょう。
吉田（Ｙ２Ｊ）さんのいらっしゃるオランダは、麻薬や薬物に対する規制がなく、売春、同性愛もやり放題です。事実、アムステルダムは、麻薬が野放し状態で、そこら中の喫茶店でみんな麻薬をやっています。売春もやりほうだい、オカマバーみたいなのもあふれています。そういうのが目当てでアムステルダムに来る観光客も少なくないでしょう。リバータリアンの理想像とされているのは「大草原の小さな家」のような開拓者であって、売春婦やジプシー、ヒッピーのような一般的には社会からドロップアウトしたと思われる人たちではないはずです。だからリバータリアニズムは「自由（自由放任）主義」というより「自立（自律）主義」と呼ぶのが適当でしょう。自暴自棄になってやりたい放題やる主義というよりは、自分のことは自分でやるSelf-employer主義と考えた方がよいでしょう。
現実的にはリバータリアンと自称している人たちも、いろいろな思想基盤をしている人たちの寄り合いで、ナチュラルライツは必須ではありません。私は「ナチュラルライツなんてくそくらえ。」だと思っています（笑）。
PS；ＲＮＡiについては暇なときに理科系掲示板に書き込みます。最近の、アポロ論争はウンザリしているのですが、それに便乗して、自分のことを棚に上げて理系批判をやる偽善者（山田氏をはじめとする）はもっと許せません（笑）。
[169] ﾘﾊﾞｰﾀﾘｱﾝを尊敬している自由人（JPFOに激しく献金するぞ！） 投稿者：ん〜？白装束ですと？ 投稿日：2003/05/29(Thu) 06:11:50白装束集団…
彼等を危険なカルト集団と思ってる人はおそらくいるでしょう。が、しかし！左翼マスコミの殆どはこぞって不思議教団パナウェーブを危険なカルト教団
と捏造扇動報道していますた。
そして、「アメリカには団体規制法があるから日本も導入すべき」などとも…
アメリカの合衆国憲法第１条に従えば宗教や団体を規制するのはあきらかに憲法違反
なんです。日本でも、表現や宗教の自由は保障されているだから宗教規制はダメなんです。
宗教・団体規制法は麻薬・覚醒剤取締法や銃規制法やなんかと同じくらい間違っている
悪法といえます。
宗教団体に対する不信感が不思議教団をオウムのようなカルト教団と決め付けたり
疑ったりするんです。アメリカで昔ブランチ・ダビディアンが武器を集めてただけで連邦政府
の飼い犬のFBIやATFや国軍どもはブランチ・ダビディアン本部に強行突入して武力でおい
つめて彼等を集団自殺においこんだ事件がありました。
なんてこったい！
不思議教団があまりにもかわいそう。日本ではパナウェーブがカルト扱いされてかわいそう…。
このダビディアン事件に関してリバータリアンのロン・ポール議員もこういうこと言ってますた。
読みましょう！
http://www.lewrockwell.com/orig/paul1.html
http://www.excite.co.jp/world/url/body?wb_url=http://www.lewrockwell.com/orig/paul1.html&wb_lp=ENJA&wb_dis=3
http://gifu.cool.ne.jp/gunnuts/
[168] 緊急報告！！白装束の本来の目的 投稿者：sasa 投稿日：2003/05/26(Mon) 20:53:44緊急報告！！白装束の本来の目的
もうニュースや雑誌などでご存知でしょうがここ最近になって白装束が話題に上がっています。
なぜ今になってとお思いの方は多いかと思います。何のためにどうして今出てきたのか？
別に急に出てきたわけではありません。もともと存在し活動を公には行っていなかったのです。
何を意味し今後どのようになっていくのか。私たちの生活に対して何か警告を出しているのか？
知っている方もいるかもしれませんがここ最近になって地震が多発しています。
このようなことと関連性はあるのでしょうか。皆さんはどのようにお考えですか？
白装束が警告し何かを伝えたいと思っているなら今すぐに対策を打たなければなりません。
あなたの明日は確かに存在していると言い切れますか？
実際何か起こってからではもう遅いのです。
その対策の１つとして私からの提案です。他にもっと良い方法はたくさんあると思います。
確かに何か行動しなければならないとお思いの方は参考の１つとしてお役立て下さい。
明るい未来を願って・・・。http://atlasbb.fc2web.com/
[167] 「 “Who benefits?”−誰がアポロ計画を実現させたか？ <第一部> 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/05/23(Fri) 07:03:10大変ご無沙汰致しました。先週一週間は、最終試験やら卒業後の雑事で、結局、まとめて文章を書く時間が取れませんでした。合間を縫って、現在議論が沸騰しているアポロについては、少しだけ調べていました。色々考えているうちに、話題の山田宏哉君の「科学は政治に従属する」論を読んだこともあり、やはりここの掲示板では、政治的見地、とくにリバータリアンの視点から、米政府のアポロ計画の実態について論じるべきだという結論に、自分の中で落ち着きました。 アポロ月面着陸の真偽は、より正確で緻密な検証と、2004年に計画されている、月面探査機による、再度の「現地」探査により、自ずから明らかになってくると予想されます。しかしながら、さまざまな情報と意見が錯綜する現状においては、すべての論者が、まず、議論をより根本的な見地にもどすことが必要だと思われます。
私は、ここで根源的な質問を三つだけ掲げます。「�� なぜ、アポロ計画（ロボットではなく、あえて人間を月に送る）が急きょ提案され、急いで実施されなくてはならなかったのか」。「�� アポロ計画に対する、当時の国民、議会、ＮＡＳＡ関係者、他の宇宙関連の学者たちの反応はどうだったのか。そして、それに対する政府の対応はどのようなものだったのか」。そして、 「�� “Who benefits?” 誰がこの計画の実施により利益を得るのか」。この３点を明確にすることで、本物であったにせよ、捏造されたの作り物の月面着陸であったにせよ、当時の米政府がこのプロジェクトを利用して、いかにその権力を肥大させ、軍産複合体と政府の癒着、政府による宇宙開発事業の独占、予算の誘導、マスメディアと共謀した民意コントロールシステム等の基盤を、急速に強化する足掛かりとしたのかが、明らかになります。(なお私は“月面着陸は捏造だ”派です)
ケネディ大統領による1961年5月25日の「人類を月に送る」宣言で脚光を集めた「アポロ計画」は、ソ連との冷戦に対抗するという正当化（Justification）のもと、米国民の税金からなるＮＡＳＡの運営総予算を、たった二年間の間にそれまでの３倍に増大させるという、荒ワザを為し遂げました。ＮＡＳＡの1962年度総予算は17億ドル、うち有人宇宙飛行開発計画へ5億ドル、そして1963年度のＮＡＳＡ総予算が37億ドルうち22億ドルが有人宇宙飛行開発に費やされています。１（1.Kauffman, James L., Selling Outer Space『売りつけられた宇宙』, Tuscaloosa: The University of Alabama Press, 1994, p.2）
この過程で、大統領の権限の拡大、CIAの情報操作戦術、大統領演説がマスメディアと共謀し、政策を劇化（ドラマタイズ dramatize）して民意を誘導するという一種の「ブレッド・アンド・サーカス」の統治手段が、宇宙事業部門にまで拡大されたわけです。
さらに、より大きな歴史の視点から眺めるのならば、アポロ計画とは、冷戦が昂揚する真っ只中にあって、グローバリスト軍産複合体の管理コントロールが、ついにＮＡＳＡをも完全に飲み込んだという、一連のプロセスだったのだと考えられると思います。
副島先生が無料ぼやき［430］にて述べられているように、アメリカ人を月に立たせてみせるというアポロ計画は、朝鮮戦争停戦後の1950年代後半から60年代にかけて集中的に実施され、1972年のアポロ17号で幕を閉じるまで、アメリカとソ連の冷戦が急激に激化して行ったその歴史的背景（コンテクスト context）の中で、慌ただしく立案・実行されました。
当時のＮＡＳＡ「Ｎｏ.2」の地位にあった、ヒュー･ドライデン副行政官（Hugh L. Dryden，Deputy Administrator）の発言記録からも、この月面着陸のアイデアがいかに突飛で、現実味のないものであったかが読み取れます。ケネディ大統領（John F. Kennedy, 1961-1963赴任）は、1961年4月12日のソ連の飛行士ユーリ･ガガーリン（Yuri Gagarin, 1934-1968）による、人間を載せた初の宇宙船ヴォストク（Vostok）1号の、地球軌道飛行成功の脅威に押されるがままに、月面「有人」着陸を実現させるというプロパガンダ発表をぶち上げました。しかしそのほんの四日前、ドライデン氏は、上院歳出委員会（Senate Appropriation Committee）にて、人間を月面に到達させるという案について「その意義が、私にはまったく持って理解しかねる」２、という発言をしていました。（２. Kauffman、同上、p.2）
さらに、その3年前の1958年にも、下院おける宇宙航行・科学特別委員会（Select Committee on Astronautics and Space Sciences）において 、ドライデン氏は「人間を空中（宇宙の比喩）に放り投げて戻ってこさせるのは、若い女性を大砲に詰めて、発射させるサーカスの妙技と、技術的価値では、何の違いもない」3と強調してコメントしています。（3. Kauffman、同上、p.142）しかし、ケネディによる月面有人着陸宣言の後では、ＮＡＳＡ関係者の発言は一転、一貫して有人月面着陸を正当化し擁護するようになります。
いっぽう、このケネディ演説のちょうど一ヶ月前の61年4月25日、CIAによるソ連の宇宙開発規模やレベルの調査結果も発表されており、アポロ計画を国民や議会に売りつけるのに、一役買っていたことが分かります。CIAの分析によると、「有人地球軌道衛星の成功と、大型ブースター開発成という事態のの偶発から推論して、ソヴィエトは、1966年には月周遊有人飛行達成、1967年には回帰可能の有人月衛星の実現、さらに、およそ1970年までには、月面着陸から地球への帰還までを為し遂げる可能性が、きわめて高いと考えられる」4 と結論し、米ソによる「月へのレース（a race to the Moon）」が始まったことを、国民に示唆し、世論の誘導を謀っていました。（4. “Soviet Capabilities in Guided Missiles and Space Vehicles,” April 25, 1961, NIE (National Intelligence Estimates) 11-1-62, p.44）
ケネディ大統領自身は、その61年5月のスピーチの中で、「現世界における『自由と専制政治』の戦いに勝利するためには、アメリカは、新たな『事業（エンタープライズ enterprise）』に取り組まなくてはならない」5と力強く提唱しています。（5. Kauffman、同上、p.13） そして、ケネディの言う新たな「事業」が、アメリカ人を月まで連れて行き、国旗を立て、足跡を残して（“flags and footprints” つまり取るに足らないことに莫大な予算と人命のリスクを侵して）、安全に地球まで連れ戻すという、このアポロ計画でした。
当時ケネディ政権は、「ベイ・オヴ・ピッグス」の失策（Bay of Pigs、1961年4月、キューバ・カストロ政権を打ち倒すため、CIAにより訓練されたキューバ人亡命者たちを、ピッグ湾から上陸侵攻させ、現地の反カストロ勢力と合同による反乱を、秘密裏に画策したが失敗。これにより、CIAとケネディーの確執が生じる）や上述の「スプートニク・ショック」などに端を発する「冷戦危機 (Cold War Crisis)」6 のさ中にあり、ソ連の宇宙技術の脅威を打ち破り、「人間を月面に立たせる」ことを約束したアポロ計画の打ち上げが、その名誉挽回の絶好の機会であったことも、見過ごせない事実です。(6. Launius, Roger D., “NASA Looks to the East American Intelligence Estimates of Soviet Capabilities and Project Apollo,” Air Power History, Fall 2001, p.4）
彼は、その大統領選のキャンペーン・スローガンでもあった、「ニュー・フロンティア（New Frontier 新開拓）」を、うまく「月面」という新大陸を開拓することと掛け、就任後4ヶ月足らずで、前大統領アイゼンハウアー（Dwight D. Eisenhower、1953-1961赴任）の、有人月面探索などの宇宙開発計画に予算は割かないという方針を撤回し、上述の「アメリカ人を月に送る」宣言をしました。
このためにケネディーは、ＮＡＳＡ1962年度予算への5億3千万ドルの追加と、有人月面着陸事業への今後5年間における、約70〜90億ドルの資金充当を、議会に申請しています。この莫大な予算拡大を、議会と国民に売り込み（to “sell”）、納得させるための演説でケネディーは、「今が我が国の生存に取って、そして、世界中における自由の存続にとって、最も深刻な時であります」と劇的な調子で、アポロ計画の必要性を訴えました。このスピーチがが非常に効果的であったため、国民を挙げた月面有人探索への支持が広がり、議会にもこれに賛同する政治的機運（political climate）7 が生まれました。（7. Kauffman、同上、p.13）
政府や政治家が、自らの権力維持・拡大のため、あるいは、国家利益やそのバランス・オヴ・パワー（勢力均衡）獲得のために、合理主義（レイシオ思想）に基づいて実施する国家政策を、さも何か世界や国民の「正義」のためにやっているように見せかける時には、どの大統領も同じようなことしか言えないものだ、ということが、この発言から良く分かります。
そして案の定、アポロ計画に対する支持は、その予算の膨大さと明確な目的や実用性の欠如から、ケネディ暗殺後、米政府内および国民の間でも次第にその支持を失って行きます。そして、この「目的不明確」のＮＡＳＡ宇宙計画の体質は、「非効率／高コスト」という政府官僚機構特有の性格と併せて、今日ＮＡＳＡが取り組む、スペースシャトル、火星探査、スペース･ステーション開発事業にもしっかりと受け継がれています。
そして、ここに、リバータリアンの鋭い突っ込みが入るのです。「おれたちの税金を、無意味な宇宙開発政策なんかで浪費するな！そんな効率の悪い宇宙事業は、民間に全て売り払ってしまえ！市場で価値が認められないような科学・研究開発など、所詮破綻することになるのだ」
山田理論を擁護し、さらに追加させて頂くとすれば、「科学は政治に従属する」と同時に、「科学は、市場経済にも従属する」というもうひとつの冷酷な事実があるということになります。アポロ計画や、今日のスペースシャトル、宇宙ステーション、火星探査計画も含めて、いくらアメリカのような、巨大な国力を誇る帝国が、その人民や属国の富を絞り取って強引に、その効率や費用対効果も考えずに、自らの世界帝国としての覇権維持の戦略として、巨額の投資を注ぎ込んだとしても、「市場法則」に逆らった事業ははすべて間違いなく破綻し、崩壊への道を進むのです。
このことは、現在の宇宙計画に関する予算的な矛盾、民間宇宙企業の参画を排除し、国家政府の官僚機構の独占よって運営される国営宇宙開発プロジェクトの、とてつもない効率の悪さからを見れば明らかなことです。
例えば、ここに一つだけ、リバータリアン・シンクタンクのケイトー研究所（CATO Institute）のＮＡＳＡに関する記事を紹介します。この記事の著者、ハッジンス氏は、人類による宇宙飛行の成功を、同じく人類初飛行をなし遂げた、ライト兄弟（Wright Brothers）との類推で見ています。そして、「人類が宇宙探索を実現させてからすでに４０年近くも経つのに、どうしていまだに、定期便で運行される民営の宇宙飛行機がないのか」8 という疑問を投げかけます。
（8.Hudgins, Edward L., “Thinking About Martian Economics,” CATO website,
http://www.cato.org/cgi-bin/scripts/printtech.cgi/dailys/1-26-98.html , August 13, 1998）
ちなみに、ライト兄弟は、飛行機設計開発から初の飛行実施まですべて、政府からの補助金や技術指導、規制など一切なしで、この偉業を為し遂げました。一方の、政府プロジェクトの一員でしかないグレン飛行士は、自分で宇宙船を開発したわけでもなければ、自分が宇宙のどこへ、どのくらいの期間飛行するのかといった、飛行予定すら自分で決めてはいません。
ライト兄弟が、初飛行に成功したのが1903年。さらに、アイソレーショニスト(孤立主義者＝国内問題優先主義者)でも知られる、チャールズ･リンドバーグ（Charles Lindbergh Jr., 1902-1974）が、単独大西洋横断初飛行をなし遂げたのが1927年。そしてその後、1930年代後半には、すでに民営の商用機 DC-3 が実用運行されていました。しかしながら、人類初の宇宙飛行（月面着陸のその前に）が、ジョン･グレン（John Glenn, 1921- ）によって、実現された1957年から、これほど情報通信、航空技術が加速的に発達した現在に到っても、いまだに宇宙飛行の民営化、民間宇宙飛行会社による商業化は実現されていないのが現状です。この疑問をナイーヴだという方は、次のデータをみてください。
現在77歳になる、このジョン･グレン氏は、1998年に打ち上げられた、スペースシャトル(Discovery) に搭乗し、人類最年長で宇宙に行った飛行士として、４1年ぶりにメディアの話題となりました。しかし、マスコミも、ＮＡＳＡ研究員も、政治家も、米国民の多くも、誰も彼を宇宙に送るのに、はたしてどれだけのコストが、つまり自分たちが払った税金が費やされているのか、気にしていないかのようでした。ハッジンス博士が引用するデータによると、もし体重160ポンド（約72.5キログラム）のグレン氏を、スペースシャトルの荷台に「有料航空貨物」として載せて、地球から宇宙の往復する場合、一ポンドあたり２〜3.5万ドルとして、その運搬料は約320万〜560万ドル（3億7400万〜6億5500万円、1ドル117円にて計算）になると計算しています。
しかしながら、彼は荷物ではなく「乗客」ですから、彼も含めた7名の乗員の総航空運賃、つまり彼らを安全に宇宙まで飛行させて地球に送り戻すのに掛かった総費用が、一往復の飛行で約15億ドルとして、一人当たりの航空券は、2億1400万〜2億8600万ドル（250億〜335億円）にもなり、これでは商売にならないと呆れています。
「科学は政治に従属し、政治は市場経済に従属する」というのが、人類が置かれた大きな真実です。そして、この原理を最も良く理解し、これにのっとった政策提案、市民社会の実現を強く信望するのが、リバータリアニズムなのです。
アポロ計画に関する投稿は、今後も続けて、関連情報を見つけ次第、紹介して行こうと思っています。以上の私の論点、分析の視点がずれていると思われる方がいらっしゃるようでしたら、是非ご意見・コメントを投稿ください。私は、アポロのテーマについてはより正確でかつ、この「学問道場」サイトに参加されている皆さんの議論に適するように、軌道修正をしながら書いて行きたいと思っています。
[166] これが自動翻訳サイトです。 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/05/03(Sat) 19:59:39申し訳ありません。これが自動翻訳サイトです。http://www.excite.co.jp/world/url/ 是非この「ウエブページ翻訳」で、いろいろな英語サイトを日本語で読んでみてください。なかなか使えるかと思います。
[165] 「ネオコンとリバータリアン」(後編) 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/05/03(Sat) 19:28:06（後編開始）
（引用続き開始）
… イスラエルロビー自体、ユダヤ教徒とキリスト教徒に内分される。ウォルフォウィッツとフェイスは、ユダヤ系アメリカ人のイスラエルロビーにより強いつながりを持つ。イスラエルに親戚を持つウォルフォウィッツは、ブッシュ政権とアメリカ-イスラエル公共関連委員会（American Israel Public Affairs Committee）の連絡係である。フェイスは、全米シオニスト協会（Zionist Organization of America）から、「親イスラエル活動家」として賞を与えられた。権力中枢の外にいたクリントン政権時代には、フェイスは、リチャード･パールと協力してリクード党のための政策論文を共著している。その政策案は、オセロ和平手続きを中止して、返還を約束したパレスチナ領を再占拠すること、さらには、ヤサー･アラファト政権を打倒することを進言するものだった。 こうした「（ネオコン）エキスパート」たちは、2000年の大統領選でほとんがゴアに投票したような、典型的ユダヤ系アメリカ人ではない。共和党有権者の中で、最も熱狂的なリクード党の支持者たちは、南部プロテスタント原理主義者たちである。この宗教右派たちは、神はユダヤ人にパレスチナ全領域を与えたのだと信じており、したがって、原理主義信徒集会は、（パレスチナ人の）占領地におけるユダヤ人居留のための補助金として、数百万ドルをつぎ込んでいる。
ネオコン「ペンタゴン」の最後、五つ目の角には、英連邦と韓国に基盤を持つという聞くからに奇妙な、右翼メディア帝国がいくつも占拠している。ルパート･マードック(Rupert Murdoch)は、そこからFOXテレビネットワークをとおして、プロパガンダを流布し続けている。ウィリアム･クリストル（William Kristol、アーヴィング・クリストルの息子）と、元の軍参謀総長で、1989−1993に米副大統領に就任したダン・クエイル（Dan Quayle）により編集される、マードックの雑誌「ウィークリー・スタンダード 」は、パール、ウォルフォウィッツ、フェイス、そして、ウールセー（Woolsey）ら国防情報担当たち、および（イスラエル）シャロン政権の「代弁者」として機能している。（私（著者）自身1991年から1994年まで編集責任者をしていた）「ナショナル・インタレスト」誌は、現在、「エルサレム・ポスト」やイギリスやカナダにて「ホーリンガー（Hollinger）帝国」（根尾注: www.hollinger.com 参照）に君臨する、（新聞王）コンラッド・ブラック（Conrad Black）から資金提供を得ている。
何よりも奇妙なのは、韓国の救世主（もと囚人でもある）サン･ミュン･ムーン師 （Rev．Sun Myung Moon）所有のワシントンタイムズ（Washington Times）を中心とする、このネオコンメディア帝国ネットワークである。ワシントンタイムズは、その傘下にUPIニューズ電信を持つ。そのUPIは現在、かつてのマーガレット･サッチャーのゴーストライター、ジョン･オサリヴァン（John O’Sullivan）によって運営されており、サッチャー自身も、かつてカナダにてコンラッド･ブラックの編集者を務めていたことがある。こうした経路を通して、「つかまえたぞ！」式の右翼英国ジャーナリズムは、そのヨーロッパ嫌いの体質と併せてアメリカ保守運動を汚染していった。
これらネオコンサヴァティヴ「ペンタゴン（五角形）」のそれぞれのコーナー（角）は、ウィリアム･クリストルが「ウィークリー・スタンダート」とは別に、その社外で取り組んだ「アメリカ新世紀プロジェクト（The Project for the New American Century, PNAC）」によって、1990年代の間に共にリンクされるようになった。彼らの先導者であるトロツキイストたちによって開拓され磨かれて来たＰＲ（広報宣伝活動）のテクニックを使い、ネオコンたちはウォルフウィッツ他、ブッシュ外交チームの面々までもその署名者に加えながら、一連の公式文書を発表していった。その中で彼らは、アメリカがイラクに侵攻し占領すること、そしてイスラエルのパレスチナに対する軍事行動を支援することを要求した（中国に対する極度の警戒を主張するのも、彼らの好きなレパートリーのひとつだ）。クリントン大統領が就任していた二期間は、こうした怒号は、その外交政策機関や主流メディアからは無視されていた。しかし今や彼らの主張は、躍起になって研究され続けているという現状だ。
… ネオコンは、ブッシュの無知と無経験に付け込んだ。… ブッシュは、「中年の危機（midlife crisis）」にあって、南部（キリスト教）原理主義に転向したのだ。その熱狂的なキリスト教シオニズムは、時にリベラルユダヤ人アメリカンとの敵対とあわせたマッチョなイスラエル兵たちへの賞賛と共に、南部文化の一つの特徴となっている。
ブッシュ･ジュニアは、パウエルからウォルフウィッツ（彼は｢ウルフィー｣と呼ぶが）へと傾いて行った。ウォルフィッツは、彼に欠けていたものを与えてくれたのだ。つまり、彼の父親（ブッシュ･シニア）の志を継ぐよりもむしろ、自らにとっての人生における使命を得ることができたのだ。
… ジョージ･Wが十分に、ウォルフォウィッツや他の側近たちが広げて見みせてくれる壮大な戦略を理解しているのかどうかは、明らかではない。しかし、彼は本気でサダム･フセインの大量破壊兵器による、アメリカへの切迫した脅威が存在すると信じているようである。 … 「アメリカ新世紀へのプロジェクト（The Project for the New American Century PNAC）」は、クリントンが政権についている間をとおして、イラク占領を主張し続けた。ウォルフォウィッツや他のネオコンの署名による公式文書も、イラクへの侵攻・占拠、レバノンにあるヒズボラ（Hezbollah）の軍事基地の爆撃、さらには、シリアやイランなどの国がもしテロを支援し続けるようであれば、アメリカによる攻撃で強迫することなどを、米政府に要求した。
… アル･カイダによるアタックの後は、どんな大統領っだとしても、アフガニスタンにいるビン･ラディンのタリバン防衛団を倒すため、戦争に行っていたのかもしれない。しかし、もし18世紀アメリカの選挙規約が、ブッシュに大統領の座を与えず、チェイニーに外交政策執行部をPNACの「会合の場」に変えてしまう移行期間を許していなければ、あの惨事以降アメリカが取ってきた政策は、すべて違ったものになっていたかもしれない。
「ネオコンはどうやってワシントンを占領し、この戦争を始めたのか？」
“How Neoconservatives Conquered Washington – and Launched War”
マイケル･リンド（Michael Lind）
2003年4月10日 アンチ･ウォー・ドットコム
http://www.antiwar.com/orig/lind1.html より
（引用終わり）
この「アンチ・ウォー・ドットコム」で、「ビハインド・ザ・ヘッドラインズ Behind the Headlines」（最近も、ネオコンの記事がありました。
http://www.antiwar.com/justin/j043003.html ネオコン派ジョージタウン大学のロバート･リーバー（Robert J. Lieber）教授についてです）という、コラムを書き続けているジャスティン･レイモンド（Justin Raimondo）という、リバータリアン・ライターがいます。彼についての評価は、その強烈なアンチ･ユダヤ人の傾向や、強烈なキャラクターもあり賛否両論です。
しかし、注目すべきなのは、彼の著書 Reclaiming the American Right 『アメリカ右翼返還をもとめて』（Center for Libertarian Studies, Burlingame: CA, 1993）という20世紀初頭から現代に到る、アメリカの右翼･保守派の変遷がまとめられた著作の序文（preface）を、パット･ブキャナン (Patrick J. Buchanan) が書いているということです。この文は、ウェブページで読めますhttp://antiwar.com/raimondo/book1.html （自由人さんのホームページ http://gifu.cool.ne.jp/gunnuts/ から自動翻訳サイトを見つけました。是非この「ウエブページ翻訳」で日本語で読んでみてください。変な日本語ですが、かなり理解できると思います）。
この本は、アメリカの本流保守が、マルクス主義、トロツキー主義ら左翼の勢力拡大にいかに影響されその基盤を失ったのか、それに対抗する形で始まったアメリカ保守再生運動が、冷戦開始とその過程でのどのようにネオコンサヴァティヴたちの躍進により、グローバリスト的なイデオロギーに歪められてしまったかが、歴史の流れに沿って描かれています。
この本の「取り」としてブキャナンを「パレオ(古代型)･コンサヴァティヴ」として登場させ、もう一度、本来のアメリカの保守思想や政策原理を明確にして、ファンディング･ファーザーたちが掲げた、共和制国家（リパブリック）アメリカを、新帝国主義政府、グローバリスト、ネオコンから、国民の手に取り戻そうという反乱を始めた闘士として、書いています。
たとえブキャナンの保護貿易主義が、リバータリアンの自由貿易体制の主張と相容れなくても、こうして保守派の各派閥は、常に横の連携を崩さないように、お互いの交信を維持しています。こうした地味な動きと「草の根」の活動こそが、保守派復興の底力となっているのです。
来週中は、期末試験と卒業式で立て込むので、次回の投稿は再来週に入ってからになると思います。私の拙い文に目を通してくださった皆さん、どうもありがとうございました。こちらセントルイスで、もう3年近く学生をやったわけですが、私は自分の英語力にもまだ満足できていません。私の勉強は、まだまだ続きます。これからもよろしくお願い申し上げます。
[164] 「ネオコンとリバータリアン」(前編) 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/05/03(Sat) 19:26:37 いつもご無沙汰しております。自由人さんにも、いつもすぐに返信できずに申し訳ありません。少なくともこのサイトに週数回は目を通してはいるのですが、大学のパソコンなので、その場ですぐ、何かを日本語で打ち込むということができません。いつも各書き込みのチェックだけになっています。 さて今回は、予定を少し変更して「リバータリアニズムと戦争−番外編」として、「ネオコンとリバータリアン」と題し、先日のぼやきでも取り上げられていたネオコン（新保守主義者 neo-conservative）に関して、比較的人気のあるリバータリアンサイト「アンチ・ウォー・ドットコム」 antiwar.com と「リーズン･マガジン」のウエブサイト reason.comから、ネオコンに関する記事を一部翻訳して紹介致します。
リバータリアンの視点から、ネオコン関する分析がなされており、皆さんの理解の参考にして頂けるかと思います。プロウ・ウォー（Pro-war）であり、軍事力と経済支配力で、アメリカの一局世界管理（新帝国主義 ニュー･インペリアリズム）を推し進めることが、彼らネオコンの政治性策の根本理念です。そのため、「民主主義（デモクラシー）」と「米欧普遍価値（アメリカン（ウェスタン）ヴァリューズ）」を、世界中に広め（押し付け）、冷戦後の「新世界秩序（New World Order）」自らの手によって構築することをそのイデオロギーとする知識人集団です。
私は、ネオコンとシュトラウスとの「思想的・政治哲学的」な関連性云々については、
あくまで、この大きなグローバリスト戦略を果すうえでのひとつの道具、米国民や、知識人、メディアに向けて学術的な体裁を整え、ネオコン内部に対しては、思想的統一を図るための飾りに過ぎなくなっているのではないか、と推測します。アーヴィング･クリストル（Iirving Kristol）らが、シュトラウスに影響を受けたのは、あくまで、「反リベラリズム」、「反共産主義」、「反近代」などの古典保守(クラシカル･コンサヴァティズム)の思想であり、つまり、70年代に彼らを反共･保守復活運動に駆り立てたところまでだったのではないかということです。一方で、現在のネオコン陣営を本当に動かしているものは、イスラエルという理想的な軍事国家を、彼らの世界管理イデオロギー実践ための牙城として完成させるという、まったく性質の異なるイデオロギーです。
例えば、ロスにあるリバータリアン組織「リーズン･マガジン」のウエブサイトは、９／１１のすぐ後、2001年10月のサイエンス担当記者ロナルド･ベイリー（Ronald Bailey）氏による記事「ネオコンの声（“The Voice of Neoconservatism”）」で、ネオコンの「表看板」（副島隆彦『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』講談社＋α文庫1999 p.37）アーヴィング･クリストル（Iirving Kristol）の、アメリカン･エンタープライズ研究所で行った講演を取り上げていました。ここにその一部を引用します。クリストルは、1970年代の民主党リベラルリズムに対抗して始まった保守復活の運動の中で、ネオコンサヴァティヴが、その左翼思想との文化的対立において、重要な役割を果したと述べています。
（引用開始）
「ネオコンの声」 ロナルド･ベイリー
2001年10月17日 http://reason.com/rb/rb101701.shtml
「（70年代当時）宗教は、ハーバードで見られるようなエリート文化に加えられることはなかった。高度教育を受けた人々が、宗教についてあまりに多く学ぶのはふさわしくないと考えられていた」とクリストルは述べた。当時、学界で低い認知しか得ていなかった 「シュトラウシアン（Straussians）」たちは、宗教をより重視していた。クリストルは、「彼ら（シュトラウシアン）は、（リベラルとコンサヴァティヴの）文化的な対立の中にあって、ネオコンサヴァティヴ知識人たちを「親」宗教（pro-religion）にとどめるのに重大な役割を果した。」と述べている。
… しかし、実際のところシュトラウシアンたちは、概してに宗教には携わってはいなかったとも、クリストルは指摘している。
… シュトラウスの教え子たちは、大学での職を見つけることができなかったので、その足でワシントンD.C.に向かい、政治編成に参加することになったと彼は主張する。そして実際には、旧左翼のスローガン「個人的なことこそ、政治である。（ “Personal is political.”）」を提唱している。「ワシントン在住の多くの家庭が、三世代にまで渡ってシュトラウスに影響を受け、その思想基盤を形成して行った」ことが私にはよく分かるとクリストルは述べる。
… 最後にはクリストルは、1960年代以前の本流の保守思想すら放り投げるような発言をしている。「ネオコンサヴァティヴが現れるまでは、コンサヴァティヴ（保守派）の思想は、大学出の若者たちには届いていなかったのだ。彼らは、「我らの敵 Our Enemy, the State」(アルバート･ノック著 Albert Jay Nock, 1872-1945) や、「農奴への道 The Road to Serfdom」（フレデリック･ハイエク著 Friederich A. Hayek, 1899-1992） では満たされなかった。それらの著作を若者たちに与えて、積極的な反応を期待することはできなかったのだ。」 … クリストルの、トロツキー主義から（新保守主義へ）の大転向を考えれば明らかに、マルクスを読む方がノックやハイエクを読むよりもより面白いと思うのだろう。…クリストルは、「ナショナル･レヴュー National Review」コンサヴァティヴたち（根尾注: ウィリアム･ビル･バックレイ、パット・ブキャナン、ジョン･マクローリン等）が、かつて国家（制度）反対の立場を取っていたことにも触れ、「国家（に賛成か反対か）は、問題ではない」と嘲笑した。 政治権力の存在は、彼の昔馴染みのネオコン知識人たちが影響力を持つ限り、クリストルにとっては何の問題でもないのだ。
…クリストルの話の中で最もネオコンらしさが良く出ていたのは、（最も大切なテーマの）明らかな欠落である。つまり、彼はこの講演の中で、一度たりとも「個人の自由（individual liberty）」について述べようとしなかったのだ。
「ネオコンの声」 “The Voice of Neoconservatism”
ロナルド･ベイリー（Ronald Bailey）
2001年10月17日 リーズン・マガジン・ウエブサイト
http://reason.com/rb/rb101701.shtml より
（引用終わり）
さらに、続いて紹介される記事から、ネオコンが米政府内で力を持つようになるまでの、簡単な歴史が理解頂けると思います。この他国干渉主義者（インターヴェンショニスト）、グローバリストのネオコンを、リバータリアンたちがいかに苦々しく思っているかが、読み取って頂けるかと思います。なお、先日のMLのなかで紹介されていた「株式日記」というウエブサイト http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu46.htm の作者が、自動翻訳ソフトが発達した今日において、留学は時間と金の無駄である、との趣旨を述べていました (「共和国から帝国へ」 ロジャー・モーリス 英語を勉強するより思考力を養うべきだ2003年4月22日 火曜日)。私は、その真に保守的な考え方に深く共感を覚えます。英語文献の翻訳さえやっていれば大学教授が勤まってしまうような日本の学界自体、そもそも西欧帝国主義列強の植民地統治政策に始まり、現在のグローバリストに到るまでの一連の属国化政策によって仕組まれた、洗脳教育システムでしかないのですから。その頭のままで、アメリカに行こうがイギリスに行こうが、何も解らないままで帰ってくることになるのは、分かりっきったことです。
しかし同時に、閉鎖された日本の社会を出て、生身でアメリカその他の国々の生活や社会の実態に触れ、活字に現れてこない実際の人々の生き様に、根気良く向き合う努力なくしては、その洗脳を解き放つ作業はもっと難しいだろうとも、率直に思います。
（引用開始）
「ネオコンはどうやってワシントンを占領し、この戦争を始めたのか？」
マイケル･リンド 2003年 4月10日 http://www.antiwar.com/orig/lind1.html
…（アメリカ外交政策の編成機構の）中心グループは現在、ネオコンサヴァティヴ（新http://soejima.to/boyaki/diary.cgi?no=3&past=28保守）国防情報担当（defense intellectuals）たちによって構成されている（彼らのうち多くは、正反対の右翼に転向してくる前は、アンチ･スターリニスト（反スターリン主義）左翼、あるいはリベラルとして出発しているため「ネオ（新）コンサヴァティヴ（保守主義）」と呼ばれる）。
政府内部のネオコンサヴァティヴとしてはまず、主任国防情報担当としてポール･ウォルフォウィッツ（Paul Wolfowitz）が国防副長官を務める。彼こそがブッシュ政権の国防政策主導者である。初老のネオコン国防長官ドナルド･ラムズフェルド（Donald Rumsfeld）は、ウォルフォウィッツが議論にあまりにうるさいという理由から代わりにその地位に就いているのであり、名ばかりの長官でしかない。
その他のネオコン人員としては、ペンタゴン内ナンバースリーの地位を占めるダグラス･フェイス（Douglas Feith）、ウォルフォウィッツのの秘蔵っ子で、チェイニー副大統領の軍参謀総長を務めるルーイス･“スクーター”･リビー（Lewis “Scooter” Libby）、コリン･パウエルを監視するために国務省に任官された右派ジョン･ボルトン（John R. Bolton）、国家安全保障会議の中東政策長官に、最近任命されたばかりのエリオット･アブレイムス（Elliott Abrams）等があげられる。
いっぽう、ホワイトハウス外部のネオコンとしては、9／11と、米国内で発見されたアンスラックス付き手紙事件とを、やっきになってサダム･フセインに関連付けようとしたジェイムス･ウールシー（James Woolsey 元CIA長官）や、国防省顧問団の議長職を無給で務め、ロビー活動がらみのスキャンダルのためつい最近辞任したリチャード･パール（Richard Perle）らがいる。
彼ら国防 ｢エキスパート｣ のほとんどは、実際に従軍した経験を持たない。国防省文民長官室では、従軍経験のない共和党政府派遣の文官たちは、共和党職業軍人たちから蔑まれ信用されていないのが実状である。しかしながら、彼らはそこを司令部とする。
ほとんどのネオコン国防情報担当たちは、右翼ではなく左翼をそのルーツとする。彼らは、1930年代と40年代の「トロツキー主義者運動」の中でも特に影響力を持っていたユダヤ系アメリカ人のグループの出身である。そしてこの運動は、1950年代から70年代の間に、｢反共産リベラリズム｣へと変遷し、最後にはアメリカの文化や政治の歴史に前例のない、軍事主義的、帝国主義右翼集団へと発展した。
彼らは、1981年に勃発したイスラエルによるイラクのオシラク（Osirak）核原子炉へ襲撃などに代表される、イスラエルリクード党が持つ軍事戦術を非常に高く賞賛する。そして、民主制体（デモクラシー）に対する熱狂とあいまって、奇妙なほどのイデオロギー的発作を見せるのだ。その革命的なイデオロギーを自ら「ウィルソン主義（ウッドロー･ウィルソン大統領から）」と呼ぶが、実際は、最右翼リクードの血を引く「シオニズム（Zionism）」が調合ざれたトロツキーの「永続的(地位)革命（permanent revolution）」の理論にすぎない。本来、アメリカ政治における「ウィルソン主義者」とは、例えばパレスチナ人たちなどによる「民族自決」を信望する人々のことである。
ネオコン国防情報担当たちおよび、実際にペンタゴンの内外を取り巻くネオコンたちは、イスラエルロビーと宗教右派、さらには保守系のシンクタンク、財団、メディア帝国とっての「ペンタゴン」として、その中核をなす。アメリカン・エンタープライス研究所（AEI）などのシンクタンクは、政府に出入りの多いネオコン人員が、政権外にいる間その居場所を提供する。彼らの資金は一般企業からよりもむしろ、ブラッドレイ・オーリン(Bradley and Olin) 財団といった、はるか以前に他界した大物実業家の遺産を切り崩して運営さているような、数十年の歴史を持つ保守系の財団からのものが大部分である。ネオコン外交が、いかなる形であれ直接的にビジネス利益を反映することはない。ネオコンたちは日和見主義者ではなく、あくまでイデオロギー提唱者なのだ。
（引用一時中断）
（前編終了）
[163] ノーモア国連、ノーモア連邦政府 投稿者：自由人 投稿日：2003/04/28(Mon) 23:30:01今のリバータリアンズのおかれている状況はまさにこうである。
[162] リバータリアンはたらふく稼いでいる人が多い 投稿者：自由人 投稿日：2003/04/26(Sat) 00:42:26 ２ちゃんねるにリバータリアンの人がいるんでこの掲示板を教えてきます
（＄￥＄￥＄￥たらふく稼いでいる人らしい＄￥＄￥＄￥）。あちきはリバータリアンに尊敬してますが基本的にはただの銃マニアだから
難しい話はわからにゃいヽ( ´ー`；)ノ 。
http://gifu.cool.ne.jp/gunnuts/
[161] NRAはAnti-Gunの銃規制団体である！ 投稿者：自由人R 投稿日：2003/04/24(Thu) 00:57:08リバータリアン的な考えに立つと、NRAは、多くの武具所有者の武器・弾薬などに対しての、最高の、永久不変の、
最も組織化された略奪者・強奪者ということになる。銃で武装する権利を主張していようが、銃マニアだろうが、ガン
ロビーだろうが、極端なAnti-Gun Lobbyを糾弾しようが、『銃規制』に妥協し0.000000001%でも銃規制を主張する香
具師は過激なAnti-Gun銃規制ヲタなのである。NRAは保守的でリバータリアン的ではないようですな。NRAは銃規制全撤廃主張しないで銃規制に妥協してるし
大麻などの薬物は禁止されてもいいと思ってるらしい。
ミゼス研究所［http://www.mises.org/］のHPや
LewRockwell.com［http://www.lewrockwell.com/］見てるとNRAに対する批判が結構出てくるです。
しかもNRAはアンチ・デファメーション・リーグ（ADL［http://www.adl.org/］）がミリシャを規制しようとしてるのに
NRAはなにも行動をおこさないし…（全然ダメダメだね）。
ADLってばこんなHP→［http://www.militia-watchdog.org/］つくってミリシャに対する憎悪をあらわにし悪口誹謗
中傷キャンペーンを展開しています（自分たちユダヤ人の誹謗中傷は許さないがそれ以外の誹謗中傷はおかま
いなしのようだ…。）
NRAと違ってJPFO［http://jpfo.org/］やGOA［http://www.gunowners.org/］という銃所有権擁護団体は無妥協
パワーでアンチガンロビーやアンチミリシャロビーと戦っているんだぞー！
だからリバータリアン的銃擁護団体はNRAじゃなくてJPFOなのです。あちきは毎月JPFOに献金していましゅ。
↓ここから Jews for the Preservation of Firearms Ownership（ユダヤ人による火器所有権保護）に寄付することができますぞ
［http://jpfo.org/donation.htm］
さらに Gun Owners of America （リバータリアンのロン・ポールはGOAのメンバーだゾ！）
という無妥協ガンロビーにも寄付することができますよ。
［http://www.gunowners.org/ordergoamem.htm］
[160] リバータリアンの無妥協マッチョパワーが地球の未来をかえる！ 投稿者：自由人R 投稿日：2003/04/23(Wed) 23:11:06アメリカのサヨクによるアホなホームページをハケーンしますた。
Critiques Of Libertarianism
http://world.std.com/~mhuben/libindex.htmlリバータリアンに対しての悪口を粘着質にもほどがあるというぐらい書き連ねたアホページのようでつね（ｗ
近年アメリカで勢力を増しているリバータリアンを脅威に思ったサヨクの遠吠えと受け取っておきませう（ｗ
[159] 追伸 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/04/21(Mon) 14:59:11たびたび失礼致します。先ほどの、No.158 の投稿の中に、以下の追加をします。最後がら三つ目の段落の『…ルードヴィヒ･フォン･ミゼス（Ludwig von Mises, 1881-1973）が、ベンサムの「反自然法」、「反(悪)平等主義 （アンチ･イーガリタリアニズム anti-egalitarianism）」の経済理論を継承し』の中に、｢ユーティリタリアニズム（功(公)利主義）｣も継承したことを加えて読んでください（もちろんなのですが..）。ミゼスは、「ユーティリタリアン・リバータリアン」の親玉であり、その他、ハイエクやアインランド、そして、ミルトン・フリードマンがいます。なお、ミゼスの一番弟子だった、ミューレイ･ロスバードは、「ナチュラルライツ･リバータリアン」でした。
[158] ベンサマイト＝ユーティリタリアン・リバータリアン? ナチュラルライツ・リバータリアン? 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/04/21(Mon) 14:08:10 二週間以上投稿しないまま過ぎてしまいました。（しかし、投稿は自由人さんだけでした…） 今週初めの中間試験のため、先週一週間その準備に集中し、加えて、先々週から今週の前半までの3週間、大学内でのイベントが立て込み、仕出し・給仕（ケーター）担当の私は、通常の労働時間数を上回ったスケジュールを頼まれ、駆り出され（意地でこなす..もちろん）、その他、卒業後の進路の情報収集等、もろもろのやるべき事が重なり、気が付けば四月ももう、後半を迎えていました。 本人はそれほど意識していないつもりですが、卒業を5月に控え、将来の計画や検討をしている中で、自分の人生がいやおう無しに、加速度を増してきていることを感じます。そして、この「加速度」は、どう考えても私一人の人生の中だけではなく、まさに現在の、時代が持つ「加速度」そのものであって、私はその加速する時代の流れの中に無条件に組み込まれて、一緒に流されながら、ただひとときの生涯を生き抜くのだ、という自覚を深めつつ、日々を過ごしています。
さて、前回、リバータリアニズムの思想的起源について書いた際に、ジョン･ロック（John Locke, 1632-1704） の唱えた個人の権利、財産所有権等の自然権と、その政府やその他権威に対する絶対優位という思想が、アメリカ建国の思想として採用されたことが、その大もとだと説明しました。政府の役割は、あくまで市民の個人の権理を守ることのみにあるとする、「小さな政府 minimal state」、個人の「自然権 ナチュラルライツ natural rights」に対する政府権力介入の制限といった政治理念が、リバータリアンの主張の原点だと書きました。
が、実は前回、簡潔にすることを心掛けて、もう一つリバータリアニズムの思想の側面については、触れずにいました。それは、もう皆さんお分かりのように、副島先生が定義するところの、「ベンサマイト＝リバータリアン」たちの思想であり、リバータリアニズム思想のもうひとつの根本理念である、｢功(公)利主義 ＝ ユーティリタリアニズム Utilitarianism｣ という哲学の側面です。
私は、この「ベンサマイト Benthamite」（ジェレミー・ベンサム Jeremy Bentham 1748-1832）と、リバータリアニズムの関係が、どうしてもしっくり掴めずにいました。それで、こちらでリバータリアンたちを捕まえては、聞いて廻ったのですが、どうもはっきりした答えが返ってこなかった。皆、それは聞いたことないとか、ベンサムの思想は、社会主義(福祉制度)や共産主義の発展にも影響したんだ、ということまで言われて、それじゃリバータリアニズムと正反対じゃないかと、しばらく混乱していました。そして、答えはこの名称にありました。つまり、「ベンサマイト＝リバータリアニズム」ではなく、ベンサムが提唱した「ユーティリタリアニズム（功(公)利主義）Utilitarianism」、イコール「リバータリアニズム」と呼び直せば、どうやらこちらの人も、よりすっきり理解するということに気付きました。
『リバータリアニズム入門』の第三章の後半部分（Libertarianism A Primer, The Free Press, 1997, p.82）でデヴィッド･ボウズ（David Boaz）氏は、リバータリアンを自認する知識人の大部分は、根本理念として、人間に平等に与えられているとロックが主張した「自然権」を掲げ、それが保護される社会システムや政府機能の実現を主張する「ナチュラルライツ・リバータリアン Natural-rights Libertarian」であると定義しています。（この名称自体は、ミューレイ･ロスバード Murray N. Rothbard 著, 『新しい自由へ』For A New Liberty, Fox & Wilkes, San Francisco, 1973, p.27より）
しかし一方で、ベンサムやその弟子のジョン･スチュアート･ミル（John Stuart Mill, 1806-73）が唱えた、「ユーティリタリアニズム（功(公)利主義＝ すべての人間は、喜びや幸福などの実利を求める生き物であり、この目的を実現させる活動(法律、政治、経済)こそが、最も適切で正しい。すべての人間活動は、最大多数による最大幸福（公利益）の実現のために実践されるべき）」に基づき、「自然法 ナチュラル・ロー natural law」や「自然権 ナチュラル・ライツ」の存在そのものを否定するリバータリアン（特に経済学者に多い）もいるのだ、とボウズ氏は述べています。
「自然法」、｢自然権」などという実態の分からない権威的な社会・道徳規範を、政治や経済運営の根拠にするのではなく、常に時代の現状に促した、現代を生きる市民によってより実用的（プラグマティック pragmatic）に制定された「人定法（ポジティブ･ロー Positive law）」に基づいて、人々が自由に、それぞれの喜びや楽しみ、そして、社会全体としての幸福（Pleasure , Happiness）、実益・実利（Utility）を追求するのが一番良いのだ。政府などの権威機構から、権利与えられたり、「契約」をして管理・干渉されてしまうことのない、真の自由経済、自由社会の実現をこそ、その理念にするべきだと、「ユーティリタリアン・リバータリアン Utilitarian Libertarian」は、主張します。（名称の出自は、同上）
したがって、ここでよりはっきりと、アメリカン・リバータリアンたちは、大きく二つの思想タイプ、「ナチュラルライツ(自然権)・リバータリアン」と「ユーティリタリアン（功(公)利主義）・リバータリアン」がいるといってしまった方が、簡単で正確だと思います。以前私は、リバータリアンは大きく、右派リバータリアン（南部アラバマにあるミゼス研究所という、オーストリアン経済学派の流れを汲むリバータリアンシンクタンクの系譜。ミゼス、ロスバード等、より保守的で強固な、無政府自由市場主義）と、左派リバータリアン（東のケイトー研究所、西のリーズンマガジン等、マネタリスト・シカゴ経済学派の系譜。ミルトン･フリードマン、ハイエク、ロバート･ノージック等、政府の最小限の役割を認める。なお、中央に位置するシカゴ大学自体は、右左混合）の俯瞰図で捉えられると述べました。しかし、そこに所属するおのおのの思想基盤が、「ナチュラルライツ・リバータリアン」的であるのか、「ユーティリタリアン・リバータリアン」的であるのかは、個々のリバータリアンごとにばらばらであり、同じ派閥や、師匠・弟子の間でも異なることが多々あるようです。…もう、これ以上の分類はやめます。
そこで私は、副島隆彦氏の大作（magnum opus）『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』（講談社、1999年）の２２７ページ、「ヨーロッパ政治思想の全体構図」の中に、新たに�ぁ任箸靴董◆岫ぁ�Utilitarianism 功(公)利主義派 ルードウィッグ・ヴォン・ミゼス／フリードリヒ･ハイエク／アイン･ランド（ランドにつては、次回、詳しく書きます）」という項を、「�� Positive Law 人定法派」の下、「�� Natural Rights 自然権派」の左側に新たに「×」を加えその左横に、手書きで書き込んでみました。もちろんこれは、私の勝手な思い付きであり、更なる検討が必要ですが。
ベンサムは、「自然法」、「自然権」、「道徳的感覚」（モラルセンス理論 moral sense theory）等、主観的、つまり他人が理解できないような勝手な思い込み、価値観、道徳・倫理判断を、客観的な議論や理性的な政治判断の場に持ち出すことを許してしまうような、脇の甘い理論を、「タワ言だ！」と一括して、強固に対峙し、当時の他の学者たちからは、「過激派・急進派（ラディカル）」扱いされました。（Ryan, Alan (ed.), Utilitarianism and Other Essays, Penguin Books, London, 1987, p.25）
しかし、イギリスオックスフォード大学の、ハーバート･L･Ａ･ハート（H. L. A. Hart, 1907‐1992）や、シガゴ大学法学部教授リチャード・ポズナー（Richard A. Posner, 1939‐）、さらには、ハーバード大学のリバータリアン法学者ロバート･ノージック（Robert Nozick, 1938‐2002）ら、｢反自然法 ＝ ベンサマイト＝ 法人定（ポジティブ・ロー）」派法学者たちが、ベンサムの主張を引き継ぎました。法機関や政府機関による、法律の制定、法的・道徳的価値の押付け判定、政治政策・原理決定の正当性やその権威を、「自然法」や「自然権」もとめることの危険性を訴える､リバータリアニズム的な主張を、法律的側面から提示すること成功しました。
（ノージックの場合は、その著書、『アナーキー・国家・ユートピア』の中で、「自然権 natural right」に対峙させて「処理・手続権 procedural right」という用語で、「人定法（ポジティブ・ロー Positive Law）」を説明している。 Anarchy, States, and Utopia, Basic Boks, New York, 1974, pp. 96-101）
一方で、経済学の立場からは、反政府介入・自由市場主義の「オーストリアン経済学派」経済学者、ルードヴィヒ･フォン･ミゼス（Ludwig von Mises, 1881-1973）が、ベンサムの「反自然法」、「反(悪)平等主義 （アンチ･イーガリタリアニズム anti-egalitarianism）」の経済理論を継承し、弟子の経済学者ハイエクが、その著書、The Constitution of Liberty 『自由のための政治体制』(Chicago Press, 1960)の中で、経済理論から、｢人定法主義 リーガルポジティヴィズム Legal Positivism」理論擁護の主張にまで、拡大させました。そして、ミゼスの教え子でもあったリバータリアン経済学者、ミルトン・フリードマン（Milton Friedman, 1912‐）を加え、人間の経済活動も、「自然法」や政府による権威的法制から干渉・調整されるべきではなく、人々は、それぞれの生活の実質的な発展や繁栄のために、自発的経済取引きを行うべきだとするリバータリアニズム経済学へ、結実しました。
最後にもう一度まとめると、「ベンサマイト思想 (Benthamite)」は、アメリカン･リバータリアニズムの、「法律･道徳」と「経済」の側面を、そして、「ロッキアン思想 （Lockean）」は、アメリカ建国の思想と、２０世紀の「クラシカル・リベラリズム」復活の運動とあいまって、その「政治哲学･理念」の側面を、それぞれに構成して来たのだと結論できると思います。
今後、ベンサムから、H.L.A.･ハート、リチャード･ポズナー、そして、ハイエクやノージックの、それぞれの「ポジティブ・ロー（人定法）」派内の思想的関係と、さらには、副島先生からのご提案もあったので（「重たい気持ちで書く掲示板」 No.2949）、『正義論』 A Theory of Justice (Harvard University Press, 1971)の、ジョン・ロールズ (John Rawls，1921‐2002, ハーバード大学教授)や、ニューヨーク大学教授ロナルド・ドゥウォーキン (Ronald Dworkin, 1931‐)ら「ヒューマン･ライツ（人権）」派との対立についても、少しずつですが、追いかけながら書いていきたいと思います。ちなみに次回は、「リバータリアニズムと戦争」と題して書きます。お楽しみに。(誰も読んでないよって)
[157] 小さな政府実現を！ 投稿者：自由人 投稿日：2003/04/10(Thu) 23:19:59誰も元の意味が分からないほどに，日本じゃすっかりチンケになってしまった言葉に”小さな政府”というスローガンがある。
再度，ここで説明するであらば，「小さな政府」とは，
１．銃器所有が“完全に”憲法保護され自由に銃が所持できる社会
２．国家権力が制限された政府
という意味である。
自由に銃が所持できるとはすなわち☆チェックアンドバランス機能☆により
国家の権力乱用を防ぐために一般市民がそれに対して抑止力を持っておくという意味である。
国家権力が制限された政府とは，なにもせんでええ，自由にせい。れっせふぇ〜〜〜〜〜る。という意味である。
国家権力が制限されてれば銃は必然的に自由に持てるのである！当サイトでは，この旧くて新しいスローガンを主張する。
小さな政府を実現しなければならない！
[156] やっぱりまたきた 投稿者：自由人 投稿日：2003/04/02(Wed) 18:48:37おっ！根尾 知史さん，どうもこんにちは（＾＾）Linuxismさんもこんにちは＼（＾＾）あちきもこないだ地元岐阜県岐阜市でやってた反戦集会に行ってきまつた。
日本で反戦集会やってるような人たちはみんな朝日新聞とか毎日新聞などのサヨ・マスコミの
情報に踊らされているであろう社会民主主義サヨク・似非リベラル人とか似非人権屋とか環境
保護活動家とか共産主義者や労働主義者やマルクス主義者などのようですヽ( ´ー`；)ノ。
自由人リバータリアンとして反戦に参加したのはおそらくあちきただ一人であろうヽ( ´ー`；)ノ
日本は大きな政府社会主義過剰福祉警察サヨ国家だからねぇ…。
（大麻も自衛銃も全禁止だ…。まえにエロマンガが取り締りに合った。もうバカかとアホかと…）
ていうか日本は過剰福祉を無意味に推進したがる。老人の電車台を無料にしたりとか，ホームレス
を強制収容するアウシュビッツのような変な矯正施設まで造られていっている…。
老人，サラリーマン医療費自己負担アップは結構だが，だったらまず年金を廃止すべきだ。
今２０歳代の若者の３分の１は年金を納めてないらしい（実はあちきも納めてねえ）。というか貰える
額のほうが納める額より少ない年金収めるほうがどう考えてもアホだが（ｗ
なにもせんでええ。自由にせい。 by れっせふぇ〜〜〜る
http://gifu.cool.ne.jp/gunnuts/
[155] 学生反戦集会 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/04/02(Wed) 06:22:25私が通う大学の隣にあるワシントン大学（Washington Univ. St. Louis）で先日行なわれた、学生反戦集会（アンチウォーラリー Anti-war rally）に参加してきました。参加するといっても、もちろん私は傍観者として、現「世界覇権国」アメリカの学生たちが、今回の戦争に対しどのように考え、どういう態度を取るものなのかを見ることが目的でした。定期ミーティングにおじゃまさせてもらっているワシントン大学の「学生リバータリアンサークル（College Libertarians）」のメンバーたちが、リバータリアンの基本原理「非攻撃･非侵略 non-aggression axiom」と、「非干渉主義外交 non-interventionism」に基づいて、そして、自らの主張を少しでも広め、新会員を獲得するための戦略として、「あえて」参加するということに決めたため、それに同行させてもらうことにしました。(当日の様子は、こちらです。http://www.foranewliberty.com/images/banners/rally/rally.html 一番目の写真は、大学に講演会に来たリバータリアン･オーストリア経済学者トーマス･ディロレンゾThomas J. Dilorenzo (中央) です。二番目は、学生リバータリアン定期ミーティングの様子。三番目以降が、反戦ラリーの様子。）なぜ「あえて」なのかというと、彼らは、こうした学生反戦集会を仕切っているのが、リベラル学生活動家（急進左翼活動家、人権・環境保護活動家（グリーンズ Greens）、残党共産主義・社会主義活動家等）であり、集まる学生たちもほとんどが、リベラル頭のレフティスト（Leftist、つまり左翼）、CNNやFOXニュース、ニューヨークタイズなどのマス媒体からの情報に無防備に晒されている、中道左派（Central Left）の学生たちだということを知っているからです。リベラル左翼や民主党（デモクラット）が唱える、「世界平和」や「人権思想」、「万人平等主義 イガリタリアニズム Egalitarianism」の偽善と、そのイデオロギーを使った、アメリカ・グローバリスト政府の人民支配戦略に強烈に抵抗するために、あえて、これらの洗脳され舞い上がって反戦運動をやっている学生の中に入っていって、一人ずつに話しかけていこうという目的での参加でした。
リバータリアンたちは、「平等主義」や「人権思想」が、いかに容易に権力者たちに悪用（アブユーズ abuse）されて来たかを理解しており、「自然法 natural law」や「自然権 natural right」の思想をはじめ、「重商主義政策 Mercantilism」に基づいた「保護貿易主義 Protectionism」や「干渉主義 interventionism」、「集合(産)主義」や「共産主義」、「社会主義」などの20世紀型「リベラリズム」、そして現在のグローバリストやネオコンによる「ニューワールドオーダー New World Order」、「グローバリズム Globlism」等すべてのイデオロギーに対抗する言論やグラスルーツ（草の根）活動を続けています。かつては、マルキシストやコミュニスト、現在では、グローバリストたちが、これら「えせリベラル」思想を自分たちの戦略的イデオロギーと上手に相乗させて、政府政策への疑義を上手に打ち消し、政府のやることは全て人権や平等、さらには、キリスト教的世界平和（クルセイド）思想等の絶対的正義のためになるんだ、と信じ込ませることに成功して来たことに、うんざりしていているのです。
しかし同時に、彼らが、自らが唱える各分野やテーマでの政府規制反対の政策原理（axioms）が、幅広い市民層をリバータリアニズム引き寄せることが出来る、戦術的な強みであることも良く分かっています。つまり、自由人さんが紹介してくれた（捕鯨解禁から、麻薬規制、銃規制、さらには、幼児ポルノ規制反対まで）数々の反政府規制ウエブサイトからも分かるように、実にさまざまな分野で、いかに政府が独断的な規制をかけているかという現実に常に焦点を当てます。これを、あるリバータリアンは「フック hook (釣り針)」と呼んでいました。たとえ政治にそれほど興味がない人でも、自分が興味を持って、あるいは生活や人生を賭けて取り組んでいることは、本気で考える。そして、いかに政府による規制や法律や干渉政策が、それらの、自分の好きなことに人生をかけて取り組む、人間の自由を奪っているか、ということを、リバータリアンが主張することで、それらの、真の自由人たちをリバータリアニズムの動きの中に、惹き付けることができると考えているのです。
リバータリアニズムとは、自らの価値観や行動を責任を持って、自発的に選びながら暮らして行くべき大人たちの生活に、政府がいかに干渉し「権利」と「自由」を抑圧しているのか、という現実生活のレベルから立ち上がった政治思想です。したがって、共和党も民主党も、右も左も同じようなことしか言わなくなった、現在の政治体制の中で、人々は必ず、最後には、自分たちのもとに戻ってくることになるのだということに確信を持っているのです。「来る者は拒まず、去る者は追わず」という態度が、「何でもあり」のリバータリアンの原則です。しかし、自分たちの真の自由を求め続ける本物の近代市民たちは、最後にはここに戻って来ることになるのです。
[154] Re[153]: リバータリアニズムとボス猿社会問題 投稿者：根尾 知史 投稿日：2003/04/02(Wed) 05:06:27Linuxism さん返信をありがとうございます。「誰もがボス猿なのである！」「誰でもボス猿になれるという画期的な、民衆論」というリバータリアニズム理解はいいですね。私は哲学（フィロソフィー）の専攻ではないので、哲学的な議論は、今解説書などを読み始めましたというレベルでしかありません。リバータリアンの思想的、哲学的な分析や理解も、まだまだこれからの私自身の宿題でもあります。したがって、申し訳ないのですが、ここですぐにお答えできるような知識は今手元にありません。しかし、ごく簡単にまとめるのならば、リバターリアンの哲学的、思想的源流をさかのぼると、やはりまず、ジョン･ロック John Locke （1632-1704）に行き着くと思います。彼が、人間は生来自由で、可能性に充ちた生き物だ。これは、「自然権 ナチュラルライツ Natural Rights」として誰にも備わっていて、誰からも妨害されることはできない。これは、自らの判断で宗教も思想も、そして生き方も自由に選べる権利であり、さらに、自分の財産を所有し、それを糧にして各人が人生における自分自身のの「幸福 (Happiness)」を、誰に干渉されることも無く自由に追求できる権利が、個人の基本的権利だ。政府は、この個人の権利を「守る」ことを市民と契約し、これを破った時は、市民がその政府を交代させる権利を持っているのだと、彼は主張しました。
これがアメリカに渡り、トーマス･ジェファーソンらファンディングファーザーFounding Fathers たちによりアメリカ建国の国家思想として採用され、「リベラリズム（今で言うクラシカル･リベラリズム)」つまり、現在の「リバータリアニズム」の基本思想として、20世紀に再度蘇るわけです。ここまでの政治思想の変遷は、副島先生の、『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』（講談社、1999）の第4章に全てまとめられています。もしまだお読みでなければ、是非最初にその章を読まれると、『リバータリアン入門』の理解もぐっと深まると思います。
しかし、現在までの過程でアメリカ人たちは、「国家政府」と言うボスざる組織が、さっぱり効果的、効率的な仕事をできずにいて、そのくせやたらと、人々から税金やら各種法律で金やら財産を取り上げ、軍事組織だけはどんどん拡大して、市民は誰も口出しが出来ないくらいに膨れ上がってしまった。彼らが甘言を弄して、人々に真の幸福と繁栄と自由を約束したさまざまなイデオロギー（共産主義、社会主義、福祉国家、人権思想、平等思想、そして民主主義）は、どれも悲惨な結果で、政府経済は破綻している。大量の市民に犠牲者が出た世界大戦に、二度も引きずり込まれ、国家のため、正義のため、世界平和のためと言って、国家予算に大赤字を上塗りして、朝鮮半島から、ヴェトナム、ユーゴ、そして、イラクまで行ってはどうやら、地元の一般市民に空爆しているようだ…もう誰も、いい加減に｢政府｣というボスざる機構は信用できない。訳の分からない税金はもうこれ以上払いたくない… 建国当初のように、自分たちのことは自分たちで決める、自分たちの防備も自分たちでやる、自分たちの地域の貧富の差や、ホームレス、差別の問題も自分たちで自主的に取り組んでいくから、どうか自分たちに政治をやらせてくれ、どうか税金なんか取り上げないで、自分たちに自由な経済活動をやらせてくれ、と言うところが、リバータリアンの哲学の原点だと思います。
私が、こちらで会っている学生リバータリアンたちのことが好きなのは、彼らは、非常に良く勉強していて、多読で、そうしたアメリカの歴史の中での、民衆と政府の対立の歴史を良く知っているからです。というか、そのまま地で生きている。アメリカ建国の思想から始まって、20世紀のはじめにリバータリアニズム運動が湧き起こって、二つの世界大戦と冷戦を経て、自分たちの政府がとんでもなく巨大な恐竜のようになってしまったことを心底嘆き、かつ怒っている。彼らは、自分たちがリバータリアニズムの思想的戦いの歴史、政争の、最前線に立って活動しているんだ、自分たちがその歴史そのものなんだという気概を持って活動しています。彼らは、もともとがリベラルな大学の中でも、他の環境保護活動サークルや、リベラル政治活動家たちとも、一線を画して力強く動き続けています。会員数も少しずつ増えています。時代の変遷ともあいまって、着実に勢いを増していることが、私には見えるのです。
ご返信ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
[153] リバータリアニズムとボス猿社会問題 投稿者：Linuxism 投稿日：2003/03/30(Sun) 16:05:33根尾 知史さま、どうも、わたくしの素朴な疑問提起に親切に答えてくださってありがとうございます。副島先生訳「リバータリアニズム入門」を読み始めて半分くらいまで来たのですが、ここまでの感想ですと、
いわば、どういう歴史でリバータリアニズムが、「復活？」してきた、もしくは、ルネッサンスのように民衆から湧き出てくるような時代になった、ということを少しわかったような気がしてます。
私は、人間はまだ猿社会から抜け切れないと最近思うようになったのですが、猿社会にはボス猿がいますが、思うに、西洋の色々な思想は、ボス猿的社会からの脱却が目的ではなかったのか？
と思っています。
ヘーゲル主義では、ボス猿とそうでない猿の違いは徐々に（キリスト教的平等主義の元に）なくなるだろう。といっているように思えます。
マルクス主義というのは、ボス猿をなくせば全て解決する、と言っているように見えました。
自由・資本主義では、誰もがボス猿になる権利がある。ということかと思います。
アナーキズムというのは、誰もがボス猿になれる。と思えます。
さて、ここで、リバータリアニズムはどうかというと、恐らく、
現段階の理解では、
「誰もがボス猿なのである！」
といっているように見えます。
人間にとっての最大の悩みは、自らの野蛮性（猿の遺伝子）をどうやって取り除くかであると思います。これに対して宗教・哲学が出てきて、戦争の時だけは、その野蛮性が許されるということかと思います。
このボス猿問題が、なぜ我々を悩ますかというと、どうしても、ボス猿がやっぱりいるのだ、と落胆せざるを得ないからだと思うんですが、これを半ば、開き直って、
我々はみんなボス猿なのだ！
と言い切ったところが、リバータリアニズムなのではないか？
などと思っています。
ただし、この前提だと、相手も自分もボス猿であるので、お互いに接するときは、ある種の礼儀を持たなければいけないということかと思いました。
このリバータリアン解釈で恐いのは、もし、アメリカという国だけでこの「誰でもボス猿」解釈がされた場合、その他の国では、ボス猿が不在もしくはほとんど存在しないともなりえ、いわゆるグローバリズムでは、ボス猿顔をしたアメリカ人が世界中のボス猿に向かって命令を聞け！というわけです。
リバターリアニズムは、この解釈が正しいとすると、猿社会からの脱却と同時に、猿社会への一種の回帰とも思え、と同時に、誰でもボス猿になれるという画期的な、民衆論であるとも思え、
逆に、もし、誰もがボス猿であるというならば、自らを鍛えなくてはならず、縦社会的な日本的考え方からすると、すごく難しいことだと思いました。というか思っています。
ちなみに、本物の猿社会において、例の抗うつ病剤のプロザックを弱そうな猿に投入すると、それがボス猿になるそうです。
別の猿に投入すると今度はそれがボス猿になるそうで、
このプロザックが登場したのは、９０年代初めで、アメリカでリバータリアン宣言などというのが活発に民衆化したのも恐らく、同時期（ここは自信なし）であり、グローバリズムの発想も９０年代初めくらいからですので、これは、偶然の一致ではないのではないか？と思います。
私はプロザック服用経験があるので、あの、何となく高揚感が激しくなり、何か、偉くなったような感覚、、がボス猿と関係があると思えました。ただ、やはり、何も知恵も技もない人が服用しても挫折すると思います。
私のアメリカ人の友人もプロザックを試してましたが、どうもどこかで挫折して辞めてしまった人が多いようです。
[151] 国家は効率的で恐るべき巨大な最悪の犯罪組織である！ 投稿者：自由人 投稿日：2003/03/23(Sun) 16:30:31
無政府主義のリバータリアンとしては国家の存在は嫌いなので廃止してほしいけど，いきなり
国家を廃止せよ言っても無理があるからとりあえず国家権力を大幅に縮小すべきと考えるべき
でしょう。リバータリアニズムをたわごとで終わらせるわけにはいきませぬ。
ところでこんな党を見つけました！
Liberal Democratic Party of Australia http://www.ldp.org.au/
ACT New Zealand http://www.act.org.nz/
これらの党はフレデリック･ハイエク同じくノーベル賞を受賞したリバータリアン経済博士の
ミルトン・フリードマン的な小さな政府リバータリアン政策を取っています。
（アメリカのリバータリアン党と比べて主張がソフト）ACTは9も議席を持っています。
だから日本はAUとNZの適度なリバータリアン政策を見習おう！
そんで『●治安悪化･日本で自衛用途銃所持法復活!●』 するのだ。
http://news3.2ch.net/test/read.cgi/news2/1041167874/l100
●大麻解禁するのだ。 http://www.matsuri.net/cannabist/info/youcan.html
●タバコ規制反対なのだ。JTがんばれなのだ！
●商業捕鯨復活するのだ。http://www.e-kujira.or.jp/index.html
●児童ポルノ解禁するのだ。ジポネットいけー http://jipo.kir.jp/
●盗聴法廃止するのだ http://www.jca.apc.org/haisi/
●インターネット検閲やめろなのだ。 http://www.jca.apc.org/privacy/
●N-システム反対だ。 http://www.npkai-ngo.com/
●住基ネット反対国民背番号反対なのだ。 http://www1.jca.apc.org/juki85/
●カジノ解禁するのだ！
●戦争絶対はんたーーーーい！有事法制もはんたーーーーい！平和万歳！
http://www.antiwar.com/ 小泉とアメリカブッシュを糾弾するぞ！
●ゆとり教育推進するのだ http://www.mammo.tv/column/sun/
●税金の無だ遣いな成人式はやめるのだ。
●医療費自己負担…3割でいいのだ。
●原動機付き自転車は自由化するのだ。
●大道芸人を完全に自由化するのだ！（大道芸免許制など断固反対じゃ）
●郵政民営化するのだ http://www.geocities.co.jp/WallStreet/2800/post/
●道路公団民営化するのだ http://www.kantei.go.jp/jp/singi/road/
●売春もOKにするのだ。
日本を小さな政府国家にするのだ。